Date: Wed, 26 Jul 2000 00:34:18 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2926] 「思いやり予算」現状維持
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 クリントン大統領は沖縄に駐留する米兵を激励しただけで早退し、それぞれの
思惑を秘めて集まった他の首脳らも主催国首相など眼中になく、バーミンガムサ
ミット時の五十倍といわれる費用をかけ「精魂込めて」場を提供したのに、「こ
の額でアフリカのガンビヤか赤道ギニアの債務を帳消しできる」と外電に皮肉ら
れて終わったサミットでした。
 ちなみに、23日付日刊スポーツによると、サミットの内訳概算(今年度予算
などから集計)は、会場などの建設費247億円、警察官派遣など173億円、
報道対応経費117億円、海上警備など4億1500万円、その他258億円、
締めて計約800億円、とのこと。

 サミットまでにめどをつけるとしていた思いやり予算の交渉も、従来のスリー
S外交(smile,sleep,silent)で現状維持。1.2%「削減」の微調整の見返り
が、無策のまま9月に予定されている日米安全保障協議委員会(2プラス2)の
交渉でどれだけの割高になってはねかえるものやら。
 「地位協定」にさえ根拠のない支出の33億円微減が軍隊の暴力による犠牲の
上に立った「思いがけない効果」というような、読むに耐えない報道もありまし
たが、もしそうなら被害者の人権を二重に犯すものです。

沖縄市の仲宗根正和市長は、七月七日、市内でサミット環境整備活動作業に取り
組む職員を激励する集会のあいさつで「たまたま、ちょっとした不幸な事件がご
ざいまして、今あちこちで問題が出ていますけれども、私は何としてでもクリン
トンさんには沖縄市まで来ていただいて…」と述べた。
 二十三日放送のTBSテレビ「報道特集」ではナレーションで「このころ市長
はクリントン大統領の招致で頭がいっぱいだった」と説明。
 仲宗根市長(二十四日)「意図はない。言葉が不適切だとしたらそう受け取ら
れるかもしれない。しかし、事件に対する抗議の基本的な姿勢は変わらない」
「失言だったかもしれないが、軽い気持ちで言ったわけではない」(沖縄タイム
ス25日)

 稲嶺知事はサミットが閉幕した二十三日の夜、この“会談”(クリントン米大
統領は二十一日、「平和の礎」で沖縄県民に特別演説を行った際、稲嶺恵一知事
と並んで歩いた。)を含め、サミットを「成功裏に終えられた。県民の自信と誇
りにつながった」と総括した。
(読売新聞7月25日)
 

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)は一九七○年代からの日本の物価、賃
金の高騰を受けて、七八年度に米軍基地で働く日本人従業員の福利費を負担した
のが始まり。
 日米地位協定の、在日米軍の駐留経費(同協定24条)は、基地の提供を除
き、米側が負担と定められているものを、一九七八年度から「拡大解釈」をかさ
ね、「思いやり」を開始。基地従業員の労務費について、「米軍が負担している
賃金の内部まで負担の枠を拡大することは地位協定上できない」(政府見解)の
で、八七年特別協定を締結し、退職手当など八つの手当を負担。「極めて異常な
る経済状態が生起したという現実を踏まえての暫定的、一時的、限定的、特例的
な措置」(八七年五月十八日、衆院外務委、藤井外務省北米局長=当時)。一九
八九年、三沢基地のF16戦闘機のシェルターに約二百億円。
 九一年締結の協定で、労務費負担を基本給と全手当の全額にまで拡大、「地位
協定上(負担)できない」水光熱費も全額負担。
 九五年締結の現行協定では、「訓練移転費」の名目で、「訓練、演習そのもの
の経費は、米軍が負担すべき」夜間離着陸訓練(NLP)など、米軍訓練費の一
部肩代わりを追加。
九六年度から「訓練移設費」(3.5億円)を新設。
  また在日米軍の土地は三十兆円ほどの価値があり、賃貸料に換算すると年間八
千四百億円以上になるともいわれるとのこと。

