Date: Wed, 17 May 2000 15:51:25 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 2694] from FACTIVE > 名護市民投票裁判
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*- FACTIVE  MES( 5):●分科会 政治 自治 情報公開  
*701   CXQ04025  WAKAX             住民投票>名護市民投票裁判,原告の訴え棄却
( 5)   00/05/10 21:23  407へのコメント

 5月9日、名護市民投票裁判の判決が出ました。

 主文
 一 原告らの請求をいずれも棄却する
 二 訴訟費用は原告らの負担とする

 というものでした。
 法定内の写真撮影が2分。全体では3分程で終了しました。

 名護市民投票裁判原告団の判決に関してのコメントを紹介します。

=====
 「判決」に関するコメント

 名護市民投票裁判原告団

 今回の名護市民投票裁判は、住民投票に関する全国で初めての裁判です。
 本日、2000年5月9日、那覇地方裁判所(原敏雄裁判長)の下した「判決」は、
私たちの提訴、そして10回の公判(2年4ヶ月)での訴えに対して満足すべき
内容ではありませんでした。しかし、現在の日本の司法が、この裁判に対して
一定のふみ込んだ判決を出したことは直接民主主義の歴史の第一歩と受けとめ
ることはできます。まだ始まったばかりの住民投票の歴史にとって、次の一歩
を自らふみ出す大きなキッカケとなった面は評価に値すると考えます。「民主
主義」は常に自らかちとった分しか定着しないことを考えるとき、今回の一歩
を、全国の住民投票を現在も続けたり、これから続ける人々へバトンタッチし
たいと思います。
 国防に関する問題を5万人都市の住民に押しつける苛酷さは、まさに現在の
沖縄と本土との象徴的構図です。沖縄の歴史の総体にてらしてノンと言わざる
をえないものです。名護市民投票を風化させようとするさまざまな動きに対し
て、私たちの裁判闘争のひとまずの結果を表わし、米軍ヘリ基地移設ノー、そ
して沖縄からの米軍の全面撤去にむけて連帯のささやかなコメントとします。
 なお、「控訴」については、判決本文をもとに弁護士の皆さん、原告団の皆
さんと吟味の上決定したいと考えています。

 2000年5月9日(火)
 

*708   CXQ04025  WAKAX             住民投票>名護市民投票無視裁判の経緯
( 5)   00/05/15 23:07  407へのコメント

