Date: Sun, 11 Mar 2001 15:15:09 +0900
From: "MAEDA,Akira" <maeda@zokei.ac.jp>
To: keystone <keystone@jca.ax.apc.org>,"pmn@mail.jca.ax.apc.org" <pmn@mail.jca.ax.apc.org>,"renko-ml@egroups.co.jp" <renko-ml@egroups.co.jp>
Subject: [keystone 3676] 人種差別撤廃委員会日本政府報告書審査(3)
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 3676
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

前田 朗@人種差別撤廃条約NGO連絡会、です。
3月11日

************************************
*****

 CERD58通信 第3号(2001年3月8日、但し9日の訂正版)
   人種差別撤廃条約NGO連絡会
   ジュネーヴ発
   担当:前田 朗、大谷美紀子
 

1……ブリーフィング

 CERDの審査に先だって、8日午後、NGO連絡会はパレ・ウィルソンでブリーフ
ィングを行った。
 参加委員は、約10名。NGO連絡会は25名ほど。

 最初にNGO連絡会から、石原ネット、在日コリアン、慰安婦問題につき、前日
の委員の質問に答えた。
 次に、アイヌ(北海道ウタリ協会・小中)について、文化振興法にもかかわら
ず、教育分野で差別が残されている。アイヌについて日本人への教育もない。ア
イヌのための教育システムもない。日本によるアイヌ侵略の歴史を説明。
 次に、沖縄(照屋)。琉球処分や現在の米軍基地問題を取り上げて、日本によ
る沖縄差別を説明。米軍犯罪の多発、女性と子どもの被害、SACOにつき言及。
 さらに在日コリアン(岡本)。チマチョゴリ事件の発生、犯行者の不逮捕・不
処罰、法務省の人権グッズの欺瞞、創氏改名と今日の日本名使用、民族教育(言
語、文化)の状況、日本政府による朝鮮学校差別、65年文部次官通達等を説
明。
 移住労働者(鈴木)。小牧のエルクラノ事件における外国人襲撃。アジアの女
性の人身売買と強制売春、日本人と結婚した女性に対するDM、出入国センター職
員による暴行やセクシュアル・ハラスメント、神奈川県警の差別ポスター、人権
侵害被害者の相談件数の少なさ。
 石原発言に関するビデオ上映と解説(辛)。差別扇動、デマ、軍隊に対する扇
動。意図がないから人種差別ではない?。日本における外国人差別は世界に共通
の問題。
 最後に外国人差別(ラズロ)。公衆浴場などの公共の場所からの外国人排除問
題。
 ディアコヌ委員から北海道、沖縄の人口構成について質問。日本の国籍の考え
方も話題に。

2……CERD日本政府報告書審査

 雨の8日午後3時、いよいよCERDの日本政府報告書審査開始。傍聴は、メディ
アも含めて40人以上。ほぼ満席状態。パレ・デ・ナシオンの会議室であれば1
0人しか入れなかったので、パレ・ウイルソンになって良かった。北朝鮮代表部
も傍聴。
 冒頭、議長が国際女性デーであることを強調した。
 日本政府がまず報告書のプレゼンテーション。大使は型通りのあいさつ。尾崎
課長が内容紹介。アイヌ、在日コリアン(特別永住を説明)、外国人について概
説。次に人権侵害を受けた場合の救済として憲法、民法、刑法を説明。人権擁護
局、人権教育の促進も。最後に4条留保について説明。特に追加情報はなし。

