仲田です。
2月23日、沖縄県読谷村総合福祉センターで開催された第2回公開審理
記録の前半です。長いので3分割にします。
議事録1
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第2回公開審理
○当山会長
それでは、定刻になりましたので、第2回目の公開審理を開催いたします。
収用委員の紹介につきましては、第1回目にやりましたし、前のほうに貼ってござ
いますので、できるだけ意見に時間を割きたいということもありまして、一人一人の
紹介というのは割愛させていただきます。
本日は、前回那覇防衛施設局から裁決申請概要の説明が行われましたので、今回は
まず初めに、土地所有者及び土地所有者代理人から意見を陳述していただきたいと思
います。
次に、土地所有者から事前に起業者に対し、求釈明文書が提出されましたので、起
業者那覇防衛施設局から釈明をしていただきたいと思います。
公開審理の運営にあたりまして、当事者等傍聴人の皆様のご協力は不可欠でござい
ます。円滑な審理運営のために、審理に参加している皆さんには、次のご協力をお願
いしたいと思います。
まず、私から指名された方のみ意見を述べていただきたいと思います。勝手に意見
を述べないようにしてください。
次に、審議記録作成のために、意見陳述者はマイクを使用して、土地所有者等は自
己の権利にかかる施設名と氏名を述べていただきたいと思います。
起業者那覇防衛施設局の方は、職名及び氏名を述べて意見陳述を行っていただきた
いと思います。
それから、関係人の方々は、「審理会場における注意事項」を遵守していただきた
いと思います。
注意事項は、入場券、傍聴券と併せて配布しておりますのでご確認ください。
前回での注意事項に関して、若干、指摘がございましたのでお話ししておきますと、
携帯電話、ポケベル等お持ちの方で電源を切ってない方がいらして、ほかの方が意見
を聞きづらいという苦情もございましたので、電源を切るかマナーモードにしていた
だくかにして、審理進行の妨げにならないように協力をお願いいたします。
それでは、土地所有者の方から意見陳述をお願いいたします。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
代理人の阿波根です。意見陳述をやる前に、本日、収用委員会は対象土地に立ち入
って調査なさったということを、報道で聞いております。そのことについて、私ども
も地権者として、そこに入りたいということで地権者と代理人5人が一緒に入りたい
ということで、申し入れをしておりました。そのことはできないで、きょうは結局は、
収用委員の皆さんだけで、あるいは施設局の方と一緒になって入っていると。そうい
う状況がありまして、そのことについて地主を代理して、有銘政夫さんから意見を述
べさせていただきたいと思うんですけど、よろしいでしょうか。
○当山会長
はい、では有銘さんどうぞ。
○地権者代理人(有銘政夫)
代理人の有銘政夫です。よろしくお願いいたします。
特に、今申し上げたように立ち入りについての件は、少し述べさせてください。
その前に、県収用委員会が公平、公正な審理を行うために地権者の現地立ち入りの
実現のために、ご努力いただいたことを昨日の新聞で知りました。敬意を表しておき
たいと思います。
立ち入りについてのことですが、少しかいつまんで歴史的なことを申し上げますと、
例えば、1972年の復帰の時点での公用地そのものが、全く県民、そして地主の総
意を無視して一方的に国会の大混乱の中で、公用地法が制定され、復帰以前にそうい
った法が制定されて押しつけられてきた。いわゆる占領下の状態のままの土地の強制
使用だったと思います。
続く1977年の地籍明確化法も同じでした。その期限が切れてもなお、1982
年の米軍用地特措法によって5年、それから87年には10年と5年、一部5年の強
制使用、そして92年には、また5年間の使用と、この3回の強制使用については、
申し上げますならば、防衛施設局はもう、ずっと一貫して安保優先、安保によって土
地の提供というのは高度な公共の福祉云々、実にわけの分からないことを言ってやっ
てきたし、当時の県の収用委員会は3回とも一応の形式は摘んだものの、やっぱり期
限に間に合わせて裁決するのが、収用委員会の任務だと言わんばかりの行動で、問答
無用でした。
1997年の特措法による収用委員会の審理からは、県収用委員会が実質審理をや
ると、こういう確認のもとに行われたために、いろいろと具体的な事例が収用委員会
の場でも論議がされ、実態が明らかになってきました。しかし、ここで、ある意味で
