「すべての軍艦船を平和の船に!『おおすみ』を廃船にするためのネットワ−ク」(
谷百合子代表)では、9月17日、北海道庁との交渉を行い、翌18日、この交渉に基
づき、関係資料を添えて質問書を提出し、9月25日までに回答するよう求めていまし
た。
その回答です。
ここから道庁の「誠意」が伺えるものを見つけたいとは思ったのですが・・・
演習費用については、つい口を滑らせてしまったとでも言いたいようです。
知事は国会を国民を代表する機関とのご認識はあるようですが、ご自身もその国民の
お一人であり、しかも道民を代表する立場のお方であるというご認識の方はおありかど
うか。回答文中「国の基本的な政策に関わる」が5回も使われています。
農民へ対する回答も、生傷に塩をすり込む冷酷なものです。防音を施した家屋の住人
は、自然の音からも遮断され、無音の世界で暮らす異常さは耐えきれないものだと話し
ています。
知事は、市民の信頼を失い、政府と軍隊にへつらい、何を得ようとしているのでしょ
うか。
北海道新聞 (10月 20日)によりますと、
米太平洋総軍司令長官のジョセフ・プリューワ大将が十九日午前、知事公館に堀達也知
事を表敬訪問しました。伊藤義郎・道商連会頭(北海道自衛隊協力会連合会会長)の招
きを受けたもので、十九日は桂信雄札幌市長らを表敬訪問。アジア・太平洋・オセアニ
ア地区の陸・海・空軍を統括する太平洋総軍司令長官の来道は一九八二年(昭和五十七
年)以来十六年ぶりとのこと。 同長官は昨年九月の米空母インディペンデンスの小樽
港寄港、陸
上自衛隊矢臼別演習場での米軍実弾射撃訓練などを念頭に「北海道には昨年からお世話
になっている。ご理解に感謝している」として、継続的な受け入れへの期待感を示唆し
、知事は「今回の訓練は事故もなく安どしている」と述べたそうです。
お友達が久しぶりに訪ねて来たのと言うわけです。違うでしょ。
なお今年、海洋調査船サイラス・ベント(9/29-10/3)が函館港に、海洋調査船サム
ナ
ーが、函館港(7/27-7/31)と苫小牧港(8/1)に寄港したとのことです。
【公開質問書回答】
企 総 第 577号
平成10年10月9日
谷 百合子 様
北海道知事 堀達也
公開質問書に対する回答について
1998年9月18日付けでいただいた公開質問書に対し、次のとおり回答します。
記
1、1998年8月17日の回答のなかで、「周辺事態法案」などにかかわって、北海
道知事は「地方公共団体の協力など・・・国からの十分な説明がないことについては危
惧を感じており、・・・」と述べている。それならば、なぜ、北海道知事は、「地方公
共団体の長」として、軍事協力拒否の意志を、すみやかに明快に日本政府に示さないの
か。
「周辺事態安全確保法案」につきましては、地歩公共団体の協力など、地域の住民と暮
らしに直接関わりを持つ面において、国からの十分な説明がないことに危惧しており、
引き続き国に対して十分な情報提供と地方公共団体の意見の尊重を求めて参りたいと考
えておりますが、安全保障については、国の基本的な政策に関わるものであり、法案に
関しましては、国民を代表する国会において、十分な議論が行われるべきものと考えて
います。
2、昨年9月、矢臼別演習所で、アメリカ合衆国軍は単独の実弾射撃演習だけでなく、
日本軍との合同訓練(「対抗訓練」)をおこなった。本年の日本軍の「北方機動特別演
習」と日本軍の矢臼別演習所での演習とアメリカ合衆国軍の矢臼別演習所での演習は連
続しており、日本・アメリカ合衆国軍合同訓練の性格を昨年より、さらに強くもつもの
である。 実弾射撃による騒音ははなはだしく、自然の破壊はすさまじい。日本軍の実
弾射撃演習であろうと、アメリカ合衆国軍の実弾射撃演習であろうと、いっさいの実弾
射撃演習に北海道知事は、「地方公共団体の長」として、抗議・反対すべきではないか
。
北海道知事は、「北方機動特別演習」と矢臼別演習所での実弾射撃演習にかかわる諸
問題の全体をどのように認識しているか。
北方機動特別演習など自衛隊の訓練については、防衛庁設置法に基づいて、国の責任で
行われるものでありますが、道民の生活に関わりがあることから、道民の生活や安全に
責任を有する知事の立場で、これまでも訓練の度毎に、事故防止に万全を期し、地域住
民の生活に不安や支障を与えることのないよう、国に申し入れを行ってきています。
在沖縄米軍の矢臼別演習場での射撃訓練についてでありますが、安全保障に関するこ
とにつきましては、国の基本的な政策に関わるものでありますが、道民生活の安全確保
などのために必要な事項として、国に対し、地元関係町とともに、矢臼別演習場での訓
