Date: Sun, 25 Mar 2001 08:36:52 +0900
From: Watanabe Yoichiro <nabe@mbd.sphere.ne.jp>
To: Keystone ML <keystone@jca.ax.apc.org>,Save-Dugong ML <Save-Dugong@okinawa-u.ac.jp>
Subject: [keystone 3727] ジュゴン保護に関する国会での質疑(2001年3月23日参院予算委員会)
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 3727
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

渡辺@ジュゴンプロジェクト発起人&ジュゴン保護キャンペーンセンターHP制
作担当です。
テープ起こしならぬ、realplayer起こしをしてみましたので、投稿します。
よく聞き取れないところもあったのと、わかりきっている答弁のところは
メンドくさかった(あせ)ので省略してます。聞き書き(というか聞き打ち)
なので間違いもあるやもしれません。

なお、せっかく起こしたので、キャンペーンセンターのHPに収録しようと
思ってます。URLは末尾を参照して下さい。
 

2001年3月23日参院予算委員会
http://online.sangiin.go.jp/vod/SA200103230102.ram
開始後2:00〜2:23より、聞き書き
----------------- 以下、聞き書き ------------------------------

●岩佐恵美(共産党)
 わたしは、沖縄のジュゴンの問題について伺いたいと思います。
絶滅の危機に瀕しているジュゴンが沖縄本島という北限に定着して生存してい
るというニュースは、国際的にも大きな注目を集めました。ジュゴンの国際的
評価、および沖縄のジュゴンに対するIUCNによる決議の内容は、どうなっ
ているんでしょうか?

●川口環境大臣
 (略)

●岩佐
 市民団体の方からパネルを借りてきました。
ジュゴンは、アメリカで大切に保護されているマナティと同じ、海牛目の仲間
です。
平和的生き物として人気が高いんですね。
このジュゴンですけれど、日本での評価、およびその対応はどうなっているん
でしょうか?

●西尾自然環境局長
 現在、文化財保護法や水産資源保護法により捕獲等が規制されているところで
す。

●岩佐
 防衛施設庁は、沖縄のジュゴンに関わる予備的調査を行いましたが、その結果
について報告していただきたい。

●斉藤防衛庁長官
 (略)

●岩佐
 かろうじて生存している沖縄のジュゴンです。ところが、毎年のように死
体が発見されています。何頭、どんな状態で発見されているのでしょうか?

●文化庁
 略(過去10年間で9頭発見されていることなど)

●岩佐
 わたしも衝撃を受けているのですが、9頭の死体の内6頭は漁網にかかっ
て発見されています。確認されているだけで、ほぼ毎年1頭ずつ死体で発見さ
れています。
昨年は特に多くて、3頭死にました。子どものジュゴンも犠牲になっています。
文化庁は、天然記念物であるジュゴン保護のためにどんな対策をとっているの
でしょうか?

●文化庁
 具体的には、文化庁長官の許可を受けない限り、捕獲を禁ずるという措
置をおこなっています。

●岩佐
 農水省はどのような対策をとっておられるのでしょう?

●谷津大臣
 偶発的に捕獲された場合も、生きたまま速やかに海に放すように漁業
者を指導しております。

●岩佐
 ジュゴン対策は非常に急を要するんです。
絶滅のおそれのあるジュゴンは、国際的に種の保存が求められている野生動物
です。
3年から5年に1度しか、こどもを産みません。このままでは、沖縄の個体群
を維持できなくなる可能性があると、専門家は指摘しています。
きちんとした保護をしなければ、日本の環境保護の姿勢が国際的にも問われる
と思います。
種の保存5条で(?)、緊急指定して、環境省として保護につとめるべきです。

●川口環境大臣
 環境省として、どのような対策を講じるべきか、関係省庁と連携
して検討を進めます。

●岩佐
 環境省としてきちんと取り組めないということが、関係者からいま、一番
危ぐされています。なぜかということをいろいろ調べていくと、種の保存法の
国会提出に当たって、環境庁自然保護局長と水産庁長官が、ジュゴンを種の保
存法の対象から外すという覚書を交わしてしまっているんですね。だから、環
境省として積極的に動けなくなってしまったわけです。
覚書はどんな内容になっているんでしょうか?

●環境省
 意図せずに捕獲される水産動植物を規制対象から除くという趣旨です。
ジュゴンは、意図せずに捕獲される水産動植物に該当するものです。
従って、ジュゴンは、種の保存法の対象から外れる、という解釈となります。

●岩佐
 沖縄のジュゴンは、深場で休息し、海岸近くの浅いところで海草を食べて
います。この行き来の道を安全にしなければ、ジュゴンは保護できないことに
なります。
それなのに、環境省は、ジュゴンを意図せずに捕獲される動植物からはずし、
積極的な対策を立てないできました。
それでは、環境省も、ジュゴンが漁網にかかって死んでいるのをやむを得ない
と、傍観していることになると思います。
このまま放置していたら、とんでもないことになる、と思うのですが、環境庁、
いかがでしょうか?

