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東京・練馬から全国のみなさんへの緊急のアピール
山田一義・練馬区議会議員に、全国からＦＡＸを集中して下さい！
発信者＝井上澄夫（練馬区民、ジャーナリスト）
発信時＝２００１年５月５日
全国のみなさんに訴えます。東京都の練馬区議会で、「エッ！」というよう
な、とんでもないことが起きようとしています。
私は、「戦争に協力しない！させない！練馬アクション」（以下「練馬アク
ション」）のメンバーとして、昨年の秋以来、自衛官ＯＢの組織である「隊友
会」など、自衛隊の協力団体による練馬区議会への危険な請願の動きを、いく
つものメーリング・リストで、逐一レポートしてきました。
昨年９月１２日、「隊友会」などは、〈自衛官募集広報を区報に掲載するこ
と、および区役所正面のホールに、自衛官募集ポスターを掲示すること〉を求
める請願書を提出しました。その動きを知った練馬区民たちは、危険な動きに
対抗して、逆の陳情を区議会に提出するなど、一斉に反撃を開始しました。
私が参加している「練馬アクション」は、最高齢のメンバーである小松 丸
さんが、「『自衛官の募集に関する事務』の縮小に関する陳情書」を提出しま
した。それに続き、「練馬アクション」は、小松さんの陳情を支持する署名
を、次々に区議会事務局に届けました。また、別の住民グループや反戦・平和
団体も、自衛官募集に区が積極的に協力することを阻止するための陳情を提出
しました。
その結果、問題の請願書は、昨年１１月２４日の区民環境清掃委員会で、か
ろうじて「継続審議」扱いになりました。そしてさらに、同委員会の正・副委
員長の間の話し合いで、自衛隊に関連する問題は、憲法や国政にかかわる重い
政治課題であり、同委員会での審議になじまないので、同委員会では今後、扱
わないという合意がなされました。これで問題の請願は、いわば凍結、塩漬け
にされたわけです。
ところが、最近になって、事態が急変しました。上述のように、区民環境清
掃委員会で、問題の請願が「継続審議」にされる際に〈鍵〉となったのは、山
田一義（かずよし）という、民主党員として会派「民主党・無所属議員団」に
属する議員でした。彼の立場は、「請願の内容には賛成だが、会派間で意見が
大きく分かれているのだから、採決すべきではない」というもので、そのた
め、問題の案件は「継続審議」になったのです。
私は、昨年１１月２４日の同委員会での審議を傍聴しました。そこで実見し
た「審議」は、およそ審議の名に値するものではありませんでした。自民党の
議員らがひたすら採択を迫り、問題の隊友会などの請願書に対する賛否両論
が、とげとげしい言葉で飛び交うだけで、両派の隔たりは、余りに大きいもの
でした。ですから、問題の請願や「練馬アクション」などの反対陳情について
採決を避けることは、確かに選択肢の一つたりえたと思います。請願や陳情の
採択は、区議会としての公的な意思表示ですから、慎重な審議が求められるの
は当たり前です。まともに審議されない案件を数の力で押し切るとすれば、そ
れは区議会の意志たりえません。
ところで、同委員会は１０人で構成され、委員長（自民党）を除くと、「隊
友会」などの請願に賛成する議員が、自民党２名、公明党２名で、反対する議
員が、社民党１名、共産党１名、生活者ネットワーク１名、会派「緑と自治」
１名でした。したがって、民主党の山田一義議員が、キャスティングボートを
握っていたわけで、彼の「請願の趣旨賛成・採択反対」の姿勢が、「継続審
議」扱いの決め手になったわけです。
ところが、本年２月、山田議員は、会派「民主党・無所属議員団」を離脱
し、一人会派（無所属クラブ）になりました。そしてその後、民主党本部に離
党届けを提出し、本年６月の都議選（もう、まもなくです）に立候補すること
を表明しました。
会派からの離脱や離党、あるいは都議選への立候補は、山田議員個人の決断
によるのですから、むろん問題にすべきことではありません。しかし、山田議
員は、区議会で一人会派になり、次の都議選に立候補することを表明したとた
ん、区民環境清掃委員会での、問題の請願に対する、これまでの《採決反対》
の態度をコロリと変えて、《審議の再開・促進》を主張し始めたのです。
練馬区議会事務局の説明によると、「継続審議」扱いになり、上記のような
正・副委員長の合意がなされた案件でも、議員から《審議再開・促進》の要請
があれば、委員会は扱いを検討しなければならないそうです。しかし、「継続
審議」の形で、昨年１１月、事実上棚上げにされた問題の案件については、当
然のことに、その後は審議されていません。上述のように、今年になって山田
議員は態度を翻し、区民環境清掃委員会で、《審議の再開・促進》を二度にわ
