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Date: Wed, 18 Nov 1998 10:02:13 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 820] from FACTIVE > 防衛庁汚職>調達不正請求汚職事件(1)
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*- FACTIVE  MES(13):●分科会 戦争 平和 基地問題  
*338   SDI00872  山崎 久隆        防衛庁汚職>調達不正請求汚職事件
(13)   98/10/18 18:02                   コメント数:3

 中央官庁を舞台とした汚職事件は、防衛庁でも発覚し、こちらではついに9月4日
に諸富増夫前防衛施設庁長官の逮捕に発展しました。
 諸富長官といえば、久間防衛庁長官と共に沖縄在日米軍機地の普天間撤去をめぐり、
名護市沖に建設が計画された海上基地建設で活動し、さらに反戦地主からの土地強制
使用については直接の当事者として先頭に立ってきた人物。私たち反戦地主にとって
は何度も目にした名前でした。

 その諸富氏が逮捕された理由は、防衛庁を舞台とした調達品の不正請求事件に関連
し、多くの利益を受けてきたことからですが、こちらは刑事事件として現在も真相解
明の途中にあります。
 
 一方、防衛庁は88年から94年にかけて、装備品調達において発生した莫大な水
増し請求事件を内部調査で適正に措置したとされていました。この段階では21億円
とされた請求額は既に返還、ないし返還措置が執られていたとされていました。(9
7年9月14日に各紙一斉報道)。
 この不正額算定をめぐって汚職事件が起きていたわけですが、そのことだけではな
く、東京地検が強制捜査にはいるという情報を察知した防衛庁では、組織ぐるみで証
拠隠滅をはかるという二重の「犯罪」も犯していました。
 
 この「不正請求」と「証拠隠滅」に関して防衛庁は報告書を作りましたが、その報
告書がまた余りにも手前勝手なものでした。
 特に10月14日付けの「4社事案関連文書の管理実態に関する中間報告」がひど
いものでした。まず第一に、事件の責任をとる形で更迭された防衛庁の藤島正之前官
房長が、当初この防衛庁の証拠隠滅疑惑の調査委員長に任命されていたのですが、自
らが東京地検の事情聴取を受けた職員からの聴き取りをまとめた「ヒアリング・ファ
イル」を8月上旬から中旬に自宅に持ち帰り、破棄していたことが明らかになってい
ます。これでは犯人が自分を調査しているに等しいわけで、なんの客観性もあるはず
がありません。
 
 そのうえこの報告書ではもっとも重大な点、組織的に行われたものであるかどうか
については、「関係書類が地検に押収されていてわからない」としながらも、組織的
に介入していたかもしれないが組織的に関与したものではないというような極めて異
常な内容になっています。
 この余りのひどさが、戦後初めて参議院で閣僚問責決議案が可決され、現額賀防衛
庁長官が辞任必至の状況となった原因の一つとされています。(時期はまだはっきり
していませんが)
 
 その防衛庁の報告書「取得改革委員会報告書(平成10年6月)」と「4社事案関
連文書の管理実態に関する中間報告(平成10年10月14日)」を転載します。
 
 この文書なぜか acrobat  leader 文書でインターネットサイトに登録されていま
したので、こちらでテキスト化しました。図表が多用しているわけではない単なるテ
キストをなんで汎用性の高いプレーンテキストではなく、ソフトがなければ閲覧でき
ない acrobat leader文書で公開しているのか理解に苦しみます。 (見られたかない
んでしょうが)
 
 というわけで、いったん紙に出力してからスキャナで読みとっていますので、変換
ミスがあり得ますがご了解下さい。
 
 
 なお防衛庁調達事件については膨大な記事クリッピングなどありますが、まだまと
めきれていません。そのうち本件についても紹介していきます。
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)

*339   SDI00872  山崎 久隆        防衛庁汚職>[98-06]取得改革委員会報告1/2
(13)   98/10/18 18:06  338へのコメント

