議事録3
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○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
先ほどご説明してあるとおりでございまして、11年の3月に金武町の同意を得ら
れてございます。
○当山会長
ちょっともう、これ別の観点からやってくれませんかね。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
日米合同委員会で、返還に対して基本的合意が平成11年の4月になされたという
ことですけど、これは文書はお手元にございますでしょうか、合同委員会の議事録。
○当山会長
これは施設局への質問ですよね。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
はい。
○当山会長
施設局、どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
合意の文書は手持ちにはございません。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
施設局のほうでこれは入手することはできませんか。収用委員会に出せませんか。
○当山会長
施設局どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
今のお尋ねですが、楚辺通信所のアンテナ施設及び関連支援施設をキャンプ・ハン
センのオストリッチ地区に移設をしたあと、同通信所を返還するということの合意内
容であるということをご説明申し上げております。
○当山会長
説明をするという趣旨ですね。今、ちょっと噛み合っていないかもしれません。文
書を出せますかという趣旨ですか。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
そういうことですよ。
○当山会長
内容を説明してくれというのとは違う‥・
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
いやいや、入手して収用委員会に提出できませんかということです。
○当山会長
施設局、どうですか。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
私、大変恐縮でございますが、合同委員会の合意文書は基本的に対外公表なされて
ないというふうにございますが、ここは即答できませんので、後日、持ち帰りまして
ご説明したいと思います。
○当山会長
はい、そうしてください。次の質問どうぞ。
○地権者(知花昌一)
7番に関連して、8番の質問条項ですが、「米軍と関係機関と具体的移設場所及び
工事の内容等の調整に予想以上の日時を要している」と。移設場所についてはどこを
想定し、だれとどのような協議をしたのか。調整の結果はどうなったのかということ
をお聞きしたいということです。
もう一つは、移設工事についてはどのような工事を想定しているのか。工事の内容
をだれとどのような調整をしたのか。調整した結果はどうなっているか。なぜ、調整
が整われていないのか、ということを質問します。
○当山会長
はい、施設局、どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
まず、8番目の一つ目でございますが、米軍と関係機関と具体的移設場所及び工事
の内容等の調整に予想以上の日時を要したとあるが、移設場所についてはどこを想定
し、だれとどのような協議をしたのか。調整の結果はどうなったのか。なぜ、調整で
きていないのか、との事項についてお答え申し上げます。
楚辺通信所の移設については、キャンプ・ハンセン内のオストリッチ地区に移設す
ることとして、その早期実現に向け、移設先である金武町のご理解を得るべく調整を
行い、また、米軍との間において環境などに影響の少ない場所及び通信機能に配慮し
た局舎や、道路などの配置について調整し、場所につきましては、実は別途の図面を
ご用意していたわけですが、お手元にございますでしょうか。
別途、収用委員会さんのほうに提出した文書に漆付してございますが、そこに示す
場所に建設することとしてございます。
8の二つ目の件でございますが、移設工事については、どのような工事を想定され
ていたのか。工事の内容をだれと、どのように調整したのか。調整した結果はどうな
ったのか。なぜ、調整が整わないのか、との事項についてお答え申し上げます。
移設工事については、アンテナ、局舎及び道路などを想定したものであり、アンテ
ナ、局舎及び道路などの配置計画等の基本的な内容について米軍側と調整を行い、概
ね調整を了しているものであります。
