Date: Tue, 26 Jun 2001 15:47:35 +0900
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Subject: [keystone 4056] 宮古・下地島の空軍基地化に反対しよう!
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 宮古・下地島の空軍基地化に反対しよう!
 
     発信者=井上澄夫(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック) 
        発信時=2001年6月24日
 
  沖縄・宮古の下地(しもじ)島にある下地島空港(民間ジェット機訓練飛行
場、滑走路約3000メートル)を空軍の基地にしようという、とんでもない計画
が、日米の軍当局によって進められています。
 下地島に空港を作る計画は、72年の沖縄の日本「復帰」をにらんで、琉球政
府の時代にすでに始まっていました。それについては、下地島で農業を営んで
いた元地主・石原文雄さん(現在、浦添市在住)が、6月21日付『沖縄タイム
ス』への寄稿で証言しています。それには、琉球政府の知念朝功副主席や同政
府通産局長が現地入りし、「日本政府とのパイプ役の重要さが痛感された。日
本政府および航空会社は極秘裏に下地島の現地調査を進めたのである。その間
日本政府は、山野幸吉特連局長を団長とする総勢17人の調査団を送り込み、そ
の決意のほどがうかがえたものである。」とあります。
  その訓練飛行場がなぜ今、日米の軍に注目されているか、その理由について
は、以下に掲載する拙稿をお読み下さい。本稿は、松下竜一さんが発行してい
る『草の根通信』7月号にまもなく掲載されますが、拙稿の末尾に記す追加情報
が示すように、事態が急を告げているので、諸メーリングリストへの掲載につ
いて、松下さんのご了解を得ました。
 
 
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  反戦エッセイ41
 
   道の島を侵略のルートにさせるな

  米中が直に銃火を交えたのは、朝鮮戦争(1950年〜53年)においてであっ
た。それから半世紀後の今日、米国のブッシュ政権は、中国を対抗すべき対象
とする軍事戦略に転換しつつある。イラクおよび朝鮮民主主義人民共和国と同
時に戦って勝つとする二正面対応戦略から、中国を相手とする一正面戦略への
転換は、クリントン政権の末期にすでに模索されていたが、ブッシュ政権は、
それを正式に採用する姿勢をみせている。
  この戦略転換が意味するのは、「日本がアジア・太平洋地域の安保機構の中
心になる」ことで、「日本は(アジア安保戦略上)地理的に理想的な位置にあ
る」と、ヘスター在日米軍司令官は言う(5・9付ワシントン共同)。中国の沿
海部、台湾、日本列島・琉球弧の位置関係を頭に浮かべれば、誰にもわかるこ
とだが、ヘスターが「理想的」と言うのは、沖縄の米軍基地の存在が、中国の
ノド元にアイクチを突きつける形になっているからである。それゆえ米国の新
戦略は、まぎれもなく、在沖米軍の強化を前提とする。
  その兆候が、宮古諸島の下地(しもじ)島を米空軍基地にしようという動き
にあらわれた。伊良部(いらぶ)町に属する同島には現在、民間のジェット機
訓練飛行場・下地島空港があるが、去る5月15日、つまり沖縄の日本への「復
帰」(72年)記念日をわざわざ選んで、米国防総省系のシンクタンク、ランド
研究所が公表した報告書「米国とアジア」は、新たな空軍基地として下地島空
港を指名した。
  米国側の動きは露骨である。5月1日から18日まで、米軍はフィリピン軍との
合同演習「バリカタン2001」を行なったが、その際米軍は、フィリピンへの往
復のため、下地島空港と波照間(はてるま)空港を武装ヘリの給油基地として
強引に使用した(4・28、5・16)。さらにそういう既成事実を踏まえ、5月22日
には、新任のベッツ在沖米総領事が下地島空港を視察した。
  下地島空港の滑走路は約3000メートルで、米軍にとっても自衛隊にとって
も、垂涎(すいぜん)の的である。極東最大の米空軍・嘉手納基地は、3689
メートルの滑走路を2本持ち、三沢、横田、岩国の各基地に連動している。現在
の米海兵隊・普天間基地の滑走路は、約2800メートル、計画中の名護新基地
は、2600メートルの滑走路を持つことになっている。
 ここで、中台間の紛争に米軍が介入する「周辺事態戦争」で想定される、沖
縄から台湾、フィリピンをつなぐ米軍の空路に想像力を馳せてみよう(カッコ
内は滑走路の長さ、単位メートル)。
 名護――嘉手納――普天間――那覇(3000)――下地島(3000)――波照間
(800)――石垣(現空港=1500、新空港〔予定〕=2000)――与那国(よなぐ
に、現在は1500だが、2006年度に2000に延長される予定)――台湾――フィリ
ピン。
 このルートのうち、近い将来を含めて戦闘機が使えるのは、名護、嘉手納、
普天間、那覇、下地島、新石垣、与那国であるが、武装ヘリは今でもすべての
空港を使用できる。
  与那国島からは、晴れた日には台湾が見える。八重山・宮古諸島から沖縄島
を経て、奄美諸島から吐?喇(とから)列島に連なり、九州に至る島々は、かつ
て「道の島」と呼ばれた。それを伝って、中国や東南アジア、南アジアから文
化が伝播し、豊かな交流がなされたからである。その文化の「道の島」を、中
国を包囲する侵略のルートにしようと米国政府はたくらんでいる。
 
