X-Sender: mshmkw@tama.or.jp (Unverified)
Mime-Version: 1.0
Date: Mon, 7 Sep 1998 10:04:33 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 617] [aml]周辺事態法に関する質問状に、京都市は回答拒否
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 617
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org
 

   (from 『オルタナティブ運動情報メーリングリスト』 改行位置等若干変更)
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 Date: Mon, 07 Sep 1998 01:11:51 +0900
 From: Takeshi Higuchi <higuchi@cheme.kyoto-u.ac.jp>
 Subject: [aml 9480] 周辺事態法に関する質問状に、京都市は回答拒否
 

京都の樋口です。こんにちは。

先日京都市に提出した周辺事態法に関する質問状(ref.[aml9315])に関して、
去る3日、京都市から電話での「回答」がありました。

  ◆質問項目◆
  一、周辺事態法案では戦後、一貫して憲法違反とされてきた
  自衛隊の海外での戦争参加が可能になろうとしています。
  このことについて京都市としての見解をお聞かせください。

  一、周辺事態法案では自衛隊の参戦、自治体への協力要請を含む
  軍事作戦の決定が、国会での承認を必要とせず、
  閣議という極少数の者の手によって行われることになります。
  このことについて京都市としての見解をお聞かせください。

  一、同法案のなかの自治体への協力要請について、
  政府が「一般的な義務規定」「拒否すれば違法状態」等と
  見解を表明していることについて、京都市としての見解をお聞かせください。

  一、京都市としては具体的に政府からどのような協力要請が
  くることを想定していますか。

  一、同法案には協力要請の具体的な内容についての規定はなく、
  内閣の作戦計画にしたがってあらゆる種類の協力要請を行うことが
  可能になろうとしています。例えば前述したような道路や公園などの
  公共施設の提供要請、病院施設および医療従事者の動員、
  自治体職員が動員、自治体予算の支出。これらの協力要請が
  市民に与える影響についてどのようにお考えですか。

  一、同法案に基づく協力要請が実際に政府からなされた場合、
  具体的にどのように対応するつもりですか。

  一、新聞報道等によれば防衛庁職員が各市町村に対して直接、
  説明にまわっていると聞きますが、これまでに京都市に対して
  政府からなんらかの説明や意見聴取、関係文書の送付等はなされていますか。
  あればその内容を公開してください。

  一、市民の安全な生活を脅かし、また地方行政に政府が一方的に介入しようとする
  周辺事態法案に対して、自治体自身が市民の安全を守るとの立場に立って
  反対の意思を示し、政府に働きかけを行っていく必要があると考えます。
   そして今こそ自治体自身が再びアジア太平洋地域の民衆を虐殺してはならな
いとの
  立場にたち、この法案に基づいて行われようとしている軍事行動の意味そのものを
  問うていく必要があると考えます。
   京都市としてこれまで政府になんらかの働きかけを行った事実はありますか。
  あればその内容を公開してください。
   また、ないのであれば今後どのような働きかけをおこなうのか、
  今後の方針を示してください。

電話してきたのは総合企画局市長公室政策調整課の担当係長で、
○ 周辺事態法案そのものへのコメントは差し控える。
○ 国の専関事項なので京都市としては個別具体の質問には答えられない。
○ 6月に防衛庁職員が総務局に来たが、資料を置いていっただけで説明はなかった。
というようなことを口頭で伝えただけでした。

質問状提出時に「文書」での回答を求めることをはっきり伝えており、
新聞にもそのように報道されているので、
文書回答拒否の理由を示すことを求めるとともに再度文書での回答を要求しましたが、
担当係長は「電話でも理解してもらえる、大丈夫だ」と言い張るのみでした。

実はこのような事態が想定されては困るからと質問状提出時に
「回答できないならばその理由も文書で示して欲しい」と伝えてありました。
市側も「質問項目に直接回答できるかどうかは検討してみないと分からないが、
握り潰すようなことはしない」といい、万が一回答拒否の場合も
(文書でとは明言しなかったが)その旨きちんと説明するといっていたので、
もう少しまともな対応をしてくれると思っていたのですが‥‥甘かったですかね。

仕方がないのでこちらから「国のことなので京都市としては何もしない
ということで理解していいか」ときくと、担当係長は「いやいや‥‥」と言い出し、
こちらが「やはり理解できない」というと、
「ならば(回答文書を)ゆっくり言うので書き取ってくれ」と言って
電話越しに文書を読み上げました。

  ◆電話で読み上げられた「回答」◆
  「我が国の安全保障に関することは国の専関事項であり、本市としては
  先日も申し上げたとおり、国権の最高機関である国会において国政上、
  外交上のさまざまな条件や課題を考慮する中で十分な審理が尽くされ、
  適切な対応が講じられるよう、引き続き見守っていく考えであり、
  この法案に関する個別具体の見解を問われても、いま申し上げた以上の
  コメントはできない。以上」

「その文書をなぜ渡してくれないのか」と追及すると、担当係長は
「口頭で誠意を持って回答している」とか「回答方法はこちらが決めること」
「文書で回答する状況にないというのが京都市の判断」
「議会での回答も口頭だ(※何じゃこりゃ)」などと繰り返すのみで、
あくまでも文書での回答(及び回答拒否理由明示)を拒否しました。

仕方がないのでとりあえず「文書で回答されなかったことは納得できない。
このような電話があった事実は事実として承る」と告げて電話を切りました。

‥‥事実経過は以上です。

安全保障問題を国の専関事項として触れようとしないのは一自治体としての
限界を示していると見ることもできますが、周辺事態法は自治体・民間動員を
明らかに謳っており、京都市といえども明らかな当事者性を持つことになります。
それなのに何らの見解も示そうとしないのは無責任極まりない態度であると
いわざるを得ません。電話での「回答」を見る限りでも政府・国会に一切の
判断を委ね、そこでいかなる決定がされようとも「従わざるを得ない」ものとして
無批判に受け入れてしまうことは目に見えています。
そして質問状でも触れたようにその矛盾は住民への負担・犠牲となって
押し付けられていこうとしています。京都市の態度には法案が住民に及ぼす
影響についてまったく顧みられておらず、この点に限ってみても到底容認できる
ものではありません。

詳細は未定ですが、今後は京都市に対して再度質問書の内容に回答することを
要求していく予定です。

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樋口健志 (HIGUCHI, Takeshi)
E-mail: higuchi@cheme.kyoto-u.ac.jp
URL: http://www.cheme.kyoto-u.ac.jp/6koza/higuchi/
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