は追いつめられて期限切れを迎えるという前提に立って1997年4月17日、それ
から1999年の4月19日の二度にわたる米軍特指法の再改悪、2回にわたる改悪
をして、ずっと押しつけてきたのが現在に至る土地の強制使用の実態です。
この間、私たちはやはり地権者として当然、これを強引にやっているという、強奪
しているという不満、真っ向から対立的な立場にはありますけれども、いわゆる県の
収用委員会が開かれるとか、それから意見書を出せとか言う、手続き上は法に基づい
たその場、その場での現地に立ち入って、具体的なことを実態調査をしながら、具体
的に私たちの異議を申し立てたいとする、このことが全部強引に抹殺されてきた。言
うならば、地権者の意見など全く無視されたと言って差し支えないと思います。
例えば、今度の審理に入る知花さんの土地などは、期限切れになったあのときには、
いわゆる法的手続きによって裁判所の仮処分によって、実際には立ち入りをやってい
るんです。
こういった実質的に具体的に詰めていくと、当然やらさなければならない。当然の
権利として認めざるを得ない、認められるべきはずのものが、今度も追い打ちをかけ
るように軍の管理運営という一方的な言い分だけで、拒否をされてきてます。
しかし、先ほど申し上げた歴史的な過程とか、この間の状況を見てください。
最近、明らかになっていることは、沖縄の政治状況、ちょっとかいつまんで言って
も海兵隊の削減要求が去った県議会で全会一致で可決されるとか、それから昨日でし
たか、一昨日でしたか、金曜日の県の議会における知事の答弁でも海兵隊の削減を要
求するということが出ていますし、それから地位協定の見直しという要求の中で、こ
れが今、国の機関の中で前向きにやるとかいう発言が出るほど、緊迫した状況、政泊
状況がつくり出されています。
これは一貫して、そのような立場にたった状況の中で、なお一方的に拒否されてい
るのが、この立ち入りです。これについては、いろんな事例をみるまでもなく不当で
す。
昨日の新聞の内容でも、見ていますと地主の立ち入りは、日米合同委員会で拒否さ
れているという文言があります。それから、米軍の施設管理運営上の理由というのが
あります。これなども全く理由が分かりません。管理運営の理由だったら、あとで具
体的には述べますから、詳しくは言いませんけれども、実態として立ち入りをやるこ
とによって、象のオリの実態を明らかにすることによって、当然、SACOの合意で
もあったものを返還すべきだという主張は、私たちはきちっともっているつもりです。
そのことを立証する非常に重要な意味をもつ立ち入りまで拒否するということは、こ
れらのすべてを隠蔽する手段以外の何ものでもないというものです。
それで、もっと言及するならば、防衛施設、いわゆる管理運営を盾にして有無を言
わさず断ってくるという米軍。それから防衛施設局と県収用委員会の立ち入りしか認
めないと言う、こういった実態ですね。
そうしますと、日米両政府、米軍と国が結託をして合同委員会で話し合ったという
こともありますから、そして県の収用委員会に有無を言わさず、これを承認しろと。
こういった県収用委員会に対する強制使用の強要の構図だとみる以外の判断は出ませ
ん。だから、二重、三重に私たち地権者のすべての権利を圧殺すると同時に、収用委
員会に不当な圧力をかけながら、強制使用を強行していこうという、こういったこと
だというふうに思います。
だから、これは民主主義国、それから独立国の立場を放棄する、隷属的な態度を容
認している日本政府の態度に対し、私たちは腹の底からの憤りをもっております。
もう一度整理してみますと、占領下の銃剣とブルドーザーによる土地強奪、容認を
した公用地法、それから米軍特措法による強制使用の継続、そして道義的にも法的に
も追いつめられた日本政府の一方的な米軍特措法の改悪、これ2回も行われておりま
す。不当な使用強行、特に中部においては、70%が私有地と言われる米軍用地、こ
ういった実態を有無を言わせず奪い取るという実態は、まさに国内はもとより世界の
どこにも例のない実態だというふうに思います。
まさに、このことは占領地下、植民地的支配の体制を現実に行っていると言われて
も仕方のない状況だというふうに思います。
そして、さっきもちょっと申し上げましたけれども、この立ち入りによって暴かれ
ることを恐れた基地の実態を隠蔽するための地権者への立ち入りの拒否だと、私たち
はこのように規定をしておきたいと思います。
ですから、県収用委員会の公平、公正な審理を保証するための、地権者への立ち入
りの要求は民主主義、人権、主権者の諸権利を保障する立場から、当然なこととは言