 判決をうけて行われた模擬裁判&報告集会で参加者に配布された資料です。

 [資料1]名護市民投票裁判までの経過
は、名護市民投票裁判を提訴するまでの関連するできごとを年表にまとめてあ
ります。

 [資料2]裁判の事実経過
は、第1回から結審する第10回までの各公判のポイントをまとめたものです。

 19番会議室に判決文の全文を登録してありますので、関心のある方はご覧く
ださい。#1756、#1757です。

=====

[資料1]名護市民投票裁判までの経過

1995年
9/4   米兵三人による少女(小学生)暴行事件発生
9/28  大田知事代理署名拒否声明
10/21  「少女暴行を糾弾し、地位協定見直しを要求する県民大会」
    (8万5千人、宮古・八重山、各3千人)
1996年
1/30  沖縄県、「基地返還アクションプログラム」提示
4/12  普天間基地返還発表(5〜7年以内、県内移設を条件で)
4/17  橋本・クリントン「日米安保共同宣言」(安保再定義)発表
6/26  米政府、移設先を嘉手納弾薬庫地区orキャンプ・ハンセン、キャンプ・
    シュワブを候補地と提案
6/28  名護市議会、全会一致で名護市域への移設反対決議
7/9   名護市域への代替ヘリポート建設反対市民総決起大会(4,100人)
7/16  沖縄県議会、県内移設反対意見・決議
8/4   新潟県巻町、原発の賛否を問う住民投票
9/8   県民投票(「米軍基地の縮小と地位協定の見直し」に賛成89%)
9/17  「SACO」で海上ヘリポート案が正式提案
9/24  日米首脳会談、海上基地案を軸に調整
11/16  久間防衛庁長官、キャンプ・シュワブ沖有力視
11/18  名護市臨時議会「普天間基地の全面返還に伴う代替ヘリポートのキャ
    ンプ・シュワブ水域への移設に反対する決議」を全会一致で決議
    比嘉名護市長・反対表明
11/19  名護市長、県へ反対申し入れ
11/29  第2回名護市民総決起大会(2,600人)移設反対決議。
     北部建設協議会、「埋め立て」の条件付でヘリポート建設認致を決定
12/2  SACOの最終報告で「沖縄本島東海岸沖」を指定
12/14  政府、海上ヘリ基地建設のための調査費に13億円計上
12/21  「基地の整理縮小を求め、県内移設に反対する県民大会」(宜野湾海
    浜公園/22,000人参加)
12/24  北部法人会、「普天間代替ヘリポート移設促進」声明(埋め立て案)
1997年
1/17  「ヘリポート建設阻止協議会(命を守る会)」結成
1/20  久志地域13区長、市長に反対意見書提出
1/30  「ヘリポート建設阻止北部地域総決起大会」(名護市民会館中庭/
    1,100人)
2/10  久志区長が再度「移設反対」の意見書を名護市長に提出
4/9   名護市長、辺野古区説明会で事前調査容認発言(「地元や漁業関係者
    が同意し、県が責任を持って対応するなら」という条件付)
4/15  二見以北10区の区長、比嘉名護市長の説明会を拒否
4/17  『米軍用地特別措置法改正』
4/20  市民主催「ちゃーしんならん!ヘリポート、ゆんたくフォーラムinNAGO」
    開催(260名)
4/24  条件付誘致派「辺野古活性化促進協議会」結成
4/28  「命を守る会」が反対署名提出(838名分/辺野古区の小学生以上の
    住民の65%)
5/7   「命を守る会」のテント小屋設置、監視活動開始
5/9   第一回事前調査強行、「命を守る会」等が海上で抗議行動
5/10  「ヘリポートいらない名護市民の会」設立
6/6   「ヘリポート基地建設の是非を問う名護市民投票推進協議会(推進協)」
    結成(22団体)
    今井一氏、住民投票の講演会開催
6/27  「名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票に
    関する条例」制定請求
7/9〜  市民投票条例制定を直接請求するための署名集め開始(1ヶ月間)
7/15  推進協、「市民投票を成功させる総決起大会」開催
8/13  推進協、名護市選管へ署名簿提出(19,735人分)
8/19  ヘリ基地建設反対県民大会(与儀公園)
9/16  市民投票条例制定本請求(有効署名数 17,539人)
9/19  賛成派、名護市で「名護市活性化促進市民大会」開く
9/24  「新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)」発表
9/25  名護市長、『市民投票条例』について「二択方式」を「四択方式」に
    修正するなどの『意見書』をつけて市議会に提案
10/2  名護市議会、『市民投票条例』の修正案(『意見書』)を可決
10/6  「名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票に
    関する条例」公布
10/12  「ヘリ基地いらない二見以北10区の会」結成
10/17  ヘリ基地反対協結成総会(推進協解散)
10/20  「二見以北10区の会」が監視事務所を設置
10/30  臨時市議会で、市民投票実施日を「12月21日」とする市長発言
11/12  那覇防衛施設局による海上ヘリ基地説明会開始
11/20  「市民投票勝利をめざす市民総決起大会」
11/21  復帰25周年県民大会で橋本首相、「海上ヘリポート案は現実的に最善
    の選択肢」と強調
12/3  秋山防衛事務次官来名護、ヘリ基地建設での政府への協力を要請
12/6  村岡官房長官、野中自民党幹事長代理、来名護。ヘリ基地建設を前提
    に「北部振興策」メニューの提示。
12/8  鈴木沖縄開発庁長官来名護。ヘリ基地建設を前提に振興策を示す(比
    嘉市長、「国が手形を切ってくれた」と言明)
12/9  那覇防衛施設局職員200名を動員し、北部振興策を盛り込んだパンフレ
    ットを配布(ゆいまーる運動)開始
12/11  市民投票告示
12/13  久間防衛庁長官、賛成派応援のため名護入り
12/14  「命を守る会」、「10区の会」合同の「市民投票勝利、久志地域住民
    総決起大会」
12/21  名護市民投票
     ○反対 16,284票(52.6%)
     ○条件付反対 385票(1.2%)
     ○賛成 2,562(8.3%)
     ○条件付賛成 11,765(37.9%)
      不在者投票 7,633人(24.7%)
12/24  比嘉鉄也名護市長、橋本首相と会談。「建設受け入れ」と「市長辞職」
    表明
12/27  反対協、「海上ヘリ基地建設絶対阻止!市長の受け入れ表明弾劾!政
    府の基地押し付け糾弾!」総決起集会
12/31  岸本建男名護市助役が海上ヘリ基地建設賛成派の市長候補に決定
1998年
1/20  名護市民504人、比嘉鉄也前名護市長および市に対して、市民の基本
    的人権を奪うものとして、那覇地裁に提訴。

