keystoneML2000/12

From: "NAKADA Hiroyasu" <nakada_h@jca.apc.org>
To: "keystone" <keystone@jca.apc.org>
Subject: [keystone 3427] 第１９回口頭弁論準備書面３
Date: Sun, 24 Dec 2000 23:18:51 +0900
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　　６　キャンプ瑞慶覧
　　　　被告は、「駐留軍の使用実績等からすると従前使用していたのと同程度の規模・内容のもの
　　　が施設として必要である」と主張するが、なぜそういえるのかについての理由については何
　　　も主張していない。例えば、米軍家族敷地について言えば、原告らが検証申立書の１７．１
　　　８頁で検証を求めた検証目的物２のように、過去に米軍住宅を高層化して集合化した実績が
　　　ある。しかるに、これ以上どうして集合化が出来ないのか、あるいは、キャンプ瑞慶覧の広
　　　大な敷地内に今もある広大な遊休地、娯楽施設を利用して「本件第七土地」の強制使用を避
　　　けられないのか、についての被告の主張は全くない（広大な遊休地等の存在についての認否
　　　すらされていない）。また、被告は「有機的一体性がある」というが、原告第三準備書面で述
　　　べたようにフェンスの近くの土地が具体的になぜ、どうしても他の土地と分離して返還でき
　　　ないという意味での一体性があるのか等についての、具体的主張が被告からはない。それを
　　　しない以上、被告主張は、抽象的に「有機的一体性あり」という題目を唱えているだけであ
　　　り、「本件第七土地」について、有機的一体性の裏付け主張自体がないものとして、使用認定
　　　は適法且つ合理的の要件を満たさないと判断されるべきである。
　　７　普天問飛行場
　　（一）被告は、「使用認定の適正かつ合理的の要件充足性の判断は、まず、使用認定の対象土地
　　　を含む施設及び区域全体を提供することが適正かつ合理的か否かを検討すべきであって、対
　　　象土地ごとの具体的事情のみによって判断すべきものではない。」と述べているが、以下の点
　　　から、到底首肯しえない。
　　（二）端的に言えば、強制収用手続というものが原告らの所有地を同人らの選択余地のないま
　　　ま強制的に収用してしまう手続である以上、財産権を保障した憲法２９条の趣旨に鑑みても、
　　　収用される土地ごとの使用認定がそもそも適正かつ合理的なものか否かが先に厳格に判断さ
　　　れなければならないのであり、しかも、右判断基準は判断主体の恣意的判断に基づくもので
　　　あってはならない。ところが、被告はその理を曲解して使用認定の対象土地を含む施設及び
　　　区域全体を提供することが適正かつ合理的か否かを検討すべきであるというが、ここには適
　　　正かつ合理的要件充足性の議論を回避するために議論をすり替えようとする姿勢が顕著に見
　　　られる。
　　　　憲法２９条は具体的な財産権を保障しているのであるから、それを制約するためには具体
　　　的な土地を使用することが適正かつ合理性か否かを判断しなければならない。施設全体に関
　　　する事情は、具体的な土地について判断する際の背景として一つの要素に過ぎない。この一
　　　つの要素のみによって判断すべきという被告の主張は本末転倒であり、恣意的判断を許すこ
　　　とになる。
　　（三）「本件第八土地」の実態については、既に先の準備書面でも詳細に述べたとおりであり、
　　　右実態について被告が反論できず、具体的な「本件第八土地」についての必要性を主張でき
　　　ないのは、自ら本件使用認定の適正かつ合理的要件が欠如していることを自認するものであ
　　　る。
　　　　すなわち、保安緩衝用地帯、着陸帯敷地という使用目的が存在する以上、その適正及び合
　　　理性について科学的な資料を提出する等して、主張・立証を尽くすべきものであるが、被告
　　　はかような主張・立証を尽くしておらず、かつ、科学的な資料に基づかないのであれば右認
　　　定の基準も極めて恣意的なものでしかない。その上、普天問飛行場では、着陸帯外縁からわ
　　　ずか１７０メートルしか離れていない土地が１９６３年８月１５日に既に返還済であるが、
　　　他方、「本件第八土地」は着陸帯から一番近い土地でも２３０メートル（外部遮断フェンスま
　　　でわずか１０メートル）、一番遠方の土地では、なんと５３０メートル（外部遮断フェンスま
　　　でわずか２メートル）もある土地が未だに返還されず収用されたままなっているという、極
