(from 『オルタナティブ運動情報メーリングリスト』 改行位置等若干変更)
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Date: Wed, 20 May 1998 07:26:08 +0900
From: Pertiwi <pertiwi@mxp.meshnet.or.jp>
Subject: [aml 8601] 呉からの抗議声明(日本語)
宇野田陽子です。
呉のジーン・イングリスさんの依頼で、以下の声明(日本語版)を送らせていた
だきます。主に呉YWCAが中心となってまとめられたとのことです。
1998年5月18日
共 同 声 明
インドネシアの民主化運動を支持し、
邦人救出を名目にした自衛隊の海外派兵の動きに抗議する!
「もう沢山!」、30年以上にわたるスハルト独裁政権に対してのインドネシア国民
の怒りのさけびは、今、日本の私たちに何を呼びかけているのでしょうか。多くの日本
人は、自分のこととは思ってないかもしれません。しかしスハルト政権誕生以来、イン
ドネシアの豊かな資源が私たちの生活の隅々にまで入り、生活基盤になりながら、イン
ドネシアの国民の顔がほとんど見えなかったことに対して、毎日各地で行なわれている
デモは私たちに何かを訴えています。
何十年も独裁政権下で貧困と抑圧を強いられてきて、現在は経済危機による物価の急
騰と失業で日々の糧をまかなうことすらできない人々。スハルトやその一味の「開発プ
ロジェクト」のために土地が奪われ、環境破壊の犠牲を押し付けられた人々。その権力
に立ち向かおうとしたとき、逮捕され、拷問された人々。私たちはこの30年間、彼ら
のことを見て見ぬふりをして放置してきたのではないでしょうか。
政治経済両面でスハルト政権を支えてきた日本に住む私たちですが、今爆発している
インドネシア民衆の正義、民主主義へののぞみを、当然の権利として認め、はっきりと
全面的な支持を表わすことが求められています。そして私たちは、日本政府に対し状況
改善のための建設的な外交をするように働きかけるべきだと思います。それは、日本政
府や私たちが、スハルトの退陣と民主主義を求めて闘っている人々に向けて、日本国憲
法に定めている「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存
する権利を有する」という理念を実現するよう尽力することを表明することから始まり
ます。
当面、日本政府がとるべき外交はまず、12日にトリサクテェ大学で起こったような
軍隊による発砲事件をこれ以上起こさないようにインドネシア政府を説得することです
。そして改革を要求する人たちが納得するような根本的な計画を発表し、彼らと真の対
話が行われるような環境作りに手を貸すことです。
30年間何回も何回も不当逮捕、拷問、軍による発砲などがありましたが、何も言わ
ない日本政府の従来の立場は明らかに間違っています。私たちは、日本政府、日本国民
が真剣にこのような「外交」を反省し、今のインドネシア危機を絶好の機会として根本
的に立場を改めるべきだと思います。
自衛隊の海外派兵の動きに抗議する
こうしたインドネシアの情勢に対して、日本政府が取ろうとしている政策は、不当そ
のものです。インドネシアの人々が独裁政権の下で、食い物にされてきた現状の克服の
ために尽力するのではなく、むしろ、現在進行中のガイドライン見直しと関連法の成立
に向けてインドネシア情勢を利用しようという意図が色濃く浮かび上がっています。
まず1994年に「邦人救出のために自衛隊機を派遣できる」ように、自衛隊法を改
悪してから初の適用例にしたいという狙いが露骨に出てきています。インドネシアで学
生のデモに対して、警備にあたった軍が実弾を向け、実際に多くの人々が自国軍によっ
て殺されるという事態が起こった後、政府は急遽、関係閣僚会議を開き、在留邦人保護
などの対応策について協議し、その中心に自衛隊機の派兵を位置づけています。邦人を
インドネシア国外に退避させるとしても、民間の航空機や船のチャーター便による輸送
を検討する方が合理的です。C130などの自衛隊機はせいぜい100人程度しか輸送
できず、民間機の方がはるかに輸送能力があるし、かつ、むしろ安全であることはよく
知られているところです。
さらにインドネシア情勢下の在留邦人保護に関連して、今国会に提出したガイドライ
ン関連法案の一つである自衛隊法改悪案について、周辺事態法案とは切り離して先に処
理する方向で検討に入ったと伝えられていることは、より重要な動きです。同「改正案
」は、現在、邦人救出のために航空機しか使えない自衛隊法100条の8を、大規模な
輸送を可能にする艦船とその搭載ヘリコプターを使用できるようにするというものです
。仮にこの法律ができれば、今春、呉に配備されたばかりの揚陸艦「おおすみ」、LC
ACが派兵対象にされることは必至であり、呉に生活の場をおく私たち市民としては、
絶対に容認できません。政府は今、極めて政治的な選択として「軍用機の利用」を強行
し、かつ「軍艦の派兵」が可能なように法体系を変えようとしているのです。それは、
掃海艦隊のペルシャ湾派兵に始まった、なし崩し的な「自衛隊の海外派兵」をより大き
く前進させるものです。こうした動きに対して、中国、韓国をはじめとしたアジアの人
々が強い懸念を持つのは当然のことです。
以上の点を踏まえて、私たちは、以下の点について確認し、要求します。
(1)私たちはまず、インドネシア政府に対し、12日の治安部隊による学生6人の射殺に
強く抗議し、政府としての厳粛な謝罪を求める。その上で、私たちは長きにわたったス
ハルト独裁政権の政治が、民衆の下で運営される方向に転換し、民主的な政権ができる
ことを支持する。
(2)私たちは、日本政府に対し、憲法の精神に立って外交・経済政策のありかたを反省
し、人々の平和と繁栄のために、アジア諸国の民主制度を促進し、その安定を促進させ
る政策をとるよう要求する。
(3)日本政府は戦争遂行体制づくりとしての、ガイドライン見直しのために、インドネ
シア問題を悪用するな。具体的には、まず、インドネシア情勢を悪用して、邦人救出を
名目とした自衛隊機の派兵計画を撤回すること。第2に今国会上程されている艦船の派
兵もできるように自衛隊法改悪法案を廃案にせよ。
呉YWCA東チモール問題を考える会 ジーン・イングリス、筒本 隆博
We Love 九条の会
山崎智子
入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!ピースリンク広島・呉・岩国
湯浅一路
連絡先:呉市幸町3−1 呉YWCA気付
電話:0823−21−2414
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