練の固定化をさけるため、在日米軍基地全体の整理、縮小に向けて国に最大限の努力を
払うことなどについて要請して参りました。
今後とも、粘り強く要請して参りたいと考えております。
3−1
釧路市内をふくむ矢臼別演習所周辺市街地へアメリカ合州国軍兵士の「自由外出」、
「福祉ボランティア」活動という名目の軍事行動にたいし、北海道知事は、アメリカ合
州国軍および日本政府に、反対の意志を明示したか。
(3の関連)
資料(2)にあるように、昨年2月、防衛施設庁と別海町と取り決めた、国からの回
答要旨では、公務以外では職員の同行なくして外出ができないようになっているが、最
近の報道では今月11日釧路市内の繁華街の視察(飲食店やカラオケ店)を視察してい
る。
また、14日の記者会見では、在沖縄米海兵隊の第12海兵連隊第3大隊のデ−ビッ
ト・A・ケリ−中佐も隊員の外出を明言している。15日、矢臼別演習場内の札幌防衛
施設局現地対策本部柴田係官に電話にてこのことを問い合わせてみると「慰安も含めて
地域の文化歴史を学ぶのは訓練のひとつである。」と明言した。
米海兵隊は軍事訓練に来ているのであって慰安目的での外出などもってのほか矢臼別
の沖縄化につながるものであると考えられる。
隊員の外出については、道、地元町からの国に対する規律維持等の要請に対し、防衛
施設庁は「米軍は、訓練部隊の司令官が責任をもって自己の部隊の秩序と規律の維持を
確保し、その際、最高度の規律の維持を確保すると約束するとともに、防衛施設局とし
ても米軍の外出時には、職員が同行するなど、責任をもって対応する。」と回答してい
ることから、ボランティアを含む外出時には、国において責任ある対応をしていただけ
るものと考えております。
3−2
昨年12月から矢臼別演習所の周辺で牧柵設置工事がはじめられたが、その費用は、
いかなる機関がいかなる名目で支出しているのか。牧柵設置の目的はなにか。
牧柵設置工事は、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の受け入れに伴い、地元から
強い要望のあった事業であり、砲撃音により放牧牛が暴走して脱柵したり、道路通行中
の車両等と衝突することを未然に防止するため、札幌防衛施設局の補助事業で実施して
いると聞いております。
3−3
矢臼別演習所の周辺に、農道を横断する軍用道路が建設されているが、その総延長と
建設費はいくらか。
ご質問の道路が特定されておりませんが、そのような目的の道路はございません。
3−4
資料(1)にあるように、「酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金」との名目で、米
軍による矢臼別演習場への実弾射撃訓練移転に伴う「迷惑料」としてヘルパ−利用組合
員への助成金の支給がされたが、「酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金」と米軍によ
る矢臼別演習場への実弾射撃訓練移転に伴う「迷惑料」の関連がまったく無く、なぜこ
の様な助成金がでるのか。また同じ農家どうしで隣はヘルパ−組合に加入していないの
で交付されない矛盾がある。またこの様な「酪農ヘルパ−利用促進対策事業助成金」が
全道、あるいは全国的に交付されているのか伺いたい。
札幌防衛施設局に照会したところ、矢臼別演習場周辺の自治体が行っているようである
と承知しており、同局が知る立場にないとの回答がありました。
3−5
昨年は登下校には各家庭の庭先までのスク−ルバスでの送迎だったのが安全性が確認
されたとして取りやめになったが、地元PTAの何度もの交渉で1路線のみ復活。しか
しながら、何を根拠に安全性を確認したのか不明。また、矢臼別演習場に戦車や大砲を
運び込んだ大型トレ−ラ−(車幅3.2メ−トル)は幅員6メ−トルの周辺道路(町道
)を迂回して走るのは非常に危険である。即刻走行を中止して頂きたい。
別海町においては、地元PTAからの要請もあり、交通安全を図る観点から、演習場
の廠舎付近を運航する部活動用バスを1便増便したと聞いております。
また、児童・生徒の登下校時の安全確認や父母の不安を和らげるために、職員の巡回
も併せて行っていると聞いております。道としては、地元の判断を尊重して参りたいと
考えております。
4、昨年につづき本年も、アメリカ合州国海兵隊員および兵器・車両の輸送に釧路空港
や花咲港などの民間港が使われた。北海道知事は、アメリカ合州国軍の軍事演習のため
の民間港・民間空港使用常習化に抗議したか。
昨日(9月17日)、矢臼別演習場でのアメリカ合州国軍は実弾砲撃演習を開始し、
