ご無沙汰しているうちに、次の憲法調査会日になってしまいまして、失礼しま
した。
石原・櫻井両氏のノリで、12月7日の調査会はもう、「改憲調査会」
森政権の支持率10%台も相変わらずですが、これも使いようで、「首相公選
制」という改憲の新たな入り口論に貢献しているようです。
鳩山・民主代表や石原都知事の「武装国家」論はアメリカでも、つとに知られ
ているらしく、米安全保障専門家らも、憲法9条の「平和国家」から「普通の
国」に脱皮しようとする日本の変化こそが、今後10年の東アジア情勢の最大の
出来事だとしているけれども、アメリカにとって好ましいことなのかどうかは誰
にも分からないとのこと。国内でも、アジア諸国から、かやの外におかれつつあ
る大国とどうつきあったらよいか真剣に悩んでいる専門家もでてきましたが。
民主の波乱で、本家が「穏健」に見えるほどですが、そんな「だまし絵」が、
世界に通じるわけもなく、CIAでは、しっかり「金の切れ目が縁の切れ目」と
割り切っているようです。
(CNN2000.12.19) 米中央情報局(CIA)は18日、2015年の世
界を予測した特別報告書「グローバルトレンド2015」を公表。それによる
と、日本の世界経済における重要性は相対的に低下すると予想され、構造改革が
実行されなければ、米欧と並ぶ「三極」の一つという位置付けも失いかねないと
警鐘を鳴らしている。
報告書は、今後の日本の不確定要素として、経済成長を続けるのに必要な構
造改革が断行されるかどうかと、日本政府が米国に依存する現在の安全保障政策
を維持するかどうか、の2点を挙げている。
日本の経済については、「今後15年間は90年代よりは強くなる」としなが
らも、「世界経済における重要性は相対的に減少する」と予測。さらに、必要な
構造改革が実施されなければ、世界第3位の経済大国の地位も失いかねないとし
ている。
▽政府・与党は、来年度予算案などを審議する次の通常国会を、来年一月三十
一日に召集し、会期を六月二十九日までとする方向で調整に入った。
次の通常国会では百五十日間の会期中、来年度予算案が審議されるほか、政府
は小中高校に奉仕活動を導入するための法案などの教育改革関連法案を提出する
ことにしている。 また、参議院選挙については、七月二十日から二十二日にか
けて、イタリアのジェノバで開かれる見通しのサミット=主要国首脳会議の終了
後の七月二十九日の日曜日を投票日とする案が浮上。選挙の公示はサミットの終
了を待って行うべきだという意見も出ており、調整が行われる見通し。
[NHK2000-12-18]
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12月21日の衆院憲法調査会の参考人は
国際基督教大学教養学部教授 村上陽一郎さん
12月7日(木)第150国会・第6回衆院憲法調査会概要
http://www1.sphere.ne.jp/NAKAYAMA/chousa/gijiroku/shu/giji00-12-07.html
7日の衆院憲法調査会には、麗澤大学の松本健一教授と、上智大学の渡部昇一
教授が参考人として出席。
松本氏は「日本国憲法は、制度疲労を起こし、現状に合わなくなっている」
「国民が政治に対して責任感を持てるようにするため、国家の根幹にかかわる重
要な問題については国民投票を行うべきだ。首相公選制の導入に向けて、憲法を
改正すべきだ」「衆愚政治などの危険を考えても、『国民憲法』の大きな柱にな
る」「(天皇を)むしろ京都の御所に戻す方が権力から切り離せる」などと述べ
た。
渡部氏は「右翼を称する左翼軍人のテロ(国家社会主義者)が、明治憲法の欠
陥に乗じ、民主主義を歩んでいた日本を戦争に持っていった」「マルクスによる