                 取得改革委員会報告書
                    平成10年6月
                    取得改革委員会
l 取得改革推進の基本釣考え方
 1.取得改革の背景
   平成7年11月に閣議決定された防衛大綱においては、装備品等の整備に当た
  っての考え方として、「調達価格等の抑制を図るための効率的な調達補給態勢の
  整備に配意」することが新たに強調され、また、同年12月閣議決定の中期防に
  おいても同様に「調達価格等の抑制を図るため、情報化等に対応しつつ、効率的
  な調達補給態勢の整備に努める」こととされた。
   また、防衛大綱において「後年度の諸経費を含む費用対効果」の視点が新たに
  強調され、中期防には技術研究開発に関して「ライフサイクルコストの抑制に十
  分配意」することが盛り込まれたところであり、装備品のライフサイクルコスト
  の総合的な抑制を含む効率的な調達補給態勢の整備は、防衛庁全体として取り組
  むべき政策課題と位置づけられた。
   かかる課題への取り組みが求められる背景としては、主に以下の事情が指摘で
  きる。
  (1)危機的な財政事情の下、装備品の調達・維持に当たっての予算上の制約が
    益々高まってきていること。
  (2)装備品のハイテク化等に伴い、装備品の調達・維持コストが増加傾向をた
   どっていること。
  (3)防衛産業にあっては、調達数量の減少傾向の下で、稼働率の低下、組織・
    人員の合理化等が進んており、健全かつ効率的な防衛生産・技術基盤の維持
    ・確保が一層求められていること。
   なお、以上のような状況は、欧米においても全く同様であり、効率的な調達補
  給態勢の構築は、冷戦終結後の世界各国の国防当局にとっての共通課題となって
  いる。

  2.取得改革委員会の設置
   防衛庁においては、上記の諸情勢を踏まえ、平成8年5月、装備局長を長とす
  る取得改革委員会を設置し、約2年間の予定で各種の検討を開始した。折しも検
  討開始後の昨年6月閣議決定された「財政構造改革の推進について」においては、
  @中期防の所要経費を9,200億円縮減すること、A集中改革期間中の防衛関
  係費を対前年度同額以下に抑制すること、B装備品の調達補給体制の合理化・効
  率化を図り、調達・価格の抑制など取得改革に努めること、が定められたところ
  であり、防衛生産基盤の維持にも配意しつつ所要の防衛力の水準を維持するため
  に、装備品の調達・維持コストの削減は避けて通れない必須の命題となった。
 
  3.取得改革を推進するに当たっての視点
   取得改革の推進に当たっては、主として以下の視点に配意したところである。
 (1)コスト管理の徹底
   これまで防衛装備品のコストについては、所要の要求性能を設定すれば、これ
  に従属して定まってしまうものであるととらえる傾向があった。他方、市場競争
  にさらされている民間企業においては、コストは努力によって可変的なものであ
  り、要求される品質を前提として徹底したコスト管理を行い、コスト低減が図ら
  れている。このため、取得改革を推進するに当たっては、防衛装備品の特性を踏
  まえつつ、コストは自ら管理すべきものであり、また、できるものであるとの考
  え方に立っ必要がある。
 
 (2)関係者の意識改革
   既存の制度、手続等は一定の合理的な理由の下に定められているのであり、業
  務の継続性が重要なのも事実である。しかしながら、過度に継続性にこだわって
  いては改革の推進は困難であり、改革の推進上必要があれば、これまでの制度、
  手続、業務の手法等も積極的に見直していく必要があることを、広く研究開発、
  調達等に携わる関係者が認識することが必要である。
 
 (3)部外の資源、ノウハウの積極活用
   通信・電子分野を中心とした民生技術の飛躍的な発展は防衛分野への民生品の
  利用可能範囲を大幅に拡大するとともに、品質管理を始めとする民間分野での各
  種の先進的なノウハウ、技術には、防衛分野への応用可能なものも多く、取得改
  革を図る上で活用すべきものがあれば、費用対効果を踏まえた上でその積極活用
  を図るべきである。
 