　　　めて矛盾した実態について、被告からはその適正及び合理的主張・立証は全くなされていな
　　　い。
　　（四）以上、客観的要件からみて「本件第八土地」につき、その位置関係、距離関係との対比
　　　上、本件各土地の使用認定が適正かつ合理的要件を欠いた違法なものであることは明らかで
　　　ある。
　　８　牧港補給地区について
　　（一）基地の概要と「使用権限」・必要性について
　　　　牧港補給地区が第三海兵役務支援群などが使用し、倉庫や宿舎などが設置されているとの
　　　被告の主張であるが、それ以上に実際の使用状況や必要性については、何ら具体的に主張し
　　　ていない。「駐留軍の使用実績等からすると従前使用していたのと同程度の規模・内容のもの
　　　が施設として必要である」というだけであり、その「使用実績等」については、具体的には
　　　何ら明らかにされていない。結局、被告の主張は、「日米安保条約の目的」とか「駐留軍の意
　　　向等」というに尽きる。
　　　　例えば、本件牧港補給地区には遊休地があると指摘している原告ら主張に対してすら認否
　　　せず、それがどの程度であるかすら明らかにしようとしていない。また、原告らは、国防省
　　　国防兵站局に属する国防軍再利用売却沖縄事務所（ＤＲＭＯ）があり、すべての米軍財産の
　　　再利用や廃棄物の処理を管轄しており大量の有毒物質を保有・廃棄しているとか、劇場・ボ
　　　ーリング場・クラブなどの施設もあることを主張している。被告は、これらについても認否
　　　を拒否している。
　　　　他方、「本件第九土地」について、被告は、「電気通信工場用地」であるとか「家族住宅敷
　　　地」「資材置場敷地」「道路・排水路施設及び家族住宅用地」「機械修理工場敷地」として、そ
　　　れぞれ使用されていると主張しているけれども、これらについて、原告ら主張の事実を確認
　　　するために、現地への立入を拒否し続けており、原告らが求めている検証すら認めようとし
　　　ないのである。これらの使用状況については、何ら裏付けられていないのであり、被告自身、
　　　本訴訟において、立証すら放棄しようというのである。
　　　　アメリカ軍に提供すれば、それ以上は、どのように使用しているか、必要性があるのかど
　　　うかについて、具体的に検討しなくとも、強制使用によって、財産権を奪われるということ
　　　は、到底認めがたい。
　　（二）「一体となって有機的に機能している」との被告主張について
　　　　被告は、「本件第九土地」がそれぞれの用途に使用されており、「施設全体と一体となって
　　　有機的に機能している」と主張している。
　　　　けれども、前述したように利用状況の実際すら明確でないのみならず、それぞれの土地が
　　　軍用地として必要不可欠とは到底言いえない。例えば、資材置き場や家族住宅などの敷地が
　　　返還されたとしても、基地としての機能が果たせなくなるということは全くない。これらの
　　　点について、被告からは何らの説明もないのである。
　　　　実際、牧港補給地区においても、過去に一部「軍用地」の返還が実施されているが、その
　　　ことは、原告らの土地を返還したとしても、軍事施設としての機能が失われることはないこ
　　　とを示すものに他ならない。
　　９　那覇港湾施設
　　（一）被告が主張する「有機的一体性」の主張、すなわち、本件土地に即して言えば、本件土
　　　地が那覇港湾施設に含まれ、同施設全体と一体となって有機的に機能しているから本件土地
　　　の強制使用も「適正かつ合理的」の要件を充足しているとする主張が根本的に誤っているこ
　　　とは、すでに批判したとおりである。
　　　「本件第一〇土地」に即して、具体的に「適正かつ合理的」の要件を充足しているかを明ら
　　　かにすることは強制使用にあたって、必要不可欠である。
　　（二）「本件第一〇土地」強制使用の具体的必要性はない。
　　　（１）「本件第一〇土地」を含む那覇港湾施設全体が、現在遊休化していることは明らかであ
　　　　る。１９９２年の米軍艦船の使用数は１６隻、その後もほぼ同様に推移し、９８年でも２
　　　　４隻（月平均２隻）に過ぎない。
　　　　　同施設が遊休化していることを、米軍自体が認めているからこそ、７４年の第１５回日
　　　　米安全保障協議委員会で移設条件付きではあるが、返還合意がなされているのである。同
　　　　施設を使用する米軍自体が従前規模での使用の必要性がないことを認めているのであるか
　　　　ら、被告が従前と同様の強制使用を行わなければならない合理性は全くない。この点につ
　　　　いて、被告は、右返還合意は「適正かつ合理的」の要件充足性の判断に何ら影響を及ぼす
