メーリングリスト[aml][keystone][kenpo][cne]へ転載
--------------------------------------------------
〔練馬からの報告〕自衛官OBの組織「隊友会」の請願、ついに不審議扱い!
報告者=井上澄夫(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)
報告時=2000年12月23日
〔略称・練馬アクション〕
----------------------------------------------
全国のみなさん
私たち「練馬アクション」は、本年9月以来、自衛官OBの組織「隊友会」や
自衛隊協力団体が区議会に提出した、自衛官募集広報の区報への掲載などの請願
を不採択にするよう求める活動をつづけてきましたが、この件について、区議会
において、どうやら一区切りついたと思われますので、報告します。(これまで
の経過については、〔aml19240〕〔aml19290〕〔aml194
74〕〔aml20019〕をご覧下さい。)
去る12月21日(木)、区議会の区民環境清掃委員会は、「隊友会」などの
請願、これと逆の立場の二つの陳情のいずれも、改めて「継続審議」とし、その
上で、本件を含め、自衛隊関連の事案については、当面審議しないことを決めま
した。本件に関わる審議は、正確にいいますと、4回なされたことになります
が、
21日の審議が、事実上、最後になったと見ていいと思います。
「練馬アクション」のメンバーである小松丸さんが提出した「『自衛隊の募集
に関する事務』の縮小に関する陳情書」への連署は、12月20日現在、333
筆集まりました。
「隊友会」などの請願の事実上の阻止は、私たちの求めてきたことが実現した
のですから、それは勝利には違いないのですが、辛勝、ないし惨勝であること
は、前回で報告したとおりです。
沖縄では、いくつかの自治体がなお、自衛官募集業務への協力を拒否していま
すが、練馬区は、すでに協力しています。そして区の説明によれば、区が自衛官
募集広報を区報に掲載していないのは、「ほかに掲載することが多いから」にす
ぎません。今回「隊友会」などの請願が採択されれば、掲載は実現したにちがい
ありません。
私たちは、非常に後退した地点で、「隊友会」などの請願への対抗陳情を提出
し、〈これ以上の「区政の軍事化」を許さない〉という気持ちで抵抗したわけで
す。しかし私たちは、こういう抵抗は、反戦・反軍運動の基本に基づく重要な活
動であると思っています。ささやかな抵抗ではありますが、間違いなく、〈戦争
の芽を摘む〉作業であるからです。
くりかえし報告しているように、練馬区には、陸上自衛隊の基地(駐屯地)が
二つもあり、朝霞駐屯地では、大規模な観閲式がすでに何度も行なわれ、練馬駐
屯地の第1師団は、シリアのゴラン高原に隊員を派遣しています。同師団が三宅
島に「災害派遣」されるといった事態も起きています。しかも朝霞駐屯地は、東
部方面隊の中枢基地として、極めて危険な方向に、その機能を強化しようとして
います(この点については、近く報告したいと思っています。)。
ですから、よほど注意していないと、〈区政の軍事化〉が進んでしまう、きわ
めて危うい条件が、眼前にあるのです。しかしこのような危うい状況は、東京都
練馬区に限られたことではないでしょう。練馬区よりもはるかに積極的に自衛官
募集に協力している自治体は多数あり、そういう協力を問題にし地域で反撃して
いる例は、残念ながらそう多くはないように思えます。
協力の状況や反撃の実例を情報交換することは、とても有益です。各地から報
告がなされることを呼びかけます。実態の把握は、別に困難なことではありませ
ん。それぞれの自治体に電話で問い合わせれば、とりあえずわかります。
すでにのべたように、練馬アクションの今回の取り組みは、ずいぶん後退した
地点からなされました。しかし私たちは、その現実を視つめつつ、区が自衛官募
集にいっさい手を貸さないよう求める活動を今後も持続し、「戦争に協力しな
い・させない」という私たちの至上命題を実現しようと思っています。
12月21日、神奈川県の座間市議会は、米軍機のNLP(夜間離着陸訓練)
などに苦しむ厚木基地周辺の住民の怒りを反映して、米空母キティーホークの横
須賀母港返上を求める国宛の意見書を採択しました。同様の怒りの表明が、青森
県の三沢市によって表明されていることも広く知られています。
言うまでもなく、このような動きは大いに歓迎すべきことです。アジア太平洋
全域から米軍を撤退させる運動は、いよいよ強化されねばならないのですから。
しかし一方、自衛隊との関係で、事態は同様に動いているでしょうか。現実は
まさに、自衛隊がこの国の世論にいよいよ認知されつつあることを示していま
す。四国では、過疎化対策(!)として、陸上自衛隊の基地を誘致しようとする
動きが、県レベルを含む地方自治体自身によってなされているほどです。
新ガイドラインは、日米共同戦争における自衛隊の役割を定めており、それに
基づく周辺事態法は、自衛隊の出動・参戦を具体的に規定したものです。ところ
が、私たちが〈新ガイドライン安保〉を問題にするとき、依然として目が米軍に
のみ向きがちという傾向があるのではないでしょうか。現に進行している事態
は、私たちが、〈新ガイドライン安保〉の中身をもっとしっかり把握・認識し、
反戦・反軍の営みに絡(から)みついた、これまでの惰性(冷戦構造が存続して
いた当時の発想や感覚)を克服することを求めていると私は思います。
米軍の撤退を要求するとともに、世界有数の軍事力と化した、日本の常備軍で
ある自衛隊を凝視し、その縮小・解体を求める運動を強化することを訴えたいと
思います。そのために、まず身の回りにある自衛隊、駐屯地や基地、その機能を
しっかり把握し、いざ周辺事態戦争が起きたら、それらの日本軍がどう動くか、
そこにまで踏み込んで想像力を働かせようではありませんか。
21世紀を「日本軍=自衛隊の世紀」にさせないよう、ともに努力することを
重ねて訴えます。この国が、21世紀の世界において、共生のメンバーたりうる
最低限の要件は、軍備の一方的全廃をおいてありえません。率先して非武装を実
現することによって、弱肉強食の群狼の世界を、根底から解体しようではありま
せんか。