 4.取得改革委員会の検討成果
  取得改革委員会は6つの作業部会(規格・仕様、技術研究開発、産業対策、調達
 制度、維持・修理、CALS)を設け、これまで約2年間にわたり各種の検討を行
 ってきた。その主要な検討成果を総括すれば、
 (1)研究開発において各種のコスト抑制施策を講じ、現在開発中の装備品等の見
   積量産単価の低減を可能な限り図った。(9年度で技術開発が終了した項目に
   関しては、見積量産単価べースの平均が概ね10%低減できるとの検討結果が
   得られた。)
 (2)調達段階における規格・仕様の見直し、維持修理段階におけるコスト低減、
   IS09000sの導入等の調達手続の簡素化、CALSの導入、企業自らの
   内部施策の実施等の諸施策を総合し、競争状態にない等一定の要件に当てはま
   る装画品等の単価について、平成15年度までの5年間で、コスト低減努力に
   馴染まない部分を除き10%低減するとのコスト低減目標を設定したところで
   ある。
  具体的な検討成果については、先ず、装備品取得の段階に応じて、@研究開発段
 階、A調達段階、B維持・修理段階の3つに区分し、さらに各段階に横断的に係わ
 る事項として、C官側の諸手続きの効率化、D企業におけるコスト低減努力、EC
 ALSの推進の3つに区分して、これらの6項目について、以下詳細に検討成果を
 述べることとする。
 
II研究開発段階におけるライフサイクルコスト抑制のための諸施策
 
 ライフサイクルコスト抑制のためには、装備品等の技術研究開発段階からコスト低
減対策を検討していくことが極めて重要との認識から、これらに資する研究開発を推
進するための施策を検討した。
 具体的には、現在開発中の装備品等について見積最産単価を低減しライフサイクル
コストのうち最も割合の大きいと見積もられる調達価格の低減を目指すこととした。
 また、今後の研究開発についてもライフサイクルコストの抑制を考慮した研究開発
を実施するための制度を整備し、その運用を徹底することとした。
 
 1.開発中の装備品等の見積量産単価の低減
 
  研究開発装備品等のライフサイクルコストに占める各段階の経費の割合について
 調査したところ、調達価格が50%以上に及ぶと見積もられ、ライフサイクルコス
 ト抑制のためには調達価格の低減が極めて重要かつ効果的であるとの判断から、現
 在開発中の装備品等に対して研究開発段階における見積最産単価の低減を図ること
 とし、そのための手法及びそれによって達成が見込まれる低減率について検討した。
 その概要は以下のとおりである。
 
 (1)どのような研究開発手法が、ライフサイクルコスト抑制に有効であるかに
   ついては、ライフサイクルコスト抑制を試みた事例研究を、軽対戦車誘導弾、
   小型装甲車等6項目について実施した。その結果、例えば軽対戦車誘導弾では、
   目標価格の設定、システム性能を確保した上での性能とコストとのトレードオ
   フ及び民生部品の活用による見積量産単価の大幅な低減が可能であることが判
   明した。また、ライフサイクルコストの抑制を図るための研究開発手法として、
   民生技術の積極的な活用、装備品等のファミリー化の推進、改善・改良事業の
   実施、省人・省力化の推進等の検討を行った。
 (2)上記の検討結果等を用いて、平成9年度に開発中の装備品等17件について、
   装備局、技本、各幕及び企業を含めて、現時点で可能な限りの見積量産単価の
   低減の検討を実施し、それぞれの装備品等について見積量産単価低減の見込み
   を得た(最大約16%の低減)。
 (3)この成果を研究開発活動に反映させるために、上記17件のうち、平成10
   年度以降も技術開発を継続する14件については、技術開発実施計画書に記載
   されている見積量産単価を変更することとし、平成10年3月に開催した装備
   審査会議調整部会で変更の審議を行い、更なる低減方策の考えられるものにつ
   いて引き続き検討を継続することとした。また、その際、平成9年度で技術開
   発が終了する3件を含めた全17件について、見積量産単価の低減の検討結果
   の説明を行い、見積量産単価の低減の手法についての情報の共有化に努めた。
 