　　　　ものでないことはいうまでもない、と主張するが、失当である。右返還合意がなされてい
　　　　る事実は、同要件充足性の判断に影響を及ぼすことは明らかなはずであり、なぜ同要件充
　　　　足性に影響を及ばさないのか、具体的に明らかにされなれればならない。しかし、この点
　　　　に関する被告の主張はない。
　　　（２）被告は、「本件第一〇土地」が野積場敷地として使用されていると主張するが、「本件
　　　　第一〇土地」上には、建物はもちろん、一切の構築物、物品は存在しないし、置かれても
　　　　いない。「本件第一〇土地」が野積場敷地として使用されていないことも明らかである。本
　　　　施設は、約５７万平方メートルにも及ぶ広大な面積を占めているが、わずか月に２回しか
　　　　入港しない米軍艦船のためにしか利用されていないのが実態である。それでもなおかつ、
　　　　「本件第一〇土地」を強制使用しなければならないのか、被告は具体的にその必要性を主
　　　　張、立証すべきである。被告から、その主張、立証がなければ、「適正かつ合理的」の要件
　　　　は充足していないものとして、「本件第一〇土地」の強制使用裁決は速やかに取り消される
　　　　べきである。
　　　　　被告は、本件使用認定時点までの駐留軍の使用実績等からすると、従前使用していたの
　　　　と同程度の規模・内容のものが施設として必要であると主張しているが、前述したとおり、
　　　　同施設の利用状況からすれば、極めて明白に現在の規模、面積の使用は必要でないのであ
　　　　る。また、被告が認めるとおり、「本件第一〇土地は、同施設約５７万平方メートルの内の
　　　　わずか２６２・７７平方メートルで、同施設の総面積のわずか０，０５％にすぎないので
　　　　あるから、敢えて強制的に使用し続けなければならない具体的な必要性はない。
　　　　　被告の前記主張は明らかに失当である。改めて、具体的にいかなる事情により、「本件第
　　　　一〇土地」を強制使用し続けなければならない必要性があるのかを明らかにすることを被
　　　　告に求める。
　　（三）強制使用による社会経済的不利益の重大性を考慮する必要
　　　　被告は、「適正かつ合理的」の要件充足性の判断にあたって、「将来の街づくり、都市計画
　　　上の障害」などは考慮されるべきではないと主張するが、明らかに失当であり、これについ
　　　ての批判は前述したとおりである。
　　　　那覇港湾施設は、県都那覇市の重要地域に位置し、街づくりに重大な阻害要因となってい
　　　ることは明らかであり、本件土地強制使用によってもたらされる社会経済的不利益性は極め
　　　て重大である。他方、（二）で述べたとおり、同施設を従前と同規模で米軍に提供しなければ
　　　ならない具体的必要性については、何ら明らかにされていないのであるが、本件強制使用に
　　　よる社会経済的不利益の重大性を考慮すれば、なお一層明白に本件強制使用は、「適正かつ合
　　　理的」の要件が充足されていないものとなる。本件強制使用に「適正かつ合理的」の要件が
　　　ないことを明確にする上で、原告らが既に主張している「社会経済的不利益の重大性」を審
　　　理判断することは必要不可欠である。
　　10　陸軍貯油施設
　　　　被告は、「本件第一一土地は、日米地位協定による合意に基づき提供された施設及び区域で
　　　ある陸軍貯油施設に含まれ、貯油タンク用地として使用され、同施設全体と一体となって有
　　　機的に機能している」という。
　　　　そもそも、使用認定の要件として、米軍の用に供することが客観的に必要であり、適正か
　　　つ合理的でなければならないのであるから、その必要性、適正かつ合理的の判断は、単に現
　　　在米軍が使用しているとか、使用するから、ということだけで認められるものではない。
　　　　したがって、もし、「本件第一一土地」が米軍の他の施設と有機的に一体として使用されな
　　　ければならない土地であるというなら、その施設と「本件第一一土地」がどのように有機的
　　　に一体となっているのか、その具体的理由を被告は説明できるはずであり、それを本件訴訟
　　　においても主張すべきである。
　　　　また、被告は、「本件第一一土地」が陸軍貯油施設に含まれる、と言い、「貯油タンク用地
　　　として使用され」という。しかし陸軍貯油施設にあっては、被告準備書面（六）別紙図面10　
　　　にみられるとおり、土地の形状（丘様のもの、水路用のもの等）からしても、本件施設内に
　　　は、貯留タンクは一部にしか存しない。もし被告の立論が、本件施設全体が貯油施設である
　　　というのであればともかく、そうでないとすれば、貯油タンクがどの位置にあるのかという
