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〔東京・練馬から〕自衛官OB「隊友会」への反撃、始まる
発信者=井上澄夫(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)
発信時=2000年10月5日
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全国のみなさんへ
東京都練馬区議会に、自衛隊OBの組織「隊友会」などの自衛隊協力団体が、区
報への自衛官募集広報の掲載などを求める請願書を提出したことについては、すで
に〔aml19240〕「自衛官OB『隊友会』の犯罪的な動きについて」と〔aml1
9244〕(これは、最初の情報の訂正です)で報告しました。
この動きに対し、「戦争に協力しない!させない!練馬アクション」の最高齢の
女性メンバーである小松丸(こまつ・まる)さん(1922年生まれ、現在、満7
8歳、1999年11月、ご著書『私の戦前・戦中・戦後』を自費で刊行された)
を代表とする陳情書が、10月4日、小松さんご自身によって、区議会事務局に提
出されました。
先の「隊友会」などによる請願書も、小松さんを代表とする陳情書も、議会運営
委員会での協議を経て、10月6日、常任委員会の一つである区民環境清掃委員会
に付託される見通しです。今会期での取扱いは、それで終わりです。しかし、区議
会が閉会中も、常任委員会は開催されるので、審議は11月に始まります。
11月初旬に請願や陳情が読み上げられ、その後、実質審議に入ります。区報に
自衛官募集広報を掲載することに反対する人びとが、傍聴席を埋めることになるで
しょう。また、小松さんが提出した陳情については、署名を集めることによって、
練馬区民の陳情者を追加していくことができますので、私たちは、区内の他の諸運
動・グループ・個人にも協力を呼びかけ、陳情者を増やす努力を同時に行なう予定
です。
この件では、練馬区内で、ほかにもいろいろ動きが出てくるかもしれません。私
は今後も、全国のみなさんに、事態の推移を報告します。場合によっては、練馬の
闘いに、ご支援をお願いすることもあるでしょう。
自衛官募集に、地方自治体がどのように協力しているか、いないかは、周辺事態
法が発動された場合の、国による自治体への協力「要請」の問題とともに、自治体
の戦争協力問題の核心に位置する大きな問題です。かりに協力しているとしても、
消極的にそうしているのと、積極的にそうしているのとの間には、大きな違いがあ
ります。
本年4月の地方分権一括法の施行により、「自衛官募集事務」は「法定受託事
務」に振り分けられました。しかしこれは、防衛庁が、自分の力ではうまくいかな
い仕事を、自治体にムリヤリ押しつけることであり、違憲の疑いが濃厚な自衛隊法
を根拠とする事務の押しつけについては、自治体が国に事務を返上したり、自主的
に事務を縮小したりすることができるのです。
各地のみなさんが、それぞれの地の自治体行政の動向を調査して、正確に状況を
把握し、自治体行政に自衛官募集への非協力や募集事務の縮小を求める動きを起こ
されること、各地の状況や取り組みの模様を、諸メーリング・リストで報告される
こと、そして今後も練馬での反撃に注目して下さることを、心から要請いたしま
す。
以下に、10月4日に提出された「『自衛隊の募集に関する事務』の縮小に関す
る陳情書」と、関連資料を掲載します。
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「自衛隊の募集に関する事務」の縮小に関する陳情書
2000年10月4日
代表者 住所 (練馬区、以下略)
小松 丸(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)
ほか 人 (後註参照)
電話番号 (略)
練馬区議会議長 土屋 新一 様
要旨 1.練馬区における「自衛隊の募集に関する事務」を縮小してください。
2.練馬区役所庁舎、区民施設、学校等の区立施設で、自衛隊の募集に
関連するポスター、PR等の掲示を行わないでください。
3.練馬区の発行する広報、印刷物等で「自衛隊の募集に関する事務」
を行わないでください。
理由
1.私は、1922(大正11)年8月、現在の品川区大井町で生まれました。
1931(昭和6)年9月18日の「柳条湖事件」をきっかけに始まり、194
5(昭和20)年8月15日、わが国が連合国に降伏するまで、15年間続いたア
ジア・太平洋戦争の時代は、ちょうど10代から20代にかけての私の人生と重な
ります。
日中戦争が全面化した当時、私の家は、大衆的な飲食店を営んでいましたので、
地方から上京し工員として働いていた若い労働者たちや、学生たちが、店に大勢出
入りし、その人たちとの家族同然のおつきあいが続いていました。しかし戦争が長
期化するにつれ、彼らは、次々と兵隊に取られていきました。それはまるで櫛の歯
が抜けるようでした。しかも戦況が厳しくなるにつれ、彼らの戦死の知らせが届く
ようになったのです。従兄弟も中国で戦死し、フィリピンで亡くなった知人もいま
す。戦争が終わったとき、私は、死んだ人たちのことを考えて泣きました。
そのような体験をしていますので、私はもう二度と若い人たちを戦場に送っては
ならないと確信しています。そして今、区内の反戦・市民グループに参加して、若
い人たちとともに、平和を創造する努力を続けています。
2.本年4月1日より、地方分権一括法が施行され、新しい国と自治体の関係が法
律に定められました。国の事務を自治体の執行機関に委任して実施する機関委任事
務制度は廃止となりました。この結果、自治体の首長が「国の機関」として、国の
事務を処理する仕組みはなくなり、これまでの機関委任事務の管理執行の特徴で
あった「上意下達の関係」や「包括的一般的指揮監督関係」はなくなりました。
「法定受託事務」の一つとなった「自衛隊の募集に関する事務」は、本来、国がな
すべきことです。
私は「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的か
つ総合的に実施する役割」(改正地方自治法第1条2項)を担う練馬区が、国と対
等な行政主体として、「非核都市練馬区宣言」(資料参照)に沿って、「自衛隊の
募集に関する事務」の縮小をはかることを求めます。
◎註 「ほか 人」となっているのは、本陳情書が受理された後、署名を追加し
ていくということである。
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〈資料〉
非核都市練馬区宣言
世界の恒久平和は、人類共通の願いである。しかし、近年、核軍拡競争は、激化
し、世界平和に深刻な脅威をもたらしている。
われわれは、世界最初の被爆国民として、平和憲法の精神に沿って、核兵器の全
面禁止と軍縮の推進について積極的な役割を果たすべきである。
わが練馬区および練馬区民は、日本国憲法に掲げられた恒久平和の理念を生か
し、また、日本の国是である非核三原則(造らず、持たず、持ち込ませず)が完全
に実施されることを願い、わが練馬区の区域内に、いかなる国のいかなる核兵器
も、製造、配備、貯蔵することはもとより、飛来、通過することも拒否する。
練馬区および練馬区民は、さらに他の自治体とも協力し、核兵器の廃絶と軍縮に
むけて努力することを宣言する。
昭和五十八年十月三日
練馬区