 2.研究開発に関する制度の整備
  研究開発の初期段階からライフサイクルコストの抑制に考慮する等のため、平成
 8年5月に「装備品等の技術研究開発に関する訓令」が改正されているが、この訓
 令改正の趣旨に基づいた研究開発を実施するために、以下の方策を講じている。
 (1)技術研究開発要求見積書及び技術研究開発実施見積書にライフサイクルコス
   ト抑制を図るための記述を行うこととし、必要な通達等を改正して徹底を図る
   こととした。また、両見積書の提出の前に事前説明会を開催してライフサイク
   ルコストの抑制についての検討を行うこととし、8年度及び9年度に実施した。
 (2)技術開発実施計画割こも、ライフサイクルコストの抑制に関する事項を記述
   し、技術開発実施計画書に関する装備審査会議においてライフサイクルコスト
   抑制に関してのより充実した審議を実施ずることとし、9年3月及び10年3
   月には、技術開発実施計画書の審議のための装備審査会議調整部会等において
   これらも含めて審議を実施した。
 
3.その他
  試作品等の設計、製造段階においての技術審査の重要性を再確認し、今後更なる
 効率化に努めるとともに、官民ともにそれぞれの立場から、しっかりとしたコスト
 意識を持って価格低減のための前向きな議論を積み重ねる場としての技術審査につ
 いても検討を行った。
 
III 調達段階におけるコスト低減のための諸施策
 
 研究開発を伴わない装備品等及び研究開発が終了し調達が開始された装備品等につ
いても、絶え間なく技術革新が行われる状況のもとで、部隊配備後も適用する規格・
仕様を柔軟に見直す等により、継続的にライフサイクルコストの低減を図ることは極
めて重要である。このため、現在防衛庁が保有している規格・仕様書について見直し
を行うとともに、研究開発された装備品等については部隊配備後もフォローアップを
行う体制を整備することとした。
 
 1.規格・仕様書の見直し
  総数で約18,000件に上る現有の防衛庁の規格・仕様書(防衛庁規格、防衛
 庁仕様書及び各幕仕様書。以下「規格等」という。)について、コスト低減及び業
 務の効率化を図るため、民生品・民生技術の活用並びに防衛庁・自衛隊独白の要求
 条件の緩和及び手続の簡素化の観点から概括的見直しを約1年間にわたり実施し、
 その結果、全体の約半数が廃止又は市販品(カタログ)仕様書及び民生規格等を活
 用した規格等に移行可能でありコスト低減等を図れる可能性があることが判明した。
 この検討成果に基づき、以下の施策を実施に移している。
 (1)防衛庁の規格等を民生規格等に置き換えた場合、保守用部品の枯渇や耐久性
 等の不足など種々困難を伴うが、他方、民生品を採用することにより大きく調達価
 格の低減が期待できる。そのため、部品の継続的な補給の確保等に工夫を行い、積
 極的に民生品を採用する方向で見直しを開始した。この規格等の見直しは、調達が
 予定されているもの及び見直し効果の高い共通的なものを優先して行い、現中期防
 の最終年度である平成12年度末までの3年間に必要な見直し及び改正等を段階的
 (10年度30%、11年度30%、12年度40%)に実施することとした。な
 お、民生技術の進歩等により防衛庁が独白に定める必要のなくなった規格等につい
 ては、平成12年度末までの見直しのなかで防衛庁規格約2,000件のうち約1,
 000件を廃止する方向で手続を開始した。既に平成9年度においては約300件
 を廃止し、このことにより民生規格を活用する環境が整備された。
 (2)今後新たに作成される仕様書について、装備局及び各自衛隊に仕様書の審査
   体制を整備し、仕様書作成担当者のコスト意識の高揚を図ることにより、コス
   ト低減を徹底することとした。
    さらに、機能性能仕様書及び市販品(カタログ)仕様書の記載要領を策定し、
   今後の仕様書作成に当たって、コストアップに繋がる独自要求の制限や民生品
   化を推進していくこととした。
 (3)今後は、規格・仕様書の見直し推進状況をモニターするとともに、見直しに
   際して効果のあった事例について各機関等相互で情報を共有することにより、
   規格・仕様書に係るコスト低減及び業務の効率化の徹底を図ることとする。
 
