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「練馬アクション」の石原都知事へ即時辞任を求め声明です。
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全国のみなさんへ
発信者=井上澄夫
(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)
発信時=2000年5月4日
私たち「戦争に協力しない!させない!練馬アクション」は、東京都練馬区で
活動している運動体です。「練馬アクション」は、これまで当地で9年間にわた
りつづいてきた「つくろう平和!練馬ネットワーク」の活動を踏まえて、200
0年2月5日、新たに発足しました。
昨年(1999年)、第145通常国会において、周辺事態法など、いわゆる
新ガイドライン関連法が強引に成立させられた、あの事態を、私たちは、戦後が
終わらされ、新たな戦前がはじまった、ととらえました。そこで、これまでと違
い、生起する事態にもっと機敏に対応でき、より広範な人びとが、気軽に参加で
きる運動をめざそうと、「練馬アクション」を立ち上げました。
以下に4月9日の石原都知事の暴言に対する「練馬アクション」の声明を掲載
します。本声明は、すでに石原知事に送られています。当地では、5月14日、
この問題に関して「練馬区民緊急集会」が開かれます。「練馬アクション」は、
その集会の成功のために努力するとともに、独自のアクション(諸活動)をもっ
て、石原知事辞任要求運動の全都的、全国的なうねりに参加するつもりです。
全国のみなさん、石原都知事を辞任させるために、ともに力を尽くしましょ
う!
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〈 声 明 〉
石原慎太郎都知事に、即時辞任を求めます
戦争に協力しない!させない!練馬アクション
私たちは、練馬区で、戦争に反対し平和を創造する活動をつづけている「戦争
に協力しない!させない!練馬アクション」です。
去る4月9日、石原慎太郎都知事は、私たちの住む練馬区北町にある陸上自衛
隊練馬駐屯地で行なわれた創隊記念式典に参加して挨拶しました。その挨拶の内
容を知った私たちは、激しい怒りと深い悲しみにとらわれています。
1、石原知事は、「日本は、敗戦後の50年間、アメリカによって解体された。
彼ら白人にとってみると、日本人だけが、有色人種の中で唯一見事な近代国家を
作ったということが、意に沿わない事実だったのでありましょう。ゆえに、この
へんを非常に危険視したアメリカは、あのいびつな憲法に象徴されるように、こ
の日本の解体を図って、残念ながらその結果が今日露呈されていることを、だれ
も否めないと思います」とのべています。
この発言は、石原知事の人種差別主義的体質を露呈しているばかりか、現憲法
を誹謗中傷するものであり、公務員の憲法尊重擁護義務を定めた憲法第99条
に、明らかに違反しています。私たちは、これだけでも、石原氏は、東京都民を
代表する都知事にふさわしくないと考えます。
石原知事は、またこうのべました。「この9月3日に、陸海空の三軍を使っ
て、東京を防衛し災害を救急する大演習をやって頂きます。今日の東京をみます
と、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。
こういう状況で、大きな災害が起きた時には、大きな大きな騒擾(そうじょう)
事件すら想定される。こういうことに対処するためには、警察の力では限りがあ
る。だから、皆さんに出動願って、やはり治安の維持も、一つ皆さんの大きな目
的として遂行して頂きたい」。
ここで使用された「三国人」という言葉について、石原知事は、4月10日、
「戦後の混乱の中で、いわゆる三国人が、その中には韓国系、朝鮮系、中国系も
いて、不法なことをあえてする。我々に実害を与える外国人のことを、当時の新
聞は、三国人と報じていた。おれはそのつもりで使った。」と説明しました。
