Date: Mon, 6 Apr 1998 03:00:00 +0900
Mime-Version: 1.0
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 46] [marine] Re: [Riko Yagiu:]
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 46
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org


marineからの Re: [Riko Yagiu:] ファイルの複写です(一部略)。

1) [marine-ml 6042] Re: [Riko Yagiu: ] (MARUYAMA K.)
2) [marine-ml 6043] Re: [Riko Yagiu:] 追加 (MARUYAMA K.)
3) [marine-ml 6044] Re: [Riko Yagiu:] 憲法 (MARUYAMA K.)
4) [marine-ml 6046] Re: [Riko Yagiu:]marine-ml Library (MARUYAMA K.)
5) [marine-ml 6047] Re: [Riko Yagiu: ] (Toru Takahashi)
6) [marine-ml 6050] re:mrine-mail6038{Riko Yagiu} (北口学)
7) [marine-ml 6056] Re: [Riko Yagiu: ] (Nakayama Hitoshi)


1) ======================

Date: Wed, 25 Mar 1998 14:52:52 +0900
From: "MARUYAMA K." <kaymaru@jca.ax.apc.org>
Subject: [marine-ml 6042] Re: [Riko Yagiu: ]


 丸山です。

At 0:08 PM +0900 98.3.25, Riko Yagiu wrote:
> 柳生です。皆さんお久しぶりです。

> 在籍している友人からこういうメールが来ました。
> 私もいくつか本を送ろうと思いますが
> どなたか良いものをご存知の方、
> 御紹介頂けないでしょうか?
> 英語の文献があればなお嬉しいです

 日本語ですが、福地曠昭さんの
 『沖縄における米軍の犯罪』(同時代社)ISBN4-88683-338-1
 に詳しい資料があります。

 英語の文献はあまりないのですが、

『THE ISLAND WHERE PEOPLE LIVE』Ahagon Shoko
A photo documentary of the troubled land of Iejima, Okinawa Islands
1989 Christian Conference of Asia ISBN 962-7439-01-0

米軍がどのようにして基地を建設していったかがよく分かります。ご存じだと思いま
すが、これは、阿波根昌鴻さんの『人間の住んでいる島』の英訳本です。

 沖縄県のホームページに、
http://www.pref.okinawa.jp/rape2.html
*******************************************************
Since Okinawa's reversion to Japan in 1972, 120 military
aircraft accidents have occurred and 4,716 crimes have
been committed by military personnel, including 12
murders of local residents. These figures point out the
U.S. military's negligence in the supervision of these
matters.
*******************************************************

 英文のホームページとしては、私の友人が関係している下記のページに詳しい資料
があります。
Campaign against military bases in Okinawa.
http://161.74.68.154/campaigns/ef/toxmut/okinawa.html


List of Main Crimes Committed and Incidents
concerning US Military on Okinawa - Excerpts
[Translation from Okinawa Times, Oct.12,1995]
http://www.walrus.com/~dawei/references/crimelist-e.html

ちょっとはずれるかもしれませんが、英文の文献として、知花昌一さんの『焼きす
てられた日の丸』の英訳文がでています。

『BURNING THE RISING SUN』Chibana Shoich (South Wind) 1992

*************************************************************
 MARUYAMA K.  kaymaru@jca.ax.apc.org

 2GO GREENは4月からJCA-NETで新装開店
 http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html


2) ===============

Date: Wed, 25 Mar 1998 15:05:06 +0900
From: "MARUYAMA K." <kaymaru@jca.ax.apc.org>
Subject: [marine-ml 6043] Re: [Riko Yagiu:] 追加


At 0:08 PM +0900 98.3.25, Riko Yagiu wrote:
> 柳生です。皆さんお久しぶりです。

> アメリカ人と結婚して、アメリカのカレッジに
> 在籍している友人からこういうメールが来ました。
> 私もいくつか本を送ろうと思いますが
> どなたか良いものをご存知の方、
> 御紹介頂けないでしょうか?
> 英語の文献があればなお嬉しいです