マインドコントロールから自由になるべきだ」「これまでの日本は、税制によっ
て私有財産権が侵され続けてきた。日本の繁栄には、相続税の廃止など、税制の
抜本的な改正が必要で、そのための憲法改正を検討してもいい」とた。
質疑では、いわゆる首相公選制の導入をめぐって、委員からは、「総理大臣の権
限を強化するためにも導入を検討すべきだ」などとして積極的な意見が出された
一方で、「国民的な人気だけで総理大臣が選ばれ、いわゆる衆愚政治につながる
おそれがある」などといった慎重な意見が出された。
[NHK・産経・共同2000-12-07・08]
意見陳述要旨(朝日新聞00.12.08)
麗澤大学教授・松本健一氏(公明党推薦)
幕末維新の第一の開国、第二次世界大戦後の第二の開国に続き、冷静以後に日
本は第三の開国を迎えた。自国を自分で守る時代に再び入ったが、かつてのよう
な軍事力や経済力によるものではなく、生き残りには文化的なアイデンティ
ティーの再構築が必要だ。
第三の開国がなるのは、国民を守るための憲法を国民自身が作り上げたとき
だ。
国民の政治への責任感を高めるため、国民投票制を設け、昨年の国旗・国歌法
制化のような国の根幹に関わる件で信を問うべきだ。同じ意味で首相公選制も賛
成だ。天皇を元首と見る立場から反対の声があるが、両立する。天皇が統帥権を
持ったのは戦前の一時期で、歴史的には無権力の日本文化の守り手だった。
戦争放棄を定めた平和憲法はパリ不戦条約に見られる世界史の流れを反映し、
国民も受け容れた。だが自衛隊の九条違反は明らかだ。九条に自衛のための軍隊
を持つという条項を加えるべきだ。
上智大学教授・渡部昇一氏(自民党推薦)
日本の戦前の反省点は、ソ連の革命に引きずられて「国体」という名の社会主義
が青年将校の思想になり、日本を戦争に持っていったこと。戦後の反省点は、大
蔵省の護送船団方式に代表される社会主義的な規制が続いたことだ。
この反省に基づき、21世紀にむけた新しい法律、憲法を構想すべきだ。社会
主義の私有財産廃止はひとつまみの独裁者と官僚しか豊かにしなかった。憲法に
定める私有財産制をもっと尊重するには、税制をどうするかが一番重要だ。
相続税と、遺産の遺留分制度を廃止すべきだ。跡継ぎ問題の深刻な中小企業が
一番助かる。所得税も上限10%にすべきだ。法律で骨抜きにされないよう、憲
法で最高税率を定めればいい。金持ち優遇と批判がでるだろうが、反対をやって
失敗したのがソ連だ。
九条は米軍が日本占領を前提に作った。独立国家が自衛権を持つのは自明で、
ありうべからざる条項だ。東京裁判では満州事変が裁かれたが、あれを侵略とは
認めない。満州国(中国東北部)の皇帝の末えいが郷里に帰って皇帝になるのを
日本が助けたんだから、外国から文句を言われる筋合いはない。
質疑(東京新聞00.12.08)
赤松正雄氏(公明党)
かつての日本は、他国も自分が守るという考え方をとり、(そこに)問題があっ
た。そのため、私は(自国が攻撃されていないのに関係国への武力攻撃に反撃す
る)集団的自衛権の行使には否定的だ。だが、国連軍や国連軍に近い形での多国
籍軍など、集団的安全保障に日本が関わることは憲法に明確にすべきだ
松本氏
世界が共同で集団的自衛、集団的安保を導こうとするとき、自衛権すら明確にし
ない憲法では、世界史の舞台にでていけない
牧野聖修氏(民主党)
国の憲法に手を着けるのは、戦勝国が敗戦国にしてはいけない一番のことだ。当
然憲法は改正すべきだ。戦争放棄の理想を掲げた点はいいが、自衛の権利と行使
を認めないと平和への精神が薄っぺらになる
山口富男氏(共産党)
憲法には21世紀を生きる理念がある。九条に第三項を加えるのは、平和憲法の
理念を壊すものだ
