米軍厚木基地に隣接した民間焼却炉の排煙問題に関していくつかの報道がありました
。出典はasahi.comなどですが、記事はすでに削除されていますので一部引用します
。
http://iij.asahi.com/
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9月19日:米軍厚木基地隣りの焼却炉、排煙抑制を閣議で了解
18日の閣議で、米軍厚木基地に隣接する民間産業廃棄物処理施設の排煙問題につ
いて、排煙をこれ以上増やさないようにする契約を業者との間で結ぶなどの対策をと
ることを報告し、了解された。(中略)政府は「厚木基地のより安定的な使用を確保
する」として、関係省庁が大気環境の保全に取り組むことを決めた。
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ダイオキシン対策では欧米より10年は遅れている(汚染も10倍は高い)と言わ
れる日本ですが、在日米軍基地に対しては、関係省庁が連携して対処するという。
参考:93年 厚生省資料
ゴミ焼却率 日本74%、 独25%、米16%、加5%
焼却施設 日本1854、独53、 米148、加17
これは一般ゴミ焼却炉で、この他に1万基以上の簡易型産廃焼却施設が日本にはあ
る。厚生省の打ち出したダイオキシン対策は欧米諸国の対策とは逆に、大型の一般ゴ
ミ焼却炉を全国各地に新設するという内容。
久間(元防衛庁長官)は「多数の利益のために、少数の反対があっても押しつけざ
るを得ないことはある。それは、間接民主制だからこそ可能だ。例えば、ごみ処理場
をすべて住民投票で決めたら、どこにも造れなくなる」と言ったそうだが、こんな奴
でも大臣になれる「国」だからな〜。
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9月30日:厚木基地周辺の排煙、ダイオキシンが大幅に指針値超す
(前略)米軍の調査によって大気中のダイオキシンが日本の指針値を大幅に上回った
上、日本の測定値と10倍以上の開きがあることが29日、わかった。米軍側は神奈
川県や政府に、業者の操業を事実上取り消すよう迫っていた。(中略)日本の測定方
法や改修を決めた政府などの対応に問題を投げかけそうだ。
赤外線監視カメラを使った米軍の最近の調査によると、今年3月24日から6月2
0日までに、1日あたりで255トンほどの産廃を運び込んだこともわかったという
。この業者は日量30トンの許可を持つが、許可の8倍以上の量だと指摘した。
米政府は調査結果をもとに、昨年と今年の8月に、日本政府などに(1)産廃業者
に対する許可の更新見合わせ(取り消し)(2)取り消しができない場合には、夜間
、休日の操業の禁止や違法操業への指導命令(3)違法業者の操業停止、などを求め
ていたという。
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安保の取り消し、それができない場合には、夜間・休日訓練の禁止、基地の使用停
止などを求めるべきではないかい?
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10月1日:環境庁、厚木基地隣の産廃施設を共同調査へ
(前略)米軍の産廃施設への不信感が強く、政府は、ダイオキシンなど排煙問題の解
決を求められ、国費で産廃の改修費を持つことを決めるなどの対策を打ち出している
が、その効果があったかどうかも含め、ダイオキシンなどの調査を長期的に行うこと
にした。
環境庁は1994年と96年に計3回測定、ダイオキシンは2.4―0.8ピコグ
ラムだったのに対し、米軍の測定値は303.4―106.7ピコグラムと、大きな
違いがあった。
同庁が米軍のデータを調べたところ、幾種類ものダイオキシン類を、最も毒性の強
いダイオキシンに換算する方法を採用しておらず、それぞれのダイオキシンを一律に
合計した数値を単純に割ってはじき出したらしいことがわかった。
(中略)
共同調査は、それをもとに今年から毎年、1回から数回程度調べる。ダイオキシン
だけでなく、二酸化窒素、二酸化硫黄などの物質も測定する予定だ。
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注:ダイオキシンは塩素の数と結合する位置によって75種類あり、一番毒性の強
い2,3,7,8ー四塩化ダイオキシンの毒性に換算した値で濃度や量をあらわすの
が一般的(TEQ:毒性等価量)。例えば8塩化ダイオキシンの毒性は2,3,7,
8ー四塩化ダイオキシンの千分の一(TEF:毒性等価係数)。したがって、単に合
計しても意味がない。しかし、いくら何でもこれを知らないわけはないから、日本も
なめられているもんだ。まあ、人工衛星打ち上げを弾道ミサイル実験と言ってTMD
に引き込むんだから常習犯ではあるが。
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10月2日:神奈川県が厚木基地隣接の民間産廃処分場に3倍増を許可
(前略)神奈川県はこの業者が出していたごみ焼却量を3倍に増やす申請を許可して
いたことが1日、明らかになった。米軍の強い苦情から国費で施設を改修するとした
閣議決定を受けた措置だという。(中略)
この業者は昨年2月、「ダイオキシンの発生量が減らせる」との理由で24時間操
業の届け出をし、同6月に焼却量を日量30トンから90トンに増やす許可申請を出
していた。しかし、米軍側が「環境破壊がさらに拡大する」として、許可しないよう
県に申し入れたため、県は取り扱いを保留していた。
(後略)
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これに関しては、9月26日付けの星条旗新聞(オンライン版)に記事がありまし
た(すでに削除されていますが)。
http://www.pstripes.com/edsa.html
Saturday, September 26, 1998
Japan agrees to clear air near Atsugi base
BY ADAM JOHNSTON Stripes Tokyo Bureau
TOKYO - The Japanese government will clear the air following an
eight-year
dispute between the U.S. Navy and a privately owned incinerator company,
officials confirmed Thursday.
(中略)
As part of the deal, Japanese defense officials also said Jinkanpo
will be
allowed to burn three times the amount of industrial waste it does
now.
(中略)
Japanese environmental agencies say the incinerator operates within
local
environmental laws.
The approval of government-funded upgrades to the privately owned
incinerator are a result of high-level talks between the U.S. Defense
Department and Japan's Ministry of Foreign Affairs, according to Toshiaki
Nakano, a defense agency official.
(後略)
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ダイオキシン問題については多くの書籍が出版されていますが、最近以下の本が出
版されました。米軍基地以外のところでの現状がよくわかります。
『「ゴミ焼却」が赤ちゃんを殺すとき
しのびよるダイオキシン汚染をどうくい止めるか』
「止めよう!ダイオキシン汚染」埼玉実行委員会・編
合同出版 1998年9月30日 本体1400円
ISBN4-7726-0227-5
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MARUYAMA K. kaymaru@jca.ax.apc.org
2GO GREEN
http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html
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