 次にロドリゲス委員(エクアドル)――憲法98条の条約の国内効力から説き
おこし、裁判所が条約をどう適用しているかを発問。アイヌについて人口構成、
伝統的差別、アイヌと名乗れない、日本名使用、同化政策。アイヌについて具体
的成果を知りたい。定住プログラムが成功しなかったら追加報告をしてほしい。
1997年法は先住民と認めていないのか。社会には差別行為が続いているよう
だが。
 外国人の3分の1を占めるコリアン、法的地位に関する討論の促進、特別な入
国管理法が必要ではないか、法的地位を強化する日東洋もあるのではないか。日
本社会でコリアンへの理解が深まることを期待。AI報告書に注意を喚起。
 外国人の入国の理由に関して「エンターテナー」が異常におおいのはなぜか。
労働者の受け入れに問題があるのでは。外国人ではなくあっせん業者を処罰する
べき。外国人への拒否反応――住宅、プール、レストランの例がある。
 難民について、日本政府報告書にはインドシナ難民しか記載されていない、他
の難民の受け入れが否定されないよう期待する。
 人権擁護局の活動の正確な情報を知りたい。
 差別は公序良俗違反で民法上無効とされているというが、それはどのような手
続きによるのか。政府が援助するのか、それとも被害者が裁判を起こすのか。被
害者のみか、他のしかるべき立場で解決できるのか。加害者処罰はあるのか。
 4条について、法律制定のみではなく、実効性こそが必要である。日本刑法は
一般的な性格のものでしかなく、条約は人種差別流布に対する個別規定をつくる
ことを求めている。チマチョゴリ事件――特に立法の必要性が高い。差別団体禁
止措置がまったく存在しない。暴力を用いた場合に限らず、そうした団体を規制
するべきである。4条に対する再考をして、4条留保を撤回するよう要請する。

 放送法の規制に外国人嫌悪を入れるよう求めたい。日本のインターネット規制
には納得しているが、人種的誹謗憎悪濫用の規制が重要である。
 石原発言は、三国人差別であり、外国人は犯罪者とする。残念ながら日本政府
は何の対応もしなかった。それはなぜなのか。
 地域で外国人が外国人であるがゆえに孤立しているのではないか。外国人が固
有の文化的価値を保有し、日本社会に参加できるようにするべきである。排除は
人種差別の一形態である。
 選挙権・被選挙権は日本人に限定されている。1995年最高裁判決がある
が、それは解釈の余地を残しているという。統一的解釈が必要。自治体の外国人
審議会が増えることを期待したい。
 人種を理由とする差別への法務省の支援・相談・助言は重要なので、より詳し
い情報を求めたい。実際の適用例を知りたい。
 公共住宅賃貸の要件は同等でなければならない。詳しい情報を。
 永住外国人と定住外国人は福祉について行政上は平等とされている。行政によ
ってではなく、法律で平等にするべき。
 外国人の子どもには教育をうける権利・義務を保障することが必要。
 登録されているホテルでは外国人差別は禁止されているというが、登録されて
いないホテルでは差別行為ができるのか。
 差別的行為の被害者の裁判を受ける権利、これが民法や刑法の一般的規定によ
るのではなく、権利を法律に明記することが重要である。
 横浜・大阪地裁判決に注意。人権侵害につねに監視をするべきであり、制裁措
置についてさらに報告をしてほしい。
 法律扶助の説明があるが、法律扶助を受けた人は弁済しなければならない。こ
れは実効性のあるシステムなのか。
 差別被害者への補償はどうなっているのか。詳しい情報を。
 人権侵犯事件の調査対象には人種差別も含まれる、強制力のない調査は現実的
とはいえない、被害者のみの調査なのか。結果として人権侵犯があった場合、加
害者に反省させる措置は効果をあげたのか。反省させるための何らかの措置さえ
とればいいのか。実施に反省したのか。再発はしていないか。
 7条については適切な措置が採られている。意識啓発活動である。いっそう推
進をしてほしい。特に人種差別撤廃委員会のコメントを普及するべき。なかでも
裁判官、警察官、法学部学生、入管職員に徹底するべき。
 日本政府報告書に含まれていないが、部落民。部落名名鑑があると聞いてい
る。雇用の権利が閉ざされている。自殺している例もある。国外でも周知の事実
なのに隠そうとする態度は理解できない。部落解放同盟は平等をめざして活動し
ている。1条では世系差別は禁止されている。2002年法以後について追加情
報を要求したい。
 日本政府報告書は沖縄住民にも触れていない。別個の民族、独立国家だった。
差別的政策を強制した。情報提供を。米軍も沖縄差別をしているのではないか。

