亀山統一です。本格的な議論になってきましたね。建設的でよいと思うのですが、ML
の多くの皆さんの意見を聞いてみたいです。
比嘉さんの意見は、はなはだ筋の通った主張だと思いますし、僕も共産党にはその
ような役割を期待しています。
しかし、今回の提起は、「どんな政権でもいいから政権与党になるために、基本方
針を変える」と言うことではないことに私は注目しています。
以下、共産党のホームページからの引用です。**************
日本共産党は、不況打開、消費税減税など緊急の諸課題とともに、安保条約の廃棄
、大企業中心主義からの根本的な転換など、国政革新の方針とそれを実現する民主連
合政府の樹立への展望を大きく打ち出して、日本共産党の国政革新の路線への支持を
国民に訴えてたたかいます。
同時に、日本共産党が、二十一世紀の早い時期の民主的政権という長期的、根本的
な政権目標をめざしてねばりづよく奮闘するだけでなく、選挙後の現時点の政局につ
いても、現実に可能な野党の共闘によって、これを前向きに打開する用意があること
を、公然と明らかにして、国民の理解を求めます。
(中略)
とくに、この選挙戦をへて、新しい国会が生まれたとき、自民党が衆議院でも過半
数を失うという結果が生まれれば、そのときこそ、野党間での政権協議がほんとうに
現実の問題になってきます。
どういう政策を暫定政権の柱にするか、ということも、そのときの情勢、なかんず
く選挙にしめされた国民の審判の結果に大きくかかってくるでしょう。
(中略)
私たちはこういう展望をもっていますが、いまの時点でいえば、消費税減税を中心
に、私たちがことしの春発表した「深刻な不況から国民生活をまもる緊急要求」など
は、協議のさいに私たちの側から提案するたたき台になりうると思っています。また
、金融問題で、国民の税金の不当な投入をやめさせる問題も、当然、大きな柱になっ
てきます。
**************引用ここまで
共産党は、安保条約の取扱いについて、下記のように言っています。
以下引用******************
安保条約廃棄の立場をとっている政党はわが党だけですから、いまの状況下で他党
と連合する政権を問題にする以上、それは、民主連合政府とはちがって、安保廃棄論
者と安保維持・堅持論者のあいだの連合政権ということになります。この意見のちが
いへの対応策は、七六年、八九年の提唱のときにものべたように、政権としては、「
安保条約などの問題での立場や見解の相違は留保」する、ということ以外にありません。
安保条約の問題を留保するということは、暫定政権としては、安保条約にかかわる
問題は「凍結」する、ということです。つまり安保問題については、
(イ)現在成立している条約と法律の範囲内で対応する、
(ロ)現状からの改悪はやらない、
(ハ)政権として廃棄をめざす措置をとらない、
こういう態度をとるということです。
もちろん、安保廃棄の立場に立つ政党が、政党として安保条約の廃棄をめざす主張
や運動をやる、あるいは安保賛成の立場の党がその立場での主張、運動をやる、これ
らのことは、政党としてのそれぞれの権利に属する問題です。しかし、政権そのもの
は安保賛成の党派と安保廃棄の党派の連合政権ですから、政権としては「凍結」した
対応をする、という意味です。
いま問題になっているガイドラインは、既定の条約にも法律にもなっておらず、改
悪の作業が進行中で関連立法が国会に提出されている問題ですから、当然、「凍結」
の対象にはいります。また、これは、問題の性質上、かりにこれから自民党政権のも
とで強行成立させられるようなことがあったとしても、暫定政権のもとで、そのまま
既成事実扱いするわけにはゆかないものです。
*************以上
つまり、共産党は
(1)次の総選挙でも安保廃棄を政策に掲げて、選挙を行う
(2)その結果、安保廃棄とか、地位協定の抜本改定などの政策を掲げる政党や無所属
候補者が多数を占めれば、その勢力で政権を作って、その公約を実施する。
(3)しかし、現実問題としてそのようなことは、次の選挙では直ちに実現しない可能
性が高い。しかし、消費税や、大銀行などへの税金投入、大規模開発中心の不況対策
など、切迫した国民要求で、自民党政治を大きく転換する勢力が参議院に続いて衆議
院でも多数になる可能性がある。
(4)そのときは、共産党の政策をすべて飲んでくれる政権でなければ協力しないので
