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(from 『歴史地理教育ML』
改行位置等若干変更)
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From: "Noboru Sakamoto" <sakamt@mub.biglobe.ne.jp>
Subject: [rml 2148] 石原暴言・第3報
Date: Sat, 15 Apr 2000 18:47:12 +0900
東京の坂本です。
************以下・声明成案です********
石原慎太郎東京都知事の「三国人」「治安出動」等の発言に厳重に抗議する声明
石原慎太郎東京都知事は、2000年4月9日に陸上自衛隊練馬駐屯地でおこなわ
れた陸上自衛隊第一師団の「創隊記念式典」に出席し、数々の問題発言を含む挨拶を
行った。「三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており」「大きな災害では騒擾事
件すら想定される」「警察の力に限りがあるので、みなさんに出動していただき、治
安の維持も大きな目的として遂行してほしい」などの発言である。
4月10日以降、新聞・テレビなどでこの問題が報じられたが、関東大震災の時
に、警視庁のみで治安維持が不可能と考えた内務省・警察の上層部が、「流言」を捏
造して、戒厳令公布と軍隊の出動とを要請したことを、私たちはすぐに想起した。周
知のとおり、関東大震災時には、朝鮮人・中国人や社会主義者・労働運動指導者など
が、虐殺される痛ましい事件が惹起された。これまで、朝鮮人殺害事件は、「流言」
に惑わされた一般市民が自警団を組織して殺害に及んだとされてきた。しかし、現在
では、内務・警察・軍上層部が一体となった組織的蛮行によって殺害された犠牲者が
多数いたこと、とりわけその主導は軍部であった可能性が強いことが明らかになりつ
つある。
関東大震災から、すでに77年が経過している。この間、真相の究明や犠牲者の追
悼は、なかなかすすまなかったが、それでも1983年の「震災60年」、1993
年の「震災70年」などには、追悼・調査・研究活動などが、私たち歴史研究者・歴
史教育者を含む広範な市民の力で、少しずつ取り組まれてきた。犠牲者を追悼する集
いの開催や、追悼碑の建立などもすすみ、また記念集会の記録集や『関東大震災政府
陸海軍関係資料』なども刊行されてきたのである。
私たちの会の会員の多くは、こうした活動に積極的に参加し、歴史的な真相の究明
や、日本とアジア諸国などとの友好・連帯の方途などを模索してきた。阪神・淡路大
震災に際しては、ボランティア活動をはじめ、国籍や民族をこえた協力・共同の事実
を知り得ることができ、「歴史の教訓」が活き続けることを祈念したものだった。
こうした経緯をかえりみるまでもなく、今回の石原発言には、満腔の怒りを禁じ得
ない。災害時に「軍隊」(石原都知事は明確に「軍隊」といったが)がむやみに出動
し、石原都知事と同じような民族観・偏見・差別意識のもとに軍隊が行動したなら
ば、関東大震災時の悲劇と民族的・国際的犯罪が繰り返されることになるであろう。
石原都知事には、「首都・東京」の首長という要職にあるのにも関わらず、かかる
問題発言をしたことを自己批判し、直ちに公的な場で謝罪することを強く求めるもの
である。また、自衛隊について「軍隊」であると公式の場で発言し、しかもそのこと
を全く反省しない姿勢は、日本国憲法第9条の精神と著しく矛盾し、かつ第99条が
定めるところの公務員の憲法尊重擁護義務にも抵触する許されざるものである。さら
に、今回の発言は、国際的信義上も、人権・民主主義の観点からも、単なる「謝罪」
のみで許されるようなものではない。直ちに、すべての公職から辞任することをあわ
せて勧告するものである。
以上、声明する。
2000年4月14日
東京都歴史教育者協議会常任委員会
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