えますけれども、あまりにも無謀な、しかも地権者の権利を無視した、国及び米軍の
態度を見るにつけ、県収用委員会の勇気ある対応を評価した次第です。
今回の公開審理においても、公平、公正な立場を堅持していただいて、いわゆる実
質審理を実現していただくよう、要望して意見を終わりたいと思います。
どうぞ、その趣旨を汲んでよろしくお願いしたいと思います。以上です。
○当山会長
はい、ご苦労様です。では、阿波根弁護士、どうぞ。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
ただいまの件に関連してご質問をいたします。
前回の強制使用手続きの中で、私たちは裁決申請の前においては、那覇防衛施設局
に対して、基地内立入調査のあっせん方の依頼をしたことがあります。
裁決申請をされたあとは、土地収用法に基づいて適切な手続きとして、現地立ち入
りをするよう申し入れをしました。そのときに、収用委員会のほうは基地内立ち入り
をしようということでやりましたけれども、結局、できませんでした。
そのときの米軍との、結局、できなかった理由は、米軍がオーケーしないんだとい
うことでできなかったわけです。収用委員会の方は入ったんですけれども、そのとき
は地主のほうはだめだったわけですね。
そのときの、基地内立ち入りの手続きについて、防衛施設局から私どもに説明され
た文書がありまして、その文書の中では基地内立ち入りのあっせん申し入れの補充書
に対する説明ということで、米軍施設への立ち入りに関して、施設局の説明は次のと
おりです、ということで、まず、合同委員会の事務局を通じて申請しなさいというの
がありまして、それは国会議員や、日本政府の中央職員の職員が入る場合には、合同
委員会事務局を通じて申請しなさいということになっていた。
それから、沖縄県外の地方議会議員、それから沖縄県外の地方公共団体の職員等が、
基地内立ち入りを要求する場合には、防衛施設庁を通じて、那覇防衛施設局じゃなく
て、防衛施設庁を通じて在日米軍指令部に申請してくれと。沖縄じゃなくて、在日米
軍指令部に申請してくださいということでした。
それ以外の方について、例えば、私とか、沖縄県の県会議員とかですね、基地内立
入をする場合には、直接、現地米軍に直接申請したらよろしいということになってい
たんです。
ところで、今回の収用委員会が立ち入りしているのは、第1分類、第2分類、第3
分類というと、第3分類の米軍基地に直接申請すべき立ち入りの手続きとなると思う
んですけど、そのような手続きで米軍に立ち入りの申請をなさったかどうか、お聞き
したいですけどどうでしょうか。施設局に聞かれてください。
○当山会長
ちょっと私も、詳しいところは分からないので聞いていたんですが、施設局と収用
委員会事務局と調整をして、どういうふうにしてやればいいのかということでやった
ようですけど、今、お持ちになっているのは前回にいただいた書類、それを今回、そ
れが手元にあってやったわけじゃありませんので、結局、施設局を通じまして、私が
聞いたところでは施設局を通じて防衛施設庁、それから外務省を通じて日米合同委員
会というルートですか。このへんちょっと詳しいところはよく分からない、むしろ施
設局のほうに聞いたほうがいいですね。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
そのようにお願いいたします。
○当山会長
施設局の方、そのへんのルートについて教えていただけますか。職名と氏名をおっ
しゃってください。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
それでは、私、那覇の防衛施設局施設部長、栗原精治でございます。
ただいまの件でございますが、公開審理の前の楚辺通信所の現地調査の際、米側か
ら土地所有者の立ち入りを拒否されたということだが、ということでその間の手続き
についてと、いうことで承ってご報告させていただきます。
平成13年1月29日、県の収用委員会から現地調査の実施について通知を受け、
防衛施設庁、外務省を通じまして、日米合同委員会米側事務局に立ち入り申請を提出
いたしましたところ、平成13年2月16日に事務局から楚辺通信所の立ち入りにつ
いて、収用委員会の委員及び同事務局職員については、米軍への立ち入りを認めるけ
れども、土地所有者及びその代理人については、施設の管理運営上の理由から認めら
れないとの連絡を受けたので、その旨、私ども那覇防衛施設局から収用委員会のほう
にお知らせをしたということでございます。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