○当山会長
はい、質問者。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
このオストリッチ地区というところで、決まったということですけれども、これは
どの程度、確実性がある決まり方なのか、金武町も確定的にお受けしたのか、米軍も
確定的にお受けしたのか、間違いない場所なのか、そこらへんはどうでしょうか。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
移設箇所につきましては、米軍、地元等々と調整を了しております。
○当山会長
よろしいですか。次に移ってください。
○地権者代理人(弁護士新垣勉)
収用委員会の皆さん、本当に長時間ご苦労さんです。
収用委員会の審理は、大きく言うと二つの役割をもっております。
一つは、社会的な役割であります。二つは直接、皆さんが職務を執行するにあたっ
て重要な判断事項を入手するという点があります。
これまでの質疑応答の中で、まず第1点目の収用委員会が社会的に果たす役割につ
いて、二つの問題点が浮き彫りになりました。
一つは、今、問題になっている地位協定をめぐる問題、いかに不合理な地位協定の
構造となっているかというのが、浮き彫りになりました。
それは、何かと言いますと、収用委員会が本件審理を行うために、米軍基地内に立
ち入りをして、被申請人とともに対象土地を確認したいという申し出に対して、米軍
側及び日本政府が合同委員会の結果と称して、地主側の立ち入りを拒否した点であり
ます。
収用委員会の皆さんは、すでにご承知だと思いますけれども、地位協定の中には不
十分なところがたくさんあります。その不十分な点については、日米合同委員会の協
議事項という形で、様々な合意がなされています。
本件に絞って言いますと、今、問題になっている立ち入りの問題について説明をい
たしますと、合同委員会において、民事裁判手続きにおける合意事項というのがあり
ます。
もし、お手元に県が編集をした基地関係法令集があれば、その中に登載をされてい
ますのでご覧いただきたいと思います。
そこで決められていることは、裁判所から検証、あるいは裁判所の必要がある場合
に米軍に対して基地内への立ち入りを求める場合には、米軍は立ち入りを許可する、
こういう基本的な合意事項がなされています。
ただ残念ながら、この合意事項は、裁判手続きを念頭においた合意事項になってい
るわけです。
今、問題になっている収用委員会手続きにおける立ち入りというのは、正確に言い
ますと、裁判手続きではありませんので、この合意事項の直接の対象になるものでは
ありません。
しかし、言うまでもないことですけれども、収用委員会というのは準司法的な手続
き、とりわけ国が収用申請者の一方となり、国民が被申請収用者となる場合には、ま
さに利害が対立する構造をもっているわけですから、そのような強制収用手続きの構
造の中では、収用委員会というのは公平・中立で準司法的な役割を担うというふうに
言われております。おそらく、当収用委員会もそのような理解のもとに、本件審理を
進めていると思います。
そうしますと、今回の立ち入りをめぐる問題で浮き彫りになったことは何かと言い
ますと、裁判手続きについて合意事項があるにもかかわらず、収用委員会の立ち入り
についてはその合意事項を守らない、あるいは適用しないという問題であります。
私たち地主の立場から言いますと、裁判に関する合意事項というのは、収用委員会
の立ち入りについても当然に準用されるべきものだというふうに考えます。
ところが、今回の先ほどのやりとりを見ていますと、どうも那覇防衛施設局の説明
によると、これまでとられてきた立ち入りの手続きをとらずに、直接、防衛施設庁、
外務省を経由して日米合同委員会で政治的な判断のもとに、立ち入りを拒否したとい
うことが明らかになりました。
これは、準司法的な手続きであるにもかかわらず、政治的な判断を介して日米両政
府に不都合な場合には、いとも簡単に地主側に立ち入りを拒否するということです。
これこそがまさに、地位協定が今抱えている問題の大きな一つだと思います。
実は、私たちこの収用手続き以外にも裁判で争っています。裁判所でも似たような
問題があります。
私たちは戦後50年間、米軍基地内に入って対象土地を確認をしたい、本当に国が
主張するような使われ方をしているのか。その土地は米軍にとって本当に必要なのか。
これを確認するために、裁判の中で検証の申し立てというのを行っております。
ところが、この裁判においても、国のほうは基地の中には治外法権だと言ったり、
あるいは米軍が絶対的な管理権をもっているので、裁判所といえども立ち入りができ
ないんだと言ったり。あれこれの口実をつけて立ち入りを拒否する姿勢を示している。
