前田 朗@歴史の事実を視つめる会、です。
4月14日
1) すでに報道されているように、4月11日に、人権委員会で、日本の歴史
教科書問題をめぐる応酬がありました。朝鮮、日本、韓国、朝鮮、中国の順で発
言しています。議題13の「子どもの権利の保護」です。これまで「慰安婦」問
題は長い間、議題12の「女性に対する暴力」で取り上げられてきました。今回
も9日と10日に「女性に対する暴力」で激しい応酬がありました。それで終わ
ったと思っていたら、今回は「子どもの権利の保護」でも取り上げられたので
す。しかも、中国まで。9・10日の「女性に対する暴力」の時には沈黙してい
た中国が発言しました。中国が発言希望を出した瞬間の日本の大使の顔を見てみ
たかった。99年や2000年の人権委員会では、NGOの発言が3−6本で、
政府は朝鮮が1回発言するだけだったのが、今回は逆に、NGOが1回だけで、
政府は9日と11日で合計12回の発言です。
2) 以下、11日のプレスリリースの関連部分を紹介します。
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1) 朝鮮政府の発言
新しい世代が、良好な精神的発達のために、正しい教育を通じて過去から学ぶ
よう保証することが重要である。このことは、過去において侵略戦争のさなかに
人道に対する罪を犯した国家には特に肝要なことである。最近、日本政府は、強
い抗議と非難を受けたにもかかわらず、朝鮮人に対するものを含む人道に対する
罪を捻じ曲げ、あいまいにした歴史教科書を是認した。朝鮮民主主義人民共和国
は、日本政府の意図的で狡猾な歴史の歪曲は、朝鮮人やその他の被害を受けた諸
国の被害者への耐え難い恥辱と侮蔑であるので、強く非難し、拒否する。日本の
教科書は国際共同体への詐欺に等しい。
2) 日本政府の反論権の行使
日本政府は子どもの権利条約の諸原則をしっかり守っている。日本には教科書
をチェックする教科書審議会がある。子どもたちは、第二次大戦は破壊的だった
(ひどいものだった)という日本の教科書を与えられている。過去の戦争におけ
る行為についての日本政府の見解は、1995年の総理大臣談話であり、日本が
多くの諸国、特にアジア諸国の人民に苦痛を引き起こしたことを述べている。自
責の念(remorse)を表明している。それは日本政府の公式見解である。
3) 韓国政府の反論権の行使
子どもの権利条約29条に規定されているように、若い世代に人権尊重を教え
ることが重要である。この点で、韓国政府は、政府はどのような歴史教科書が学
校で用いられるかを決定する立場にないという日本政府の説明に懸念を有する。
いずれの国家も、子どもが真実の教育(truthful education)へのアクセスがで
きるよう保証しなければならず、国家は歴史の歪曲を続けることを許してはなら
ない。
4) 朝鮮政府の反論権の行使
日本が人権蹂躙と戦争犯罪を犯したことはよく知られており、十分証拠があ
る。日本人(The Japanese)は、20万人の女性を日本軍兵士の性奴隷にした
し、100万人の朝鮮人を殺したのに、謝罪もなされていないし、犯罪を認めて
いないし、被害者への賠償も払われていない。なぜ特別報告者(*クマラスワミ
さん)が、賠償については何もなされていないと指摘しているのか? なぜ被害
者がいまなお賠償を求めているのか? なぜこの問題が国際フーラムで問題とし
て浮上しつづけているのか? 日本が過去の犯罪の歴史を歪曲しようとするから
である。
* 議題13「子どもの権利の保護」には別の特別報告者がいるが、この
発言の文脈と内容からみて、クマラスワミさんを指している。
5) 中国政府の反論権の行使
中国政府は日本政府代表の発言を拒否する(rejected)。過去の歴史について
の日本による正しい理解は、日本社会だけではなく、アジアと世界にも関係す
る。日本がこの点で責任逃れしようとしているのは残念である。