愛媛県今治市からの朗報です。採択された陳情書は教育委員会に送付されます。
同様の趣旨で、松山市議会、県議会へも提出を予定。
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「こどもの人権と教科書の問題を考える越智今治の会」の弓山正路です。
6月21日、今治市議会本会議において、当会が提出していた陳情が採択され
ました!これを弾みにして、さらに「つくる会」教科書を採択させない世論を大
きくしていきたいと思っています。以下に陳情書を掲載します。
教科書採択に関する陳情書
〈陳情趣旨〉
2002年度から各小・中学校で使用される教科書の採択が、教育委員会を中
心にして、この7月(2001年7月)には行われる運びとなっています。
今年度は、新たに「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」)が
中学の歴史、公民の教科書を執筆、作成し、今回採択される教科書の候補本のひ
とつとなっています。
「つくる会」は、自分たちが作った教科書を各地で採択させるために、首長、
教育長、地方議会議員等に対して、「面談」をはじめとするさまざまな働きかけ
をして来ています。独占禁止法違反であるにもかかわらず、現在使われている他
社の教科書を誹謗中傷する冊子を作成、配布したり、「つくる会」の主要メン
バーが書いた「国民の歴史」「国民の油断」等の著書を全国の教育委員会、学校
長、社会科教師等に無料で送りつけてもいます。
この「つくる会」の運動には、KSD汚職事件で逮捕された小山孝雄氏をはじ
め多くの国会議員も関わっています。また各県ごとに国会議員や地方議会議員が
「教科書議員連盟」をつくって、「つくる会」の運動を支援しています。
ご存知のように、戦前の、教育に対する国家統制への反省から設けられた教育
基本法第10条は「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責
任を負って行われるべきものである」(第一項)「教育行政は、この自覚のもと
に、教育の目的を遂行するのに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなけ
ればならない」(第二項)と定めています。また文部省は、教科書の採択に関し
て「いやしくも外部からの不当な影響により採択結果が左右されることのないよ
う、適切な対応がなされなければならない」「過当な宣伝行為その他外部からの
不当な影響等により採択の適正、公正の確保に関し問題が生じた場合には、採択
権を有する者において適切な措置を講ずるとともに、その都度速やかに文部省教
科書課長あてに報告すること。」と通達しています。〔平成13年度使用教科書の
採択について(通知)〕
私たちは、このままでは、これから21世紀を担っていく子どもたちのための教
科書の採択が、教育現場からはかけ離れた一定の政治団体、政治勢力と、それを
支える政治家等の「政治的影響力」「政治的権力」といったものによって左右さ
れてしまうのではないかという、非常に強い危惧を持っています。
次に、「つくる会」の歴史、公民の教科書は、その内容そのものに重大な問題
があります。「つくる会」の公民教科書の代表筆者である西部邁氏は「(その教
科書で)人権主義、民主主義、平和主義に対しての批判を書いた」と、「つくる
会」会報で公言し、「つくる会」歴史教科書執筆者の小林よしのり氏は、自己の
著作の中で「戦争行きますか、それとも日本人やめますか」と書きました。そし
て実際の教科書の内容も、この基本姿勢どおり、ひとりひとりの人権や民主主義
を否定的に扱い、国家の利益や秩序を重んじる立場で貫かれています。日本国憲
法を否定的に描く一方で、大日本帝国憲法を評価し、戦争や核兵器さえ肯定的に
捉えています。
教育基本法は「われらは、個人の尊厳を重んじ真理と平和を希求する人間の育
成を期する」と謳い、日本国憲法には〈平和主義〉〈基本的人権の尊重〉〈主権