これは先ほど言いましたように、裁判手続きにおいては合同委員会の合意事項がある
にもかかわらず、そのようなことをやっているわけです。
私たちは厳しくこれを批判しておりますけれども、国側は巧みな言い逃れをしてお
ります。それはなぜかと言いますと、原告らが指摘をする合意事項というのは、地位
協定18条の民事損害賠償請求事件についての合意であるから。例えば、裁決取り消
し、解雇無効と、損害賠償請求事件以外の事件が、米軍をめぐる事件としてたくさん
起きるわけです。そのような損害賠償請求事件以外の裁判手続きについては、合意を
していないのだから、立ち入れないんだと、こういう弁解をしております。
しかし、これは明らかに詭弁であります。地位協定の中には、日本の法令尊重義務
がはっきり明記をされておりますし、また、司法というのは、最も権威のある手続き
を行うところでありますので、やはり日本政府も米軍も積極的に司法手続き、あるい
は収用委員会の準司法手続きについては、積極的に協力をする条約上の義務を負って
いると考えるのが、国民の常識でありますし、また、条約上もそのように解すべきも
のだと考えます。
そういう意味では、立ち入りの問題は、直接皆さんが審理対象を判断する場合に、
必要でない事項かもしれませんけれども、この収用委員会の毅然たる態度の中で、地
位協定の問題点が非常に浮き彫りになりました。
これは収用委員会が米軍に対して、地主の立ち入りを拒否したことに対して抗議を
したということは、高く評価をすべき問題だと思います。
直接的な審理に関する問題ではないかもしれませんけれども、収用委員会の毅然た
る態度が、地位協定をめぐる問題点を明らかにし、それを改善をする、それをなくす
方向に動かす大きな原動力になっていることについて、ぜひ収用委員会の皆さんにも
正しい受け止め方をしていただいて、根気強い審理を望みたいというふうに思います。
それから第2点、先ほどから国側の釈明を聞いていると、非常に奇妙な思いを抱き
ます。それは何か、たえず米軍がこう言っているので、そのように承知をしておりま
す。これが一貫して国側のとっている態度であります。
しかし、米軍が言っている言い分を伝えるだけでは何の意味ももたないと。私たち
がここで指摘をしておきたいのは、日本政府には国民の代表として、政府の責任のも
とに調査をし、米軍の実態について日本政府としての独自の見解を表明する責任があ
るという点です。
これは、地位協定の中でご承知だと思いますけれども、日本政府は日米合同委員会
の中で、基地を提供することができます。
しかし、提供してあとはもう米軍の使いっ放しという行動には決してなってないと
いうことであります。
つまり、米軍が使う必要がなくなった場合には、米軍は返さなければいけない規定
になつています。これは何を意味するのかと言いますと、日本政府は日米合同委員会
で基地を提供した後も、たえず日本政府の独自の立場で、米軍の基地の使用状況を責
任をもって点検をし、日本政府の目から見て、もはや必要がないという結論を得た場
合には、合同委員会にその旨意見を述べて返還をさせる、返還合意をする条約上の義
務をもっている。このことは特に沖縄では非常に重要な意味をもっています。
公害問題然り、様々な問題について、日本政府は条約上の基地提供国として、自分
の責任において基地の実態を調査をすることを一切放棄をしている。ここに大きな問
題があります。
今回の収用委員会の審理の中でも、本来、政府は自らの責任で象のオリの実態調査
をし、牧港補給基地の調査をし、日本政府の調査ではこうなっています。米軍はこう
言っているけれども、私たちの見解は違います。はっきり言わなければいけない。何
です。米軍がこう言っているということを伝えるだけ。これではメッセンジャーにし
かすぎない。ここに大きな問題があると思います。
ですから、収用委員会は単に米軍がこう言っているという政府の口を借りての主張
に可を傾ける必要は私はないと思います。
むしろ収用委員会としてやるべきなのは、国がちゃんと調査をして、その責任のも
とに客観的な資料を出しなさい。皆さんがその資料を出しきれないというのであれば、
単なる言い分として聞きおきますよと。そういう毅然とした態度をぜひ収用委員会に
とっていただきたい。そういうふうに思います。
それから、もう一つ大きな問題は、収用委員会が直接こういう審理をして、何を最
も聞きたいのか、最もどういうことに関心があるのかという問題についてであります。
ご承知のように収用委員会というのは、使用期間を決める権限を法律上もっており
ます。そして、もう一つは補償金の金額を定める権限をもっております。
まず、第1点日の使用期間を定める問題について言いますと、二つ問題があります。
一つは、那覇防衛施設局の説明によると、象のオリは使用していると答えています。