たり主張しましたが、同委員会は、審議しませんでした。
つまり、「継続審議」が定着し、新たな審議がなされていないにもかかわら
ず、山田議員は、次の委員会で、今度はいきなり採決を要求すると言われてい
ます。しかも、もともと問題の請願書の採択に奔走してきた自民党のＴ委員
（この人物も次の都議選に立候補を表明しています）が、山田議員に同調して
採決を強硬に主張した場合、委員長（自民党）が同調する可能性が大きいので
す。そうなると、５対４で採択されてしまいます。
それにしても、山田一義議員の態度の転換は、どういうことなのでしょう
か。会派「民主党・無所属議員団」を離れて、一人会派になり、都議選への立
候補を表明したとたん、それまでの主張を完全に翻（ひるがえ）したという事
態を、どう理解すべきでありましょうか。
議会の審議における議員の意見表明は、議員それぞれの信念に基づく政策の
開陳であり、それには、むろん公的な責任が伴います。それは、所属会派の変
更や別のレベルの選挙への立候補によって、コロリとひっくり返るようなもの
ではないはずです。またそういうことを平気で行なう人物は、そもそも議員と
しての資格が問われると言うべきでしょう。
しかも、都議選に立候補する山田議員は、６月１４日の区議会の本会議には
出席するかもしれませんが、都議選の公示日が、その翌日ですから、その時点
で、もう練馬区議会議員でなくなります。彼の強硬な姿勢によって、区民環境
清掃委員会で問題の請願が採択されたとしても、それは、「本会議で採決すべ
きもの」であることを意味するだけですから、実は本会議での採決を経ねばな
らず、それがなされるはずの本会議は７月になるのです（議会事務局の説
明）。
つまり山田議員は、委員会での採択だけにかかわり、あとは一切責任を負わ
ないのです。これは、全区民に責任を負う区議会議員として、あるまじき行為
ではないでしょうか。
山田一義議員の１８０度の態度転換は、もっぱら、都議選で「隊友会」など
自衛隊協力団体の票をもらうためではないかという推測が、区議会の内外でな
されています。都議選で、練馬区は、一つの選挙区になっているので、山田議
員は、区議としての地盤に、そのまま依拠して都議選をたたかうことになりま
す。ですから、これまでの支持基盤を大きく拡大することによって当選をめざ
すと見られるのは、自然のなりゆきでしょう。
しかし、そのような推測がどこまで当たっているかどうかにかかわらず、区
民環境清掃委員会での審議を促進させるだけで、最終的な責任を負わない姿勢
は、厳しく批判されるべきでしょう。そして、そういう人物が、果たして、全
都民に責任を負う都議会議員にふさわしいかどうか、私たち練馬区民は、熟考
せねばなりません。
米中間の緊張が高まり、日中間にも暗雲が漂い始めています。台湾海峡をは
さむ軍事的な緊張は、「周辺事態」に発展する危うさを秘めています。キナ臭
い情勢を鎮静化させる努力が求められているとき、自衛官募集への協力を区に
迫る動きを、区議として支援することは、戦争と戦争協力に反対する、すべて
の区民の思いを踏みにじることです。
ことは、新ガイドライン安保体制の下で、若者たちを自衛官として「周辺事
態戦争」に送り出すという、深刻な問題にかかわっています。
練馬区議会の次の区民環境清掃委員会は、もう、数日後、５月８日（火）午
前１０時からです。
私たち練馬区民には、ほとんど時間が残されていません。山田議員に手紙を
出した人もいますが、正直なところ、私たちは苦闘を強いられています。
戦争と戦争協力に反対する全国の仲間のみなさん！ 私たちを、どうかご支
援下さい。山田一議議員の態度の転換を批判し、翻意を促すＦＡＸを、練馬区
議会に、至急、送って下さい。「練馬区議会議員・山田一義様」と記せば、山
田議員に届きます。
彼が、問題の請願の趣旨に賛成していることも、むろん問題です。しかし、
都議選を前に、態度をコロリと変えたことに疑問を呈し、そういう姿勢で都議
選に臨むことはおかしいのではないかと説得する内容の文面が、おそらく効果
的だろうと思います。また、全国的には無名の山田一義という人物のふるまい
に、全国各地の人びとの目が注がれていることに、注意を喚起させることも重
要だと思います。
全国のみなさん、５月７日（月）午後までに、多くのＦＡＸが練馬区議会事
務局に寄せられれば、あるいは事態の打開につながるかもしれません。
どうか、どうか、私たちをご支援下さい。よろしくお願いします。
山田一義・練馬区議会議員へのＦＡＸは、次の練馬区議会事務局のＦＡＸに
送って下さい。
練馬区議会のＦＡＸ＝０３・３９９３・２４２４
◎事態が非常に急迫していますので、このアピールは、小松丸さんと話し合っ
て、私（井上）の個人アピールとして発信します。