 各市町村が基地資料をだしているのではないでしょうか。もしかしたら英文資料も。

 沖縄県は、『沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料)』を毎年(3月に)だしてい
ます。残念ながらこれは日本語ですが、もしかしたら英語の資料もあるかもしれませ
ん。

 なお、環境調査報告書の英訳はあります。

「Summary of the Interim Report of the Field Study on Public Health around
U.S. Bases in Okinawa」by The research Study Committee of Aircraft Noise
Influences to Health (March, 1997)

 少なくとも、金武町は日英対訳の『金武町と基地(Kin Township and the base)
』を発行しています。金武町・基地対策課 (098-968-6000)

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 MARUYAMA K.  kaymaru@jca.ax.apc.org


3) ===================

Date: Wed, 25 Mar 1998 15:35:08 +0900
From: "MARUYAMA K." <kaymaru@jca.ax.apc.org>
Subject: [marine-ml 6044] Re: [Riko Yagiu:] 憲法


At 0:08 PM +0900 98.3.25, Riko Yagiu wrote:
> 柳生です。皆さんお久しぶりです。

> 私もいくつか本を送ろうと思いますが
> どなたか良いものをご存知の方、
> 御紹介頂けないでしょうか?
> 英語の文献があればなお嬉しいです
>
> ------- Forwarded Message

> 平和憲法及び基地問題のお奨めの本とか資料情報あったら教えて頂戴。
>
> ------- End of Forwarded Message

 細切れで申し訳ない。思い出しながら資料を見つけているので。

 憲法関連の本:

 ・『憲法第九条の復権 沖縄・アジアの視点から考える』
 (内田雅敏)樹花舎 1998.1.31

 ・『沖縄から見た平和憲法』(高良鉄美)未來社 1997.8.15

 ・『武力なき平和』(水島朝穂)岩波書店 1997.7.8

 ・『国家非武装の原理と憲法九条』(中北龍太郎)社会評論社 1997.4.28

 ・『日本国憲法 平和的共存権への道』
 (星野安三郎・古関彰一)高文研 1997.2.1
http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/Books/Law/law6/Peace.html

 ・『平和大国か 軍事大国か』(浅井基文)近代文芸社 1997.1.30

 ・『「日本国憲法」を読み直す』(井上ひさし・樋口陽一)
  講談社文庫 1997.1.15


 水島朝穂さんは、「平和憲法のメッセージ」というホームページを持っています。
http://www02.so-net.or.jp/~asaho/peace/

 ほとんどが斜め読みなので、詳しい批評は出来ませんが、上記の中では星野・古関
さんの『日本国憲法 平和的共存権への道』が一番面白いと私は思いました。

*************************************************************
 MARUYAMA K.  kaymaru@jca.ax.apc.org

 2GO GREENは4月からJCA-NETで新装開店
 http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html


4) ==========

Date: Wed, 25 Mar 1998 17:23:09 +0900
From: "MARUYAMA K." <kaymaru@jca.ax.apc.org>
Subject: [marine-ml 6046] Re: [Riko Yagiu:]marine-ml Library


At 5:11 PM +0900 98.3.25, Shioya, Koichi wrote:

> marine-ml Library
> (http://haru08.spring8.or.jp/~kuba/MALINE-ML/book_list.html)
> に上げられていない本に、
> 『「安保」が人をひき殺す---日米地位協定=沖縄からの告発』森口豁、高文研。
> があります。

 marine-ml Libraryはだいぶ前に活動を停止していますが、
 私個人のホームページ(2GO GREEN)に「沖縄・基地・安保関連の書籍」のリスト
があります。
http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/Okinawa/Okinawa_books/Okinawa_books.html

 森口さんの本の目次もありますので、ご利用いただければ幸いです。
http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/Okinawa/Okinawa_books/oki11/Ampo.html

 ついでですが、「憲法・法律・裁判関連の書籍」のリストも、あまり充実はしてい
ませんが、以下にあります。
http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/Books/Law/Law_books.html


