会 長 談 話
2000年(平成12年)7月5日
沖 縄 弁 護 士 会
会長 亀 川 榮 一
7月21日から沖縄県で開催される「サミット首脳会議」に関し、本土を含めて
2万人を超える多数の警察官が沖縄に集結し、過剰な警備体制がとられ、とりわけ
、名護北部地域、空港周辺地域、首里地区では、交通検問や、多数の警察官の立哨
警備がおこなわれ、まさに、町が警察に制圧されたと言わざるを得ない異常な状況
となっている。
本来、個人のプライバシーや表現の自由などの基本的人権は、人が人として生きる
ための必要不可欠の権利であって、「警備活動の必要性」の名のもとにこれを侵害
することは許されないのであって、最大限に尊重しなければならないことは当然で
ある。
しかし、本サミットにおいて、「サミット警備」の名のもとに、開催1ヶ月も前か
ら、警察官の個別訪問による個人情報の聞き出しや、検問と称する車両の荷物検査
が行われている。
これらの行為は、これを強制する何らの法的根拠はないにもかかわらず、トラン
クを開けなければ通行が出来ないかの如き威圧を加えて開示の強要がおこなわれ、
あるいは、情報開示が義務であるかのように報告を求めており、これらは、個人の
プライバシー権に対する重大な侵害行為であると言わざるをえない。
九州弁護士会連合会は、2000年(平成12年)6月22日付けをもって、警察
庁、九州管区警察局、九州管内警察本部に対して過剰警備によって、市民に対する
人権侵害行為が行われないようにもとめるとともに、サミット開催にさいして人権
擁護に格別の配慮を要請する旨の要望書を発したが、今日の沖縄の状況は右要望が
全く考慮だにされていないことを示している。
「サミット警備」の名の下に、過剰警備、過剰捜査を押しつけることは、市民の基
本的人権に対する重大な侵害行為であると言わざるを得ず、以下の述べる如き過剰
警備、過剰捜査をもって市民の基本的人権侵害が行われないよう強くもとめるもの
である。
我々は、「サミット警備」の名の下に市民の人権が侵害されることを許さず、市民
の立場にたって、権力の濫用に対する監視と、侵害された人権の回復のための弁護
士としての職責を尽くすものである
記
1 職務質問や所持品検査、車両検問を不当に実施したり、強制処分でしか行 え
ない捜査を令状なしで行う等、任意捜査の名の下に市民生活に不当な干渉 をする
こと。
2 本来許可が不要である場合であるにもかかわらず、道路交通法上の許可を 得
ていない事を理由にビラ配布その他の表現活動を妨害する等、道路交通法 の恣意
的運用によって道路上での各種権利行使を制限すること。
3
条例や捜索差押を濫用し、これを、反対運動に対する事前取締目的に利用 するこ
と。
4 反対運動が公共施設を使用することに不当な圧力を加え、その使用を妨害 す
ること。
過剰警備に関して、これを批判する沖縄弁護士会会長談話がありました。
2000/7/11 三 宅 俊 司