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「押しつけ論」は破綻したからやめたとのこと。「調査会は改憲案を出せない」
とした申し合わせは「機運」次第で見直す可能性も示唆。憲法裁判所についても
論議したいようです。ドイツでは「連邦憲法裁判所は市民のための裁判所で、市
民は国家権力により被害を受けたときに訴えることができる」そうですが、「裁
判官は他の市民と同じように、自由に発言したり、外からの圧力を受けないで自
分の意見を表す権利をもって」いない日本では、「軍法会議」として機能するの
がおち。自衛隊が「国軍」として「自立」するためにも不可欠な機関。憲法論議
を生命倫理などにまで広げたいとも。中曽根さんもなんか「宇宙的」哲学を披露
していましたが、ITで手を焼いているようではいかがなものでしょうか。
公明党委員のなかにも改憲論を展開する方も出てきたせいか、成果は「非常に順
調だ。」とご満悦。あまり調子にのると、ひさしを貸して母屋を取られるような
ことになりはしないかと。自民の「制度疲労」を指摘する声をあることでもあ
り。
【中山・衆院憲法調査会会長】(朝日新聞社インタビュー00.12.19)
−調査会の今年の議論の成果
非常に順調だ。歴史的事実の確認だから、さほど政党間の対立はなかった。「米
国押しつけ論」から離れ、現実とのかい離をふまえて議論しようと言う共通認識
が生まれた。
−今後の進め方
来年2月頃までに、有識者との意見交換後、違法公聴会をしたい。参院選を経
て、日本の将来像を国民に示すという形で、各党の憲法論議が整理されるのでな
いか。
参院選後、議論を各論に移し、テーマとしては安全保障、科学技術、憲法裁判
所の是非などが考えられる。全体討論でいい。
安全保障の分野では、憲法9条との関連で意見の隔たりが大きい。だが、朝鮮半
島の緊張緩和や地域安全保障体制の構築、防衛費削減の是非といったテーマをめ
ぐって、護憲派も具体的な議論に参加せざるを得ないだろう。憲法調査会は長期
的に国の全体像を作り上げる場にすべき。
−調査会発足時の各党申し合わせ
「5年」の調査期間は、各党が合意すれば延ばしたり縮めたりできる。「調査会
は改憲案を出せない」とした申し合わせは、まず憲法論議が固まらないと。氷が
固まるまでは時間がかかる。
−国民の声
テーマで戦争放棄、世代で60代、70代からが最も多い。「平和憲法」に思い
入れの強い人たちは、生命倫理などにまで広がる憲法論議に困惑するだろう。だ
が、そういう最先端の技術が社会を変えていくなかで、日本はどう進むべきかを
考えないといけない。
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いずこの政治的「憲法論」も党内で波高しの体、元々憲法は権力者の道具ではな
いから致し方ないか。
▽社民党が「自衛隊合憲」方針を転換
社民党が旧社会党の村山富市首相時代に決めた「自衛隊合憲・日米安保条約堅
持」の方針を転換し、自衛隊を「限りなく違憲状態に近い」としたうえで、
(1)段階的削減(2)災害救助などへの任務再編、を求める方向で調整。安保
条約については、同党が提唱している「北東アジア総合安全保障機構」を創設す
ることによって「実質的に不要となる」との立場をとる。
委員会は今月下旬にも草案を発表する予定。自衛隊については「一挙にゼロと
するのは非現実的」(幹部)との判断もあり、かつての社会党のような「違憲」
の立場は取らない。ただ、現状の自衛隊の装備などは専守防衛の範囲とは言い切
れないとみており、「限りなく違憲状態に近い」と記す。
また、国連の平和活動に日本がかかわることは肯定するが、武装した自衛隊を
国連平和維持活動(PKO)で海外に派遣するのは憲法違反との立場をとる。
さらに、安保条約を実質的に不要にする国際環境をつくるために、日本、南北