*************************************************************
 MARUYAMA K.  kaymaru@jca.ax.apc.org


5) =================

From: Toru Takahashi <
Date: Wed, 25 Mar 1998 18:44:23 +0900
Subject: [marine-ml 6047] Re: [Riko Yagiu: ]


こんにちは。高橋(亨)です。

in [marine-ml 6038] Riko Yagiu さんは書きました:
>滑り込みでちょっとお願いがあります。
>アメリカ人と結婚して、アメリカのカレッジに
>在籍している友人からこういうメールが来ました。
>私もいくつか本を送ろうと思いますが
>どなたか良いものをご存知の方、
>御紹介頂けないでしょうか?
>英語の文献があればなお嬉しいです

残念ながら全部日本語ですが、以前marine-MLで情報を集めた沖縄基地問題
関連書籍の一覧が久場さんのホームページにあります。

http://haru08.spring8.or.jp/~kuba/MALINE-ML/book_index.html

ここに挙げられている図書は、今でも「貸し出し」可能なはずです。:-)
私が読んでみての感想としては、やはり阿波根昌鴻さんの『米軍と農民』
『命こそ宝』、新崎盛暉さんの『沖縄現代史』などがいいのではないかと思
います。(いずれも岩波新書)

蛇足ですが、ホームレスに対するボランティアはともかく、チベット解放運
動が名門大学入学の条件などとして出てくるのにはひどく胡散臭いものを感
じますね。中国によるチベット抑圧はもちろん問題ですが、なぜことさらチ
ベットなんでしょう。アメリカは中国に対してはそうした人権問題を声高に
言いたてるくせに、例えばもっとひどい侵略/虐殺/弾圧を東ティモールに対
してやっているインドネシアに対しては何も言いませんね。こんなあからさ
まなダブルスタンダードが見えてしまっては、中国に対しても説得力を持て
るはずがない。それとも、やはりそんなことは百も承知で外交カードとして
使っているだけなのか?

東ティモール解放運動をやってるような高校生はバークレーには入れない、
それが“That's America”ということなんでしょうか…。

---
<!--
== 高橋 亨
==
== お薦め図書:五味川純平「人間の條件」(文春文庫)
-->


6) ==================

From: XC8H-NKD@j.asahi-net.or.jp (Nakada Hiroyasu)
Date: 26 Mar 1998 18:25:28 +0900
Subject: [marine-ml 6050] re:mrine-mail6038{Riko Yagiu}


相模原の仲田です。


北口学(banabajp@msn.com)さんより転送の依頼がありました。
北口さんから marine に投稿しても流れないとのことです。

ここより

RE:{marine-mail6038}{Riko Yagiu:}

前略
 Yagiuさん、私も同様の経験を多くの国でしました。今もたびたび・・・・。
 日本のNGOや出版社、海外での出版物で沖縄問題や米軍基地、天皇制などを市民運
動や草の根の視点や思想で書いた雑誌・書籍も集めて参りました。で、昨年は英国
BBCテレビ局と組んで「アメリカの環太平洋戦略と海外米軍基地」、「太平洋州の先
住民族」、「パシフィック・リム」(最後のこれはBBCオープン・ユニバーシテイの
視聴覚教材として将来10年間使用される。)の3本に関わった時に使用した文献類
をご紹介させていただきます。