ちょっと確認ですけど、早口でメモもとりにくくて、もう一度ゆっくり回答してい
ただきたいんですけれども、収用委員会から立ち入りの要請を受けて、那覇防衛施設
局は防衛庁のほうにそれを連絡したということですか、まずは。ストレートに外務省
にすぐ連絡したということですか。
○当山会長
そのルートはちょっと、ゆっくり。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
お答え申し上げます。
収用委員会のほうから申請がありましたものを、私どもから防衛施設庁のほうに提
出しました。
その先は、防衛施設庁のほうで調整しているわけですが、外務省を通じ日米合同委
員会事務局のほうに提出されて、判断されたというふうに聞いております。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
確認しますけど、那覇防衛施設局から防衛庁に連絡なされて、それから外務省に連
絡なされたと。それから外務省のほうから日米合同委員会の事務局に連絡がいったん
だと。そういうことになっていますね。
これは、いわゆる従前の立ち入りの手続きで言うと、日米合同委員会事務局を通じ
てやるという手続きは、日米合同委員会というのはトップのクラスの機関ですので、
最高の機関のところでそれは却下されたということなんですけれども、本来はこれは
現地米軍に直接申請して、現地米軍から意見を聞くべきケースではなかったんでしょ
うか。
○当山会長
施設局どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
お答えいたします。職名と名前は省略させていただきます。
今のご質問でございますが、私どもとしましては、本件立ち入り申請事案につきま
しては、中央で処理されるというふうに聞いておりましたので、今のような手続きを
とったというようなことでございます。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
そうすると、今回の私どもの地権者を入れるかどうかについては、トップのところ
で政治的な判断でそうされたというふうな説明だったと、私はそのように受け止めま
した。
本来は、これはこういう沖縄県の、強制収用事件の中での立ち入り等については、
普通は日米合同委員会のほうで、そこで決めるべき事項なのか、私は疑問があると思
うんですけれども。そのようなところで本当に日本政府が、日本政府の代表者、大臣
クラスですよね。合同委員会ですから、大臣クラス。トップクラスが来るわけです。
その中で本件の強制収用事件について現地立ち入りができないということになると、
これは単にアメリカ政府だけが、アメリカ軍だけが現地立ち入り調査を拒否したんじ
ゃなくて、日本政府もこの使用手続きの中での現地立ち入りを、それは拒否したんだ
という構図になると思うんです。これは大きな問題だと思います。これは間違いない
ことでしょうか。
日米合同委員会で大臣さんが出席して、それなりの決定がなされたかどうか分かり
ませんでしょうか。
○当山会長
施設局どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
お答え申し上げますが、先ほど局から本庁にあげる件について、本件事実は中央の
ほうで処理されるというふうにお答えしましたが、立ち入りに関しましては、私ども
局としましては、現地米軍に一応こういう立入申請があるということで、サウンドし
ておりまして、その結果として中央に上申してくれというか、中央判断ということな
もので、先ほどのような手続きをとったということでございます。
それから、立ち入りの判断の経緯につきましてですが、あくまで私どもとしては収
用委員会さんのほうから要請のあった立ち入りについて、先ほど申し述べました手続
きをとったということでございまして、中央における調整の経緯というのは、承知し
てございません。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
先ほどの説明の中では、現地米軍と調整したという説明はなかったんですけど、た
だいまの説明の中で、一応はまずは、現地米軍に申請をしたんだということなんです
ね。まずは、現地米軍に申請をしたということですね、確認します。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
お答えを申し上げますが、収用委員会さんのほうからお話があったときに、この申
請について現地米軍に問い合わせてございます。
○当山会長