=====

[資料2]裁判の事実経過

1998年1月20日(火) 那覇地裁名護支部に提訴 原告団504人【『提訴声明文』】

1998年4月28日(火) 第1回公判(那覇地裁101法廷/1時30分開廷/原敏雄裁判長)
〈内容〉
 1.「訴状」要旨読み上げ(三宅弁護士)【『訴状・要旨』】、補足陳述
   (池宮城弁護士)
 2.原告側から稲嶺のり子、輿石正による意見陳述【『意見陳述書』】
 3.被告側からは、4月17日付で提出した「答弁書」【『答弁書』】にもと
   づき反論。
   反論主旨は、「本件は法律上の争訟の要件、訴えの利益の要件を欠く訴
   訟で不適法である」とし、その不適法の骨子として、
   (1) 法律上の争訟、当事者適格ないし権利保護の資格などについての不
     適法性
   (2) その他、政治的・行政的裁量などについての不適法性をあげている。
     いわば原告らの訴えそのものを却下すべし(門前払い)との主旨で
     ある。

1998年6月30日(火) 第2回公判(同上)
〈内容〉
 被告側の「答弁書」(4月17日付で提出)についての原告側の認否反論。
 【原告側『準備書面(一)』、『証拠説明書』1998年6月15日付】にもとづいて
 (1)本案前の申立の理由に対する反論
   (1) 法律上の争訟、当事者適格ないし権利保護の資格などについて
   (2) その他、政治的行政的裁量などについて
 (2)被侵害権利(利益)についての反論
 (3)住民投票の結果の拘束力と被告比嘉の行為の違法性についての反論
 ※証拠説明書として
   (1) 名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票に
     関する条例文
   (2) 条例案修正意見対比表
   (3) 市長の「意見書」

1998年9月22日(火) 第3回公判(同上)
〈内容〉
 1.原告側「準備書面(一)」に対しての被告側の認否反論【被告側『準備
   書面』平成10年7月30日付】
   ○原告らの主張は、『訴状』においても『準備書面(一)』においても
    法律上の争訟、訴えの利益の要件を欠く訴訟で不適法である。従って、
    訴訟要件を欠いた今回の訴訟は直ちに却下されるべきである。(門前
    払い論)
 2.『訴状』に対しての被告側の具体的反論・区分答弁 【被告側『準備書
   面』平成10年9月10日付】
   ○『訴状』について、各項ごとに、「否認」、「認める」、「認識しえ
    ない」、「不知」、「争う」、「不知ないし争う」を使って反論、区
    分答弁。その中で問題とすべき点は次の3つ。
   (1) 米軍がおこした事故例および被害例に対する「不知」答弁
   (2) 「名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票
     に関する条例」第三条第二項(市民投票の有効投票の賛否いずれか
     過半数の意思を尊重するものとする)は、義務の規定でなく、法的
     にみてとうてい市長の決定を拘束する効力などは導きようもない、
     とする、いわゆる市民投票の法的拘束力はないとする答弁。
   (3) 被告比嘉鉄也と被告名護市の共同不法行為について、その二者の相
     互の関係が明確ではないとする答弁
 3.被告側「準備書面」(平成10年7月30日)に対する原告側からの認否反論
   【原告側『準備書面(二)』(1998年9月21日)】

1998年12月8日(火) 第4回公判(同上)
〈内容〉
 1.被告側「準備書面」(平成10年7月30日)に対する原告側からの反論
   (1) 「条例」の制定過程と「条例」の趣旨
   (2) 被告比嘉の個人責任と名護市の関係について 【原告側『準備書面
     (三)』(1998年10月30日付)】
 2.原告側『準備書面(三)』に対する被告側の反論
   原告らの請求は、法律上の論争ないし事件性の要件を充足しないものだ
   から、速やかに却下されるべき。
   「原告らの主張は、その独断による「名護市民の良心」「名護市民の意
   志」というフィクションを前提にしたもので、極言すれば法的には内実
   のないものである。そこで主張されている事実は全くの政治的意見の表
   明以外の何物でもない。法的な事実の認否の問題よはなしようもないか
   らである。被告らは速やかに訴えを却下されるよう重ねて上申する。」
 3.被告側『準備書面』(平成10年11月30日付)に対する原告側の反論と逆
   質問【原告側『準備書面(四)』(1998年12月7日付)】

