Date: Sat, 27 Jun 1998 01:15:23 +0900
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Subject: [keystone 380] from FACTIVE > パキスタン核実験報道98/05/31
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*- FACTIVE  MES( 8):●分科会 戦争 平和 基地問題 02
*953   SDI00872  山崎 久隆        核実験>パキスタン核実験報道98/05/31
( 8)   98/06/23 17:14  907へのコメント

●国連の安保理が緊急非公式会合を開き、ここで日本が「核不拡散体制の堅持」など
を柱とする安保理決議案をスウェーデン、コスタリカと共同で提案したとのこと。安
保理議長のマフグ国連大使(ケニア)は声明を発表、安保理としても今回の核実験に、
強い遺憾の意を示し、南アジア地域での核軍拡競争のエスカレートに懸念を強めてい
ると表明。

●アラブ首長国連邦(UAE)外務省が、パキスタンは自国の安全保障と利益を確保
するため核実験を実施する「権利」がある。インド、パキスタン両国に対し、緊張緩
和のため対話を再開するよう呼び掛けるとの声明を発表。複雑な中東情勢を反映。
 
●さてパキスタンは都合何回の実験を行ったのか。発表する者、機関によって異なる
回数に政治的な意図を見る向きも。政府発表では合計回数は「6回」なんですが、2
8日の実験直後は報道機関の多くはパキスタン政府当局者の話として、2ないし3個
の装置を爆発させたと報道しましたが、首相は5個だったと発表。共同はイスラマバ
ードの軍事筋の話として、同時に5つの爆発実験を行うのはデータ収集の面で不利、
外国の観測機関も2、3発程度の震動しか観測しなかったなどから「5つ」という発
表を疑問視していると報道しており、アメリカNBCテレビは、準備した5つのうち
3つは起爆部分の不具合などから爆発が起きなかったようだ、と報じたとのこと。3
0日も当初は「2個」との情報が流れ、一部地元紙は「さらに2つの核実験」との見
出しで号外を発行していましたが公式発表は「1個」でした。インドはこれまでの実
験の累計が6個であることから、パキスタンも「インドに追いつけ」といった国内世
論にあわせて発表しているという見方が出ています。
 
●その実験の意味と核兵器の規模について実験チーム責任者のサマル・ムバラク博士
が会見に応じてこう述べているそうです。「特定の攻撃目標を正確に破壊できる効果
的な核兵器の開発のためには、非常に重要な実験だった」。爆発規模を14〜15キ
ロトンと説明したうえで「これ以上の実験を進める計画はない。核兵器は規模が大き
ければ良いというものではない。小さければ、ミサイルや小さな航空機でも運搬でき
る。大規模な核兵器は、わが国自身に被害を及ぼしかねない。われわれはすでに水爆
を製造する能力も持っている。」
 
●パキスタン大使館前では市民団体や個人が抗議行動に訪れています。「パキスタン
だけを責めるつもりはないが、実験を見過ごすわけにはいかない。核兵器に対する世
界の認識が甘いのではないか」と市民の声。
 
●インドで核実験支持の声が減ったというニュースも。ん、しかしそんなに劇的なも
のではありません。タイムズ・オブ・インディアが主要8都市の2177人に対して
行った調査。核実験「支持する」は81%、実験直後のが91%だったからここで1
0ポイント減少。核実験のあとインドの安全保障は「改善された」が69%、「悪化
した」が16%こちらは根強い核抑止論への期待感。外国からの経済制裁の影響につ
いて「厳しいものになる」が29%、「ゆるやか」が45%。また「中国はインドの
一番の敵だ」との国防相発言については、「その通り」が35%、「そうではない」
が43%、「どちらともいえない」が22%と、こちらはかなりばらつきました。も
ちろんパキスタンとの関係が影を落としているわけです。実験は「バジパイ政権の政
治目的」が27%、「国益のため」が65%。
 
●結構評価が高い(?)野中自民党幹事長代理発言。「どうして日本は被爆経験国家
として、5つの国(米露中英仏)に堂々と核をなくしなさい、核をなくしたうえで他
の国々が核実験をしないように、核武装しないように言いなさいと言う勇気が出てこ
ないのか」。日本の対米追随型経済制裁発動以外さしたる行動もとらない政府を批判。
 