　　　ことは、使用認定を行う際に検討されたはずであろうから、これを明らかに出来るはずであ
　　　る。
　　　　被告の立場からしても、貯油タンクとそれに必要な有機的一体をなす土地は明らかにされ
　　　るべきであるし、出来るはずである。被告には釈明を求める。
　　　　この点が明らかにされないと、有機的一体性ありとの被告主張は具体的裏付けのない主張
　　　となり、理由がなく、「本件第一一土地」についても、使用認定の要件は満たされていないこ
　　　ととなる。
第五　求釈明
　第一点
　　被告は、本件各土地を含む施設・区域の提供合意をアメリカ政府との問で行ったことを米軍用
　地収用特措法３条の「提供の必要性」要件を充足する理由に挙げるが、本件各地について、いつ、
　いかなる内容の提供合意をしたのか、その後、本件強制使用認定にあたって別途、提供範囲につ
　いての再協議をしたことがあるのか、あればその時期、協議内容、提供合意の際あるいはその後
　現在に至るまでの問に、本件各施設内の建築物、各設備の整理統合についての協議を行ったこと
　があるのか、あればその時期、協議内容等について、明らかにされたい。
　第二点
　　被告は、本件各土地について、提供合意された施設・区域と「有機的一体性がある」ことを本
　件各使用認定が米軍用地収用特措法３条の「適正且つ合理的」要件を充足する理由の大きな根拠
　とする。しかし、①どのような場合に有機的一体性があると言えるのかという判断基準を主張し
　ておらず、また、②それぞれの土地ごとに、有機的一体性があることを裏付ける具体的事実も主
　張していない。これは、国民の土地をその意に反して強制使用する国の立場としてあまりにも無
　責任且つおざなりな訴訟態度と言わざる得ない。
　　裁判所においても、本訴訟において充実した争点整理を行うために、右の点につき、被告に積極的に釈明さ
せるよう、強く求めるものである。

原告ら立証計画概要メモ
１　総論
　　証人　３名（在沖米軍４軍調整官、軍事専門家、学者）
　　立証趣旨
　　　　・在沖米軍基地の役割と機能
　　　　・在沖米軍が、安保条約の目的を逸脱して活動している事実
　　　　・安保条約の違憲性
　　　　・米軍用地収用特措法の違憲性
　　　　・違憲判断の基準
２　伊江島
　　証人　１名（各地主または証人）
　　立証趣旨
　　　　・本件土地及び伊江島の軍用地の過去・現在の使用状況を明らかにし、本件土地が「有機
　　　　　的一体」として使用されていないこと及び強制使用の要件が存しないことを立証する。
３　トリイ通信・那覇港湾施設・陸軍貯油施設
　　証人　１名（在沖米軍４軍調整官）
　　立証趣旨
　　　　　トリイ通信　　本件土地の所在する黙認耕作地域が通信用鉄塔敷地として使用されてい
　　　　　　　　　　　ないこと
　　　　　　　　　　　　トリイ通信基地の機能が変容しており、本件土地を通信鉄塔敷地として
　　　　　　　　　　　強制使用する要件がないこと
　　　　　那覇港湾施設・陸軍貯油施設
　　　　　　　　　　　　本件土地及び施設の過去・現在の使用状況を明らかにし本件土地が「有
　　　　　　　　　　　機的一体」として使用されていないことを及び強制使用の要件が存しない
　　　　　　　　　　　ことを立証する。
４　嘉手納飛行場
　　原告本人　２名
　　立証趣旨
　　　　本件土地について、過去・現在の使用状況を明らかにし、本件土地が「有機的一体」とし
　　　て使用されていないこと及び強制使用の要件が存しないことを立証する。
５　嘉手納弾薬庫
　　原告本人　１名
　　立証趣旨
　　　　本件土地について、過去・現在の使用状況を明らかにし、本件土地が「有機的一体」とし
　　　て使用されていないこと及び強制使用の要件が存しないことを立証する。
６　キャンプ・シールズ
　　原告本人　１名
　　立証趣旨
　　　　本件土地について、過去・現在の使用状況を明らかにし、本件土地が「有機的一体」とし
　　　て使用されていないこと及び強制使用の要件が存しないことを立証する。
７　キャンプ瑞慶覧
　　原告又は証人　１名
　　立証趣旨
　　　　本件土地について、過去・現在の使用状況を明らかにし、本件土地が「有機的一体」とし
　　　て使用されていないこと及び強制使用の要件が存しないことを立証する。
８　普天間飛行場
　　証人　１名
　　立証趣旨
　　　　本件土地について、過去・現在の使用状況を明らかにし、本件土地が「有機的一体」とし
　　　て使用されていないこと及び強制使用の要件が存しないことを立証する。
９　牧港補給施設
　　証人　１名
　　立証趣旨
