Date: Tue, 06 Mar 2001 19:39:27 +0900
From: Watanabe Yoichiro <nabe@mbd.sphere.ne.jp>
To: Save-Dugong ML <Save-Dugong@okinawa-u.ac.jp>,Keystone ML <keystone@jca.ax.apc.org>
Subject: [keystone 3656] 「ジュゴン5頭を公式確認/「普天間」代替協で報告」(沖縄タイムスより)
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 3656
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

ジュゴンプロジェクトの渡辺です。

予備調査でジュゴンが6頭も確認されていました!

----------------- 以下、転載 ------------------------------
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200103061700.html#no_1

<2001年3月6日 夕刊 1・5・4面>
ジュゴン5頭を公式確認/「普天間」代替協で報告

 米軍普天間飛行場の移設に伴う、代替施設協議会(主宰・橋本竜太郎内閣府
沖縄担当相)の第六回会合が六日、首相官邸で開かれた。この中で、防衛施設
庁はジュゴンの生息状況にかかる予備的調査の結果、沖縄本島東側で五頭、西
側で一頭の合わせて六頭(五頭は別の個体)確認したことを報告。政府による
初の調査で、少なくとも五頭のジュゴンが移設予定地に近い沖縄本島東側を中
心に生息していることを明らかにした。政府は今回の調査で、代替施設の移設
によって影響を受ける自然、生活環境などに関するデータは出そろったとして
おり、次回会合からは代替施設の規模、工法の具体的な検討に入る。ただ、予
備的調査とはいえ、国際的な自然保護団体や米国政府機関などが保護を求めて
いるジュゴンの生息が公式に確認されたことは、今後の移設作業にも影響を及
ぼしそうだ

 協議会には、政府側から橋本担当相のほか、河野洋平外相、川口順子環境相、
扇千景国土交通相、斉藤斗志二防衛庁長官、仲村正治沖縄担当副大臣が出席。
沖縄側から、稲嶺恵一知事、岸本建男名護市長、浦崎康克宜野座村長、宮城茂
東村長らが参加した。調査報告後は、早ければ五月ごろにもまとめられる代替
施設の基本計画についても意見を交わした。この中で稲嶺知事は小型航空機や
コンテナ輸送ができる民間施設を要望した。

 協議会後、岸本市長はジュゴンの生息について「アンケートでは金武湾での
発見が多かったが、これは東海岸全部同じ条件ではないか」と述べ、沖縄本島
東側一帯はジュゴンの生息地として重要との認識を示した。

 その上で、環境影響評価(アセスメント)についても「二、三年かかると思
うがきちっとした調査を要望しなければならない」と述べた。

 ジュゴンの予備的調査は、二〇〇〇年十月三十日から〇一年一月九日まで沖
縄本島全域で行われた。防衛施設庁の委託を受けた民間の環境調査会社が
(1)航空(2)アンケート(3)海上(4)食跡確認―などの項目ごとに調
査した。

 小型航空機とヘリコプターによる航空調査で確認されたジュゴンは延べ六頭。
五頭については背中の傷あとや体長の長さなどからそれぞれ別の個体だった。
ジュゴンが目撃された海域周辺の藻場では、沖縄本島東側で一海域、西側で一
海域の二海域で海草を食べた跡があった。このうち、移設予定地の名護市辺野
古周辺海域の藻場では十二月二日から十一日までの間に四回、ジュゴンの食べ
跡が確認された。
 

     ◇     ◇     ◇     本格調査を要望/代替協
ジュゴン報告で専門家
 

 米軍普天間飛行場の移設に伴う代替施設協議会の予備的調査結果で、候補地
のキャンプ・シュワブ周辺海域にジュゴンの生息があらためて確認された。報
告を受けた専門家や保護運動に取り組む地元関係者らは「当然の結果だ」と冷
静に受け止めながらも、「本格的な調査を望む」と長期間の環境アセスメント
の必要性を求める声が相次いだ。

