前田 朗@歴史の事実を視つめる会、です。
5月4日
1) カンボジアのポル・ポト派による虐殺を裁く法廷づくりがようやく少し動
き始めています。ここ2-3年、何度か動きかけては停滞していましたが、年内
に設立されるとの見とおしだそうです。
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朝日新聞5月3日
ポル・ポト派幹部 特別法廷年内設立か
3日発売の香港の経済誌ファー・イースタン・エコノミック・レビュー誌によれ
ば、カンボジアのフン・セン首相はこのほど同誌と会見し、ポル・ポト派指導者
らによる虐殺犯罪を裁く特別法廷が9月の国連総会の前にも設立されるだろうと
の見通しを語った。
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2) これは直接的には4月に開催された国連人権委員会の決議に促されたもので
す。これまでも国連サイドからの働きかけが続いていましたが、4月25日に、人
権委員会は、カンボジアにおける人権状況に関する決議(E/CN.4/2001/L.101)
を満場一致で採択しました。
プレスリリースによると、決議は、「カンボジア現代史におけるもっとも重大な
人権侵害がクメール・ルージュによって行われたことを確認する。クメール・ル
ージュの最終的崩壊を歓迎する。カンボジア政府がクメール・ルージュの指導者
らを、もっとも重大な人権侵害について裁判にかけるための措置をとっているこ
とを留意する。民主カンプチア時代に行われた犯罪を訴追するためのカンボジア
の裁判所に特別法廷を設立する法律案の議会での採択に前進していることを歓迎
する。カンボジア政府に今後の進行を遅滞させないよう促す」としています。
当初は国際法廷の設置が目指されましたが、カンボジア政府が国内法廷を主張
し、一時は国際・国内折衷型が提案されたりしましたが、結局、国内法廷を国際
的監視のもとに行うことになっています。それがようやく実現する見こみとなっ
たわけです。(なお、シエラレオネでは、国際・国内折衷型の特別法廷を設置す
ることが国連とシエラレオネ政府の間でまとまっていますが、果たしてどうなる
か)