これが真実であるかどうかを見極めるのが一つの作業であります。
しかし、注意深く見極めていただきたいと思いますのは、使用しているという意味
は二つあります。
一つは、施設がそこに存在して管理をして使っているという意味での使用でありま
す。
もう一つは、象のオリの通信施設を運用している。実際に機能を動かしているとい
う意味での使用であります。
先ほどから質問を聞いていますと、どの意味で国のほうが現在、象のオリは使用し
ているというのが、よく判然としません。
私たち地主側は、以下のような事実から象のオリは運用されていない、単に管理を
して使われているだけだというのが、地主側の意見であります。どのような根拠に基
づいてそのように言えるのか。それはもうはっきりしています。
新聞報道でも行われましたけれども、被告、国も釈明に対する答えの中で、自ら認
めました。1998年まで象のオリを運用していたハンザ海軍通信保全群が、正式に
解散をしたことを認めております。
この98年というのは、思い起こしていただければ分かりませんけれども、SAC
Oの最終合意が、日米安全保障協議委員会で承認をされて後、あのSACOの最終報
告を受けて、一方の当事者であるアメリカ合衆国政府が象のオリを使っていた部隊を
解散をしたわけです。
ということは、アメリカにとってはもう、象のオリはいつでも返せる。そして、実
際に使っていた部隊はもうそこから解散をして撤収をします。こういうことと考える
のが最も素直な見方であります。
ところが、国の弁明は部隊は解散したけれども、別なところが使っているんだとい
う言い逃れをしようとしているんですね。
しかし、これは毎日象のオリの前を通る村民、特に被申請人、知花昌一氏にとって
は、毎日そこを通行して目撃をしている事態です。実際には、管理をする米軍のシビ
リアンの車がほとんど止まっている。
先ほど釈明の中で、60名の国防省通信沖縄分遣隊がいるというふうに答えました。
ところが、これはごまかしがあるんですね。先ほどの再三の追求の中で、この鮒名と
いうのは、国防省通信分遣隊の隊員ではなくて、隊員もいるかも分からないけれども、
軍隊の従業員もいる。委託された者もいる。そうすると、その割合は何名なのか。6
0名のうち50名が民間の委託業者で、あと9名が米軍の従業員、残り一人が国防省
通信沖縄分遣隊の正式の国家公務員だとしたら、どうしますか。これでも運用してい
ると言えるんですか。
私たちはこのような実態というのは、運用ではなくて管理のために使っているとみ
るのが自然だと思います。
そういう意味で、那覇防衛施設局のほうは、沖縄分遣隊として60名いると言うけ
れども、そのうち民間の委託者が何名なのか。運用していると言われる国家公務員と
いうのは何名なのか。きちっと収用委員会に説明をして、資料を提供する義務がある
と思いますし、収用委員会もぜひその点の資料の提出を求めていただく。
それから、もう一つ、沖縄にはたくさんの基地があります。
この国防省通信沖縄分遣隊というのは、嘉手納基地にいるかもしれません。普天間
基地にいるかもしれません。象のオリとは全く関係なく駐留していることだって、あ
り得ることです。
ところが、この点については、どこに駐留しているかという質問に対して全く答え
ていません。これはごまかしの釈明としか言いようがない。真面目に答えようという
のであれば、象のオリを運用しているのは何名、民間の管理業者はどこどこで何名い
る。きちっと答えられるはずであります。これは何も軍事機密ではありません。これ
が答えられないということは、先ほど言いましたようにすでに象のオリの実態は、運
用を中止し、単に管理のための人数が駐在していると認めるのが相当だと思います。
それから、もう一つ。先ほど、国防省通信沖縄分遣隊というのは、国防省の直轄部
隊だという説明がありました。これは知花さんも指摘をしておりましたけれども、日
米安保条約で提供した基地を使える使用者は限られています。陸軍、空軍、海軍、私
たちは海兵隊は入らないというふうに考えていますけれども、仮に海軍が入るとする
と、4軍だけです。4軍以外のものが沖縄の米軍基地を使うことは、安保条約上でき
ない。使っている実態があれば、それは脱法行為と言うべきものだとはっきり言える
かと思います。
おそらく、国のほうはそのへんまで配慮して、国防省の直轄部隊だと言いきったの
かどうか。あるいは今頃、後悔しているのかもしれませんけれども、国防省の直轄部
隊というのは、明らかに4軍とは違います。軍隊というのはそれぞれ厳しい指揮系統
をもっており、それぞれの独自の指揮命令のもとに行動をしている組織であります。
国防省の中には4軍以外にもたくさんの組織があり、機関があります。
政府の主張によると、4軍以外でも国防省の所属する部署であれば、提供している
