(from 『オルタナティブ運動情報メーリングリスト』 改行位置等若干変更)
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Date: Mon, 06 Nov 2000 08:02:53 +0900
From: 和田 喜太郎 <YRX00535@nifty.ne.jp>
Subject: [aml 19696] 国会提出の船舶検査法(案)
◆大阪では、11月3日に「四天王寺ワッソ」が。5日に「ワンコリア・フェスティバ
ル」が生野区で。同日隣接する東大阪で「国際交流フェスティバル」など、20世紀最
後の企画と朝鮮半島南北和解の動きのなかで盛大に行われました。
ところが、これらの動きに逆行するかのように、2日から日米共同統合実動演習(キ
ーン・ソード2000)が開始され、近畿では、その一環として滋賀県あいば野演習場
で、日米陸軍の実動演習が5日から開始されました。(当初は2日から開始予定だった
がハワイからの米兵は2日に小松基地経由で到着するなど開始が遅れた。)
これらの演習は「朝鮮半島情勢とは全く関係ない」とは言いながら、朝鮮半島有事を
想定した、対ゲリラ戦、「邦人救出」誘導、海上捜索・救難など従来どおりの演習シナ
リオとは変わってはいません。話し合いを進めようとする矢先、「鋭い刃物」を目の前
でちらつかせのでは、纏まるものもまとまりません。
◆ところで、先の「周辺事態法」制定時与党間で意見がまとまらず、先送りとなり10
月27日国会に提出された、「船舶検査法」法案は以下のようなものです。
たとえ「周辺事態」だとしても、このような船舶検査活動は、本来的には海上保安庁
の仕事ですし内容的には十分務まります。日米の武装軍艦がこれを行うことで、かえっ
て国際摩擦の原因になりかねません。(重点はやはり米軍への「後方支援」ということ
でしょうか。)
また、国連安保理決議以外に、船籍国(旗国)の了解があればいいととしますが、た
とえ一国でも安保理国に疑義があれば強行すべきではないと思います。「周辺事態法」
の積み残しの問題ですが、いまいちこれに関する論議は聞こえてきません。以上は私見
ですがどうでしょうか。
00/10//06 和田 <YRX00535@nifty.ne.jp>
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●周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(案)
(目的)
第一条 この法律は、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に
関する法律(平成十一年法律第六十号。以下「周辺事態安全確保法」という。)第一
条に規定する周辺事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関し、その実施の
態様、手続その他の必要な事項を定め、周辺事態安全確保法と相まって、日本国とア
メリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)
の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「船舶検査活動」とは、周辺事態に際し、貿易その他の経済
活動に係る規制措置であって我が国が参加するものの厳格な実施を確保する目的で、
当該厳格な実施を確保するために必要な措置を執ることを要請する国際連合安全保障
理事会の決議に基づいて、又は旗国(海洋法に関する国際連合条約第九十一条に規定
するその旗を掲げる権利を有する国をいう。)の同意を得て、船舶(軍艦及び各国政
府が所有し又は運航する船舶であって非商業的目的のみに使用されるもの[以下「軍
艦等」という。]を除く。)の積荷及び目的地を検査し、確認する活動並びに必要に
応じ当該船舶の航路又は目的港若しくは目的地の変更を要請する活動であって、我が
国領海又は我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水
域を含む。)において我が国が実施するものをいう。
(船舶検査活動の実施)
第三条 船舶検査活動は、自衛隊の部隊等(自衛隊法[昭和二九年法律第百六十五号]
第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)が実施するものとする。この場合にお
いて、船舶検査活動を行う自衛隊の部隊等において、その実施に伴い、当該活動に相
当する活動を行う日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合
衆国の軍隊の部隊に対して後方地域支援(周辺事態安全確保法第三条第一項第一号に
規定する後方地域支援をいう。以下同じ。)として行う自衛隊に属する物品の提供及
び自衛隊による役務の提供は、周辺事態安全確保法別表第二に掲げるものとする。
(周辺事態安全確保法に規定する基本計面に定める事項)
第四条 船舶検査活動の実施に際しては、次に掲げる事項を周辺事態安全確保法第四条
第一項に規定する基本計画(以下「基本計画」という。)に定めるものとする。
一 当該船舶検査活動に係る基本的事項
二 当該船舶検査活動を行う自衛隊の部隊等の規模及構成
三 当該船舶検査活動を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項
四 第二条に規定する規制措置の対象物品の範囲
五 当該船舶検査活動の実施に伴う前条後段の後方地域支援の実施に関する重要事項(
当該後方地域支援を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項を含む。)
六 その他当該船舶検査活動の実施に関する重要事項
(船舶検査活動の実施の態様等)
第五条 防衛庁長官は、基本計画に従い、船舶検査活動について、実施要項を定め、こ
れについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとす
る。
2 防衛庁長官は、前項の実施要項において、当該船舶検査活動を実施する区域(以下
この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。この場合において、
実施区域は、当該船舶検査活動が外国による船舶検査活動に相当する活動と混交して
行われることがないよう、かかる活動が実施される区域と明確に区別して指定しなけ
ればならない。
3 船舶検査活動の実施の態様は、別表に掲げるものとする。
4 周辺事態安全確保法第六条第四項の規定は、実施区域の指定の変更及び活動の中断
について準用する。
5 第一項の規定は、同項の実施要項の変更(前項において準用する周辺事態安全確保
法第六条第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。
6 周辺事態安全確保法第六条の規定は、船舶検査活動の実施に伴う第三条後段の後方
地域支援について準用する。
(武器の使用)
第六条 前条第一項の規定により船舶検査活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自
衛官は、当該船舶検査活動の対象船舶に乗船してその職務を行うに際し、自己又は自
己と共に当該職務に従事する者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要がある