1999年3月16日(火) 第5回公判(同上)
〈内容〉
 1.原告側「準備書面(四)」(1998年12月7日付)に対する被告側の反論。
   ○原告らの主張は、全て将来の政治的課題に関する政治的意見の表明を
    要求することに関連した求釈明である。従って法的事実の当否と異な
    る政治的事実の当否を判断しえない裁判所における訴訟において、釈
    明の方式で表明すべきではない。いってみれば、原告側の主張は、裁
    判にはなじまないから裁判所は訴えを却下すべし、というものである。
    【被告側「準備書面」(平成11年1月25日付)
 2.原告側からの反論
 (1)公権力の行使と違法性の関係について
 (2)被告比嘉の責任について
 (3)原告らの主張する、被侵害利益と、平成11年1月25日付「被告側準備
    書面」反論。
    原告側準備書面(五)(1999年2月22日)
 ※証拠説明書添付
   ○市民投票条例に関する写し
   ○修正可決に関する通知写し
   ○市民投票条例に関する条例案修正意見対比表写し
   ○名護市長から提出された修正意見写し
   ○名護市議会議事録写し
   【原告側『準備書面(五)』(1999年2月22日付)】
 3.原告側「準備書面(五)」に対する被告側の反論
   ○将来的政治的判断の問題を何らの脈略なしに法的問題としてすりかえ
    ている
    【被告側「準備書面」平成11年3月15日】
 4.次回裁判において「証人尋問」をしたいとの申請が原告側からなされた。
    【「証拠申請書」(1999年3月16日)】
   同行者として、輿石正、上山和男、安次富浩、宮城保、真志喜トミ、稲
   嶺のり子
   呼び出しとして、比嘉鉄也、我喜屋宗弘

1999年5月25日(火) 第6回公判(同上)
〈内容〉
 被告側「準備書面」(平成11年3月25日付)に対する原告側の反論
 1.被告比嘉のヘリ基地建設受け入れ声明と辞任という行為の違法性につい
   て【原告側「準備書面(六)』1999年4月12日付)】
 2.原告らが違法行為と主張する事実行為(基地受け入れ声明)そのものの
   存在すら被告側が争うのであれば、被告比嘉の行為の真偽を立証するた
   めに比嘉鉄也の証人尋問が不可欠である。【原告側「準備書面(六)』
   1999年4月12日付)】
 ※証拠説明書
   ○『琉球新報』1997年12月25日付、朝刊
   ○『沖縄タイムス』1997年12月25日付、朝刊

1999年7月6日(火) 第7回公判(同上)
〈内容〉
 1.証人尋問に関し、原告側からは3人にしぼってほしいとの裁判長の判断。
   (これには原告側同意)しかし、被告比嘉前名護市長の証人尋問につい
   ては裁判長は判断を保留した。
 ※10月1日に、比嘉鉄也前名護市長の証人尋問を求める「署名簿」(署名数
  3,819名分)を裁判所に提出

1999年10月5日(火) 第8回公判(同上)
〈内容〉
 1.原告側からの証人尋問が行われる
 (1)宮城  保【『調書』平成11年10月5日付】
 (2)真志喜トミ【同上】
 (3)輿石  正【同上】
   3人が訴えの根拠をそれぞれ40分近く陳述(質問者 三宅弁護士)。被
   告側からは一切の質問出ず。ふんぞりかえって聞くだけ。
 2.被告側の比嘉鉄也前名護市長の証人尋問の可否の判断を出してほしいと
   裁判所側に求めるが、裁判長は“合議の上不必要”と判断。それに対し
   原告側は、即、裁判長の「忌避申立て」をする。
    ↓
   裁判長の忌避申立てについては、文書通達という形で却下された。
   【「決定」平成11年11月1日 那覇地裁民事第一部】

2000年2月1日(火) 第9回公判(同上 1時〜)
〈内容〉
 原告、被告に対して追加の申し立ての有無をたずねる。原告側は「準備書面
 (七)」(2000年2月1日付)を出し、今までの全体をまとめた形で最終提出。
 被告側からはなし。
 結審日を決定する。3月14日。

2000年3月14日(火) 第10回公判(同上 10時30分〜)
〈内容〉
 「結審」の意思が裁判長から下され、原告、被告とも了解。
 判決日を5月9日とする。2分で終わる。

2000年5月9日(火) 最終判決(同上 1時10分〜)

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