「三国人」という言葉が、敗戦後、日本の旧植民地出身の人びとに対して用いら
れた差別語であることは、明白な歴史の事実ですが、石原知事は、それを改めて
実証しました。
2、問題は、「三国人」という、すでに死語になりつつあった差別語を、石原知
事がわざわざ用いたことだけではありません。
石原知事は、『正論』(本年3月号)で、「9月3日に実施する地震対策総合
大演習」について、こうのべています。「関東大震災の際、朝鮮の人たちがデマ
ゴーグで殺されたりして気の毒だったけれど、今度逆のことが起こる恐れがあ
る。ロサンゼルスであったように、不法入国の外国人による大略奪が、新宿とか
池袋で起きるかもしれない。それに対処するデモンストレーションとして、戦車
とか装甲車で街を封鎖する訓練もしてほしい」。
また、『VOICE』(99年8月号)では、「陸海空の『三軍』を使った災
害時の合同大救済演習は、北朝鮮とか中国に対する威圧にもなる。だから実戦に
近い演習をしたい。相手は災害でも、ここでやるのは市街戦ですよ」とのべ、4
月12日の都庁での記者会見では、「騒擾事件が起こったと仮定して、三軍を出
動して治安の対策をしてもらううんぬんと言ったのは、言うことが良いことな
の。これが抑止力になるの」と強調しました
問題の核心は、石原知事が、きわめて明瞭な差別意識に基づいて、《大震災な
どの大災害が起きたとき「三国人」たちが必ず「騒擾事件」を起こす、それを鎮
圧するには自衛隊に「治安出動」してもらうほかない》と公言したことにありま
す。
石原発言は、在日朝鮮人・韓国人、中国人などに対する排外主義を煽り立てて
います。すでに、都心の電話ボックスに「三国人は日本から出て行け」となぐり
書きされるといった事態まで起きています。発言は同時に、「治安出動」論議を
タブーから解放する役割を果たしました。改憲を唱道する『読売』『産経』など
は、〈知事ら為政者が「治安出動」を検討するのは当然〉というキャンペーンを
はじめています。
1960年6月、安保闘争の最後の高揚期に、時の岸首相は、アイゼンハワー
米大統領の訪日を無事実現するため、赤城防衛庁長官に「治安出動」を要請しま
した。赤城長官の拒否によって出動は実現しませんでしたが、一時は、関東一円
の自衛隊に待機命令が出され、小銃、機関銃、重火器の実弾が配られました。練
馬駐屯地には、50台の戦車が集結し、出動命令を待っていたのです。そのよう
な事実を想起するとき、私たちは、石原知事の発言に戦慄を覚えざるを得ませ
ん。
3、自衛隊員を前にした今回の発言を含め、石原知事の数々の発言は、在日朝鮮
人・韓国人、中国人などに対する敵意に満ち、それをさらに「不法入国の外国人
一般」に拡大しつつあります。石原知事はまた、中国と朝鮮民主主義人民共和国
への憎悪、敵意を隠そうとしません。
昨年春の都知事選は、国会における新ガイドライン関連法の審議の最中に行な
われました。石原都知事は、周辺事態法とともに登場したのです。石原知事は、
そのことを強く自覚しており、それゆえ「ぼくは東京都知事かもしらんけれど、
都の施設で一旦緩急の際には防衛に必要なものは全部使ってくれって言うよ。自
治体はやっぱり、命投げ出すぐらいの覚悟が必要ですよ。」(昨年8月25日/
9月8日号『SAPIO』)と言明してはばかりません。一見無謀に見える彼の
一連の発言は、実は非常に計算されたものと見るべきでしょう。石原知事にとっ
ては、本年9月3日に実施予定の防災訓練も、新たな戦争や治安出動の予行演習
なのです。
石原知事の発言は、アジア太平洋、東アジアの緊張を激化させています。石原
知事は、自分の発言が、日本にいる外国人たちを、どれほど深い恐怖と不安に陥
れたかについて無関心を装い、傲慢に開き直って、発言の撤回も謝罪も行ないま
せん。私たちは、この事態を深く憂慮しています。
自立・協力・共生を基礎にした平和な社会、軍事的緊張と戦争のない世界の創
造を希求する私たちは、石原知事が、ただちに4月9日の発言を撤回して謝罪
し、辞任すること、また陸海空の自衛隊が参加する本年9月3日の防災演習の計
画を中止することを、強く求めます。
2000年4月27日