はなく、共産党の政策のうち、各党が合意できるものだけでも政策協定を結んで、こ
れを実現する政府を作る。
(5)そのような政権が実現したら、政策協定を厳格に実現させ、その成果と、次に何
を行うのか(当然安保の課題が入ってくることになる)についての各党の政策を示し
て、国民に信を問う新たな選挙に望む。
こういうことであると、理解しています。
比嘉さんは「代議制の限界」と言ってほうかむりすることにならないか、と懸念さ
れていますが、共産党の主張が幾ら「正しい」ものでも、議会で多数にならなければ
、議会制度の下でそれを制度化することはできません。逆に、その「正しい」主張の
うちのいくつかが、国会で実現できるときは、そのために全力を挙げることが必要で
はないでしょうか。
安保は国政の根幹に関わる重要課題ですが、条約そのものの廃棄を主張し続けるた
めに、安保体制の所産である消費税や公共事業や銀行への税金投入を阻止できなかっ
たとしたら、安保に風穴を開ける絶好の機会(これは国民から負託された機会です)
を共産党の責任で失わせてしまうことになってしまいます。
このような政権構想が、細川政権や村山政権とどこが違うかは、引用した部分の後
に、いかにも共産党らしい詳しさで全面展開されています。
ちなみに、今日の確か沖縄タイムスの2面でも、共産党の赤嶺県委員長の話として
、基地撤去、安保廃棄の運動に全力を挙げることに変更はない、という趣旨のコメン
トが載っていました。
なお、シマブクさんは、共産党の会派には入っていませんから、今回の方針に拘束
されていません。
上原@爺さんが、「亀山さんが名護ヘリ基地反対で、熱心に活動されていたと聞い
ているだけに、そういう人たちが、急に「安保破棄棚上げ論」を展開されるのを見聞
きすると、情けない思いに駆られる。」といわれておりますが、私は社民党の二番せ
んじになったつもりはありません。
海上基地や私の地元、浦添への軍港移設に反対する取り組み、そして、沖縄からは
もちろん日本全土から軍事基地を撤去させること、日本の政府に核兵器の廃絶を主張
させることを、科学者として主権者としての良心をかけて、続けていきます。
しかし、日本の戦後政治の根本的な誤りを一部でも転換できる政府ができるとする
ならば、その課題が、沖縄の基地問題ではなかったとしても、私はその政府の実現を
支持します。
この両者は、少なくとも今回の共産党の政権構想に関する限り矛盾するものではな
いものと考えています。
それにしても、比嘉さんの言われるように、僕も、共産党員や支持者の声を聞いて
みたいですね。今後も話題提供をお願いします。仲田さんも何か言って下さい。
> その時に、もうしわけないけど、沖縄にはこれからもがまんしてもらお
> うということになったら、どうなるんでしょう。これは考えすぎ?
>
> もののついでですから、思ってることを全部言ってしまいますが、
> その時には、本格的に、日本全体で、安保の犠牲を負担してもらいたいです。
最後に、比嘉さんの以上の論旨なのですが、これは、大田知事の安保の負担平等論に
つながりかねない危険をもつ主張だと思います。そういう趣旨で言っているのでない
ことは分かりますが。
やはり、沖縄で矛盾を起こしているものは、日本全体から出ていってもらう。本土
の世論が安保に対して鈍感であるからと言って、「だったら、あなたのところに基地
を作りなさい」と言う、傷つけ合いはするべきではない、というのが、私の基本的な
考え方なのですが如何でしょうか。小渕にむかって、「だったら、群馬に基地をつく
って見ろ」、と言うなら良いのですが、国民一般を敵と同列にしてしまう、物言いは
避けてほしいと思います。
ついでに言うと、海兵隊をグアムに移転させろというのも、米本国であるハワイと
違ってグアムが米国の統治下にあることを考えると、沖縄の痛みを忘れた議論だと思
うんです。
----------------------------------------------
亀山 統一 kameyama@agr.u-ryukyu.ac.jp
琉球大学農学部生産環境学科 (森林保護学研究室)
903-0213沖縄県西原町千原1 電話/Fax.098-895-8794
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kameyama/
3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月