Date: Thu, 22 Feb 2001 13:06:50 +0900
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Subject: [keystone 3613] セレビッチ事件控訴審判決(ICTY)
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前田 朗@歴史の事実を視つめる会、です。
2月21日

1) ICTY(旧ユーゴスラヴィア国際刑事法廷)控訴部は、2月20日、セ
レビッチ事件につき判決を言渡しました(JL/P.I.S/564-e)。

2) デラリッチの無罪は確定しました。

3) 控訴部は、起訴状の訴因1と2について、デリッチの控訴理由9と10を
認め、有罪判決を破棄し、この訴因については無罪としました。

4) 累積的有罪についての控訴に関しては、控訴部は、デリッチの控訴理由2
1、ムチッチの控訴理由7を認め、ムチッチにたいする訴因14等、デリッチに
たいする訴因4等、ランゾにたいする訴因2等を破棄し、従ってこれらを有罪と
した裁判部の宣告刑も破棄し、裁判部に差し戻しました。

5) 控訴部は、ムチッチの量刑7年は軽すぎるという検察官の控訴理由4を認
め、ムチッチについて適切な量刑をするよう裁判部に差し戻しました。

6) 控訴部はその他の控訴理由は棄却しました。

7) 被告人ら(デリッチ以外)は、次の手続命令が出るまでICTY拘禁施設
に収容されたままです。

8) 判決理由をきちんと見ていないのでよくわからないのですが、控訴理由の
一つにICTYの裁判管轄権をめぐるものがあり、ICTY規程2条の射程が問
題になっています。また、上記の「累積的有罪」というのは、一審判決が同じ行
為を複数の罪で有罪にしていたもので、控訴部は、明白に別々の行為を累積的に
扱うことはできるが、同じ行為や一連の行為を累積的に扱うのはフェアーでない
と判断しました。また、ランゾは、一審判決は差別的訴追に基づいていると主張
していました。同じ行為をした者たちの中で自分たちだけが選択されて起訴され
たことへの批判です。控訴部は、検察官が被告人の選択を行ったのは事実だが、
それは不当な差別に基づいていたわけではなく、重大犯罪を犯した本人の責任を
解明することと、彼らの上官の責任を解明するために、鍵となる位置にいるもの
が選択されたものであるとして、この控訴理由は棄却しています。また、オディ
オ・ベニト裁判官は裁判の途中でコスタリカ副大統領に選出されて、就任してい
ますが、被告人らは、彼女は副大統領になった以上、独立した裁判官とはいえ
ず、ICTY裁判官の資格を喪失しているから、判決は違法であるとも主張して
いました。この控訴理由は棄却されています。



 
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