在民〉の三大原理があります。そして憲法第99条には、「公務員はこの憲法を
尊重し擁護する義務を負ふ」と明記されています。つまり、この「つくる会」教
科書を教育委員会が採択、採用し、教師が学校でこれを使って教えることは、憲
法違反の疑いがきわめて濃厚なのです。
そればかりか、この「つくる会」教科書の立場は「人権都市宣言」の精神と真
向から対立しており、学校での人権教育や市の人権行政との間に大きな矛盾を抱
えています。また「つくる会」歴史教科書は、日本が他国、他民族に対して行っ
た植民地化や侵略戦争を、自国の立場のみを強調して一方的に正当化していま
す。このように他国、他民族の立場を全く考慮することなく、自国の文化、歴史
のみを過剰に賛美する偏狭な自己中心的姿勢はこの教科書全体を貫いています。
このような教科書は、自己中心的な子どもではなく、他者を思いやれる子ども
を育てていこうとしている現在の教育現場の理念と実践に反するばかりでなく、
これからの21世紀をアジア、世界の人々と理解し合い、友好を深め、共に生きて
いかなければならない子どもたちの大きな妨げになることは明らかです。
よって、次の事項を陳情します。
〈陳情事項〉
以下のことを教育委員会に対して要請してください。
一、教科書の採択にあたっては、特定の教科書を採択させようとする団体の影響
を受けないこと。
一、日々学校教育現場の中心にいて、児童・生徒のこと、学級・学校の状況を最
もよく知り、実際にその教科書を使って子ども達に教える教師が、教科書の選択
に深く関われるようにすること。
一、教科書の調査、選定、採択は憲法と教育基本法に合致しているかどうかを基
準として行うこと。また、今治市「人権都市宣言」と矛盾しない内容の教科書を
採択すること。
一、アジア、世界の人々と共に、この21世紀を生きていかなければならない子ど
もたちにとって、真にふさわしい教科書を採択すること。
2001年6月6日
こどもの人権と教科書の問題を考える越智今治の会
代表 高井 弘之
(以上報告)
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行政が何をもって「中立・公正」とするかをしかと見極めてことにあたらないと
流されてしまう。
【石川県】
石川県教育委員会は十九日、来年度から使用する小中学校の教科書採択で、選
定にかかわった委員・調査員名や教科書を選んだ理由を、採択後に公表する方針
を明らかにした。公表は初めて。県教委は「全国的な流れに応じた措置」とし、
今後、公表方法を検討する。
委員名が公開されるのは、九つの採択地区協議会のメンバー(五〜十二人)と
県教委の県教科用図書選定審議会のメンバー、両会で教科書を読み比べ、選定す
るための資料をつくる調査員。
同選定審議会は「指導・助言」という形で、協議会への選定資料を作成中。県
教委は八月十五日までに文部科学省に採択結果を報告する。三重県では、選定審
議会の公開をしたばかり。
(北陸中日・石川 6月20日)
【福島県】
郡山市教委は来年度から小中学校で使われる教科書選定に当たる採択地区協
議会の委員名や、採択理由など教科書選びの過程を公表する。県教委が情報公開
の方向を打ち出したことを受けた措置で、県内では初めて。
20日の市議会本会議で、丹治勇市教育長が橋本武治議員(政友会)の一般質
問に対して答えた。丹治教育長は、委員名をはじめ、採択の結果とその理由、採
択地区協議会と採択のための臨時教育委員会の会議録を公表する方針を明らかに
した。臨時教育委員会については「審議の的確性を欠くことのない範囲内で、一
部の会議を公開する方向で検討している」と述べた。
また、教職員組合に入っている教職員の協議会委員などへの選任については
「政治的中立性を保持し、適正、公平な採択に徹することを前提に選任してい
る」として、組合所属の教職員を委員に選んでいないことを示唆した。
郡山市は昨年度まで田村郡との共同採択だったが、中核市としての独自性を発
揮するため、今年度から独自に採択作業を進める。
