Date: Fri, 29 Dec 2000 13:26:25 +0900
From: "MAEDA,Akira" <maeda@zokei.ac.jp>
To: keystone@jca.ax.apc.org
Subject: [keystone 3439] 化学兵器禁止条約の件(大久野島)
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
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 前田 朗@歴史の事実を視つめる会、です。
12月29日

知人から依頼を受けて、大久野島の化学兵器に関する情報を投稿します。
(以下、転送)
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皆さま

わたしたちは戦争中寛島家の大久野島で製造されていた化学兵器について調査、
研究している「毒ガス島歴史研究所」です。

1999年3月、大久野島の国民宿舎前で9個の「大赤筒」(ジフェニールシアノアル
シン)が見つかりました。

「赤筒」は旧日本軍が中国大陸に遺棄してきた兵器で、現在その廃棄が行われて
いますが、日本国内に遺棄された「赤筒」は化学兵器禁止条約を理由に廃棄され
てきませんでした。

ところが今次発見された「大赤筒」は
・2000年3月、鑑定の結果「老朽化した化学兵器」であると確認され
・同年8月、北九州市の業者に無害化処理の実施まで保管
・同年12月、OPCW(Organization for the Prohibition  of Chemical Weapon) 
査察開始
(無害化処理、施設の解体撤去を含め2001年1月中に終了予定。終了後再度査察
を受ける)
という措置を受けることとなりました。

大久野島にはこのような査察を受ける必要性のあるほど危険な「赤筒」が65万
本埋められています。他に北海道・屈斜路湖にも沈んでいます。

そこで研究所は、これらの「赤筒」を完全に廃棄する必要性を再三政府に申入れ
てきています。今回は日本政府だけでなくOPCWに対しても要請文を提出しまし
た。

その前文を下に掲載しましたので是非お読みいただき、実態を知っていただけれ
ばと思います。

なお研究所はHPも開設しています。併せてご覧ください。

アドレス:http://www1.ocn.ne.jp/~dokugasu/

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   2000年12月4日
Organization for the Prohibition of Chemical Weapons(OPCW)様

                                                           毒ガス島歴史
研究所
                                                            代表 村上 
初一
 
  大久野島に埋められた「赤筒」約65万個の日本政府の対応について

 1999年、大久野島の旧防空壕において発見された9個の「赤筒」(ジフェニール
シアノアルシン)が、北九州市の廃棄施設に移され、今日OPCWの査察団により、
「老朽化した化学兵器」として現地査察が始まりました。
 しかし、この9個の「赤筒」の存在は氷山の一角です。というのは、以下の2つ
の文献に、大久野島には65万個余りの毒ガス「赤筒」が防空壕に埋設されたこと
が記されているからです。
 ・戦後の処理を請け負った株式会社帝人三原工場の社史「帝人の歩み」
 ・毒ガス処理作業を監督・指揮したイギリス連邦軍=オーストラリア軍の報告
書「DISPOSAL REPORT CHEMICAL MUNITIONS OPERATION LEWISITE 
BCOFOCCUPATION ZONE JAPAN 8 MAY 1946 to 30 NOV.1946」(現在、AUSTRALIA
WARMEMORIAL=オーストラリア戦争記念館 に保管)
 これらの報告書によると、1946年、島内27カ所のトンネル(防空壕)に約65万
個の「赤筒」を入れ、入り口を鉄筋とセメントで閉じ、その後さらし粉と海水に
よって中和したとなっています。1969年から1970年にかけて、防空壕から2000個
あまりの存在が確認され、コンクリート詰めにして、再び防空壕に埋め戻されま
したが、ほとんどの「赤筒」は現在でも未確認のまま、大久野島内に埋められた
ままになっていると考えられます。
 今回の査察対象となっている9個の「赤筒」が「老朽化した化学兵器」に当た
るのであれば、これらも、「老朽化した化学兵器」に該当するのではないかと私
たちは考えています。
 私たちは、1996年7月に公表されたヒ素による大久野島の土壌汚染、水質汚染
の問題をきっかけに、日本政府に大久野島及びその周辺の遺棄毒ガス兵器の完全
廃棄をもとめてきました。その中で、前述の文献を示し、防空壕に埋められた約
65万本の「赤筒」の完全廃棄も求めましたが、政府は、化学兵器禁止条約の第 3
条2をもとに、大久野島に現在もある毒ガス弾のあらたな処理を行うつもりはな
いことを明言しています。
 化学兵器禁止条約は、人類の安全を保障していくためにつくられた条約です。
過去、埋められた化学兵器は締約国の裁量にまかされているとはいえ、条約の精
神は、こうした無責任な放置を生むことを目的としているとは考えられません。
今一度そうした条約の精神に則り、日本政府のこの問題への対応について検討を
お願いいたします。

連絡先 事務局 広島県竹原市忠海中町2丁目2-13 新中正晴方
TEL&FAX 0846-26-4503 (〒729-2316) E-mail sinnaka@bronze.ocn.ne.jp
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ありがとうございました。



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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