 日本政府は個人通報制度を受け入れる宣言をするべきである。
 NGO報告書にも言及した。政府が慎重に吟味するよう。

 次に委員のコメント。

 ディアコヌ委員(ルーマニア)――条約は、締約国は人種差別撤廃努力をする
と明言している。日本の憲法は14条しかない。これで十分といえるのか。条約
1条は憲法14条に十分反映して、実施されているのか。憲法98条の意味は、
条約すべての直接適用なのか、必ずしもそうではないと解釈される。人種差別で
はなく一般的差別の禁止である。レストラン、飛行機での差別行為にどのような
法律が適用されるのか。労働、教育、場所へのアクセスは4条に照らして法律が
適用されているというが、他の諸国にはあらゆる人種差別を禁止する法律があ
る。日本政府は考えを変えるべきである。犯罪行為があった場合には、実際の制
裁が必要である。人種的差別行為が公序良俗に違反した場合はどうなるのか。犯
罪は処罰されるというが、人種差別を処罰するものではなく、暴力や名誉毀損を
処罰しているだけで、人種差別を処罰していない。法律で処罰するべきである。
法律すべてを再検討すべきである。人種差別は法律で処罰するべき犯罪である。
日本政府は4条を留保しているが、人種差別的要素にふれていない。あたかも条
約が存在しないような扱いをしているのではないか。人種差別犯罪の特別条項の
ある国も少なくない。アメリカもそうだが、このような留保は条約の精神に合致
しないのではないか。4条abのことである。条約の精神に合致するためには処
罰が必要である。日本では差別扇動行為や組織を直接法律で処罰できない。憲法
に合致しないのならやむを得ないが、憲法と両立するのなら、当然、処罰法があ
るべきである。4条を留保している他の国でも人種差別処罰法がある。例えば、
フランスやイタリア。表現の自由と人種差別処罰は両立する。表現の自由は人種
的優越思想の表現の自由ではない。こうした行為を野放しにしているように見え
る。石原都知事の差別的発言にいかなる対応も講じられていない。外国人嫌悪ポ
スターが放置されている。神奈川県警。在日朝鮮人誹謗パンフレットも配布され
ている。外国人嫌悪思想の流布、意図的扇動がなされれば、裏にある意図が何で
あれ犯行者を起訴するべきと考える(誰かがそっと拍手)。日本社会が実際にど
のように差別を撤廃するのか知りたい。みんなでお祈りするのか(あちこちから
笑いが起きる)。自信をもてばなんとかなるのか。それで人種差別がなくなるの
か。人種差別撤廃は社会に課された責任である。自ら自然に改善するとは限らな
いから、時には処罰の必要性がある。4条留保を撤回するか、憲法と両立しない
のか、いずれかを明確にして欲しい。アイヌについては旭川の旧土人保護の話を
聞いた。差別的状況が実際にあるのはなぜか。1997年法はアイヌを先住民と
して認めているのならば、論理的に結論が出るはずであり、土地所有権を保障
し、民族性を維持し、国際基準に照らして権利を保障するべきである。人口はど
うなのか、独自の土地はどのくらいあるのか。沖縄の独自の言語からみて、先住
民であると認識するべきではないか。生活の保証はどうなっているのか。文化・
伝統を否定していないのか。米軍の土地利用による被害は実際にはどうなのか。
アイヌを先住民として認めているのに、なぜ沖縄は、認めないのか。部落民につ
いても聞きたい。世系、祖先の系列にかかわるから、インドのカーストが条約適
用あることが参考になる。異なったマイノリテイの保護が必要である。日本政府
はどういう措置を講じようとしているのか。部落地名年鑑による企業の採用差別
は本当か。日本国籍を有していない在日コリアンは国籍を取得できるのか。国籍
取得申請に際して朝鮮名使用ができない現実があるのか。100万人が実際に強
制された事実があるのか。チマチョゴリ事件、マスコミによる核疑惑騒動による
事件発生、逮捕は160件のうち3件というが本当か。教育が必要である。こう
した現象に対する全国規模での対応が必要ではないか。公立学校でハングル教育
はなぜ認められないのか。さらなる改善を期待する。人権擁護機関が非常に重要
なので、日本政府がさらに検討するよう求めたい。