朝鮮、中国、米国、ロシアなど8カ国による北東アジア総合安全保障機構の創設
や、北東アジア非核地帯条約の締結を提唱する。
(朝日00.12.05)
▽社民党の土井たか子党首は9日、静岡県熱海市で開かれた地方議員らとの交
流会であいさつし、来年夏の参院選に向けた野党の選挙協力について「結束は大
事だが、憲法問題は簡単には譲れない」と述べた。特に、憲法前文と9条を「生
命線」と強調し、改憲に向けた両党の動きをけん制した。また、参院選では10
議席以上の獲得を目指す考えを改めて示した。
渕上貞雄・社民党幹事長は土井氏の発言を「連立政権に臨むわが党の態度だ」
と説明する一方、選挙協力には柔軟に臨む姿勢を示した。
(毎日2000.12.09)
▽社民党の土井たか子党首は17日、松山市で講演し、憲法改正論議について
「9条と前文の問題は譲れないと言い続けている。思いを同じくして努力してい
かなければならないと思っている議員とは連携するし、連絡を取り合いたい」と
述べた。講演後、記者団に「民主党の護憲派の人と連携を図りたい」と語った。
(朝日00.12.18)
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▽ 民主党の国連平和維持活動(PKO)検討プロジェクトチームは6日、PK
O協力法に盛り込まれた参加5原則で自衛のための必要最小限に制限されている
武器使用規定を緩和するなどのPKO改革案をまとめた。現在凍結されている国
連平和維持軍(PKF)本体業務の解除を想定したもので、7日に開かれる党ネ
クストキャビネット(次の内閣)外交・安保部門会議に報告される。ただ、党内
には海外に派遣された自衛隊の武器使用については慎重な意見も根強い。
停戦監視や武装解除といったPKF本体業務の解除については「国会審議を開
始すべき」だが、現状では本体業務の遂行に支障をきたすと判断。「憲法の枠内
で武器使用が認められるケースを拡充する」との立場を取った。
このほか改革案では、自衛隊の派遣だけでなく、文民警察などを多用して人的
貢献を進めるべきだとの提案もする。
ネクストキャビネットの伊藤英成外交・安保担当相らは7日の部門会議で承認
が得られれば、党方針とするための党内手続きに入る構え。今後、実態に即した
議論が求められる。(朝日00.12.08)
▽民主党の鉢呂吉雄衆院議員ら護憲派議員の勉強会「21世紀の民主党を考える
会」は7日午後、衆院議員会館で鳩山由紀夫代表を講師に招き会合を開いた。鳩
山氏は「平和執行型の国連平和維持活動(PKO)にも日本は参加しなければな
らない。そのとき、憲法が障害になるなら変えればいい」と述べ、第9条を含め
た改憲の必要性を改めて強調した。
(時事通信00.12.07)
▽鳩山由紀夫代表は10日、NHKの番組で、来年夏の参院選に向けた自由、
社民両党との政権構想について、「議論を重ねていけば協力できる素地はあるの
ではないか」と述べ、実現に前向きな考えを示した。その上で、「政権を取った
ときに憲法問題で開きがあればどうしようもないが、どこまで詰められるか。こ
れからが勝負だ」と述べた。共産党との連立については、「政権内で一緒に議論
する状況になるとは思わない。(協力は)国会レベルであって、基本的に不可能
だ」と否定した。
(毎日2000年12月11日)
▽民主党の鳩山由紀夫代表は11日午後、4日間にわたる中国訪問のため北京入
りし、温家宝副首相と会談した。席上、鳩山代表は「東アジア全体を欧州連合
(EU)のような(域内でもはや戦争が起きない)『不戦の共同体』とするため
何ができるか、日中で模索していく必要がある」と述べ、安全保障問題を含めた
対話と交流の強化を呼び掛けた。
(北京11日時事)
▽民主党の羽田孜特別代表は11日の記者会見で、来年夏の参院選に向けた野