よろしいでしょうか。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
この件については、あとでも意見があると思いますけど、進めたいと思います。
きょう、午前11時からですか、収用委員会の先生方が現地に立ち入られたという
ことですけれども。ちょっとニュースで、ラジオでしか聞いてないんですけれども、
30人くらいが立ち会ったんだということをニュースで流れていました。
これは防衛施設局の職員も一緒に入ったと思われるんでしょうが、収用委員会の方
が何人入られて、施設局の方が何人入られたのか、分かりませんでしょうか。
○ 当山会長
収用委員会は、事務局の職員を併せて15名ですね、立ち会ったのは。施設局のほ
うはこちらで把握しておりませんので、施設局の職員が何名立ち会ったのかというの
は、私は分かりませんから、部長に答えてもらいましょうか。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
私どもの職員は、収用委員会の委員の方々の調査ということで、施設のエリアのほ
うに入りましたのは6人でございます。なお、私どもが入り口の入ったところの横の
駐車場等、あるいはその途中の路上に私ども職員が、何人かは配置させていただいて
おります。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
施設局の方が6人、収用委員会の事務局併せて15人入られたということですけれ
ども、きょうのニュースの情報なんですけれど、収用委員会の方は現地に入られて施
設局の職員の説明で、施設の使用状況等を調べたと、あるいはメジャーでもって対象
土地の測量を入れたりしたということであったんですけれども、それ以外にその施設
の状況を、収用委員会のほうで十分確認できたのかどうか、ちょっと心配なものです
からお聞きしたいんですけど。
例えば、従来の66年の裁決申請事件のときにも入られまして、緊急収用のときに
も入られましたけど、そのときの状況と現在の施設の状況が、その設備がアンテナと
か、ワイヤーとか、ワイヤーメッシュとかいろいろあるんですけど、そういう施設に
変化があったのかどうか、そこらへん確かめられたのかどうか。
それから、施設の機能が従前どおり機能していたか、要するにそこは使われていた
のかどうか、そこらへんを確かめることができたでしょうか。
○当山会長
お断り申し上げますと、細かい基地の機能とかについては、そこでは米軍の担当官
が立ち会ったりしませんので、実際、収用委員会が調べる対象というのは土地の利用
状況、それから土地の形状等が主体でございまして、その他については施設局サイド
からの釈明等もあって、やるという形をとっております。ですから、現地調査におい
てはそういう細かいところまではやっておりません。
62年当時ですか、あるいは3年前とかそういう話がございましたが、当時見た人
というのは私ともう一人だけでして、あとの委員は全部変わっておりますので、それ
は比較検討できないと思います。ですから、現状についての確認をしてきたというふ
うにとらえてください。
あとは、求釈明等がございましたら、むしろ皆さんのほうで施設局にお聞きになっ
て、その中で明らかになったものを基にしてわれわれは判断していきたいというふう
に考えております。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
具体的な状況については、楚辺通信所の具体的な求釈明の中でお聞きしたいと思い
ます。
○当山会長
そうですね。求釈明の総論部分に入っていただけますか。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
それでは、私どもから求釈明の申し立てをしておりまして、それについてお答えい
ただきたいと思うんです。すでに回答をいただいているんですけれども、できるだけ
みんなに分かりやすく、十分理解を深める意味で口頭でもって質問いたしたいと思い
ます。
私どもの質問は、総論部分と楚辺通信所と、それから牧港補給地区の三つに分かれ
て質問いたしましたけれども、きょうはその中で総論部分と楚辺通信所についてだけ
求釈明をし、お答えいただきたいというふうにお願いしたいと思います。
まず、総論部分についてお聞きいたします。
総論部分が4点ございまして、その中で2番については馴染まないという、昔よく
使われた言葉が出ておりまして、1番と3番と4番には回答があります。その中で1
番と2番と3番について、私のほうからまずお聞きしたいと思います。
一つは、日米安保体制というのは何だろうかと。日米安保条約といかなる関係があ