 2 装備品等のフォローアップ体制の構築
  装備品等の部隊配備後も、ライフサイクルコストの低減活動を継続し、またユー
 ザーの使用実績等を踏まえた改善改良等の要望に柔軟に対応できる体制が必要との
 認識から、装備品等のフォローアップを効率的に実施するための体制の整備を行う
 ことを検討するとともに、新中距離空対空誘導弾等について、フォローアップの検
 討を試行的に実施した。
  その結果、装備品等のフォローアップ体制の整備として、開発装備品等フォロー
 アップ委員会を設置した。今後、同委員会及び必要に応じてその下に置かれる各分
 科会において、防衛庁が技術研究開発を実施した装備品等について、ライフサイク
 ルコスト低減のための施策を中心とし、ユーザーの使用実績等を踏まえた改善改良
 等の要望にも対応するため、情報の共有化や検討等のフォローアップ活動を実施す
 ることとした。
 

*340   SDI00872  山崎 久隆        防衛庁汚職>[98-06]取得改革委員会報告2/2
(13)   98/10/18 18:06  338へのコメント

IV 維持修理段階におけるコスト低減のための諸施策
  近年、装備品の複雑・高度化、システム化等に伴い、その維持修理コストは一貫
 して増加傾向にあり、ライフサイクルコストの抑制という観点からは維持修理段階
 におけるコスト削減が不可欠の課題となっている。
  しかしながら、コストの削減により運用の安全性に影響を与えるようなコスト低
 減施策は採用できないことから、低減策の実施に当たっては、試行等を慎重に行い、
 安全面での問題がないことを確認した上で本格実施を行うこととした。
  具体的には、整備の頻度・項目の削減、維持修理部品の低価格化を中心に検討を
 行い、以下の成果を得たところである。

 1.定期整備・検査の項目及び間隔の見直し
  定期整備・検査の項目及び間隔の見直しについては、艦艇・航空機では、既に実
 施のもの(航空機:OH−6D,P−3C,F−1等、艦船:潜水艦)に現在試行
 中又は試行予定のものを加えれば、主要な機種・艦種を概ね網羅しており、艦船・
 航空機以外の装備についても、経費削減余地の大きいものを対象に検討を実施した。
 (1)試行等を実施の上、逐次本格実施する項目
   @ 9年度からMK46魚雷の定期検査間隔を3年から5年に、89式魚雷の
    定期検査間隔を1年から2年に延伸済。(10年度予算では、従来方式に比
    して約1億円を節減)
   A SH−60Jの整備工数の削減について10年度に最終評価の上、11年
    度にも本格実施。
   B 陸自車両の予防整備の一部簡素化について、10年度に最終評価の上、1
    1年度にも本格実施。
   C 護衛艦(ゆき型)について、定期検査間隔の延伸(4年→5年)を行った
    場合の経費削減効果を分析した結果、各定検・年検経費の増加はあるが、2
    5年使用するとしてトータルで約6%程度の節減が見込まれる。
     10年度には、 試行の一環として、 本来同年度に実施すべき検査の一部
    (5隻:契約べース85億円)を11年度に延伸した。間隔延伸(鋼船4年
    →5年、鋼船以外の船舶3年→4年)については、10年度に最終評価の上、
    11年度にも本格実施。
   D 空自警戒管制レーダ(近空)の定期修理間隔の延伸(3年→4年)につい
    て、11年度本格実施の予定であったものを10年度から試行的に実施中。
    (10年度予算では約1億円を節減)
   E 74式戦車の予防整備の一部簡素化について10年度から試行に着手。
 
 (2)検討に着手又は着手予定の項目
   @ AH−1Sについて、11年度当初から修理点検内容の見直しについての
    試行を開始予定。
   A F−15の定期修理の間隔・内容の見直しについて平成9年10月に検討
    委託。11年度末までに解析を終了し、その成果を踏まえ、12年度から試
    行を行う予定。
   B T−4について、10年度から定期修理の間隔及び内答の見直し作業に着
    手する予定。
 