党協力に関し、社民党の土井たか子党首が「護憲が前提」との考えを示したこと
について「憲法問題はこれから議論していくことだから、あまりこだわらずにで
きるところから話し合っていくべきだ。重要なことは違いを強調することではな
く、今の政治を行き詰まりから救うため、どんな協力が必要か考えることだ」と
強調した。
(時事2000/12/11)
▽共産党の志位和夫委員長は11日夕、福岡県北九州市内で記者会見し、来年
夏の参院選での野党選挙協力への基本的対応について、民主党の鳩山由紀夫代表
らが共産党との協力の条件として同党の綱領や党名の変更を求めていることに言
及、「それを言う限り、先方に(選挙)協力の意思がないということだ」と述
べ、民主党との選挙協力に消極的な姿勢を示した。
(時事 2000/12/11)
▽民主党の横路孝弘副代表は16日、北海道函館市での講演で、「集団的自衛
権を行使できる場合を憲法に明記したらいい」などとする鳩山由紀夫代表の一連
の安全保障関連の発言について「こういう発言が続くなら参院選にならない(勝
てない)。代表をやめてもらうしかない」と述べ、鳩山氏を強く批判した。
横路氏は、鳩山氏の発言が(1)集団的自衛権の行使を憲法に明記すべきだ
(2)台湾有事の際に、米軍への後方支援だけで良いのか(3)国連平和維持活
動(PKO)参加5原則を見直し、東ティモールに自衛隊を派遣すべきだった
(4)自衛隊を国軍にすべきだ――の4点を主張しているとして問題視。そのう
えで「何で戦争の話ばっかりするのか。いずれも党の基本政策と違う。このまま
では参院選を戦えない。党全体が集団自殺しかねない」と非難した。
(朝日00.12.17)
鳩山由紀夫代表は十六日夜、横路孝弘副代表が同日、改憲発言を続ければ退陣
を迫ると言明したことに対し、「(憲法を)議論するなら代表を辞めろというの
は、副代表として言ってはならないことだ」と述べ、強い不快感を示した。
鳩山氏は、横路氏が批判した一連の発言について「党内でもほとんど問題は解
決されている感じがした」と問題は決着済みだとの認識を示すとともに、「まだ
そういう古い考え方が出てくるのかと驚いている」と逆に横路氏を批判した。
(北海道新聞00.12.17)
▽連合の鷲尾会長は、19日の記者会見で、民主党の鳩山代表が憲法改正に積
極的な発言をしていることについて、「党内で十分議論しないままに個人的な見
解を安易に外部に示すべきでない」と述べ、今後、憲法問題について、党内で十
分議論すべきだという考えを示した。
「連合は憲法の問題を議論するなと言うつもりはないが、民主党内でほとんど
議論しないままに、政党の代表が個人的な見解を外部に示すのは、党運営の面か
ら問題がある」「鳩山代表と横路副代表が党内で意見を述べ合うことが、党全体
の議論の発展につながると思う」
[NHK2000-12-19]
▽民主党は19日、来年夏の参院選に向けた重点政策を固めた。金融システム
や消費者政策、子育て支援、人権保障、外交・安全保障など21分野の約100
項目にのぼる。同日午後の党ネクストキャビネット(次の内閣)で正式決定す
る。
国連平和維持活動(PKO)参加五原則見直しや緊急事態基本法整備、核軍縮
を監視する常設機関の創設を提案する。
「分権連邦型国家」実現のため、複数の都府県からなる「道州制」を段階的に
導入し、国の補助金の大半を、使途を限定しない「一括交付金」に改めることを
盛り込んだ。
選挙政策は、〈1〉地方分権〈2〉公共事業改革〈3〉財政構造改革〈4〉社
会保障改革〈5〉教育改革〈6〉IT(情報技術)革命――が柱。
(朝日・読売12月19日)
参院選公約に、来年一月の中央省庁再編で発足する文部科学省について、文部
行政部局を廃止して、学校の設置認可などの権限を市区町村の教育委員会に移す