るのかという質問であります。体制と条約とは違うんじゃないかと。体制という言葉
は、いつ頃どのようにして出てきたのかと、安全保障体制というのはあるけど、日米
安全保障体制というのは安保条約が締結されるまでに、そういう体制があったのかど
うかです。
日米安全保障体制というものは、安保条約の上位概念としてあるのかどうかです。
その関係が申請理由の文書だけでは十分理解しにくいということで、まずご説明をい
ただきたいというふうなことで、日米安全保障体制とは何か、日米安保条約とはいか
なる関係があるのかということを、ご説明いただきたいと思います。
それから、2番目に日米安全保障体制が我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と
安定にとって不可欠な枠組みとして機能しているとご指摘がありますけれども、これ
はアジア・太平洋地域と極東地域とは違うのかどうか。違うとすればアジア太平洋地
域の地理的範囲を的確にされたいということであります。
ご存じのように安保条約第2条によっては、日本がアメリカに対して、基地提供義
務を負っている、米軍駐留するのは、極東地域の平和と安全でありまして、アジア・
太平洋地域の平和と安全ではありません。ということですので、これが同じことを言
っているのか、違うのかということを明らかにしてもらいたいということなんですけ
ど。これについては審理に馴染まないということなんですけれども、これは非常に馴
染むことであって、安保条約の2条との関係で、この強制使用が可能になってくるわ
けですから、安保条約2条のその解釈との関連で、アジア太平洋地域と極東地域の違
いを明らかにする必要はあると思います。その点を明らかにしていただきたいという
ふうに考えます。
それから、3番目ですけれども、「駐留軍の駐留は我が国の安全ならびに極東にお
ける平和及び安全の維持に、今後とも寄与するものである」とありますが、今後とも
寄与するものであるということは、これは私たちにとって非常に異論のあるところで
すけれども、米軍の駐留が今後、相当、長期になるんだということでしょうか。
もし、相当、長期になるというのでしたら、沖縄はいつまでもこの米軍基地の重圧
の中で苦しまなければいけないのか、ということなんです。
その駐留の期間は5年なのか、10年なのか、15年なのか、あるいは永久なのか、
そういうことを明らかにしてもらいたいということで、まず釈明をお願いいたします。
○当山会長
はい、防衛施設局。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
まず、第1番目の日米安全保障体制とは何か、日米安保条約とはいかなる関係があ
るのかとの事項についてお答えいたします。
我が国の憲法のもとで進められている防衛政策は、昭和32年5月に国防会議及び
閣議で決定された「国防の基本方針」にその基礎を置いており、「国防の基本方針」
は、まず、国際協調など平和への努力の推進と民生安定などによる安全保障基盤の確
立を、次いで効率的な防衛力の整備と日米安全保障体制を基調とすることを基本方針
として掲げております。
この日米安全保障体制は、日米安全保障条約を基調とするものであり、我が国の安
全に対する直接的な貢献、我が国周辺地域の平和と安定の維持への貢献という役割を
果たしており、さらに日米関係の中核をなすとともに、我が国の幅広い外交の基盤と
もなっているものであります。
2点目についてでございますが、2点目の「日米安全保障体制が、我が国を含むア
ジア・太平洋地域の平和と安定にとって不可欠な枠組みとして機能している」とある
が、アジア・太平地域と極東地域とは違うのか、違うとすればアジア・太平洋地域の
地理的範囲を明らかにされたいという事項についてお答え申し上げます。
本件につきましては、去る2月19日付の文書で審理に馴染まない旨、ご回答させ
ていただいております。
次に、3点目の件でございますが、「駐留軍の駐留は我が国の安全、ならびに極東
における平和及び安全の維持に今後とも寄与するものである」とあるが、今後とも寄
与するものであるということは、米軍の駐留が今後、相当、期間になると解されると
思われるが、そのように解してよいのか、という事項についてお答え申し上げます。
平成8年4月に発表された日米安全保障宣言では、アジア・太平洋地域においては、
依然として不安定性、及び不確実性が存在するとの情勢認識のもとで、日米安全保障
条約を基盤とする両国間の安全保障面の関係が21世紀に向けて、この地域において