1, 沖縄県は英文で「沖縄米軍基地はいらない」という内容の立派なパンフを作製
している。
2,アジア女性資料センターの英文雑誌
  「Asian Women Liberation English Edition 」No.1〜No.8 1冊300円〜7
00円には何度も英文で沖   縄の米軍問題が鋭く論評されている。e−mail
 ajwrc@jca.ax.apc.org
3,アジア女性資料センターの邦文雑誌「女たちの21世紀」も、すばらしい内容の
雑誌で、沖縄やアイ  ヌ民族の問題など多岐に及ぶ、英Editionとは違う内容。
e-mail 同上
4,国連人権委員会にこの2〜3年、沖縄の人々から毎年提出されているNGOから日
本政府に対する  カウンター・レポートは迫力と心情があふれた英文もの。(イン
ターネットでUN、okinawaで検索し、  入手できます。)
5,昨年、イスタンブールで開催されたハビタットII国連人間居住会議に、日本のハ
ビタットII日本NGO   フォーラムが提出した英文レポートにも高良勉さんらの沖
縄問題に関する英文報告書があります。
  問い合わせ アムネスティ・インターナショナル日本本部 森原 および 曹洞
宗ボランティア会東京  本部事務所 (インターネットでUN Habitat II Japan
などのキーワード絞り込みでも入手可能)
6,解放出版社発行の6種類の英文書籍(国内で簡単に購入できる)にも、多くの沖
縄を巡る米軍と沖  縄の人々に関する英文が掲載されています。
  インターネット・ホーム・ページ 部落解放研究所(検索ですぐ見つかります)
参照
7,北京女性会議に向けて英文で作られたNGOの書籍「Minority and Indigenous
Women in Japan and   Fourth world conference on Women」も関連の英文資料と
なります。
   問い合わせ IMADRーJC 熊本 FAX 06−568−0714
  英文ニュースレターも月刊で発行中。(検索のキーワードは IMADR でOK)
8、大阪の「アジア太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)」発行の英文
ニュース・レターにも多くの  情報が掲載されています。Fax06−577−35
83
9,月報「パシフィカ」にも邦文で沖縄のみならず、太平洋一円の歴史と現状が多く
レポート掲載されて  いる。Fax 03−3815−9325
10,自衛官合祀違憲訴訟原告や反戦・平和彫刻家金城実さん、銃撃された長崎市長
などの人々のイ  ンタビュー集が米国の女性によりアメリカで出版されている。
(本棚の中に埋もれて発見できず。)
11,アジア太平洋資料センター発行英文雑誌「AMPO」でも毎号のように英文でアジ
アと日本、米軍基地と沖縄、アジア、太平洋戦争と日本・アジアなどの英文記事が掲
載されている。
 e−mail parc@jca.ax.apc.org
ホームページ http://www.jca.ax.apc.org/parc/index-j.htm
12,「Voice from the Japanese Women's Movement」 edited by AMPO Japan Asia
Quariterly Review
  An East Gate book M.E.Sharpe( Armonk,New York, London, England)とい
う厚さ2センチばかりの  本が出版されている。
 などなど、思いつくままに列挙してみました。昨年末のBBCテレビ・ドキュメント
には上記の資料を提供し反基地の闘いをBBCのテレビで世界に流そうと個人的な思い
入れを全面的に出してコーディネーションをいたしました。インタビューは新崎盛照
(?)さん(反戦地主会代表)、高良勉さん、山内徳信村長、金城実さんを予定し、
うち何名かが実現しました。近い内に放映されますが、英国及び英語圏には行き渡り
ますが、はたしてNHKが購入、放映するかは疑問です(ククククク!)。
 日本発の英文書籍や雑誌で沖縄米軍基地やアジア太平洋の米軍の展開に関する資料
は意外に多いのですが、あまり運動関係者以外には知られていないようですね。海外
で、ふざけた事を行って来るアメリカ人は多いけど、本当の現地やアジアの情報をあ
まり知らない人が多く論破は容易です。楽しみながら我が悲しい日本の状況を英文で
勉強出来ると思います。そして、アメリカの非道さも。
 沖縄でがんばってられる方々に連帯しつつも、現地に行けぬ悲しさを抱え、日本と
海外を往復する日々でした。こんな形、自分は皆さんの闘いと連帯し、少しでも支援
しようと思っています。
 また、昨年末、グァムへ行き先住民族チャモロの女性も一昨年米兵レイプ事件多発
に抗議した運動を盛大に展開しており、その代表にも会ってきました。沖縄の人々と
の連帯を求めてました。
草々
北口学
banabajp@msn.com

ここまで

***********************************


仲田 博康
xc8h-nkd@asahi-net.or.jp


7) ====================

Date: Sun, 29 Mar 1998 02:18:19 +0900
From: Nakayama Hitoshi <nnpp@ppp.bekkoame.or.jp>
Subject: [marine-ml 6056] Re: [Riko Yagiu: ]


