前田 朗@歴史の事実を視つめる会、です。
1月9日
(新刊紹介)
呉 連鎬(大畑龍次・大畑正姫訳)『朝鮮の虐殺――20世紀の野蛮から訣別す
るための現場報告書』(太田出版)
277頁、定価2100円+税
(帯の宣伝文句)
また殺すのか?
朝鮮戦争初期の混沌の最中、米軍による韓国避難民大量虐殺が、ひそかき各地で
行われていた――。半世紀の間黙殺されていた悲しいタブーを、新世代の韓国人
ジャーナリストが徹底検証する。
全米が震撼した執念の書、待望の邦訳なる。
(目次)
はじめに
もう一度人間を
日本語版に寄せて
第一部 老斤里の真実
一 京釜線は知っている
現場検証、一九九四年六月二日
兄と弟
APとこの国の記者たち
二 まだある、他にも
コケ窟、写真まで撮って
助場里、娘と若者
儒教と独立、里で倒れる
まだある、他にも
北朝鮮では――ピカソが告発した虐殺
第二部 米軍、その五五年の犯罪史
一 銃弾の解放
南原の青年
和順炭鉱、その夏の八・一五
福童の父さん
独島と漁夫たち
二 ああ、朝鮮の娘たち!
洗濯場の孫嫁
尹グミと村のキスニ姉さん
小学生三人の話
舒川にて
三 人間はどこに
子ども狩りの年
友愛食堂のおばさん
「片方の目を売ります」
礼儀がない
「ハロー」と挨拶した“罪”
四 ハンで生きる
「坡州の下浦里に行ってごらん」
沈さん一家の腐れ縁
今どこに、靴磨きの金さん
第三部 二〇世紀の野蛮からの訣別
なぜ?米軍犯罪の国際政治学
米売り証人の二〇年と<韓米行政協定>
リビアのマチイカと韓国の龍山
ベトナムのマチイカと韓国の龍山
ベトナムのソンミ、一と二という数の意味
われわれも謝罪しよう、ベトナムの人たちに
取材後記
老斤里と私の二〇世紀
(コメント)
必読ですね。老斤里だけではない、各地における米軍の犯罪が今、掘り起こされ
ています。朝鮮戦争における米軍の犯罪については、藤目ゆき編『国連軍の犯罪
――民衆・女性から見た朝鮮戦争』(不二出版)が、当時すでに国際調査団がつ
くられ、詳しい報告書が出されていたことを教えてくれましたが、現在の韓国で
は、米軍基地被害と朝鮮戦争における虐殺の全体の文脈を意識した調査・研究が
進んでいるようです。駐韓米軍犯罪根絶のための運動本部編・徐勝監訳『駐韓米
軍犯罪白書』(青木書店)は韓国の基地被害との闘いを教えてくれました。本書
は、若手ジャーナリスト(月刊誌「マル」記者)が、朝鮮戦争における米軍によ
る韓国民衆の虐殺、現在の基地被害を取材し、報じ、韓国のジャーナリズムに反
省を迫るとともに、ベトナムにおける韓国軍による住民虐殺の真相解明と謝罪を
呼びかける一冊です。