 二〇〇〇年度予算は約四割を国債に依存。大蔵省幹部「思いやり予算のうち一
千億円は借金で予算化したことになる。自衛隊の正面装備費七千七百億円に比
べ、約二千七百億円は大き過ぎる」

 日米両政府は、「思いやり予算」の根幹である特別協定に関しては現行水準を
維持、提供施設整備費の若干の削減で、妥協。米政府は「日本の負担は『思いや
り』ではなく、戦略的貢献だ」とし、日本政府も「日米安保体制を維持するため
のコスト」として負担の継続に異存はない。当初米側は特別協定にさらに部隊・
装備の維持費や修理費の一部負担を求める構えを見せており、今後の交渉では
「思いやり予算」額が増えなくても、米軍がある程度使途を自由にできる「柔軟
性」の確保を目指すこともありえるもの。

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1999年
12月18日
 政府は、来年度の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)のうち提供施設整備
費(FIP)を今年度比約46億円減の約810億円(契約ベース)とする方針
を決めた。

12月20日
2000年度政府予算大蔵内示
防衛費は99年度比横ばいの四兆九千二百十五億円。防衛施設庁分は、総額で五
千八百四十五億八千七百万円(対前年比〇・七%増)。
 在日米軍駐留経費は、予算案で総額は前年度(二千六百七十八億円)比二・
八%減の二千六百三億円(契約ベース)。基地用地の借料などを合わせた負担総
額約四千六百三十億円(1999年度)は駐留経費の4分の3にあたり、金額、
負担割合ともに米国の同盟国の中でトップ。このうち約千七百九十六億円は、政
府間の特別協定に基づいて日本側がほぼ全額を負担している日本人従業員の人件
費や光熱費などで、削減できない。提供施設整備分が初めて概算要求から削減さ
れ五・四%減の八百九億円(87年度並。1979年度約二百二十七億円、90
〜97年度は千億円台)。ほか、調達労務管理費が一千五百十六億九千五百万
円、施設運営関連諸費三千九百十六億九百万円、提供施設移設整備費四十億五千
百万円など。SACO(日米特別行動委員会)関連経費は百四十億円。
空中給油機は運用研究費に四百万円。

2000年
1月5日
訪米中の瓦力防衛庁長官(日本時間六日未明)、ワシントンの国防総省でコーエン
国防長官と会談。特別協定の改定協議が公式に開始。コーエン長官は思いやり予
算に関して負担規模を維持するよう求める。負担規模については引き続き協議。
 コーエン国防長官「議会には日本の気前の良い貢献をいつも説明している」
「日本駐留維持の理由を議会に説明するためにも、十分な負担が重要だ」(ジョ
セフ・ナイ前国防次官補)
「具体的な削減規模、方法について政府部内の戦略、コンセンサスは固まってい
ない」(防衛庁幹部)
同時に両長官は日米防衛協力のための新指針(ガイドライン)関連法の成立を受け
て、周辺事態や日本有事の際の協力内容を確定し実施する「調整メカニズム(機
構)」の本格的な構築作業に入ることで合意。日本が空中給油機を次期中期防衛
力整備計画で導入する方針を決めたことを「支持する」。

1月21日
日米両政府の外交、防衛当局の審議官級会合。在日米軍駐留経費負担の削減問題
などについて意見交換。日本から防衛庁の河尻融防衛審議官、外務省の渋谷実北
米局審議官、米側から国防総省のキャンベル副次官補、国務省のデミング副次官
補らが出席。

2月14日
都内で米政府当局者が日本の記者団に「経費負担はアジア太平洋地域の安定への
戦略的貢献で、『思いやり予算』という言い方は変えるべきだ」と強調。これに
先立ちフォーリー駐日米大使も全国紙に同様の見解を投稿。
 米政府当局者は経費負担について(1)日本の安全保障の基盤で、単なる予算項
目ではない(2)米側はコスト削減に努めている(3)経費は日本の従業員、企業に支
払われ、日本経済に貢献している-と説明。削減論に対しては「経費負担が日本
の国家予算に占める割合は小さく、削減でどの程度の効果があるのかは疑問だ」
と反論。
 日本政府「この問題で米側を必要以上に刺激したくない」(防衛庁幹部)