 香村真徳琉球大学名誉教授(藻類学)は、「ジュゴンの調査には専門的で高
度な知識、経験が必要とされる」と、今回の調査では全容が把握できないと前
置きした上で「(民間の)専門家の調査で、沖縄本島のジュゴンは多くても十
五頭前後、東海岸を中心的なえさ場にしているとの結果が出ている。防衛庁の
調査結果もほぼ、これに合致すると言える」と分析した。

 昨年十月の国際自然保護連合(IUCN)の総会に出席した世界自然保護基
金日本委員会(WWFJ)の花輪伸一さんは「IUCNは環境影響調査を勧告
した。この短期間での予備的調査だけで済ませれば国際的信義に反する。きち
んとしたアセスで軍事基地建設のジュゴンへの影響を評価し、複数の代替案を
検討すべきだ」と求めた。

 ジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨事務局長は「ジュゴンだけでなく、名
護の東海岸域の生態系を守るため、自然保護区域の指定を求めたい」と強く要
望した。「世界中でジュゴン保護は常識で、生息していない米国でさえ、環境
指針に盛り込んでいる。絶滅させるようなことがあれば、日本は世界に信頼さ
れなくなる」と説明した。「本格調査は、専門の環境省が四季を通じて、最低
三年間実施してほしい」と語った。
 

解説・行動パータン未解明
 

 政府は「予備的」とはいえ、国の天然記念物・ジュゴンが米軍普天間飛行場
の移設予定地に近い名護市辺野古周辺海域を含む沖縄本島東海岸で生息するこ
とを初めて確認した。代替施設がどのようなものになるにせよ、約二千メート
ルの滑走路で軍民共用空港を想定した構造物が造られる周辺海域のジュゴンに
「著しい影響を与えない」(政府方針)工法、規模、建設場所はどのようなも
のか。ジュゴン保護を決議したIUCN(国際自然保護連合)など世界的な自
然保護団体が注視する中、政府、県、それに名護市など関係自治体にとっては
難しい対応を迫られる局面も出てきそうだ。

 政府は、これまで自然保護団体などが求めるジュゴンの生態調査について
「知見がない」という理由で消極的な対応をとってきた。環境行政を担当する
環境省ですら、独自の生息調査の実施について「防衛施設庁が行っている」
(川口順子環境相)など、否定的な見解を示してきた。

 しかし、防衛施設庁の調査では、移設予定地近くに少なくともジュゴン五頭
の生息が明確になった。しかも、確認されたジュゴンの食跡からは海草を食べ
る量が極めて少ないなど、食性や行動パターンがほとんど解明されていない。

 沖縄本島周辺のジュゴンは生息域の北限とされ、他の地域とも隔絶した個体
群で、絶滅の危機に瀕(ひん)しているとされる。こうした中、ジュゴンの保
護に向けた環境影響評価(アセスメント)など、早急な対策を求める声が国内
外で高まるのは避けられない。

 政府は、今回の調査報告で「基本計画策定に向けた諸条件についての勉強会
は最後になる」(内閣府幹部)としており、四月上旬にも開かれる第七回代替
施設協議会では工法、規模などを具体的に検討する。

 昨年八月から積み重ねてきた協議で実務者レベルでの検討は終わり、今後は
「(工法を含めた基本計画策定を)だれが判断するというより、協議会の中で
どのような結論を得ていくかということになる」(同)。夏までにはまとめら
れる基本計画の策定に向け最終段階に入ったといえよう。

 ただ、ジュゴン保護など国際的に注目される環境問題に加え、工法ごとに意
見が割れる地元の合意形成など、課題は山積している。基本計画策定の作業が
政府のシナリオ通りに進むかは、依然として不透明だ。(東京支社・平良武)
 

ジュゴン調査要旨
 

 「ジュゴンの生息状況に係る予備的調査」の結果について(要旨)