初日から夜間砲撃演習をおこなった。アメリカ合州国軍の北海道における軍事演習の規
模拡大、固定化を北海道知事は、どのように阻止するのか。
米軍による我が国の空港・港湾の利用については、日米安全保障条約並びに日米地位
協定に基づいて対応されるものであり、基本的には空港・港湾の管理者の判断が尊重さ
れるべきものと考えております。
在沖縄米軍の実弾射撃訓練の実施にあたり、道としてはこれまでも、矢臼別演習場で
の射撃訓練が将来にわたって固定化されないよう、在日米軍基地全体の整理、縮小に向
けて国において、最大限の努力を払うことについて、国に対して申し入れを行ってきて
います。
今後とも、平和を求める道民の思いを基本に、粘り強く国に要請して参りたいと考え
ています。
5、矢臼別演習所附近の農家が、離農せざるをえなくされたことにかんして、北海道知
事は、8月17日の回答のなかで、「移転措置につきましては、農家の希望を聞いた上
で実施しているものと承知しております」と述べているが、これは、実弾射撃演習の被
害のおおきさと日本政府および北海道庁の農政失敗の事実をおおいかくす説明ではない
か。
移転措置につきましては、地元からの強い要望に基づき、国において行っている騒音
対策の一つであり、農家の希望を聞いた上で実施しているものと承知しております。
なお、別海町においては、移転希望者で農業の継続を希望する農家へは農地の相談に
応ずることとしておりますが、先般、移転の合意を見ました移転希望農家のなかに農業
の継続を希望する農家が、現時点では、いないものと聞いております。
6、「北方機動特別演習に要する経費とされていた3億4千6百万円は、具体的にどの
ように使用されたのか」という質問にたいし、8月17日に、北海道知事がわたしたち
におこなった回答の全文は、「北部方面総監部に照会したところ、「北部方面総監部に
おいても承知していない。」旨の回答がありました」という無内容・無責任なものであ
る。
わたしたちは、北部方面総監部への問い合わせを、北海道知事に依頼したのではない
。文官である北海道知事は、軍官の秘密主義に追随することなく、「地方公共団体の長
」としてなすべき調査を周到におこなって、回答していただきたい。
防衛施設局に再度照会しましたが、「防衛施設局としても知る立場にない。」との回
答がありました。
7、沖縄県知事を団長とする「米軍基地問題の解決を求める訪米団」は、本年5月に7
回目の「訪米」をおこない、その行動内容を沖縄県の「広報」などで県民に伝えた。
また、沖縄県総務部知事公室のなかにおかれている基地対策室は、統計資料集「沖縄
の米軍及び自衛隊基地」などを発行し、沖縄におけるアメリカ合州国軍と日本軍の実体
を広く伝達している。
@、北海道知事は、アメリカ合衆国軍が北海道の大地を、軍事演習に使い、北海道内
にアメリカ合州国軍の基地を設営することのないよう、アメリカ合州国の政府及び関係
諸機関に、「地方自治体の長」として、直接、積極的に働きかける用意はあるか。
A、北海道知事は、基地対策室を設置する意志はあるか。北海道におけるアメリカ合
州国軍と日本軍の実態を伝達する冊子を作成し、広く住民に配布する用意はあるか。
@ 在日米軍基地などの安全保障に関することにつきましては、国の基本的な政策に関
わることでありますが、今後とも、矢臼別演習場での訓練の固定化を避けるため、在日
米軍基地全体の整理縮小に向けて国において最大限の努力を行うことなどを要請して参
りたと考えております。
A ご提言の新たな組織の設置につきましては、現在、道では簡素で効率的な執行体制
を確立するため、平成14年度までの5か年において、知事部局の職員数の5%の削減
を目標に職員数適正化計画を推進中であることから、大変厳しいものと考えております
。
また、冊子の作成についてでありますが、安全保障や国防については、国の基本的な
政策にかかわることであり、国の責任で行われるべきものでありますので、基本的には
国において情報の提供を行うべきものと考えております。
8、総じて、北海道知事は、北海道からいっさいの軍事基地を撤去する努力を、こんご
具体的にどのように行っていくのか。そのためのアクションプログラムを提示していた
だきたい。
安全保障は国の基本的な政策にかかわることでありますが、道民の皆さんの不安や懸
念を招くような事態に際しては、その都度、必要な対応を行って参りました。
今後も、道民の暮らしと安全に責任を持つ立場で、必要な対応をして参りたいと考え
ております。
3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月