安定的で反映した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認したうえで、
日本の防衛のための最も効果的な枠組みは、自衛隊の適切な防衛能力と日米安保体制
の組み合わせに基づいた日米両国間の緊密な防衛協力であり、日米安保条約に基づい
た米国の抑止力は、引き続き日本の安全保障のよりどころであること。
日本が日米安全保障条約に基づく、施設及び区域の提供等を通じ、適切な寄与を継
続すること等について改めて確認しております。このことからも駐留軍の駐留は、今
後、相当長期にわたるものと考えられます。
3番目の(2)についてでございますが、仮にそうであるとすれば、米軍の駐留は
いつまで必要であると考えているのか、5年か、10年か、15年か、それとも永久
かとの事項についてお答え申し上げます。
駐留軍の駐留は、今後、相当、長期にわたるものと考えられますが、その期間につ
いては確定的に申し上げることができません。以上、お答え終わります。
○当山会長
はい、どうぞ。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
ちょっとよく分かりません。
日米安保条約と日米安保体制のどこがどう違っているのか、よく分かりません。
ただ、日米安保体制の中核が、日米安保条約を基礎としているんだということは、
私も分かります。そういうことを言われていることは理解できます。
ただ、日米安保体制という言葉が出てきたのは、昭和32年頃だということのご説
明があります。昭和32年頃、昭和27年に旧安保条約が締結調印されておりますけ
れども、新安保条約ができる前の話なんですね。昭和32年ですか、皆さんがおっし
ゃっているのは。昭和32年の5月の国防会議でそのようなことが言われたと、日米
安保体制という言葉が使われて、あそこで了承されたんだということをおっしゃって
いるんですけれども、その当時の日米安保体制でカバーできる枠組みは、今おっしゃ
っている、要するにアジア・太平洋地域だつたのか、極東地域だったのかということ
なんです。
昭和32年当時からすでに日米安保体制ということは、極東じゃなくてアジア・太
平洋地域ということで、日米安保体制が考えられていたのか。そうではないのではな
いかと、要するに平成8年に、日米共同宣言が出されますけれども、その前後におい
て、そこらへんから変わってきているんじゃないかということなんです。
安保条約は、2条で、これは極東条項があって、極東の平和と安全を寄与するため
だと、しっかり書かれているわけです。それを越えて日米安保体制という言葉を出す
と。日米安保体制のカバーできる区域は、アジア・太平洋地域だと言っているわけで
すね。そうすると、沖縄の基地の提供義務がどんどん、どんどん広がっていくという
状況になるわけです。そういうことで、日米安保体制と日米安保条約はどう違うのか、
日米安保体制でいっているカバーできる地域と、日米安保条約でカバーできる地域は
違うのか、違わないのか、そこらへんをしっかりはっきりお答え願いたいと思います。
○当山会長
施設局どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
ただいまの件につきましては、先ほど申し上げました、求釈明事項の(2)にかか
るものかと思いますが、求釈明事項の(2)にかかる私どもの回答は、先ほど申し述
べたとおりでございます。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
ちょっと、回答になってないと思うんですけど。
○当山会長
理解を深めるという意味で、回答いただいてもいいかなと思うんですが、何か差し
支えがございますか。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
違うんですか、違わないんですか、体制と安保条約とは。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
今のご指摘でございますけれども、先ほど述べましたように、本件につきましては、
私ども先ほど申し上げたように、文章で審理に馴染まない旨お答え申し上げておるも
のですから、私としてはこのようにお答えさせていただきます。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
審理に馴染まないというところですね、3項であって、第1番目の日米安保体制と、
日米安保条約はどういう関係にありますかということについては、一応のお答えをい
ただいているわけですよ。
これが地理的範囲を明らかにしなさいという2番目のものについては、皆さん審理