●そのアメリカで核兵器廃絶を訴えて運動を続けている人々を紹介した毎日の記事。
メリーランド州ボルティモアで反核団体「ヒロシマ・ナガサキ記念委員会」に参加す
るマックス・ オブゼウスキーさん。 パキスタンの核実験を伝えるニュースを聞いて
「米政府の偽善的な態度を問題にしないといけない。世界一の核兵器保有国が核実験
をするなと言えるのか。米政府がした臨界前核実験は軍拡競争の延長で、印パ両国に
影響を与えたのは確か。核廃絶を達成して初めて米国は説得できる立場になる」。2
000年までの核兵器撤廃を求め米政府に働き掛けていくそうです。
 
●韓国の環境団体「緑色聯合(グリーン・コリア)」の国際連帯担当、イ・テファさ
んは核保有5ヶ国とインド・パキスタンの大使館すべてを訪れ、核廃絶を訴えたとい
う。緑色聯合は「人類は核武器拡散によって共滅の危機に直面している」との声明を
出しています。イ・テファさんは「核大国が核保有の独占を狙ったNPT、CTBT
を廃棄し、新たな核拡散規制の方法を提示すべきだ」と主張しています。
 
●インドの核実験抗議をインド国内で展開した団体がありました。首都ニューデリー
で市民グループ「反核兵器運動」が「水もない。電気もない。仕事もない。何の問題
もない。が、我々には爆弾がある」という皮肉たっぷりのプラカードを掲げ、ロウソ
クの明かりを携えた約100人がシュプレヒコールもなく静かに行進。「インドがや
ろうが、パキスタンがやろうが、私たちには何の役にも立たない。南アジアに核はい
らない」。ニルマラ・カルナンさんが訴えていました。ネール大学政治学部のバハン
ブリ教授は、インドの核実験直後の世論調査が91%もの支持を表明したとしている
点について、調査は大都市に限られ、現実を反映していないと批判。「核実験に熱狂
しているのは、都市部中間層以上の人民党支持者だけ。農村部の大多数は核実験より、
その日の食事がちゃんとできるかどうかしか関心はないはずだ」。
 
●毎日はこう締めくくっています。「5核保有国を含む大国の戦略が破たんし、核の
恐怖が目の前に迫る。国境を超えた市民の声が、「国家の論理」をねじ伏せられるの
かどうか。平和を願う人々の力量が問われている。」
 
●その「市民の力量」について分析記事が。「なぜ盛り上がらぬ国内抗議行動」とし
た読売の記事。フランス核実験の時などに比べて「いま一つ盛り上がっておらず、反
核団体も戸惑いを見せている。」としてその内容を対比したもの。
 まず「ボイコット」関係。フランスに対しては大阪貿易会がフランス製品の輸入販
売の自粛を会員企業に呼びかけたりビックカメラが販売取りやめを宣言し、埼玉県が
フランス製のヘリコプターの購入を取りやめるなどボイコット運動が広がりましたが、
今回は例えばビックカメラでは「インドやパキスタン製品の取り扱いがない」という
事情もあり、ボイコットの動きはほとんど見られていません。
 大使館前という抗議行動の定位置でも、今回はフランスや中国と比べても規模が小
さくなっているとしています。確かに大使館前に泊まり込んだり連日多数が抗議行動
を展開したフランスの時とはかなり異なりました。
 ピースネットニュースは、このフォーラムにも転載しているファックスニュースが
ありますが、フランスの核実験の際には約500件のアクセスがあったのに、インド、
パキスタンの核実験では約130件。
 この状況についてグリーンピース・ジャパンの鈴木かずえさんは「フランスの場合
は数か月前から実験を予告し、国際的な批判が高まったさなかに強行したため反響も
大きかった。日本人は、料理やファッション、旅行や貿易などを通じてフランスに慣
れ親しんでいる分、ボイコットなどの行動に訴えることのできる対象が多かった。し
かしインドやパキスタンはそれほどなじみがなく、どこに矛先を向けていいか分から
ないのでは」と心理的な距離の遠さを理由に挙げたとのこと。
 また樋口恵子さんは、「みんな怒っているのだけれど、先に核兵器を持った大国が
インドやパキスタンに『(核を)持つな』と言う現状にも、身勝手だなという思いが
ある。だからほんのわずかだが、パキスタンの言い分に、うなずいてしまう部分があ
るのではないか。核の全面廃絶に議論を持っていかないと方向を見失うことになる」
と話しているそうです。
 この点については、状況の違いと認識の違いがあるのだろうと思います。
 状況としては鈴木さんが言うように前々から実験予告をしていたフランスと今回の
突然の実験になった印パの違いのほか、フランスの時はNPT無期限延長が95年に
決まった直後でかつCTBTの協議のさなかの実験であったという時間的な点があり
ます。これにより「かけ込み実験」と「CTBTを破壊するもの」という点が強調さ
れました。
 また、場所の問題もあります。フランスは地球の反対側の植民地モルロワ・ファン
ガタウファ環礁を実験場としたことで、いかにも帝国主義的、覇権主義的な姿が印象
に残りました。さらに見逃せないのが、実験前から実験場周辺に抗議船団を出し、大
量の情報を世界に発信し続けたグリーンピースの活躍がありました。それがまた日本
の国会議員が実験場に肉薄するといったことも可能にしたわけです。
 さらにフランスの核兵器保有のロジックは、フランスの論理であって外からは理解
しにくいと言う点もあります。ヨーロッパは既にEUとして統合過程にあり、ロシア
の脅威も遠のき、フランスが核兵器を保有する理屈が通らないと多くの人が感じやす
いと言うことです。
 翻って印パは、日本から心理的に遠いということだけでなく、NPT体制が5ヶ国
の核保有を保障しつつ他国に核兵器を持たせないといった論理が、そもそも説得力に
欠けるということと、とおりいっぺんに「印パ」が第二次大戦後に3度も戦争を繰り
返すほどに対立しているとなれば「核兵器保有の動機」としては妙に分かりやすいと
いう点。さらにフランスへの抗議行動はいわば「手応え」があるのに印パについては
そういう歴史的な面も含めて「手応えが無い」ことも関係しているのだろうと思いま
す。一言でいえば日本で何か言ったり行動したりしても効果が見えないと言うことで
す。フランスの場合はグリーンピースの活躍もあり、もしかしたら実験を止められる
かもしれないという「期待感」が一方であったのです。(現実に実験回数は予定より
減らされています)事後の抗議行動はそういう意味ではもともと限界があるわけです。
 