と認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度
で武器を使用することができる。
2 前項の規定による武器の使用に際しては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三
十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
(政令への委任)
第七条 この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他
この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
【附則】
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令て定める日
から施行する。
(自衛隊法の一部改正)
2 自衛隊法の一部を次のように改正する。
第百条の十第一項中「(平成十一年法律第六十号)」の下に「又は周辺事態に際し
て実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第 号)を加え、同条第二項
中「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」の
下に「又は周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律」を、「後方地域捜
索救助活動」の下に「又は船舶検査活動」を加える。
(周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の一
部改正)
3 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の一部
を次のように改正する。
第二条第一項中「後方地域捜索救助活動」の下に「、周辺事態に際して実施する船
舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第 号。以下「船舶検査活動法」という。
)に規定する船舶検査活動」を加える。
第四条第一項に次の一号を加える。
四 船舶検査活動法第二条に規定する船舶検査活動(以下「船舶検査活動」という
。)
第四条第二項中第七号を第八号とし、第六号を第七号とし、同項第五号中「前三号
」を「第二号から前号まで」に改め、同号を同項第六号とし、同項第四号中「前二号
」を「前三号」に改め、同号を同項第五号とし、同項策三号の次に次の一号を加える
。
四 船舶検査活動法第四条に規定する事項
第五条中「又は後方地域捜索救助活動」を「、後方地域、捜索救助活動又は船舶検
査活動」に改める。
別表(第五条関係)
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番号 区分 実施の態様
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一 航行状祝の監視 船舶の航行状況を監視すること。
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二 自己の存在の顕示 航行する船舶に対し、必要に応じて、呼びかけ、信号弾及
び照明弾の使用その他の適当な手段(実弾の使用を除く。
)により自己の存在を示すこと。
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三 船舶の名称等の照会 無線その他の通信手段を用いて、船舶の名称、船籍港、船
長の氏名、直前の出発港又は出発地、目的港又は目的地、
積荷その他の必要な事項を照会すること。
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四 乗船しての検査、確認 船舶(軍艦等を除く。以下同じ。)の船長又は船長に代わ
って船船を指揮する者(以下「船長等」という。)に対し
当該船舶の停止を求め、船長等の承諾を得て、停止した当
該船舶に乗船して書類及び積荷を検査し、確認すること。
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五 航路等の変更の要請 船舶に第二条に規定する規制措置の対象物品が積載されて
いないことが確認できない場合において、当該船舶の船長
等に対しその航路又は目的港若しくは目的地の変更を要請
すること。
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六 船長等に対する説得 四の項の求め又は五の項の変更の要請に応じない船舶の船
長等に対し、これに応じるよう説得を行うこと。
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七 接近、追尾等 六の項の説得を行うため必要な限度において、当該船舶に
対し、接近、追尾、伴走及び進路前方における待機を行う
こと。
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参考までに関連別表を付け加えておきます。つまり同じく船舶検査を実施する米軍に対
して、これだけの「後方支援」を自衛隊が行うというものです。なお、ついでまでに第
2条の「旗国」関係の国際条約条文も付け加えます。(和田)
●船舶検査法(案)第三条にある、「周辺事態法」の第二別表
種類 内 容
<補給> 給水、給油、食事の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
<輸送> 人員及び物品の輸送、輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務
の提供
<修理及び整備> 修理及び整備、修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並
びにこれらに類する物品及び役務の提供
<医療> 傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の
提供
<通信> 通信設備の利用、通信機器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
<宿泊> 宿泊設備の利用、寝具の提供並びにこれらに類する物品役務の提供
<消毒> 消毒、消毒機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
<備考> 一 物品の提供には、武器(弾薬を含む)の提供を含まないものとする。
二 物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に
対する給油及び整備を含まないものとする。
◆ ◆ ◆
●船舶検査法案第二条にある、「海洋法に関する国際連合条約」の第九十一条
第九十一条(船舶の国籍)
1 いずれの国も、船舶に対する国籍の許与、自国の領域内における船舶の登録及び
自国の旗を掲げる権利に関する条件を定める。船舶は、その旗を掲げる権利を有す
る国の国籍を有する。その国と当該船舶との間には、真正な関係が存在しなければ
ならない。
2 いずれの国も、自国の旗を掲げる権利を許与した船舶に対し、その旨の文書を発
給する。