ことを盛り込む方針を固めた。事実上の文部省解体となるもので、公約案では、
文部部局を廃止して「中央教育委員会」に改組、三兆円余りの義務教育人件費の
大半は自治体に直接交付する。
(読売12月19日)
▽民主党の緊急事態法制プロジェクトチーム(伊藤英成座長)は、20日の党外
交保部門会議に「緊急事態における法制のあり方」を提案した。日本が攻撃を受
けた場合や大きな自然災害が発生した場合に首相が「非常事態」を宣言し、政府
の権限を強化することを盛り込んだ「国家緊急事態基本法」(仮称)の制定など
を提唱。自衛隊の武器使用基準を緩和する自衛隊法改正を盛ったほか、政府の有
事法制研究の改善点を指摘し、立法化を急ぐよう求めている。年明けに本格的な
党内論議に入る。
提案は、緊急事態を(1)日本有事に至るまでの事態(2)日本有事(3)大
規模な自然災害等発生時、と定義。非常事態を宣言した理由や、首相や政府の権
限の中身(土地の一時使用など)、国民や企業、自治体が制限を受ける権利、適
用期間などを明示した「基本計画」の策定を求めている。計画は事前に国会承認
を受けるのが原則としつつも、急を要する場合には事後承認も認めている。
緊急事態でも、思想・良心の自由、信教の自由、言論・表現の自由は「当然守
られるべき国民の権利」とする一方、居住や移転の自由、財産権などは「公共の
福祉」との関連で制限を受けるとの考え方を盛り込んだ。
自衛隊が緊急事態にスムーズに行動できるようにする提言も多い。治安出動、
海上警備行動、対領空侵犯措置での武器使用基準の見直しを提案。スパイ行為な
どを取り締まる新たな法律の制定や、自衛隊が警察や海上保安庁などの要請に基
づいて領域警備任務を行えるようにするための自衛隊法改正なども求めた。さら
に政府の有事法制研究について「立法化を前提とした具体的な取り組み」を求め
たほか、米軍の円滑な行動を確保する法制や米軍の行動を支援する法制の必要性
も訴えた。
この日の会議では、自然災害と有事をひとくくりにすることや、自衛隊法改正
などをめぐって異論が相次ぎ、年明けに再度論議することになった。
(朝日00.12.20)
▽訪欧中の民主党の菅直人幹事長は18日、横路孝弘副代表が鳩山由紀夫代表
の安全保障に関する発言を批判したことについて、「党内の議論で自分の意見を
言うのは、代表であっても自由にやっていいと思う。しかし代表は、党の方針と
個人の意見が違っている時はより注意をして発言をしたほうがいい。代表や幹事
長は党の外に向かっての発言については、党の方針であるのかどうかというとこ
ろは注意するべきではないのか、と思う」と述べた。
(朝日00.12.20)
▽憲法問題をめぐり、民主党の鳩山代表と横路副代表が対立している問題で、横
路氏に近い議員グループはきょう、十三人が集まって会合を開き、「鳩山代表の
憲法についての発言は容認できない」などという意見が出され、あす開かれる代
表と副代表の会議で、鳩山代表が発言を自粛することを確認すべきだという認識
で一致。
これに関連して岡田政策調査会長は記者会見で、「今は自民党と対決すべき時
だ。横路副代表の発言は過激だし、一度沈静化した問題に言及するなど、唐突な
感じがする。また、鳩山代表も、発言が誤解を生んでいる部分もあるので、発言
を慎重にして党内議論を見守ってほしい」と述べた。
[NHK2000-12-20]
▽民主党の代表・副代表連絡会議が21日午前、国会内で開かれ、憲法や安全
保障についての鳩山由紀夫代表の「タカ派」発言をめぐり、横路孝弘副代表が代
表辞任を求めていた問題を話し合った。鳩山氏が「私の発言でご心配をかけた。
おわび申し上げる」と陳謝したうえで「憲法にかかわる安全保障の議論は党憲法