に馴染まないとおっしゃっていますけれども、一応、日米安保体制と日米安保条約は
どのように違うかということはご回答いただいているわけです。
これに関連して、どのように違うのかというその基調となるものであるんだと、安
保体制の基調になるのは安保条約だということをおっしゃっているんですが、同じも
のなのか、どのようなものですかということなんです。日本とアメリカが安全保障体
制の枠組みは、同じような枠組みで考えているのか、アジア太平洋地域として考えて
いるのか、極東地域として考えているのか、それはどのように変化があったのかとい
うことを聞きしたいんですけど、お答え願えませんでしょうか。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
重ねて恐縮でございますが、私としましては本件につきましては、ここで即答でき
ませんので、後ほど委員会のほうとも調整して、文書等で回答させていただくという
ことでお願いいたします。
○当山会長
それでは、ちょっと検討していただきましょう。
有銘さん、どうぞ。
○地権者代理人(有銘政夫)
今の返答がきちっとできてくるといいと思うんですがね。付け加えておきます。
事実上、馴染まないというときに、土地を奪う側、使いたい側は安保条約上、そし
てこちらに書いてある諸々のことは、日米安保体制のもとにぜひ必要だから、あんた
方のものを強制的にでも収用すると言っているわけです。
それはどういう枠組みなのか、なぜなのかと言ったら、馴染まないと言う、僕らは
どこに馴染めばいいかということですよ。非常に困るのは、もう少し馴染んでくださ
い。そうしないと、これは少なくとも、さっきから言っているように、米軍が管理運
営上と、米軍の管理運営上は分かります。それはいいでしょう。
しかし、僕らの土地を一義的に契約をして、強奪をして貸す権利と義務を履行しよ
うとしているのは、日本政府なんです。それの起業者でしょう。そこが取り上げるこ
とには、あんた方、馴染め、馴染めと言って、文句言わずにこちらに馴染んで提供し
ろと言っておきながら、もし、仮に契約したと仮定しましょう。これも期限ないんで
すよ。20年経ったら、返してくれと言っても20年は返せませんと。また、強制的
にやって、それも全部こういう繰り返しで期限がない。これもわけが分からない。そ
れで安保条約を非常に重要なこととして、最高の公益なんだと言いながら、なぜです
かと言ったら、馴染まないと。あんた方聞く必要はないと。認めなさいと。こういう
ことで、私たちは誠意をもって聞いているのにも答えない。
だから、今言ったみたいに具体的なものをやられると、とんでもない結論が出てく
るから、これを拒否していると、こういうことですよ。それは回答拒否しますという
言葉に置き換えられませんか。なぜか、馴染まないなんて、僕らが馴染もうとしない
という言い方なんですか。
それとも、皆さん馴染まないというんだったら、沖縄から出ていったらいいじゃな
いですか。なんでこんなところにおめおめといるんですか。ここだけきちっとやって
もらえば、審理は私たちは進められると思います。その面、よろしく、注意をしたう
えで次の文書回答は期待をしたいと思います。
○当山会長
はい、大変ごくろうさん。次に進んでいただけますか。
○地権者代理人(弁護士阿波根昌秀)
総論部分の最後の質問なんですけれども、申請理由の説明書の中で防衛施設局のほ
うは、常々、土地所有者との間の合意をとりつけることに努めていますが、とありま
す。ところが、土地所有者からこの土地を使わせてくれということの同意を得るため
に、施設局は、本件二つの土地については、どのようなことをなされたのかご説明い
ただきたいと思います。
○当山会長
それでは、施設局、どうぞ。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長栗原精治)
それでは、本件の「常々、土地所有者との合意に努めているが」とあるが、土地所
有者の使用承諾を得るため、いかなる努力をしてきたのか、との事項についてお答え
申し上げます。
当局としましては、駐留軍に施設・区域として提供する必要がある民公有地につい
ては、土地所有者との合意により賃貸借契約を締結して使用することを基本と考えて
おります。
そのため、当局職員が土地所有者を訪問のうえ、賃貸借契約の締結について依頼す
るなど、合意が得られるよう努めてきたところであります。以上でございます。
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仲田博康
nakada_h@jca.apc.org