 2・維持修理部品の低価格化
  装備品等の維持修理段階において、技術変更提案の制度を活用することによって、
企業から維持修理コストの低減に資する提案を募り、コストの削減を進めることとし
た。
  その際の手続の明確化を図るために、技術変更提案についての防衛庁仕様書(D
 SP z 9004)を平成9年12月に改訂し、コスト低減に資する提案を積極
 的に受け入れることを可能とするとともに、提案に際し、部品の共通化・特殊部品
 の最少化の観点からの検討を要件化した。
  また、具体的な事業としては、各装備品毎に、維持修理コスト低減のための技術
 変更提案プランの策定を促したが、特に誘導武器については10年度事業化を念頭
 に検討を実施した(SSM−1の電池変更、AAM−3のアンビリカルケーブルの
 材質変更、87式MATの収納箱構造変更等)。
 
 3.その他:MOU改定による維持・修理の効率化の推進
  MOU(Memorandum of  Understanding)に某づきライセンス生産を行う装備品
 等については、米国製備品等の形態変更に対応して、将来の維持、修理の効率化の
 方策をできるだけ早期に検討することが効果的である。
  この観点から、P3Iを採用している米国ペトリオットについて、平成10年4
 月にMOUを改定して、米国の技術変更提案の早期入手に着手した。
 
V 官側の諸手続きの効率化のための諸施策
 
  調達・補給全般に係る官側の諸手続きの合理化は、官側業務の効率化をもたらす
 とともに、企業における間接経費軽減にも有効である。官側の諸手続きの合理化を
 推進するためには、民間において発展したIS09000sの導入に特筆されるよ
 うに、部外の資源、ノウハウの活用が重要な要素になっているものが少なくなく、
 今後とも、積極的にそのような要素を活用していくことが重要である。
 
 1.IS09000sの導入
  現行の監督・検査方式の合理化及び効率化、装廃品コストの低減を図ることを目
 的として、国際標準化機構において制定されたIS09000sの品質管理方式を
 導入するための条件整備を行い、本年4月から導入を開始した。導入の順序として
 は、平成10年度は航空機分野、11年度は通信電子分野、12年度以降はその他
 の分野について段階的に導入し、13年度には品質管理方式を要求している調達品
 について完全導入を目指すこととした。
  また、IS090008をより効果的に導入するため、審査登録機関が防衛企業
 を審査する際の保全体制を整備することとし、その手続を開始したところである、
 さらに、今後、防衛庁独自の品質要求についても、第3者機関による審査体制を確
 立すべく検討しているところである。
 
 2.原価計算業務の見直し
  原画計算方式の更なる適正化及び業務の効率化を図るため、当面、以下の方策を
 講じていくこととした。原価計算業務の抜本的な見直しのためには、これらの方策
 を足がかりとして、長期的な検討の継続が必要である。
 
 (1)調本において現行の原価計算制度に標準原価を採用することにより、事務の
   適正化及び合理化が図られることが一部の企業との試行によって判明したこと
   から、平成9年10月から、企業の協力を得て、航空機の定期修理に標準原価
   を導入することに向けて具体的な調整検討に着手した。今後、その他の分野へ
   の拡大を図るためには、CALSの導入が有効であり、中期的課題として、原
   価計算業務支援体制の整備と合わせ検討していくこととする。
    なお、本年2月に公表された「防衛庁調達実施本部の調達業務の改善につい
   て」において記載されている原価計算システムの充実強化策によれば、調達実
   施本部は、企業から提出される資料の信頼性を確保するための違反企業に対す
   るペナルティ規定のあり方、見積資料の審査機能の充実強化を図るための審査
   チェックリストの整備、原価監査におけるシステム監査手法の導入、さらに、
   装備品等の価格に関する各種データの蓄積等について、部外の有識者の参画を
   得て、今後、積極的に検討を実施する予定である。
 (2)ソフトウェア評価方法の確立は、原価計算業務の一層の適正化・効率化のた
   め重要であるが、現存する同評価手法には、いずれも得失があり、完全な手法
   は未だ開発されていない状況である。このため、25省庁参加の「コンピュー
   タ調達専門部会」(総務庁主催)が本年3月打ち出した方針に基づくソフトウ
   ェア評価プログラムを取得して現行の評価法との比較検討を平成11年3月ま
   でに行い、順次、防衛庁としての評価法を確立することとする。
 (3)近年調遠を取り巻く環境は、外国企業との交渉の増加、契約内答の複雑多様
   化等が急速に進んでいることに加え、調達全般にわたる知識と技能を持ったベ
   テラン職員が急減する状況にある。調達実施本部では、これに対応するため、
   会社研修、米国留学及び公認会計士受験講座の受講等を行うなど、一連の人材
   育成策を作成した。今後、各種ハンドブックを作成し、地方調達に携わる職員
   の人材育成にも活用するなど調達関係職員全般の充実を図っていくこととする。
 
