党憲法調査会での議論の今後の進め方についての基本的考え方(案)
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平成12年4月19日
自由民主党憲法調査会
党憲法調査会は、平成12年2月8日から3月29日までの間、「日本国憲法
制定前後の歴史的検証」を行うとの観点から、有識者を講師として合計7回の会
合を開催し、鋭意検討を行ってきた。その過程で現行日本国憲法は、占領下、国
民に未だ主権がなく、また自由な意志の表明を許されなかった時、連合国占領軍
最高司令部の占領政策の下に、きわめて短時日の間に作成されたものであって、
その中に多くの長所を備えてはいるものの、不備不合理な個所があり、わが国情
に合致しないところが少なくない。特に、日本国憲法前文は、その出典がすでに
明らかであり、主権国家の有する最高法規の前文としては、不適当と言わざるを
得ないなどの点で多くの意見が一致した。
ところで言うまでもなく、日本国憲法を論議するということは、日本のあるべ
き姿を論議することであり、あるべき姿が現憲法制定時と違ったものになったの
であれば、わが国のあるべき姿の中で憲法も見直す必要が出てくるのは当然であ
る。
○われわれは、われわれ祖先の代から築かれてきた歴史と伝統の尊重の上に立
ち、且つ常にわれわれに続く世代の幸福を念頭に置きつつ、今後のわが国の国家
運営を行うべきである。
○われわれは、徒に権利のみを主張し、国家・社会・家族への責任と義務を軽視
する風潮を改め、国民一人一人が自己責任原則に基づき、自らの自由を実現する
社会を目指すべきである。
○われわれは、わが国の平和と繁栄が近隣諸国の戦略的評価と無関係に成立しな
いことを自覚し、多極化時代にふさわしい安全保障政策を目指さなければならな
い。
○主要先進国首脳会議のアジアにおける唯一の一員として、わが国は、国際安全
保障のためいかなる責任を果たしていくべきか。
○阪神大震災、地下鉄サリン事件以来すでに5年を経過し、危機管理の必要性が
叫ばれて久しいものの、未だ法制化はなされていない。国家の非常時に対応する
仕組みをどうするか。
○地球環境問題といった全くの新しい課題に人類は直面することになったが、こ
のような課題にわが国としてどの様に向き合っていくか。
などがこれからの主要論点となることが考えられるが、われわれは、日本の今後
のあるべき姿を多くの国民との議論を通じて画き、その姿を憲法という型で表現
したらどうなるか、こうした手順で書いてみた憲法案と現憲法と相違点があれ
ば、現憲法を見直すべきである、という姿勢で今後の党憲法調査会の議論を進め
てゆくこととする。
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<参考>
議員の眼
憲法で国民的な大議論を
参議院議員 小山孝雄
http://www.jimin.or.jp/jimin/120421/giinnome/index.html