調査会の推移を見守りたい」と述べ、今後は党外での踏み込んだ発言を自粛する
考えを示した。横路氏も理解を示し、一応の収拾が図られた。
鳩山氏は会議後の記者会見で、今後の言動について「憲法や安全保障について
の議論は今後、党内での行動にとどめたい。(テレビ番組などで)問われれば、
現在の党の議論はこうなっていると話すことになる」と述べた。
(朝日00.12.21)
桜井充参院議員はホームページの中で、「憲法論議も必要だが、ほかにやるこ
とはたくさんある。このまま、論争を繰り返すのなら、お二人にはお引き取り願
いたい」と批判。
(読売12月21日)
▽民主党緊急事態法制プロジェクトチーム(座長・伊藤英成衆院議員)は二十
日、有事法制などの基本方針を示した「緊急事態における法制のあり方につい
て」の原案を修正し、ネクスト・キャビネット(次の内閣)の外交・安保部門会
議に提出。
修正案では、日本有事や大規模自然災害などの緊急事態に対応するため、政府
が国民の権利を制限する場合、その内容や範囲を基本計画として国会に示し、事
前または事後に国会が承認することを規定した「国家緊急事態基本法」(仮称)
の制定を提案している。
同チームは十一月末に原案を示したが、人権の制限などについて党内から異論
が出たため、修正案では「(権利の制限は)移動や所有権などに限定されると考
えるべきだ」などの文言を盛り込んだ。
また、修正案では、領域警備の任務を自衛隊が迅速に実施できるよう、領域警
備の要件や必要な罰則などを整備する自衛隊法改正、スパイ行為を取り締まる新
たな法律制定も求めている。来月から党内論議に着手する。
(読売12月20日)
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▽憲法改正による首相公選制導入の論文発表
自民党森派の山本一太、民主党の浅尾慶一郎両参院議員が九日発売の月刊誌
「中央公論」で、国民が投票で首相を直接選ぶ「首相公選制」の導入を提言する
連名の論文を発表する。
提言では、首相公選制の導入は「現行憲法の枠内では不可能」として、憲法改
正の必要性を指摘。〈1〉国会議員七十人以上の推薦か、選挙権を持つ国民百万
人以上の署名を得た国会議員であることを立候補要件とする〈2〉首相の任期を
四年とする〈3〉国民に支持された首相の立場を強化するため、衆院での内閣不
信任決議案の可決要件を「総議員数の三分の二以上」に引き上げる――などを求
めている。
(読売12月7日)
▽自民党の山崎元政務調査会長は19日東京都内で講演し、自民党が引き続き
政権を担うためには、新しい国家目標を国民に明確に示す必要があるとして、憲
法を全面的に改正すべきだという考えを示した。
「自民党はこのままでは解党的出直しを図るか、新しい政党に政権を譲るしか
ないのではないかという危機感を持っている」「二十一世紀の国家目標をだれも
示していないことが国民を不安にさせており、自民党が引き続き政権を担うため
には、新しい国家目標を国民に明確に示すため、憲法を全面的に改正すべきだ」
憲法九条について、「戦争の放棄」を定めた第一項はそのまま残すものの、第
二項で総理大臣の最高指揮権のもとに陸海空軍をおくことを明記するとともに、
第三項で非常事態の宣言は総理大臣が期限を定めて行い、十日以内に国会の承認
を得る規定を設けるべきだという考えを示した。
[NHK2000-12-19]
▽全国町村会(会長・山本文男福岡県添田町長)は6日、市町村合併に関して
数値目標を設定しないことや、合併強制を意図した地方交付税算定方式の見直し
を行わないことなどを求める緊急決議や、来年度から法人事業税への外形標準課
税導入を求める緊急決議などを全会一致で採択し、政府や国会議員に提出。
(朝日00/12/08)
▽北海道後志支庁ニセコ町は、町のあらゆる施策について住民と行政が「情報