 市民新党にいがたの中山です。

 ちょっと変則的な投稿です。このメールはmarineMLへ投稿されたメールに対する返
信なのですが、amlにも投稿します。
 沖縄米軍問題、「従軍慰安婦」問題、旧ユーゴ問題に言及します。


以下は、marineMLへ投稿されたメール。

======ここから=========
At 12:08 +0900 98.3.25, Riko Yagiu wrote:

>アメリカ人と結婚して、アメリカのカレッジに
>在籍している友人からこういうメールが来ました。
>私もいくつか本を送ろうと思いますが
>どなたか良いものをご存知の方、
>御紹介頂けないでしょうか?
>英語の文献があればなお嬉しいです
>
>------- Forwarded Message

>フィルが
>「戦後日本の憲法を作り、間違っていた日本政府を正しい方向に
> 導いたのがアメリカで、日本は米軍が駐屯することで守られている。
> アメリカによって戦争が終わり、平和の中で政治も安定し、
> 経済成長を遂げることができた。
> 米兵のレイプ事件1件で、経済および平和を守ってくれている
> 米軍を追い出そうとするのはどうしたものか?」と
>平然と言ってのけたのよね。
(中略)
>フィルは個人ベースではとても愛すべき人物だけれど、
>私が日本人である以上はこのあたりのすれ違いって問題だし、
>中国人との会話も含めて私は自分の意見をしっかりもってないと
>今後同じようなシーンは度々出会うだろうから、ちょっと勉強しようと思うのよ。
>平和憲法及び基地問題のお奨めの本とか資料情報あったら教えて頂戴。
>
>------- End of Forwarded Message
>(後略)

======ここまで======

 要するに、投稿主の友人である米国在住の日本人がその友人の米国人(結婚相手?
なのかな)から、沖縄問題で上記のような認識の発言を受け、ショックを受けたのと
、「自分の意見を持つため」にいろいろ資料を送って欲しいといういきさつです。資
料についてはすでにさまざまなものがmarineに返信され投稿されています(amlでも
顔馴染みの方やそれ以外の方からも)。

 そこで私としては米軍の犯罪や軍隊一般の暴力性ということで、「従軍慰安婦」問
題や旧ユーゴ問題とも絡めて論じたいと思い、amlにも投稿しようと思ったわけです
。本来の投稿主にお役に立てる情報は少ないと思いますが、ちょっとお付き合い下さ
い。

 「従軍慰安婦」問題で「自由主義史観」派は、「同様のことは世界中の軍隊でやっ
ている。なんで日本軍だけ悪く言う必要があるのか」という主張をしていました。彼
らに組みするものではありませんが、世界中の軍隊が同様のことをやっている、とい
うのは半分は的を得ています。しかし軍中央自身が組織的におこなったこと、きわめ
て劣悪な条件下で女性を酷使していたこと、未成年者を使役していたことなどの点で
各国軍隊と決定的に異なる位置にある、ということは吉見教授の書籍や「半月城」氏
のホームページ、私たちが作成し全国で活用されている「従軍慰安婦」問題に関する
討論資料(市民新党にいがた他いくつかのホームページで収録)でも明らかにしてい
ます。

 しかし「従軍慰安婦」問題を越えて議論するとすれば、各国の軍隊の残虐性につい
てもきちんと押さえておく必要も同時にある、と私は思っています。彼らと議論する
上でも、これは必要なことです。
 この上記の「米国人の友人」の発言については「わずか1件のレイプ」などという
とんでもない事実誤認があるわけですが、米国軍隊の犯罪、あるいはその他の軍隊の
性犯罪について、意外と知られていない情報をいくつかあげます。