●川口
 ジュゴンが確認された事例は非常にすくない。生息の頭数は非常に限られ
ていると思います。漁網で死亡することは、沖縄のジュゴンにとって非常に大
きなことだと思っています。
一方でジュゴンの保護を考えると、漁業で生活しておられる方の理解・協力が
重要であります。

●岩佐
 ジュゴンを、漁業の発展を目的とする、水産資源保護法の対象とする、そ
こに問題があるんです。これは、国際的に通用しないんです。種の保存法の国
内稀少野生動物種にただちに指定して、種の保存対策をとらないと、ジュゴン
は絶滅をしてしまいます。トキの二の舞になります。
緊急にジュゴンを種の保存法に指定して、保護するために、ジュゴンを覚書か
らはずすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

●谷津
 種の保存法の制定時には、すでに水産資源保護法で、同様に野生動植物の
保護を行っているところでした。このため、法律上の整合性をはかるために、
かつての環境庁との間で話し合って、混獲されるものを種の保存法の対象から
除外したもので、これによって、ジュゴンも水産資源保護法の規制対象とした
ものと承っております。
ジュゴンの保護のため、どのような法律が適当であるか、今後、環境省とも相
談して検討していきたいと思っておりますが、農林水産省としては、覚書から
外すことも、良いと考えております。

●岩佐
 たいへん積極的な、農水大臣のご答弁がありました。関係者のみなさんは、
ホントに喜ぶと思います。環境大臣、いかがですか。その方向で、ご努力され
てはと思います。

●川口
 ただいま、谷津大臣からご答弁がございましたので、環境省といたしまし
ては、前向きに検討していきたいと考えます。

●岩佐
 いま、沖縄のジュゴンを守るための緊急課題、さきほども指摘されました
が、「混獲」の問題があります。定置網にかかれば、生きて発見されても、専
門家による救助までに時間がかかります。その間に弱ってしまう。そして命を
落とす、ということもあります。生きて解放した例は、一・二例しかありませ
ん。特に身体が引っかかる構造の刺し網にかかることは、海面に顔を出して呼
吸をするジュゴンにとっては死を意味する、専門家はこう申しております。
ジュゴンが網にかかれば、漁を中断して、漁網に被害が出るなど、漁民の負担
は大きいのです。
ジュゴンを生かすことは、漁民の願いでもあるんです。沖縄でもたいへんな人
気者ですから、ジュゴンに死んでほしくない、これは漁民の願いでもあるので
す。
漁民が、ジュゴンが網に掛かることを心配しないで安心して生活できるように、
農水省が漁民とよく話し合って対策を講じてほしいとおもうのですが、いかが
でしょう。

●谷津
 ジュゴンの生態に関しては、科学的な知見が不足している、そういうこと
から、意図しない捕獲は、漁業者も望んでいない、そう、理解しております。
今後、文献等でも調査しながら、混獲防止の対策を行うことを考えております。

●岩佐
 生物多様性条約では、科学的知見の不足を対策の遅れの理由にしてはなら
ないと指摘しております。知見が不十分だったら本格的に調査する、あるいは
研究するということが大事だと思いますし、混獲との関係で積極的な取り組み
を期待したいと思います。
防衛施設庁の予備的調査で、名護市辺野古沖の沿岸に、ジュゴンの生息が集中
している、ということが明らかになりました。まさにそこに、政府は米軍基地
を建設しようとしているわけです。
IUCNの決議は、基地建設がジュゴンの生存に重大な脅威を与える危険があ
る、と警告しています。そして、環境影響評価を早急に実施するよう求めてい
ます。基本計画の策定前に、きちんとしたアセスを行うべきだと思うのですが、
防衛庁、いかがですか?

●斉藤防衛庁長官
 ご指摘された普天間基地の代替施設の件ですが、基本計画の策
定に必要な事項について、調査を進めているところです。この基本計画をふま
えて、環境影響評価を実施することを考えております。
一昨年末の閣議決定にもとづきまして、環境影響評価を実施するとともに、そ
の影響を最小限にくい止めるための対策を適切に講じるなど、ジュゴンを含む、
自然環境に著しい影響を与えることのないよう、最大限の努力を行っていこう
と思っております。

●岩佐
 建設計画が先にありき、ということではなく、沖縄のジュゴンの生態はま
だまだわかっていないことが多く、しかも生態がわからないまま、絶滅に追い
やられようとしているんです。
ジュゴンは大人になるのに、9年から10年かかります。3年から7年に一回
しかお産をしない。そういうなかで、子どものジュゴンも網に掛かる、そうい
うつらい立場に沖縄のジュゴンは置かれています。子どもは3年くらい、母親
と行動をともにするそうです。寿命も70年くらいと長いのです。ぜひ、基本
計画策定前に十分なアセスを行ってもらいたい、ということで、質問を終わり
ます。

----------------- 以上、聞き書き ------------------------------
 

では(^^)/
--------------------------------------------------
 渡辺洋一郎      常用 <nabe@love-dugong.net>
                 PHS <nabe@meb.em.nttpnet.ne.jp>
 「すべてのPCにジュゴンを!」プロジェクト
     ここに↓引っ越しました。よろしくネ。
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