Date: Tue, 19 May 1998 21:48:25 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: Kazuhiro Shibata <kshibata@mtci.or.jp>
Subject: [keystone 227] 福岡県知事宛申し入れ
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 福岡県内の新ガイドラインに反対する市民団体でつくる「『ガイドラインに反対
する』ネットワーク」は5月18日、福岡県知事宛に「日米防衛協力のための指針
(新ガイドライン)に協力しないよう求める申し入れ」をおこないました。

 以下は、その申し入れ文。

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                              1998年5月18日

福岡県知事
  麻生 渡 様

                   「ガイドラインに反対する」ネットワーク
                    連絡先 福岡市南区玉川1-16
                    電話 092-553-0358

 日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)に協力しないよう求める申し入れ

 わたしたちは、昨年9月に日米両政府の間で締結された「日米防衛協力のための指針

(新ガイドライン)」に抗議し、その撤回を求めている7団体の運動ネットワークで
す。そして、11月17日に知事に「日米防衛協力のための指針に反対する」申し入れを
行いました。
 前回の申し入れでも指摘したように新ガイドラインによれば、米国の始めた戦争に
日本が自動参戦することになります。これまでのいわゆるガイドラインは日本に対す
る武力攻撃に対処する性格のものでした。しかし、今回の新ガイドラインは日本防衛
だけではなく「周辺事態」での米軍の軍事行動への後方支援が重要なものとして位置
づけられています。日米共同作戦行動が想定されているのです。
 4月28日政府は新ガイドライン関連法として「周辺事態法案」と「自衛隊法改正案」

を閣議決定し国会に提出しました。「周辺事態法案」は米軍への後方支援として物品
と役務の提供、便宜の供与をあげ、後方地域捜索救援活動として戦闘行為遭難者への
捜索と救助をあげ、船舶検査活動として国連決議のもとに船舶の積荷と目的地を検査
し、航路を変更させることをあげています。これらは何れも後方地域で実施するとさ
れています。しかし、政府は「周辺事態は地理的概念ではない」としており、日米両
政府による日米安保の再定義によれば地域は拡大され地球の半分が後方地域になって
しまいます。しかも、戦闘地域以外のいわゆる後方支援であっても米国の戦争への協
力であることには変わりはありません。また、自衛隊法改正案では邦人救出のために
自衛艦隊が海外に派遣され武器を使用するようになってしまいます。このようにして
関連法で新ガイドラインが制度化されていけば、日本が戦争する国家になっていきま
す。新ガイドラインと関連法案は戦争放棄、戦力不保持、武器不使用を宣言した日本
国憲法に違反しています。たしかに法案ではこれらの支援活動は自衛隊が行うことに
なっています。しかし、同じ法案には国以外の者に協力を求めることが出来るとされ
ており、地方自治体や住民が戦争体制に組み込まれていく危険な法案になっていま
す。政府は協力を拒めば違法状態になると明言しています。
 前回も指摘したように、周辺事態への協力では、民間の港湾施設や空港の使用が含
まれており、米軍は博多湾と福岡空港を指定しています。1996年の米軍機の福岡着陸
回数は272回で全国計1048回の26%に及んでいます。また、博多港には1986年以降
でも駆逐艦、両用戦闘艇、フリゲート艦そして巡洋艦が6回も入港しています。このほ

かにも、福岡県内には自衛隊掃海艇が使用した苅田港や北九州市港など多くの港湾施
設があります。「周辺事態法」では地方自治体病院など施設が米軍に供せられます。
 地方自治体が戦争に協力する事態は何としても避けなければなりません。そこで、
政府による関連法案の国会提出という新たな事態をうけ、改めて、県民の生命・財産
を守り、地域住民の福祉を向上させる立場にある福岡県知事に次のことを申し入れま
す。

1 新ガイドラインに反対し、空港・港湾や医療など福岡県内の民間施設を米軍や自衛

隊などに軍事利用させないこと。
2 県の施設や人員などを動員しないこと。また、福岡県は「周辺事態法案」や「自衛

隊法改正案」にみられるような政府の戦争動員体制に協力しないこと。

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 ネットワークからは8名が参加し、福岡県側は、窓口として総務部総務課から、課
長代理を始め4名が対応しました。

 申し入れに対する県側の返事は、「情報収集はしているが、新聞報道以上のものは
持っていない。周辺事態法について、案文は報道で承知しているが、法案が成立して
いない段階で仮定の話には答えられない。国には情報をもっと提供してくれるよう、
渉外関係主要都道府県知事連絡協議会の幹事県である神奈川県を通じてお願いしてい
る。他に該当すべき部局がないので、総務課が窓口となっているが、当面この件で直
ちに動く考えはない。今日の話は知事に伝える。」と、相変わらずのつれない内容。

 参加者からは、「神戸市や高知県を見習ってもっと積極的に動くべきだ」「決まっ
てしまってからでは遅い」という強い意見が出たが、「承って知事へ伝えます」の一
本やり。また、朝鮮戦争やベトナム戦争時の県内民間施設の米軍の利用状況について
の質問にも「県としては資料は持っていない。管理者である、空港は運輸省、博多港
は福岡市が持っているのではないか。」とまるで他人事でした。
 

 ネットワークでは、先に福岡市議会へも同様の請願をおこなっていますが、すでに
桑原敬一市長は議会答弁の中で「国のやることには逆らえない」と言っており、請願
の扱いについても待たされたままとなっている状態です。

柴田 一裕(Kazuhiro Shibata)
kshibata@mtci.or.jp
http://w32.mtci.or.jp/~kshibata/
 


  • 1998年
  • 3月4月5月、6月、7月、

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