 まず、marineMLの北口学さんの投稿でも紹介されているアジア女性誌稜線ター機関
誌「女たちの21世紀」97年12月号の「男性とフェミニズムを語る」シリーズNo.7で、
松井やよりさんと対談されている田中利幸さん(西オーストラリア大学、日本現代史
・政治史担当)がまさにこの問題を述べています。上記機関誌は有料販売なので詳し
くは転載できません(連絡先:アジア女性資料センター 03-3780-5245 ajwrc@
jca.ax.apc.org)が、それによれば戦後日本への進駐軍は8月30日横須賀に上陸した
がその数時間後に輪かんが始まっている(27人が輪かんしたケースもある)こと、千
葉県館山に8月31日に上陸した米軍も9月1日から強かんを始めていること、横浜の病
院では数十人の米兵が乗り付け、看護婦や女性患者、妊産婦まで強かんしたこともあ
ることなどが述べられています。

 また、皆さんが住んでおられる都道府県県警が発行し図書館などにもおさめられて
いると思われる「○○県警史」といった本にも、戦後進駐軍犯罪の様相がおそらく記
録されていると思います。私の住む新潟県では、1945年8月から12月までのわずか5カ
月間で強盗38件、窃盗92件、強かん6件、暴行障害12件など218件の犯罪が確認され、
そのうち187件は未検挙となっています。強かん事件では泣き寝入りも多く、米軍が
いた新潟飛行場周辺では草むらで女性が強かんされた、といった住民の目撃証言など
も漏れ聞いています。また、全国各地の演習場に進駐した米兵によって女性が暴行・
強かんされた、という証言も、一昨年おこなわれた「沖縄発全国キャラバン」の各地
集会で寄せられました。
 米兵のための慰安所も設置され46年にはこれは廃止されたようですが、この件に関
する詳しい情報は私はわかりません。

 さらに、上記「女たちの21世紀」の同対談によれば、第1次大戦を闘ったイギリス
軍では軍隊の中で戦傷者よりも性病患者が多くその対策にかなりの労力が費やされた
ことも明らかにされています。
 「自由主義史観」派にくみするものではない、と重ねてお断りしておきますが、日
本の反戦平和運動には、自国軍隊の残虐性を強調するあまり、その特殊性に強い関心
が向き(そのこと自体は絶対に必要なことです)、その一般性の問題について認識が
不十分なところがあるのではないか、と思うことがあります。米国軍隊の残虐性を言
うときも、ベトナム戦争でのそれであったりあるいは沖縄駐留米軍のそれであったり
しています(ベトナムや沖縄の人々がそれを言うのは当然です)が、在沖縄米軍の犯
罪状況はそらで言えても自分の県で50年ほど前に起こった米兵犯罪についてはほとん
ど知らないという本土の活動家も少なくないのではないでしょうか? これは、基本
的には他者を思いを馳せるという高邁な心に由来していると思うのではありますが.
..。

 一方、いわゆる「先進国」では自国の軍隊の加害責任について論じている運動はき
わめて脆弱であることも上記「対談」で松井やよりさんが述べています。米国軍隊の
加害責任をあつかう米国内の女性団体は少ないそうです。また、94年の「女性の人権
アジア法廷」という国際会議でオランダ女性が戦争中インドネシアで抑留されてひど
い目にあったと証言した際、「オランダ人の彼女が何故インドネシアにいたのか。植
民地支配をしていた責任をどう考えるのか。何十倍、何百倍ものインドネシア女性達
の戦争被害には一言も触れられていない」という批判があったそうです。この点では
日本の反戦平和運動、特に女性たちの運動は欧米諸国に比べれば優れているものがあ
ると自負してもいいようです。昨年11月の「戦争と女性への暴力」国際会議が東京で
おこなわれた理由も、一つは日本政府への圧力、ということと、もうひとつは自国軍
隊の加害責任を追求している日本の女性運動への敬意、というものだったそうです。