市の協議会委員は11人以内で、市教委が学校関係者、保護者、学識経験者か
ら選任している。採択作業が終了する8月16日以降に公表する方針。
(福島民報6月21日)
福島県郡山市教育委員会は二十日、公立小中学校で来春から使われる教科書を
選定する臨時教育委員会を市民に公開する方針を明らかにした。市民の傍聴や記
者の取材を可能とすることで、開かれた採択制度を確立、透明性を高めるのが狙
い。教科書採択現場の公開は全国で初めての試みで注目される。
≪各教委で工夫を≫
文部科学省教科書課の話 「郡山市の方針は把握していないが、教科書採択に
ついては、採択事務の円滑な遂行に支障をきたさない範囲内で積極的に公開する
のが望ましい。開かれた採択に向けて、各教育委員会が工夫してほしい」
(産経2001.06.21)
【長野県】
来年度から県内の小中学校で使用される教科書の展示会が20日、大町市大町
の市立大町西小学校を皮切りに始まった。21日以降、県内に15ある教科書採
択協議会の地域ごとに各2週間、順次開催される。県教委教学指導課は「例年よ
り多くの人に、実際に教科書を手にしてもらえるのでは」と話している。
「新しい歴史教科書」は、前書きなどを付した市販本が書店でも販売されてい
る。平安堂(長野市)では全店で今月2日に発売。これまでに約2000冊を売
り、一般書籍の売り上げでトップとなっている。
(毎日6月21日)
【鳥取県】
県教科用図書選定審議会の油野利博会長は20日、来春から小・中学校などで
使われる教科書の「選定に必要な資料」を県教育委員会に答申した。国の検定に
合格した全教科書の特徴などを比較した資料で、県内3地区の採択協議会は、こ
の資料も参考に、7月中ごろまでに使用する教科書を決める。 学校週5日制完
全実施に伴う新学習指導要領による初の教科書で、県民の関心も高いことから、
県教委は、これまで採択後に公表していたこの資料を一般にも公開する。 審議
会は県教委からの諮問を受け、小学校55点、中学校75点の教科書について検
討した。教科ごとに、範囲及び程度、創意工夫などの項目に分けて各教科書の特
徴を簡単に説明している。 国際問題にもなった扶桑社の中学歴史教科書につい
ては、「『人物コラム』を設定し、歴史上の人物への関心を高めている」「神話
に関する記述が多い」などと記されている。 資料の閲覧等に関する問い合わせ
は県教委小中学校課(0857・26・7935)。
(毎日6月21日)
片山善博知事は19日の県議会で、現在の教育委員会制度や教育行政の在り方
について、「委員の公選制も選択肢の一つ」などと述べ、構造改革を進める中で
見直すべきだとの考えを示した。 野田修氏(自民)の代表質問に答えた。 片
山知事は、具体例の言及を避けたが、自らの子育て体験から鳥取市教育行政への
強い不満もにじませながら、今の教育行政は保護者などの声に的確に答えておら
ず、「目が文部科学省に向いているのではないか」と印象を語った。 さらに、
知事部局独自の教育問題に関する取り組み例を示し、教委任せにしない考えを強
調、生涯教育部門を市長部局へ4月に移管した島根県出雲市の試みを「一つの見
識」と評価した。 また、住民意識と教育行政のずれが生まれる背景の一つに、
形がい化を指摘する声も多い教育委員会制度をあげた。 戦後の教育委員会は
「行政からの独立」を目的に、住民が委員が選ぶ公選制として48年に発足。し
かし、56年の地方教育行政法で任命制に変わり、予算編成権も失った。その
後、東京都中野区が79年、住民が実質的に委員を選ぶ独自の準公選制(94年
廃止)を設けて注目された例もある。
(毎日6月20日)
【岐阜県】
採択巡り動き様々 「つくる会」教科書
「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史・公民教科書(扶桑社刊)を
含め、来年度に使う教科書を選ぶ採択作業が進んでいる。賛否両論渦巻く「つく
る会」の教科書が採択されるのか、注目が集まる。県内の動きをまとめた。