米軍基地を自由に使えると、こういう思い上がった解釈があるのではないでしょうか。
この問題は非常に重要だと思います。
実は、沖縄の復帰から今日までの歴史を振り返ってみれば分かりますけれども、日
米安保条約上では、3軍に基地を使用する主体が限られているということで、復帰の
ときにC工Aは撤収をしました。これは条約上使えないから、撤収したんです。
ところが、象のオリについては、98年に海軍のハンザ海軍通信保全群が解隊をさ
れたあとに、脱法的に国防省直轄分遣隊なるものが、象のオリを使っていると言いわ
けをしている。これは言いわけ自身、けしからん言いわけですけれども、これ自体、
安保条約を逸脱した違法なものだと言わなければならない。
この2点はぜひ、収用委員会で厳しい認識をしていただきたい。この認識を得るこ
とによって、どういう結論を収用委員会は得ることができるのか。それは使用期間の
短縮です。これは皆さんの権限で判断できます。
実際、過去同じような事例がありました。この近くに瀬名波通信所があります。新
垣昇一さんが、そこに土地をもっております。前回の収用のときに私どもは、この新
垣さんの土地というのは、米軍基地にとって不要な土地だから返還をしろというふう
に言いました。収用委員会は現場を訪れ実態を調査をしたうえ、国側の申請期間を認
めずに期間を短縮しました。その結果、新垣さんの土地は無事、期間満了前に返還を
されました。これはそれまで国側が、新垣さんの土地はどうしても米軍基地のために
必要だと言っていたことが、いかに虚構のものであったのかを現実に示していると言
えます。
同じようなことが、この象のオリについても起きているというのが、地主側の認識
です。ですから、ぜひ象のオリの実態を見極めて、収用委員会の権限の範囲内で判断
をぜひ導いていただきたい。こういうふうに思います。
それから、もう一つ、質疑応答の中で明らかになったことがあります。それは収用
委員会の当山会長がいみじくも指摘をしましたけれども、何のために国は、強制収用
をしようとしているのか。その実質的な理由であります。
これまで知花昌一さんは、お父さんが賃貸借契約をして20年間貸していました。
ところが、契約期限が満了しても国は返さない。つまり、国民と政府との契約を国は
守らなかつた。
その後、SACO合意の中で、知花昌一さんの返還が2001年の3月末に返還す
ることが合意されました。私どもはこれは日米安全保障協議委員会の承認事項だとい
うふうに考えていましたけれども、先はどの説明によると、日米安全保障協議委員会
の承認だけではなくて、日米合同委員会、これは地位協定上の正式の機関です。日米
合同委員会において返還合意がなされたというふうに、先ほど釈明がありました。
そうすると、日米安全保障協議委員会の単なる政府間の政治的な合意にとどまらず、
地位協定上の日米合同委員会の正式な合意事項となっていることであります。これは
国際法的には、国際法上の条約と同じ性格をもつものになります。
ところが、日米両政府の国際法上の合意も、いとも簡単に今回また破ろうとしてい
る。契約も破る、日米両政府の条約上の合意も破る。一体、国民は政府の何を信頼し
て、約束をすればいいんですか。何をしても結局、国は自分の都合で法を破る、これ
がこれまでの歩みです。そういう意味では、国のやり方は全く無謀としか言いようが
ない。
事前に知花さんに交渉したと言いますけれども、ここにも虚偽があります。
先ほど、知花さん自身が言っておりましたけれども、確かに来たと、来たけど貸し
てくれと言うだけで、何のために貸してくれ、どのぐらいの期間貸してくれというの
かということに、全く話しをしない。これじゃ、話のしようがありませんというふう
に、率直に答えていました。もう知花さんの立場というのは、周知の事実です。知花
さんが反対をする理由は単純です。自分の土地を基地に使わせたくないから貸さない
んです。
もし、政府が象のオリはもう運用してません、使ってないんですけれども、取り壊
すのに時間がかかります。土地をあなたに返すまでにちょっと時間がかかりますので、
それまで待ってくださいませんかということであれば、知花さんは話し合いのテーブ
ルにつくと思います。
ところが、国のほうは依然として、象のオリは運用しているという口実をつけて、
何とか強制収用の網をくぐり抜けようとしている。本当にけしからんことだと。
私たちは事前の準備の中で、こういう笑い話をします。
米軍は象のオリを取り壊してもいいんだけれども、取り壊してしまうと、代替施設
をつくれというふうに尻をたたく人質をなくしてしまうので、米軍は返さないんだと。
つまり象のオリは米軍が新しい代替施設を要求するために、人質に取られているんだ
と。こういう話をしました。私は、この話は的を射ていると思います。
収用委員会の皆さんは、一体どのようにお考えでしょう。