2月16日
 自民党の亀井静香政調会長と米国のタルボット国務副長官らが会談
米側「(米軍の駐留は)慈善事業でやっているのではない」
亀井会長「われわれは哀れみを求めているのではない」

2月17日
柳井俊二駐米大使(記者会見)「『思いやり』というと気の毒だから出してあげ
るという感じだが、(日本の負担は)安保条約の効果的運用により日本のためにも
なっている」として在日米軍駐留経費負担を「思いやり予算」と呼んでいること
に疑問を呈した。

2月18日
 クリントン大統領「在日米軍駐留経費負担を含め、日米の戦略的関係は北東ア
ジア安定の基盤を成すものだ」(河野外相との会談)

2月20日
河野洋平外相(日本時間20日深夜)、米国務省でオルブライト国務長官と会
談。
長官は、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の重要性を強調。
河野外相「受け入れ国支援(HNS)の戦略性や重要性は理解するが、日本の経
済的事情も勘案する必要がある」

2月21日
小渕恵三首相「日本および極東アジアの安全保障のために、応分の負担をしてい
きたい」

 2月24日
これまで5年ごとに改定してきた特別協定を、現行負担水準を維持したまま暫定
的に1年間の協定(2001年4月〜02年3月)とする案が、政治決断を避け
たい政府内に浮上。
外務、防衛両省庁は「単年度協定だと毎年同じ議論を繰り返すことになり、米国
に日本は日米安保に熱心ではないといった間違ったメッセージを送ることにな
る」(外務省幹部)と反発。

3月8日
米政府当局者、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)をめぐる日米交渉
について、交渉は順調に進んでいると指摘、「七月の主要国首脳会議(沖縄サ
ミット)までの決着を目指したい」との意向を表明。

3月10日
特別協定改定の日米協議で、日本側負担の米軍基地従業員の人件費などを抑制す
る抜本的改革案を近く提示する方針。七月の主要国首脳会議(沖縄サミット)前の
決着を目指し、「まず削減ありきではない。節約の努力をわが国の国民に理解し
てもらうことが先決だ」(外務省筋)と判断、抑制に力点を置き「軟着陸」を目指
す。
 改革案は(1)基地従業員数の上限を引き上げない(2)現在は米側の要求に全面的
に応じて雇用している基地従業員の採用方式を改め、雇用の必要性を日本政府が
査定する制度とする-ことが柱。
 現行協定では、基地従業員の人件費と基地内の光熱水料いずれも直近の三カ年
の平均を各年度ごとに予算化、あらかじめ日米間で定めた上限を超えない範囲
で、日本が全額負担。 上限を超えた分は米側が負担しているが、上限は協定改
定前の最大数を適用しており、改定のたびに上限額が上がり「日本の負担増に歯
止めが利かない」(外務省筋)のが実態。 1995年に締結した現行協定では、
基地従業員の上限を二万三千五十五人と規定しているものの、現在の従業員は約
二万四千五百人。 五年前より千五百人近く増。現在の人数を新協定の上限にす
ると、日本側は現状より年間で約八十億円の負担増となる。
「定率制」で「日本側の負担が膨らむ傾向を抑制」(防衛庁筋)を狙う。
 コーエン米国防長官は、アジア各国歴訪を前に、給油のため立ち寄った嘉手納
基地内で会見し、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)について「日本政府の
温かい支援に感謝を申し上げたい」と述べた。

3月16日
 コーエン米国防長官が来日し会談。在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の
現状維持を強く求めるコーエン長官に対し、瓦長官は日本の厳しい財政事情に触
れつつ「事務レベルの協議が友好的かつ生産的に行われるのを見守っていくこと
が肝要」と述べるにとどまる。