http://mytown.asahi.com/gifu/news02.asp?kiji=515
●県教組 問題点探し
●市民グループ「不採択を」
市民の動きもある。
岐阜市では、母親7人のグループが「つくる会」の教科書を採択しないよう求
める要望書を市教育長に提出。可児市でも主婦ら90人のグループが市教育長に
同様の要望書を渡している。
一方、昨年12月の県議会では、「適切な教科書を採択する」ことを求めた請
願が自民党県議全員が紹介議員となり、賛成多数で採択された。
中心となった自民党の洞口博県議は「これまでの歴史教科書は見方が偏ってお
り、日本や祖先を愛する文化が育たないと思う」と話す。
同党県連は同様の請願を各市町村議会でも採択するよう県内党支部に指示して
いる。開会中の岐阜市議会で複数の市議が「つくる会」教科書の採択に触れる一
般質問をし、あるいは予定するなど、反対、賛成両派の動きは活発化しつつあ
る。
●大半の私立中 公立に追従
●県教委 理由を公開
県教委は今回の採択にあたり、これまで非公開だった次の2点を公開に踏み切
る。(1)県内6地区の採択協議会に出した、全教科書について参考意見を付け
た採択資料(2)同資料を作った県教科用図書選定審議会の委員名。採択作業が
正式に終わる8月16日以降、公開請求があれば出すという。
文部科学省の通達を受けての措置だが、「どの教科書を選ぶのか世間の関心が
非常に高い。選んだ理由を説明できなければいけない」(学校支援課)という。
各採択協議会にも「採択理由を示せるよう準備してほしい」と出先の県教育振
興事務所を通じて呼びかけている。
ただ、選ぶ過程の議論が分かる議事録は、公開対象にすると「自由にものが言
えなくなる」として非公開の方針。愛知県教委などが議事録などまで公開するよ
う各協議会に求めているのと比べ、消極姿勢が目立つ。
(朝日6月20日)
【熊本県】
県内の小中学校で来年度から使われる教科書の採択へ向けた教科書展示会が1
8日、熊本市など5会場で始まった。
展示会は県内59カ所の会場で30日までに順次始まり、1週間から20日間
程度開かれる。会場で寄せられた意見は地区ごとに集約され、採択の参考にされ
る。
中学校の社会科については、各出版社に対する文部科学省の検定意見書と修正
表も閲覧できる。県教委は「文部科学省の判断だが、修正も多く、注目されてい
るからではないか」と話す。
教科書採択は8月15日が最終期限。県内では熊本市と県教育事務所の管轄地
域に対応した11の採択地区がある。
今回の採択にあたっては、事前に「つくる会」などが制度改善を求める請願を
県や多くの市町村議会に提出。手続きを含めて賛否の議論が高まっている。
県教委によると、これまでは教師ら研究員の研究結果を受けて、採択権を持つ
各市町村教委の代表らで構成する委員会が選定。各市町村教委が採択してきた。
しかし、県教委は昨年、各教育事務所を通じて各地区に「公正中立を確保する
ため、保護者らで構成する『選定委員会』を設けた方がいいのではないか」と指
導。これを受けて各地区では新方式を採り入れている。
菊池地区では、保護者の代表3人、校長会の代表3人、学識経験者6人の計1
2人で選定委員会を設立。委員会の意見を聞いたうえで、教育長ら計9人で構成
する教科用図書採択協議会が最終的に教科書を決める。他地区もほぼ同様だとい
う。
(朝日6月19日)
【山梨県】
中高一貫教育の導入を目指す組合立甲陵高校。
酒井寛校長(58)は「組合立中学校が併設されれば、『伝記講読』の時間を取
り入れたい」と意欲を燃やしている。
生徒たちに「理想の人物像」を尋ねると、多いのは「お父さん」「お母さん」
という答え。「もちろん悪いわけではないが、親の立場からすれば、そんな小さ
な目標でいいのかとも思う。もっと大きく考えて欲しい」と願ってのことだ。
「中高一貫教育は受験だけが目的でなく、高い志を持った気骨ある人材の育成
が目標。伝記講読もその一環。理想像を作り上げてほしい」と話している。
(読売6月20日)