代替施設を金武町が受け入れるか、受け入れないか、これは別途の問題です。今、
象のオリを使っているか、使っていないかが問題なんです。使っていなければ直ちに
取り壊しをして、地主に返還をする。こういう態度をとるのが、政府としての当然と
るべき道だと思います。ぜひ、この点についても収用委員会で厳しい判断をしていた
だきたい。こういうふうに思います。
それから、もう一つは補償金の問題については、万が一のためにぜひ申し上げなけ
ればいけない問題です。
幸い、知花さんの土地については、地目宅地となっているようですので、大きな問
題はありませんけれども、補償金の算定について、那覇防衛施設局のほうは5%の中
間利息を控除しろという主張しているんです。この5%の中間利息控除については、
今の経済情勢を踏まえると、到底、合理性をもっているものとは言えないという点で
あります。私たち庶民の預金というのは、ほとんど0パーセントの金利しかない。補
償金の中間控除は言うまでもなく、一括して受け取る補償金をまとめて運用すること
ができるので、利益を得るはずです。その利益を得るはずだから、その分だけはあら
かじめ払うときに差し引いておくよと。こういうことです。そうであるならば、今の
経済実情を見極めて、低い中間利息控除率を設定するのが、社会情勢に合ったものだ
と思います。
そういう意味で、ぜひ収用委員会においても、この点についてのご議論を尽くして
いただきたい。こういうふうに思います。
代理人の新垣からの意見としては、その程度に留めて意見を終わりたいと思います。
○当山会長
はい、ご苦労様でございました。まだ、ご意見ございますか。知花さん、どうぞ。
○地権者(知花昌一)
新垣代理人のおっしゃったように、象のオリが使用されているというふうに防衛施
設庁は言っているんですが、それがどのように使用されているか。新しい代替施設を
つくるために、その建設の間だけ管理をしているということのために使われているの
か。あるいは、実際的に運用をされているのか。こういうことをもう少し、現場にい
る僕のほうから質問をしたいと思います。1997年の当時、楚辺通信施設は、米海
軍安全保障グループ、これはNSGAと呼んでいるんですが、それが管理をしている
と言われているが、それはそのとおりか。
もう一つは、そのNSGAは1997年の9月10日に解任式が行われています。
これは実際にその部隊は解体したのか、このことを伺いたい。
○当山会長
はい、施設局、どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
それでは、釈明事項の9番の一つ目と二つ目かと思います。
○当山会長
すみみせん。質問事項を読むのは、もう結構ですので、答えのほうだけで。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
はい。楚辺通信所は、米軍安全保障グループが管理していると言われたが、そのと
おりかということに関してお答えいたします。
当時、楚辺通信所は、在沖米艦隊活動司令部管理のもと、ハンザ海軍通信保全群が
使用していたと承知しております。
二つ目でございますが、1997年9月10日に解任式が行われたとの報道がある
が、実際に解隊したのかということに関してお答え申し上げますが、ハンザ海軍保全
群は、平成10年6月1日付けで、その活動を廃止したと承知しております。以上で
あります。
○当山会長
はい、知花さん、どうぞ。
○地権者(知花昌一)10番目ですが、NSGA米海軍安全保障グループが管理して
いるときと、現在、防衛施設庁が言っている国防通信沖縄分遣隊が使用している現在
とは、通信業務の内容及び取り扱う業務は変化はしていないのか、同じなのかどうか。
○当山会長
はい、施設局、どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
ただいまの件に関しまして、お答え申し上げます。
ハンザ海軍保全群が使用していた当時と、使用状況に変更はないと承知しておりま
す。
○地権者(知花昌一)
これも承知しているということで、承知というのは、どういう意味かというと聞き
知っているというぐらいのものだと思うんですが、これも米軍からの受け売り、その
ままだと思いますが、いわゆる海軍の管轄であります。ところが、それが国防省に変
わったということで、完全な運用を含めてのことが、任務が違うはずです。ところが、
業務は同じだというのは、理解できません。そういうことで、皆さんは承知している
ということだけですが、調査はしてないのか。前の部隊が解隊する米海軍の安全保障
グループと、今の国防通信沖縄分遣隊との任務の違いを調査したことはあるのかどう
か、このへん伺います。
○当山会長
