秋田県五城目町に持ち上がった、自衛隊の射撃場誘致の問題は、誘致にもろてをあげ
て賛成する町当局と、反対する議会が、真っ向から対立したまま、自衛隊が戸惑ってい
るという状況です。誘致予定地の中村地区でも、役員が強引に誘致の要望書を出したた
め、賛否が二分しています。
町内会では、事態収拾のため、7月2日、陸上自衛隊秋田駐屯地の管理課長を招き、
報告会を開きましたが、町の誘致の根拠である「メリット」がほとんど見込み違いであ
ることが分かり、なおさら住民の反発が強まり、今回の説明会で賛成と解されるのは困
ると騒然とする場面もあり、今回は説明を求めただけで、あとでゆっくり話し合おうと
ようやく収まったということです。
自衛隊がくれば簡易水道が整備され、水洗トイレも可能になるのではということでし
たが、自衛隊では演習の際、使う水は自衛隊が運んでくるので地元も水を使うことはな
いからその必要はないとのこと。また道路の整備については、公共の道路を使うのだか
ら、壊れれば修理するだけ。補助金は、町内会におりるのではなく、町におりるけれど
も、山林は宅地と違い、そんなに大きな額にはならないらしいとのことで、町に対する
不信感が逆に増す結果になりました。
また、議会では、自衛隊駐屯地に続いて、防衛施設庁へも反対の要望書を出したため
、施設庁から、議会や秋田駐屯地へ問い合わせがくるなど、住民とのトラブルをさけた
い自衛隊としても、今回の五城目町は断念したいふうにも受け取られる対応との見方は
出てきています。もし断念する場合は、町、特に誘致に積極的だった町長の顔をどう立
てるかも考えなければならないかもしれません。立てるほどの顔でもないと思うのです
が、町長の人気は、その男ぶりと話上手で持っているんだそうです。だから、今回は町
長の借金の返済が迫っていて少々強引に話を進めたために、反発を買ったけれども、情
に訴えて出ていればもしかしたらすんなり町民は受け入れたであろうとも言えます。
自衛隊が新たな射撃場確保を望んでいるのは確かです。現射撃場では、近くにできた
病院が気になって、十分な訓練ができないうえ、来春開設する大学の学生が近くをうろ
ついて事故でも起きたら、射撃訓練自体ができなくなることも起きかねず、とりあえず
現射撃場へド−ムの設置を要望しているとのことです。そのため、五城目町の他に、数
ヶ所の町村の候補地もあげられているという話も伝わっており、今回の五城目のなりゆ
きを教訓に、今度はかなり用意周到に話を進めるでしょうし、同町の候補地は好条件な
場所ですので、外堀がさめたころ、また打ち出す可能性も否定できず、監視のエリアが
広まったわけです。しかし直接生活と密着した問題と受け取っている住民が少ないよう
ですでの、その監視をどうするかということになってきます。
同時進行していた産業廃棄物処分場設置問題は、19日、町の有力者を中心に、70
名程が集まり、「五城目町の水と自然を守る会」が正式に発足し、処分場への反対運動
を粘り強く進める決意表明をしました。議会でも積極的に産廃について住民への周知を
行っていくとのことです。業者は法改正の前にともくろんでいた手筈が整わなかったた
め、いったん事前指導申請書を撤回し、仕切り直しするつもりのようです。地権者への
同意書は取り付けていますが、取り付けた際の実態は把握できていません。発足時の講
演会で、産廃問題に詳しい弁護士から、法改正がされたといっても、法的に許可されて
から食い止めるのは難しいのは同じ、助走の段階での運動が正念場であることを指摘さ
れ、また現在産廃で苦しんでいる能代市の現場から、スライドで産廃場の汚染の現状や
、ずさんな管理と、行政の姑息な指導内容の実態が報告され、参加者の間から、町の姿
勢はなまぬるいとの声もあがりました。
秋田県では、従来どおり住民の同意を堅持する方針を明らかにしていますが、企業が
住民の同意に関してあからさまに不快感を示すようになり、マスコミもそれに同調する
方向で論評する姿勢を見せているようにみえるのが気になっています。この風潮が先日
の某長官によるという「愚衆政治」発言の背景にも何らの影響を与えているのでははな
いかと思っています。
農林業が衰退したために地元に土地を手放したいと思っている人たちがいるのは事実
です。需要と供給があるから、施設はつくられていきます。でも供給が本意で提供され
るものでないことをわかってもらいたいと思っています。
3月、4月、5月、6月、7月、