7月14日に秋田県秋田市内の某小学校PTAでは、自衛隊駐屯地の見学を研修の一
環として行い、50人の募集に48名が参加。
これにたいして、秋田市平和委員会では、米軍の言いなりの自衛隊、有事立法をすす
める「ひとづくり」に協力するものだとして、秋田市内学校長に申し入れを行いました
。
PTAでは、毎年の行事で、見学コ−スもそこをついてきたため自衛隊駐屯地を見学
コ−スのひとつに入れただけで他意はないということですが、今回選任されたPTA会
長は、県のPTAを代表する立場にもあることや、自衛隊となんらかの形で接触できる
人であること、また役員の削減や三役を任命制にするなど、非民主的とも受け取られる
PTA運営をすすめていることを考えあわせると、そんなに単純な動機だけではないか
も知れません。
一部の保護者は、この企画を他校にも広めることで、自衛隊を容認する実績づくりと
なり、ひいては海外派兵を、教師・保護者が率先して容認してしまうことにもつながる
のではないかと警戒しています。
教職員組合の話では、学校関係者による自衛隊の見学などの例は今までないようです
。 以下、申し入れ書
1998年 月 日
秋田市平和委員会
会長 風間幸蔵
学校長 様
教育基本法にもとづく平和・民主教育についての要望
「教育憲法」ともいわれる教育基本法は、前文で「さきに、日本国憲法を確定し、民
主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示
した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」「真理と平和
を希求する人間の育成を期する」とのべ、第1条で「平和的な国家及び社会の形成者と
して」の育成が「教育の目的」であることを鮮明にしています。
これは教育勅語を中心とした戦前の軍国主義教育の反省にたち、「政府の行為によっ
て再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」した日本国憲法を教育の
基本にすえたものです。そして憲法は第9条で「戦争の放棄・軍備及び交戦権の否認」
を明文で規定し、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記しています。
したがって学校教育、とりわけ義務教育で、日本国憲法や教育基本法が尊守されなけ
ればならないことは、あらためて指摘するまでもないことです。
「教え子を戦場に送らない」という第二次大戦後の日本のすべての教育者に共通した
誓いは、この精神を表現したものでしょう。
しかし最近、秋田市内の学校教育とその周辺で、憲法と教育基本法の精神が忘れられ
、それと逆行する行事などが見られることをわたしたちは憂慮しています。
たとえば、去る七月中旬、市内のある小学校のPTA研修企画部が児童の父母を対象
に自衛隊秋田駐屯地の見学を行ないました。わたしたちは、このような風潮が当たり前
のこととして広がることを危惧いたします。父母と教師の組織であるPTAの諸行事も
、憲法と教育基本法の精神にもとづいて企画されなければならないことは当然だからで
す。
今日、児童・生徒にかかわる事件が深刻な社会問題になっているだけに、憲法と教育
基本法にもとづく学校と父母、地域の協力・共同が求められています。
つきましては、あらためて学校教育の隅々に教育基本法にもとづく平和的・民主的な
教育が貫かれることを要望するものです。
3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月