　　　　本件土地について、過去・現在の使用状況を明らかにし、本件土地が「有機的一体」とし
　　　て使用されていないこと及び強制使用の要件が存しないことを立証する。

進行についての意見書（被告）
　被告内閣総理大臣は、本書面において、①原告らの平成１２年（２０００年）１０月５日付け検証申立書につ
いて補足的に意見を述べるとともに、②同被告の立証計画を明らかにする。
第一　検証申立書に対する補足意見
　一　本件検証の申出は必要性がないので、却下されるべきである。このことは、被告の平成１１
　　年１０月１１日付け「検証申立てに対する意見書」で詳述したとおりである。
　二　また、本件は、その大半が駐留軍の施設及び区域の検証を申し出るものであるところ、この
　　ような検証は、右施設及び区域を管理するアメリカ合衆国の個別の同意を得ることなく、行う
　　ことができないものである。その理由は、次のとおりである。
　　１　本件検証申出の目的物の大半は、駐留軍の施設及び区域である。この施設及び区域は、日
　　　米地位協定３条によってアメリカ合衆国に管理権が与えられている。アメリカ合衆国は、我
　　　が国の裁判管轄権を免除されており、駐留軍の施設及び区域の検証に協力する義務を負って
　　　いない。したがって、右施設及び区域の検証には同国の任意の同意を要することは明らかで
　　　ある。
　　２　原告らが、本件検証申出に際して、裁判所に事実上提出した「民事裁判管轄権に関する事
　　　項」と題する書面（以下「本件書面」という。）は、以下に述べるとおり、右結論を何ら左右
　　　するものではない。
　　（一）本件書面は、日米行政協定２８条６項（Ｃ）の適用に関する日米合同委員会における合
　　　　意を記載したものであり、その「二、訴訟手続上の協力の方法手続について」の（三）に
　　　　おいて、「日本国の民事裁判所は、合衆国軍隊の使用する区域又は施設内で検証することが
　　　　できる。当該区域又は施設の司令官は、裁判所の要求があるときは、これを許可し、かつ、
　　　　護衛兵を附するものとする。」と定めている。
　　　　　右合意は、昭和３５年６月２３日の日米合同委員会合意によって現行の日米地位協定の
　　　　もとでも有効とされている。したがって、右合意は、日米地位協定１８条９項（Ｃ）の適
　　　　用に関する細則を定めたものと位置づけられる。
　　（二）日米地位協定１８条（別添）の９項（Ｃ）は、「日本国及び合衆国の当局は、この条の規
　　　　定に基づく請求の公平な審理及び処理のための証拠の入手について協力するものとする。」
　　　　と規定しているところから明らかなとおり、同協定１８条の規定に基づく請求に係る証拠
　　　　入手のための協力を定めたものである。
　　　　　しかるところ、本件訴訟は、駐留軍用地内に土地を所有する原告らが、被告内閣総理大
　　　　臣のした使用認定の取消しを求める事件と、被告沖縄県収用委員会のした使用裁決の取消
　　　　しを求める事件であって、いずれも日米地位協定１８条に基づく請求に該当しない。
　　　　　したがって、我が国の裁判所は、日米地位協定１８条９項（Ｃ）及び本件書面に係る前
　　　　記合意を根拠として、駐留軍用地の検証を行うことはできない。
第二　被告内閣総理大臣の立証計画
　　被告内閣総理大臣は、本件使用認定の適法性を立証するために、本件使用認定に関与した者２
　名を証人として申し出る予定である。
　一　尋問事項
　　ｌ　駐留軍用地特措法５条、３条にいう「必要性」、「適正且つ合理的」の要件の解釈について
　　２　本件使用認定の申請及び右使用認定につき
　　（一）「必要性」の要件を充足することについて
　　（二）「適正且つ合理的」の要件を充足することについて
　　３　その他本件と関連する事項
　二　主尋問の予定時間
　　　一人につき一期日で終了する予定である。
　三　参考
　　　証拠申出書は、次回期日の前に提出する。また、証人尋問を実施する際には、事前に証人の
　　陳述書も提出する予定である。

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仲田博康
nakada_h@jca.apc.org

1998年　　　　　3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月

1999年　　　　　1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月

2000年　　　　　1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月

［キーストーンメーリングリスト　目次］