●さてそのフランス核実験について、この状況でよくこんな発表が出来るよな!とい
うニュースが。詳細は別論にします。
 IAEAが、フランスが66年から96年にかけて断続的に実施したモルロワなど
の核実験の影響について「人体・生態系への影響はない」とする調査報告を公表した
そうです。なお、プルトニウムが8キロなど放射性物質はあるそうな。
 
朝日新聞 05/31 07:48 ◇国連安保理で日本が核不拡散体制堅持へ決議案提出◇
時事通信 05/31 08:01 ◎パキスタンには核実験実施の権利−UAE
時事通信 05/31 08:01 ◎核実験の凍結には言及せず−パキスタン首相
時事通信 05/31 08:01 ◎制裁対処で政府支出を半減−パキスタン
時事通信 05/31 08:02 ◎追加実験に「深い失望」−国連事務総長
時事通信 05/31 08:02 ◎日本、核不拡散体制堅持へ決議案提出
朝日新聞 05/31 08:19 ◇国連事務総長がパキスタンの追加核実験に「深い失望」◇
時事通信 05/31 10:17 ◎北朝鮮、印パの核実験を初報道
共同通信 05/31 10:19 ブラジルも憂慮表明  インド、パキスタン両国に
共同通信 05/31 10:20 軍拡より核抑止対話に意欲  具体的道筋見えず曲折も
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共同通信 05/31 10:22 核拡散防止で決議案提出  パキスタンには遺憾表明
共同通信 05/31 10:29 核戦争の瀬戸際ではない  キッシンジャー元長官
共同通信 05/31 10:29 今度はミサイル実験か  数日以内にもと米TV
読売新聞 05/31 10:43 核不拡散体制堅持の決議案
共同通信 05/31 10:57 北朝鮮が印パ核実験初報道  「国際的注目」と論評なし
共同通信 05/31 10:59 豪は経済制裁実施せず  パキスタンの一連の核実験
共同通信 05/31 11:16 パ大使館前で座り込み  核実験に抗議
時事通信 05/31 11:38 ◎パキスタンへの経済制裁を発動−米大統領
朝日新聞 05/31 11:58 ◇パキスタンへの経済制裁を発動、米大統領◇
共同通信 05/31 12:43 短距離ミサイルも実験準備    米紙
時事通信 05/31 13:08 ◎6月27日に米中首脳会談
朝日新聞 05/31 13:22 ◇6月27日に米中首脳会談、印パ問題が重要議題に浮上◇
読売新聞 05/31 13:36 パキスタンへ経済制裁発動
共同通信 05/31 13:56 広島県知事が抗議文  パキスタン再度の地下核実験
時事通信 05/31 16:14 ◎パキスタン、数日中にミサイル実験か
共同通信 05/31 16:58 前方配備のミサイルを撤収  対インドでパキスタン
共同通信 05/31 17:02 印、パ首相に抗議の手紙を  広島の語り部が世界に発信
時事通信 05/31 17:28 ◎30日の実験は小型核開発に役立つ
共同通信 05/31 18:12 パキスタンがミサイル撤収  緊張緩和を模索か
毎日新聞 05/31 18:37 <米大統領>核実験実施のパキスタン経済制裁命令書に署名
朝日新聞 05/31 18:40 ◇「国連安保理でカシミール取り上げさせたい」、橋本首相◇
毎日新聞 05/31 18:41 <核実験>パキスタン再核実験実施 日本、決議案を安保理に