施設局どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
今の件に関しましても、先ほど10番でお答えしましたとおりでございます。
○当山会長
知花さん。
○地権者(知花昌一)
あまり進まないようですが、いつも承知しているということで、主体性をもって調
査をして説明してほしいと思います。11番いきますが、トリイ通信施設と楚辺通信
施設は、以前はケーブル線で連結されていたと。現在も両施設はケーブルで繋がって
いるかということを質問ですが、答えてください。
○当山会長
施設局どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
本件の項目事項につきましては、この2月19日収用委員会のほうに提出した文書
で審理に馴染まない旨、お答えさせていただいております。
○当山会長
知花さん。
○地権者(知花昌一)
馴染まないという回答ですが、私はこの楚辺通信所が今ちゃんと運用しているかど
うかについて重要なものだと思っております。
皆さんご存じないかもしれませんが、象のオリの所在地は読谷村波平であります。
波平というと、沖縄語ではハンザと呼びます。ところが、波平のある通信施設を楚辺
というふうに名前を付けてあります。これはなぜかと言いますと、トリイ通信施設は
読谷村楚辺にあります。この楚辺のあるトリイ通信施設の一体とした施設としてつく
られたのが、象のオリであります。だから、象のオリは波平にありながら、楚辺通信
所という名前が付いたわけです。そういった意味で、楚辺通信所とトリイ通信施設は、
不離一体のものとしてこれまで使われてきました。そういった意味で、その楚辺通信
所とトリイ通信所が結ばれているのは、地下ケーブルだけであります。それが存在す
るかどうか、これは非常に重要な意味をもっています。それに対して審理に馴染まな
いという形で切ってしまうということは、それに答えられない、運用してないという
判断を私たちはするしかないと思いますが、もう一度本当に審理に馴染まないものと
思っているのか、答えてください。
○当山会長
施設局、どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
先ほどお答えしたとおりでございます。
○地権者(知花昌一)
1961年にトリイ通信施設に4軍統合諜報処理センターというのがつくられまし
た。象のオリの処理を地下ケーブルを通して情報をトリイにもっていって、そして諜
報処理センターの中で処理をしている。そういうことがなされてきたわけです。そう
いった意味では、さっきも言ったんですが、トリイ通信施設と象のオリ楚辺通信施設
は、不離一体のものとしてアメリカは見ていたわけですが、それが審理に馴染まない
ということで答えもしないということは、私としてはこれは楚辺通信所は、トリイと
一体として機能してないというふうに理解をするしかないと思っております。
そして、12番いきます。
使用の期間を4年2カ月とした理由は何か。4年2カ月後には確実に土地を所有者
に返還することの約束はできるかということです、答えてください。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
釈明項目の12でございますので、この項目についてお答え申し上げます。
楚辺通信所として使用している土地を、所有者に返還するためには、アンテナ施設、
及び関連支援施設のキャンプ・ハンセンへの移設工事、当該移設工事完成後に行う既
存施設の物件撤去工事等が必要となりますが、これら工事に要する期間を考慮し、使
用期間を4年2カ月としたものであり、期間内で土地所有者に返還できるものと考え
ております。
○地権者(知花昌一)
考えているということですが、SACOのときも2001年の3月31日に返還す
るということであったんですが、われわれ信用できません。
象のオリの施設が移設が完了するのは何年後と計画しているのか、そして、これは
移設をしただけですそ済むわけではないのですが、その象のオリの撤去、そして返還
に至るものに関して、どのぐらいの期間がかかると予定しているのか。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
12番の関連事項のご質問ということで、お答え申し上げますが、平成13年度か
ら順次、環境保全対策、あるいは移設先についてでございますが、移設先で造成工事、
道路、局舎、及び通信機器などの移設工事を行ったうえで、完了したうえで、既存建
物の撤去などの返還にかかる工事を、平成17年5月までに了する予定でございます。
○地権者(知花昌一)
あまり具体的に答えてないんですが、そんなことは知っているんですが。何年そら