 伊良部町の浜川町長や同町議会議長は現在、下地島に自衛隊を誘致しようと
活発に動いている。同町にとって、79年に開港した下地島空港は「運命共同
体」のドル箱であったが、民間ジェット機の訓練回数がピーク時の三分の一に
減り、町税収入の航空燃料譲与税が激減した。自衛隊の基地になれば、基地周
辺整備資金や基地交付金が入るから、それを元手に航空大学を誘致するという
のが、町長らの計画である。
 防衛庁は、中国を刺激するとして、当初逃げ腰だったが、自衛官OBの中谷
長官が浜川町長に「前向きに検討する」と表明するや、急に下地島空港は「戦
略的要衝」と言い始めた。
  浜川町長は、自衛隊誘致は「町民の総意」であるが、米軍は念頭にないと言
う。だが下地島空港が航空自衛隊の基地になれば、米軍が使うのは目に見えて
いる。米軍は、演習においてさえ、日米地位協定をタテに、民間空港を強引に
使う。防衛庁が「前向き」であるのは、「周辺事態戦争」で米軍とともに戦う
ためだから、下地島基地の共用は当然の前提である。
  「基地のない平和な島」を切望する沖縄の人びとに、米軍と自衛隊が、おそ
らく裏で連携しつつ、名護新基地以外にまた一つ、新たな基地を押しつけよう
としている。
 宮古では自衛隊誘致を阻止するための女性ネットワークが発足した。伊良部
町民も、実は半数近くが誘致に反対しているのだ。その声に呼応しようではな
いか。

  ◎『草の根通信』2001年7月号への寄稿(連載)

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〔追加情報

  下地島空港に自衛隊の訓練を誘致しようという計画を地元で主導しているの
は、自民党の下地幹郎(しもじ・みきお)衆院議員です。下地議員は、九州ブ
ロック選出で、当選2回、自民党沖縄県連常任顧問また衆議院沖縄及び北方問題
に関する特別委員会の委員です。6月25日付『沖縄タイムス』は、同24日、麻生
太郎自民党政調会長が、下地島空港を視察し、「立派な施設、全然使われてい
ないのが大きな問題。ある施設を有効に使うのは当たり前。橋も架かることに
なっており、(空港を)大いに活用すべく真剣に考えたい」と前向きな姿勢を
示した、と伝えています。麻生氏を案内したのは、下地議員と地元県議2人らで
した。
  この麻生氏の発言で触れられている「橋」とは、宮古島と伊良部島を結ぶ、
現在計画中の伊良部架橋のことです。麻生氏は、浜川伊良部町長にこう語りま
した。
 「(自衛隊誘致を)町がぜひ歓迎すると言うのは、本当かなと思いながらこ
の場に立っている。これができないと橋を架けた意味、橋を架けた理由にも関
係する。」
  発言は、明らかに、自衛隊誘致に反対している伊志嶺(いしみね)平良(ひ
らら)市長や伊良部町民などへの脅しです。伊良部町民にとって架橋が大きな
意味を持つことは言うまでもないでしょう。麻生氏は、その願いを逆手にとっ
て、自衛隊の誘致に反対するなら橋は架からないぞと脅迫しているのです。こ
れまで何度も繰り返されてきた利益誘導の手法ですが、悪質きわまりないと言
うべきでしょう。
  5月22日のベッツ在沖米総領事の視察に続き、自民党の政調会長までが現地に
赴いたのですから、事態が急を告げていることはまちがいありません。稲嶺県
知事は、下地島空港の米空軍基地化には断固反対という立場を表明しています
が、県の姿勢には自衛隊の誘致は別という気配が、すでににじんでいます。下
地島の空港以外の土地の6割が県有地であることを考えると、県がその気になれ
ば、自衛隊の常駐を可能にする空港の付帯施設(格納庫、兵舎など)の建設も
不可能ではないでしょう。また、残りの土地に、すでに魔の手が伸びているこ
とも考えられます。
 宮古群島で最も人口が多い平良市の現市長は、革新系で、自衛隊誘致に反対
していますが、伊良部町以外の他の4町村の組長は反対を表明していません。
  ブッシュ政権の好戦的な中国敵視の姿勢、中谷防衛庁長官や麻生氏の「前向
きの姿勢」に抗して、日米いずれの空軍基地化も許さないという世論を広めま
しょう。〕



 
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