共同通信 05/31 18:42 インドが核兵器協約の交渉提案  NPT代わる新体制狙いか
朝日新聞 05/31 19:10 ◇インドで核実験支持者が減る、世論調査◇
朝日新聞 05/31 19:20 ◇パキスタン核実験で国連事務総長が声明◇
時事通信 05/31 19:30 ◎パキスタンの核実験を歓迎−ハマス指導者
読売新聞 05/31 19:31 日本、核拡散防止堅持で共同提案
読売新聞 05/31 19:49 「国境で放射能検出されず」とイラン
読売新聞 05/31 19:49 パキスタンが制裁に備え財政支出削減
毎日新聞 05/31 20:19 <安保問題>若手政治学者らが提言「守るべき価値は何か」な
読売新聞 05/31 20:35 米大統領がパキスタン制裁に署名
毎日新聞 05/31 20:37 <核実験>パキスタン国民の97%が支持−−世論調査結果
朝日新聞 05/31 20:48 ◇パキスタン核実験に抗議、東京の大使館前◇
毎日新聞 05/31 20:54 <パキスタン>「カシミール問題、安保理で協議を」−−橋本
毎日新聞 05/31 20:54 <核実験>パキスタン首相「当面、核実験の計画はない」と宣
毎日新聞 05/31 20:55 <語録>なぜ核なくせと言えない−−野中・自民党幹事長代理
時事通信 05/31 21:07 ◎緊張激化回避で模索始まる−印パ首脳                  No
毎日新聞 05/31 21:07 <インド>新たな枠組みの核管理交渉必要−−政府が声明
朝日新聞 05/31 21:10 ◇再度の実験強行に抗議の輪広がる、広島市の平和記念公園◇
時事通信 05/31 21:49 ◎核兵器条約の協議呼び掛け−インド
朝日新聞 05/31 21:50 ◇パキスタン核実験責任者、二度目の実験は戦略核開発目的◇
朝日新聞 05/31 21:52 ◇インドが核保有国に「核兵器国際協定」を提唱◇
読売新聞 05/31 22:19 野中幹事長代理が印パの核実験を非難
毎日新聞 05/31 22:26 <反核新時代>恐怖を越えて 国家の論理に異議 問われる市
読売新聞 05/31 22:44 インドが核の「差別的でない」協約提案
読売新聞 05/31 22:44 仏大統領が核拡散防止で考え用意を表明
時事通信 05/31 22:45 ◎核兵器条約の協議呼び掛け−インド
読売新聞 05/31 23:09 印パの核実験に盛り上がらぬ国内抗議行動
時事通信 05/31 23:15 ◎仏核実験を無害と判定−IAEA報告
朝日新聞 05/31 23:15 ◇パキスタン制裁を発動、米政府◇
読売新聞 05/31 23:30 パキスタンが短距離ミサイル実験を準備
毎日新聞 05/31 23:36 <東論西談>インドの非暴力 裏に潜む現実主義
読売新聞 06/01 01:25 インドが3度目の核実験予定とパ外相
朝日新聞 06/01 02:58 ◇パキスタン首相、「インドと対話の用意も」◇
朝日新聞 06/01 03:02 ◇パキスタン核実験、日本が安保理決議案提出◇
読売新聞 06/01 06:10 核技術供与停止の決議案
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)
 


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