 3.調達の平準化
  1会計年度における調達業務を平準化することは、官民双方の業務の効率化に有
 効である。このため、以下の施策を実施した。
 
 (1)調達業務の平準化のため、調達要求件数の各四半期毎の努力目標値(30%、
   30%、30%、10%)を設定し、仕様書の作成、調達要求・処理、標準経
   費率の算定、中途確定契約の確定などの早期化及び事前に原価計算等を開始で
   きる準備要求の適用等を進めることとしており、平成10年度の調達基本計画
   においては、概ね目標値に基づいた計計画が作成されたところである。また、
   標準経費率の策定については、8月時点での処理件数は、7年度までの約40
   %から8,9年度の約80%と策定時期の早期化が図られている。
 
 (2)ライセンス生産にかかるMOU改定手続の迅速化について、MOUリクエス
   ト受領後5か月以内に米側作業を完了し、MOUの改正案を日本側に送付する
   よう努力する旨のいわゆる「5か月原則」のコミットを米国防省から得た。し
   かしながら、これまでのところ、目に見える改善がみられるまでには至ってお
   らず、引き続き、米側に対して早期のMOU改定がなされるよう働きかけてい
   くこととしている。
 
 4.FMSの運用改善
  FMSの運用については、FMSケース終結に要する期間を短縮して業務を効率
 化するとの観点から検討を行い、昨年7月、米国から提案された新しい方式に防衛
 庁としても参加を決定し、運用を開始した。この結果、本年6月頃から同方式によ
 るケースクローズが開始され、これまで約1,000ケースのオープシケースのう
 ち、約300ケースのケースクローズが見込まれている。
  また、FMS価格抑制のため、過去の実績値を示す等により引合受諾書の価格算
 定の正確性を米側算定機関に要請していく枠組みを構築し、平成10年度調達の引
 合書リクエストから開始した。
 
 5.その他
 
 (1)中央調達/地方調達の再検討
  装備品等及び役務の調達実施に関する訓令について、経済効率性を基本とした中
 央調達/地方調達の品目区分の見直しを実施した。その結果、スケールメリットが
 なく、かっ専門的知識を必要としない品目について地方調達へ移行することなどを
 趣旨として、速やかに同訓令の改正を行う予定である。
  なお、地方調達限度額の見直しについては、調達価格の不均衡予防のための調達
 情報をシェアする体制を中長期的に整備する必要があり、同体制の整備を含め、引
 き続き検討することとした。
 
 (2)経費率算定の適正化
  調達調整会議の下に「経費率調整部会」を本年5月に設置し、中央調達機関/地
 方調達機関相互の連絡調整の緊密化を図り、連結決算等の新たな環境に対応できる
 態勢を整備するなど、更なる経費率算定方法の統一等を一層進めることとした。
 
 (3)官給/社給の関係の検討
  装備品等の製造に必要な構成品等の官給/社給の関係について業務の適正化を図
 るため、各自衛隊の主要装備品等を対象として検討した結果、原則、製造請負契約
 に必要なものは「社給」とし、その中にあっても官にしか調達できないもの等一定
 の条件を満たすものは「官給」とするとの各自衛隊共通の判断基準を設定した。今
 後は、この基準を踏まえ、装備品等毎に利害得失を検討の上、構成品等の官給/社
 給の別を決定することとなる。
 


  • 1998年
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