 デ・グート委員(フランス)――日本は世界で鍵になる地位にある。最初に方
法論に関して質問したい。NGOにどのような地位を付与したのか。政府報告書
の作成過程で、協力と対話はどのようなレベルでなされたのか。次に、条約の国
内効力に関して、個別判断するというが、どのように解釈すべきか。条約は、裁
判所で実際に適用できるのか。自力執行力の有無を知りたい。日本法は具体的に
人種差別や流布を犯罪にしていない。4条留保の妥当性を問いたい。これは条約
の目的とどのような関係になるのか。日本は人種主義的動機による暴力を犯罪と
していない。刑法の犯罪は一般的なもので、人種差別の動機は犯罪とみなされて
いない。4条は、人種差別組織・団体を取り扱っているが、日本政府報告書には
言及がない。一般法しかない。法律を見なおして、4条に合致するように変える
ように要請する。勧告15の非差別原則から言って、憲法14条では不十分であ
る。犯罪とするべきである。シンボリックな意味での特別立法をつくることは、
社会においてあるべき価値観を表明することである。6条の救済措置に関しては
2つしか事例がないのか。不十分ではないか。苦情申立て、判定、対応措置、訴
追されている度合いなどの統計を知りたい。実効性があるかどうかが重要であ
る。社会的弱者(周縁に置かれている人々)を示す指標として、例えば、失業
率、住宅、社会福祉、識字率、売春、刑事施設収容率といった統計が重要であ
る。アイヌについてはどうか。沖縄、ウイルタ、ニブヒは報告書に出ていない。
部落民の根源は社会構造と歴史に由来するものである。カーストに類似してい
る。条約の対象なので情報が必要である。

 レチュガ・ヘヴィア委員(キューバ)――各委員に賛成。4条留保は条約の基
本にかかわる。留保は条約遵守を大幅に制限するもの。在日コリアン差別、特別
永住は韓国とだけである。北朝鮮とはどうなのか。2条について条約批准に際し
ての省庁職員への指示とはどういうものか。実効性はあるのか。米軍による沖縄
差別を日本政府はどうするのか。被害が生じた場合、日本政府の権限はどこまで
及ぶのか。

 タン委員(中国)――人種差別表現がいくつか見られる。アイヌ差別、この問
題は1997年法以前の損害に対する補償はどうなっているのか。在日コリア
ン、多くが市民的政治的権利を制限されている。次回はもっと詳細に報告される
ことを期待する。在日中国人や日系人についても。限られたものであっても悪質
な行為は法的規制するべき。神奈川県警の中国人差別ポスターは驚いた。「携帯
電話を使う中国人」。これは明らかに人種差別であり、許せない(激しい口調
)。意図していないかもしれないが実際には一部の官吏がそうした行為をしてい
る(「一部の者が」を繰り返す)。石原発言には非常に傷いた。政府が見過ごす
べきではない。中国帰国者もいる。こうした問題は突如発生したものではない。
日本の経済的状況、多くの外国人が日本に行きたがる、そのもとで差別が起きる
のはどの社会でもあることではあるが、大切なことはどのように対応するかであ
る。日本政府は4条を留保している。言論の自由は保障しなければならないが、
人種差別との闘いの問題は別である。これは表現の自由の問題ではない。表現を
通じた他者への侵害である。石原発言を言論の自由などとというが、社会に多く
の混乱を起こし、アジアの労働者が排除された、経済的な損害と精神的損害が実
際に発生している。これは表現の自由の問題ではない。4条を施行すればこうし
た差別発言に法律的に対応できる。次に教育に関連して、人種差別に関する意識
を高めることは重要である。日本における人種差別、悪質な外国人が一部にいる
のは事実かもしれないが、一部の日本人が人種的優越感をもっている。軍国主義
日本がアジアを侵略したが、その気分が一部に残されている。一般国民への教育
が大切である。積極的な措置を期待する。

 ピライ委員(インド)――政府とNGOの指摘する数字に格差があるのはなぜ
か。部落民の数にこれだけ差異があるのは、NGOとの協議が行われていないた
めではないか。どちらが正しい数字であるかはいえないが、問題は正確な事実を
明らかにすることであり、真剣に正確な調査をするべきである。外国人の在留資
格のほとんどがエンターテインメントというのは疑問である。内訳をしりたい。
この状況が差別と結びついていないか。公立義務教育学校に外国人が希望すれば
入れるというのは矛盾である。義務教育なのに希望して入学するというのは理解
できない。私が誤解しているのか。日本語の授業しかしていないのはおかしいの
ではないか。外国語の授業もするべきである。人権擁護推進審議会についての言
及があるが、この審議会は人権侵害行為について責任を持っているのか。人権侵
害事件が発生したときに審議会は機能するのか。どのような活動を行っているの
か(小さな笑い声)。CERDは世系差別も審議することになっている。部落民
は条約対象と思うが、日本政府の認識を明確に示してほしい。

