前田 朗@歴史の事実を視つめる会、です。
5月10日
1) ベルギーのブリュッセル地裁で、ルワンダから逃げていたツチ虐殺戦犯容
疑者4人に対する裁判が行われています。日本ではまだ報道されていませんが、
ニューヨーク・タイムズ、ロイターやフランスのメディアでは何度か取り上げら
れているようです。
2) 本日夜11時、NHK衛星放送のBS23ワールド・ニュースが、この裁
判を取り上げる予定です。
3) ベルギーは1999年2月に国際人道法違反処罰法を改正して、ジェノサ
イドや人道に対する罪は、世界のどこで行われたものでも、被害者や加害者の国
籍がどこであろうと、ベルギーの裁判所で裁くことができることにしました。一
国による全面的な普遍的管轄権の主張です。
4)この法律に基づいて、イランのラフサンジャニ元大統領について予審手続き
を行ったり、ポル・ポト派やコンゴのカラビ大統領を告発したり、コンゴ民主共
和国のンドンバシ外務大臣については国際逮捕状を発したりしています。そし
て、今回、初めて裁判が始まりました。ルワンダで、ルワンダ人がルワンダ人
(ツチ族)を殺した事件について、ベルギーの地方裁判所で裁くという画期的な
(不思議な)事態です。
5) ベルギー法については、前田朗「ベルギーの国際人道法違反処罰法――普
遍的管轄権の新展開」Let’s30号(日本の線総責任資料センター、2001年
3月)参照。