共有」をすることなどを掲げた全国初の地方自治基本条例「ニセコ町まちづくり
基本条例案」を19日、定例町議会に提案した。条例案は、町の施策の立案から
実施、評価まで、すべての段階で住民参加をうたうなど、いわゆる町づくりの
「憲法」とも言えるもの。22日に可決される見通しで、地方分権時代に対応す
る新たな条例として全国で初めてのケースとなる。
同町は、「住むことが誇りに思えるまちづくり」をテーマに1999年6月か
ら「まちづくり条例案」の策定作業を進めてきた。
条例案は、まちづくりについて、町民の権利と責任を明らかにし、自治の実現
を図ることと理由づけ、「まちづくりの基本原則」「情報共有の推進」「まちづ
くりへの参加の推進」など45条から構成されている。
第10条では「わたしたち町民は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参
加する権利を有する」と、住民自治の理念を高らかに宣言。11条では「満20
歳未満の青少年及び子供は、それぞれの年齢にふさわしいまちづくりに参加する
権利を有する」と、年齢に応じた町づくりへの参加を保障している。
町職員の役割については第19条で、町民であると同時に、町民の声を的確に
まちづくりに反映させる専門スタッフでもある、と位置づけ「町民相互の連携が
常に図られるよう努めなければならない」などと、職務を明確にしている。
また、これまで法律で認知されていなかった住民投票について、「町は、ニセ
コ町にかかわる重要事項について、直接、町民の意思を確認するため、町民投票
の制度を設けることができる」と、36条で投票制度を明文化。施行は来年4月
の予定。
(北海道asahi.com12/20)
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次期国会では、10本程度の法案を出して「一括方式」で教育基本法を追い込
みたいらしい。
▽町村信孝文相は17日のNHKの報道番組で、教育基本法の見直しについ
て「家族とか、家庭教育の重要性、国家の位置づけというものが原案にあった
が、連合国軍総司令部(GHQ)によって削除された経緯がある。ある意味では
理想的なことが書いてあるが、日本の教育基本法だというところがどこにも見え
てこない」と述べて、改めて見直しに積極的姿勢を示した。
また、宗教教育について「特定の教義を教えてはいけないということがどんど
ん広がって、およそ宗教というものについて、学校の中で触れてはならない、と
ほとんどの人が思っている。おしゃかさまやキリストがどういう人だったか、と
いうことは学校でしっかり学ぶことが必要ではないか」と述べて、学校での宗教
教育の必要性を強調した。
(朝日00.12.18 )
▽文部省は、教育基本法の見直しに向け、省内に専門の対策室を設置して組織
的な取り組みを始める。
戦後教育の基本理念である教育基本法をめぐっては、森総理大臣が抜本的に見
直す必要性があるという考えを示し、政府の「教育改革国民会議」も、あす(二
十二日)答申する最終報告の中で、見直しを提言する。
こうした動きに合わせて文部省は、先月、小野事務次官を座長とするプロジェ
クトチームを設けて議論を始め、来年一月の省庁再編後に、新たに教育基本法の
見直し作業を専門に担当する対策室として、「主任教育改革官室」(事務局)を
省内に設置する。
町村文部大臣は、来年の通常国会で小中高校に奉仕活動を導入するための法案
などの教育改革関連法案を成立させたあと、教育基本法の見直しに着手したいと
の考えを示しており、文部省が専門の対策室を設置することで、教育基本法の見
直しに向けた組織的な取り組みが始まることになる。
[NHK2000-12-21]