 ソーンベリ委員(英国)――政府報告書は部落民について言及していない。ア
イヌについてウタリ福祉対策の説明がある。福祉はもちろん重要であるが、福祉
だけを取り上げることは時として現実の問題を歪める結果となることがある。ア
イヌは先住民として認めることができると考えるので、今後さらに詳しい情報を
提供するよう検討して欲しい。例えば土地の権利、自治機関、ILO169号条
約について。在日コリアンについて日本政府報告書はマイノリティという言葉を
用いていないがなぜか。民族名の重要性を指摘したい。差別されることを恐れて
民族名を隠して日本名を使用する例が多いという。バイリンガルな教育を受ける
権利が認められるべきである。人種差別への対策には適切な法システムが必要で
あるが、日本は不十分ではないか。人種差別を撤廃する努力をしているという
が、撤廃プログラムは法律なしにできるのか。

 パティル委員(南アフリカ)――日本政府はなぜ民族別の人口調査をしていな
いのか。アイヌのプログラムとあるが、マイノリティが問題の根源であるという
考えが問題を隠蔽することになる。支配的文化者がマイノリティを取り上げるこ
との意味を考えるべき。アイヌ問題ではない。公的機関へのアクセスが制限され
ている。そうした制約に処罰を課す法律がないのはなぜか。複合差別、女性デー
であることも想起して、ジェンダーによる人種差別を取り上げるべき。在日コリ
アン女性と子どもへの暴力被害にも触れてほしい。女性の人身売買の被害にあっ
ている。どういう取締りをしているのか。日本人と結婚した女性がDM被害、日
本人配偶者の地位を失わないために被害届ができず沈黙している。5条違反では
ないか。

 ボスユイ委員(ベルギー)――アイヌの存在の重要性を認識している。先住民
である。外国人もいる。就労可能は7.9%とあるが、これは何を意味している
のか。非合法的に30万人在留していて、強制退去の対象とされていると思う
が、その数字を示してほしい。日本への難民は多くはない。難民認定申請は少な
いし、認定も少ない。ベルギーの認定は1ヶ月で日本の17年と同じ数字である
(あちこちで笑い声)。日本では難民認定申請中の人の滞在や支援がないためで
はないか。人種差別自体が犯罪とされていない。人種的憎悪も認識されていな
い。これは欠陥というべきである。移住労働者の状況を詳しく知りたい。政府報
告書は部落民に言及がない。2002年3月以後はどうなるのか。政治家の差別
発言は外国では大きなスキャンダルになった例もあるが、石原都知事は公務員
か、選出はどのようになされているのか。日本の刑事施設は過剰収容ではないと
いうが、紀律が非常に厳しく、必要な文化的配慮がない。外国人が収容された場
合に非常に苦しんでいるのではないか。

 シャヒ委員(パキスタン)――各委員の分析を支持する。条約は自力執行力が
ないので、国内法にしなければならない。救済措置、補償の規定がないので、人
種差別のない社会をつくるためには立法が必要である。条約は憎悪言論を禁止す
ることとしている。絶対的な表現の自由は4条を否定するものなので、日本政府
は真剣に検討して欲しい。表現の自由とだけいえば、人種差別規制はまったく効
力を失うことになる。長くなって済みません。

 議長――長くありません。短かったです(みな笑う)。(シャヒ委員の発言
は、時間がすぎてからの追加の発言だったため、本人は長くなって済みませんと
述べたもの)

 以上。あっという間の3時間であった。どの発言も日本政府報告書の不備を
続々と指摘するものであり、NGO連絡会にとっては、大きな成果といえるので
はないか。一つひとつのテーマについて見れば、突っ込みが不十分であったり、
誤解に基いた発言もあったが、第一回目の審査としては非常に良かったといえる
のではないか。



 
  • 1998年   3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年   1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年   1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2001年   1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

  • キーストーンメーリングリスト 目次