島川です。安倍さん第一報の続報として、国防総省のニュース・リリース
のとりあえずの訳です。
海兵隊からも、タイトルのみ僅かな違いで本文は同文のものがニュース・
リリースとして出ていますが、海兵隊ホームページ表紙からのリンクをた
どろうとすると、Web改編中というNot Foundのメッセージが出て読めませ
んが、以下のURLを指定すると出てきます。
<http://www.usmc.mil/marinelink/mcn2000.nsf/3fcdaa3744709a2385256938007001ed/
8032abe49ad54e828525694900470d43?OpenDocument>
--------------------------------------------------------------------------
国防総省ニュース・リリース 8月28日
海兵隊、3機種の飛行を一時差し止め
<http://www.defenselink.mil/news/Aug2000/b08282000_bt524-00.html>
今週末、海兵隊の航空機3機種の飛行が、海軍航空システム司令部によって一
時的に差し止められた。当局は、各機種にそれぞれの問題点を見出している。
差し止め命令は、8月25日(金曜日)に、CH-53Eスーパー・スタリオン輸送ヘリ
コプター、AH-1Wコブラ攻撃ヘリコプターと、MV-22オスプリ ティルト・ロー
ター機について発令された。海兵隊のAV-8Bハリアー・ジェット機フリートの
一部も、7月11日以来、エンジンのベアリングの問題点によって飛行差し止め
命令を受け、地上に留まっている。
最も影響が大きいのは165機の海兵隊重輸送ヘリコプターCH-53Eの滞留で、う
ち8機は現在遠征中である。運用差し止めの決定は、8月10日にテキサス州コー
パス・クリスチ沖合で起きた海軍MH-53掃海ヘリコプター墜落事故の暫定的調
査に基づくものである。
今週、AH-1Wコブラのいくつかの古いローター・ブレードにき裂が生じやすい
ことが発見され、当局は、フライト・オペレーションを差し止めた。海兵隊の
両機種合計198機は、飛行態勢に復帰する前に検査を受け、必要があれば疑わ
しいブレードを交換することになる。コブラのうち8機は遠征中である。
当局はまた、海兵隊が保有する11機のオスプリのうちの1機が、木曜日にノー
スカロライナのキャンプ・レジューヌで事故予防措置としての着陸を行なった
のを受けて、MV-22ティルト・ローター機についてもフライト・オペレーショ
ンを差し止めた。MV-22のバックアップ・システムは完全に働き、またパイロッ
トは安全に着陸したが、その後の検査で、当該機の連結ドライブ・シャフトの
カップリングの不具合が明らかになった。
カップリングは修理されて、当該機はその後に配備先であるノースカロライナ
州ニュー・リバーの海兵隊航空基地に帰還している。
技術者たちは、不具合が特殊なものであることを検証するために他の10機を検
査することになる。オスプリは、飛行機のように飛び、ヘリコプターのように
離陸・着陸を行なう。7月に運用評価を完了して、全面的な生産に進行するの
を待っているところである。オスプリは、海兵隊の老朽化したCH-46とCH-53D
型ヘリコプターのフリートに交替することが計画されている。
一方、海兵隊は、AV-8Bハリアー・ジェット機が飛行態勢に復帰する前に、そ
のF402-RR-408A/Bエンジンをすべて点検・試験する努力を続けている。7月11
日以来、海兵隊の106機のハリアーのうち約30機がこのエンジンにパワーを与
えられて、飛行態勢に復帰している。約10基のエンジンが点検を終えて装着を
待っている。残るエンジンも振動検査を受けて、必要があれば、使用開始前に
修理されることになる。
---------------------------------------------------------------------------
海兵隊航空部隊主力はCH-46を除き全滅的状態のようですね。
このリリースでは奥歯に物のはさまった感じで、特にMV-22は何がどうで
あったのか全然わかりません。飛行中に異常が起こる可能性があったので、
差し迫った必要はなかったのだけれど飛行を中止して、<予防的>に着陸
することにした、という言い回しです。
タイトルは海兵隊が自分で自分を差し止めたようになっていますが、記事
の中身を見れば、差し止めたのは海軍の航空技術コマンドですね。海兵隊
は制度上海軍の息子というか子分のようなものですから、元締めの海軍航
空本部に命令されるのは当然ですが、技術的無謬性を強調した海兵隊の体
質からすれば、実は飛行禁止処分には不服であるのかもしれませんね。
海兵隊のWebではリンク切れという「改編中のミス」?によってこのリリー
スは表紙からはたどれませんし、サーチにもかかりません。
海軍もそのまた親玉の国防総省も、マッコークル中将ほど過激ではないに
しても、「不具合が特殊なものであることを検証するため」の検査、つま
り、全オスプリに該当するような設計・構造上の欠陥ではなく「部品製造
上の個別特殊例の欠陥」であるという認識で、要するに同じ路線です。
-------------------------------
島川雅史 mshmkw@tama.or.jp
mshmkw@jca.apc.org
-------------------------------