 また、これも「自由主義史観」派の最大の攻撃材料の一つである「東京裁判」問題
ですが、これは確かにきわめて問題のある裁判であったと言うことができる、と思い
ます(ただしその理由は彼らとこちらではお互い異なるわけですが)。その最大の問
題点の一つが天皇の戦争責任を不問にした点である、と長らく私は思ってきました。
それは間違いではないのですが、アジア諸国の女性に対する罪もほとんど問題にされ
ていない(にもかかわらずオランダがやった裁判ではオランダ人女性を「慰安婦」に
した日本軍は起訴された)ことも最も重要な問題点のひとつであるようです。オラン
ダ軍もインドネシア女性を性搾取しており(兵舎の中で契約売春)、アメリカ軍も管
理売春をやっていた、そういう経験から、日本軍がアジア人女性をひどく扱ってもそ
れを「犯罪」として見る目はなかったのではないか、と上記「対談」で田中氏が述べ
ています。恥ずかしながら私は東京裁判に対するこうした観点は自分ではほとんどな
かったのではと思います。
 田中氏はまた、こうした軍隊の残虐性や性暴力などの一般性を見た上で、日本軍の
特殊性をきちんと見る必要がある、と重ねて述べています。

 特殊性と一般性、ということで言うと、現在起こっている「従軍慰安婦」問題に関
する「自由主義史観」派の攻撃も、その両面を見ておく必要があるでしょう。この攻
撃は、実は世界史的な流れの中にも位置付けられます。
 私は95年、仲間と共に旧ユーゴを訪れました。その後の現地NGOとの交流の中で、
あの民族対立の中で、今回の「従軍慰安婦問題」とほとんど同じ「歴史の偽造」が起
こったのだということを知りました。つまり、ある民族が他の民族に対して歴史上お
こなったといわれる差別や抑圧、虐殺、といった歴史が、一部の勢力によって「そん
なことはなかったのだ」「真ににくしむべきは、そういうことがあったと主張してい
るあいつらだ」という煽動がおこなわれ、こうした論理が民族対立の中で重要な役割
を果たしたそうなのです。
 さらにエピソードを紹介すれば、これはすでにかなり知られている話ではあります
が、旧ユーゴで各国軍隊の「民族浄化」という名の集団レイプが明らかにされたのは
、日本軍の性奴隷とされた韓国元「慰安婦」たちが自ら名乗り出たことに勇気づけら
れた旧ユーゴの女性達の運動があったからだそうです。「慰安普」問題の日本の女性
団体のポスターが、現地の女性団体の事務所で貼ってあり、そして対立している各共
和国のNGOが連携して活動していました。日本軍によって性奴隷にされ、そして50年
の年月を経て自ら名乗り出た彼女たちの勇気は、自国の軍隊の加害責任を問題にする
日本の女性達や平和運動を励まし、そして国境を越えて旧ユーゴやアジア各国の女性
運動を勇気づけたのです。
 旧ユーゴでは、冷戦構造の崩壊、東欧社会の崩壊に伴って混乱とエスニックな対立
が起こりました。その背景には現在に至る、新しい世界経済体制−グローバリゼーシ
ョン−の流れがあります。国境を越え、世界中に拡大し、IMFやWTOの力をわがものと
し、MAI協定の流れに見られるように国家よりも強大な力を持ちつつある多国籍企業
とその支配、そのグローバリゼーションが、ローカルのレベルではさまざまな歪みや
ゆがみを産み出し、民族主義が台頭したり(旧ユーゴ、アフリカ諸国内)、あるいは
民衆が反乱し(メキシコチアパス)、あるいはその反乱をおさえるために強権軍事支
配が強まる(ペルー)。そのような流れや文脈の中に、日本の「自由主義史観」派の
動きも位置づけられると思います。
 ですから、彼らの攻撃に対する私たちの闘いは、一部のくだらない連中をやっつけ
なければならない、と、ともすれば消耗感におそわれたりもするわけですが、そのよ
うな世界史的な流れの中の攻防の渦中にある、非常に重要なものだということもでき
ます。

 もともとの投稿からはどんどん話がそれてしまいましたが、是非とも述べておきた
いと思っていたことを、この場をお借りして一気に述べさせていただきました。

 長い文章で論点も定まらない駄文で失礼いたしました。御批判もあるかと思います
が、御容赦を。

 文中に引用したアジア女性資料センターの機関誌については、是非ご購入下さい。
私からもお勧めです。

 中山 均
 市民新党にいがた http://www.bekkoame.or.jp/~nnpp/
==========================================================================