 一、調査結果

 1・航空調査・沖縄本島周辺海域について、小型飛行機で全海域を調査する
とともに、過去にジュゴンの目撃例のある海域では、さらにヘリコプターで調
査。

 ○沖縄本島東側で五頭、西側で一頭、計六頭のジュゴンを確認(一覧表・地
図参照)。

 ○ジュゴンの個体識別により、五頭は別の個体であることを確認。

 2・アンケート調査・食跡確認調査を実施する海域に関係する十漁協の漁業
関係者を対象に目撃情報を収集。

 ○アンケート回答数五百四十二のうち、ジュゴンの目撃件数は三十七件。

 ○ジュゴンの目撃時期は、十年より前が八件、六―十年前までが六件、五年
前までが二十三件。

 3・海上調査・辺野古周辺海域において船上から目視で調査。

 ○ジュゴンは確認されず。

 4・食跡確認調査・観察員がジュゴンが目撃された海域周辺の藻場海域に潜
り、ジュゴンが海草を食べた跡を確認

 ○ジュゴンによる藻場の食跡は沖縄本島の東側で一海域、西側で一海域の計
二海域で確認。

 ○藻場において、周囲の一様な海草の植生に比べ、一定の高さで面状または
帯状に刈り取られたような状態のものを、ジュゴンによる食跡と判断。

 ○ジュゴンが海草を食べた量を食跡から推定すると、少ないもので〇・二キ
ロ、多いもので六・五キロで、成体が一日に三十キロ程度の海草を食べるとい
われているのに比べ、極めて少量。

 二、考察

 (1)生息頭数

 航空調査で確認した延べ六頭のジュゴンについて、個体識別により、五頭は
別の個体であることを確認した。したがって、今回の調査期間において、沖縄
本島周辺には、少なくとも五頭のジュゴンが生息していた。

 (2)確認海域

 航空調査により、沖縄本島東側の名護市嘉陽―宜野座村周辺海域で五頭、西
側の古宇利島周辺海域で一頭のジュゴンを確認するとともに、沖縄本島東側の
辺野古周辺海域および西側の屋我地島周辺海域において食跡を確認した。

 また、アンケート調査により沖縄本島東側では二十六件、西側で十一件の目
撃情報を収集した。

 (3)行動パターン

 ジュゴンが確認された海域の水深は三〇から七〇メートルで、いずれもさん
ご礁の沖側に位置している。また、ジュゴンが確認された時間帯は午前八時三
十分から午後零時三十分で、およそ日中の下げ潮―干潮時に該当している。

 ジュゴンの行動については、昼間の満潮時に浅瀬の海草藻場で採餌を行い、
干潮時や日中はやや深い海域に戻るといわれているが、今回ジュゴンが確認さ
れた状況は、この行動パターンにいわれている状況に合致している。

 (4)食性

 今回確認された食跡において食べられている海草の量は、確認されたジュゴ
ンの頭数に比べて極めて少ない。したがって、今回確認されたジュゴンは、食
跡が確認された海域や他の海域において、明確な食跡が残らないほど植生密度
の薄い海草藻場などで採餌している可能性が高いと考えられる。
 

調査方法
 

 ▽航空調査

 ○小型飛行機およびヘリコプターは、海岸部と沖合の間を東西に往復する方
法で飛行。

 ○調査海域は、水深九〇メートルまでを設定(沖合約五キロから十キロ)

 ○期間は二〇〇〇年十月三十日から同年十二月十六日。その間、小型飛行機
が十日、ヘリコプターが十一日調査。
 

 ▽海上調査

 ○辺野古海域で船上から目視で調査。

 ○期間は二〇〇〇年十一月二十三日から同年十二月四日で、日数はその間の
七日。

 ▽食跡確認調査

 ○期間は二〇〇〇年十一月六日から同年十二月十八日で、調査日数は、その
間の二十五日。
 
 
 

----------------- 以上、転載 ------------------------------

では(^^)/
--------------------------------------------------
 渡辺洋一郎      常用 <nabe@mbd.sphere.ne.jp>
                 PHS <nabe@meb.em.nttpnet.ne.jp>
 「すべてのPCにジュゴンを!プロジェクト」
                 http://dugong-goods.hoops.ne.jp/
 個人ページ      http://homepage2.nifty.com/nabe/



 
  • 1998年   3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年   1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年   1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2001年   1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

  • キーストーンメーリングリスト 目次