い、13年から一応始めるということですが、これは移設に関して何年に終了し、ま
た、撤去作業を何年そらいかかると予定しているのか、そのぐらいの計画はちゃんと
皆さんやっていると思いますが、それをちょっと明らかにしてほしい。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
お尋ねの件でございますが、お答えは移設工事、返還のための工事も含めまして、
平成17年5月を予定しておるということを申し上げさせていただきます。
○当山会長
要するに細かい点は、まだ分からないという趣旨ですか。それとも、準備をきょう
は、してないという趣旨ですか。
ちょっと引き取りますけど、収用委員会も非常に興味のあるところの一つなんです
が、実は、前回、収用はいつまで使いたいと、それまでには可能だからということで、
収用委員会は一応終了したわけですね。にもかかわらず、もう1回来ているというこ
とは、それなりの確実性があることで、4年2カ月ということで出ていると思うんで
すが、そのへんの細かいところは、今、この場でご存じないという意味ですか。それ
とも申し上げられないという趣旨ですか。どういうことですか。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
お答えしますが、私どもとしましては、先ほど来申してますように、移設工事及び
返還に伴う工事を含めまして、4年2カ月の期間が必要というふうにお答え申し上げ
ておるわけでございます。
○当山会長
はい、知花さん。
○地権者(知花昌一)
これは、一応、政府がやるわけです。ちゃんと計画を立ててどういうスケジュール
で移設をし、そして環境整備も含めてやりながら、そして何年頃にはちゃんと移設を
し、そしてまた何年から何年間、何カ月かかって撤去作業もできて、復元もちゃんと
できるということのシミュレーションなどもやるべきです。また、やらないとそうい
う計画などできないはずです。
そして、今、言われたんですが、平成17年の5月までには返還できる予定である
と。またも予定というものしか入りません。そういった意味では、収用委員会のほう
も非常に関心をもっておられるようなことですので、そういう具体的なことを言わな
いと、いつもあなたたちは騙してきているから、またこういうことになるんじゃない
かと思います。そういった意味では、本当に具体的な資料があるはずです。それぐら
いの計画はなされているはずです。その計画を提出してください。できますか。
○当山会長
今のは質問?、意見?
○地権者(知花昌一)
いや、今のは質問です。提出できるかどうか。あるはずです、そんなものは。
○当山会長
施設局、どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
私は先ほど来、申し上げてますが、4年2カ月の期間内に土地所有者に返還できる
ものと考えております。
○地権者(知花昌一)
計画書があったら、提出……
○当山会長
こういうふうに引き取りましょうかね。ちょっと平行線なので、むしろ収用委員会
自体で、まだ検討しておりませんので、近々、委員会を開いて、場合によっては、必
要な求釈明事項というのをまとめて提示したいと思っております。ですからそのへん
はもう、このへんで打ち切られてご意見を伺いして、収用委員会は収用委員会独自に
求釈明、また必要事項はまとめたいと思っております。
じゃ、総括のご意見いただけますか。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
本人から意見がきょうで、次回出席できないものだから、きょう意見陳述したいと
いう希望です。
○当山会長
結構ですよ。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
総括的な意見陳述は、次回にまとめてやりました。ほとんど新垣弁護士が言ったの
を中心ですので。はい。
○当山会長
それでは、次回期日でよろしいですか。決めるのは。今、総括意見おっしゃる?
次回にやるんでしょう。
○地権者(知花昌一)
次回です。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
次回にやるそうです。
○当山会長
次回にね。それで、次回期日をこれまでいろいろ調整してきましたが、第3回の公
開審理は3月27日、火曜日、午後1時30分から4時まで、浦添社会福祉センター
3階、大研修室で行います。ということで、大変お疲れさまでございました。本日は
これで審理を終了したいと思います。ご苦労様でした。
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仲田博康
nakada_h@jca.apc.org