3月23日
 斉藤邦彦前駐米大使(外務省顧問)は、都内のホテルで開かれた共同通信社主催
の「きさらぎ会」で講演し、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)について
「『財政が厳しいから減らしてくれ』と簡単につなげてはいけない」と述べ、日
本の財政事情を理由に削減を求めることに慎重な考えを表明。

4月14日
河野洋平外相(衆院外務委)「この在日米軍駐留経費負担問題について、廃止を
提案したことはございません。それから、削減という方向性を示唆したこともご
ざいません。」「航空機や艦船の修理費等について打診があるか、事実関係はど
うだというお尋ねでございますが、現行特別協定失効後の在日米軍駐留経費負担
のあり方については、米側との事務レベルでの協議を現在行っているところです
が、御指摘の点を含め、これまで米側より何ら具体的提案がなされた事実はない
ということでございます」(質問:松本善明委員)

5月14日
 新特別協定に関する協議は、米軍基地の従業員数を固定化するなど日本側負担
の抑制策を盛り込むことで決着する見通しとなったと、日本政府筋が表明。

5月24日
 河野外相、フォーリー駐日米大使との会談で「思いやり」予算全体の減額問題
について、米側に、「合理化や節約」を求める。

5月29日
トーマス・フォーリー駐日米国大使は、防衛庁に瓦力長官を訪ね、特別協定の見
直しについて「ホストネーションサポート(接受国支援・在日駐留米軍経費)は日
米安保体制の象徴として重要性を有している。日米政府の事務レベルによる協議
を進め、速やかに合意が得られるよう努力したい」と述べ、早期の合意が重要と
の認識を示した。
 これに対し、瓦長官は「ホストネーションサポートの重要性は十分に認識して
おり、日米両政府および両国民が納得して合意するよう努力したい」と述べた。

6月27日
米国務省のロス次官補(東アジア・太平洋担当)が自民党の山崎拓元政調会長と
会談。
「サミット時にクリントン大統領が来るので、特別協定改定問題をその時に決着
できないか」

7月6日
日米両政府は7日、(1)米軍基地の日本人従業員数は現在の二万四千人程度で
維持し、米側が負担している約千四百人分の人件費は引き続き米側で負担する
(日本人従業員数はこの5年間で約二千三百人増え、99年9月末二万四千六百
六人)(2)現在、日本側で負担している米軍基地外の米軍住宅の光熱水料は、
米側の負担とする――などとすることで最終調整。 
 事実上使い放題になっていると批判の強い光熱水料については、基地外の米軍
住宅の分を区別して米側で負担することで、公私の区別を明確にする方向。負担
項目のもう1つの柱である訓練移転費については、日本側からの要請で移転して
いるため、現状通り負担を続ける。

7月18日
 日米両政府は、光熱水費について、日本側負担の1割に当たる三十億円分を削
減することで大筋合意。河野洋平外相、外務省で米国のスローコム国防次官、ブ
レア太平洋軍司令官が早期の合意を目指すことで一致。
 三十億円削減は、基地外の米軍人住宅分(1999年度で約十二億円)を米軍
の全額負担とするほか、基地内分の日本側負担の上限を引き下げる。労務費につ
いては日本側負担の現行上限(二万三千五十五人)を据え置く。このためこれを
上回り増員している約千五百人分(約八十億円)は引き続き米側負担となり、米
側からみれば計百十億円の日本側負担削減ともとれる。

7月22日
 森喜朗首相、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)が開かれている沖縄県名
護市内のホテルでクリントン米大統領と約40分間会談。
両首脳は来年3月で期限切れになる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予
算)に関する特別協定の改定問題で、日本側負担を大枠で維持し、今年度の思い
やり予算総額の1%強にあたる約三十三億円を削減することで合意。今秋までに
両政府間で新しい協定に署名する。森首相は会談で、「日米間で意見の一致を見
たことは喜ばしい。今秋までに、新たな協定に署名したい」と述べ、クリントン
米大統領も同意。



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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