当初からの近隣諸国からの危惧の声に違わず、「シナ人」といってはばから
ない石原慎太郎さんを、日本の十分の一の市民を束ねる長として東京都知事に
当選させ、その座に君臨させたまま数々の暴言を許してきたということが、と
りもなおさず、私たちが「植民地意識」を持ち続けて生きているということに
ほかならない。
「三国人」には「朝鮮・琉球・蝦夷」の意味も含まれると書かれている辞書
もありますが、辞書から「差別」用語が削除されていることをもって「べっ
視」ではないとするのは「南京虐殺はなかった」論と同じ。
また、「日本国民」の姿勢が問われている問題でもあるにかかわらずそれが
矮小化され、あたかも「在日」市民への攻撃でしかないように、「国際問題」
の面だけを強調する動きもまた、日本社会に底流している「差別意識」を表す
もの。
そして、この度の石原発言を外国人労働者の拡大や移民の検討を始めること
を求めている経済界が注視していることにも、危険性を感じます。現政府下で
「共存共生」を認めるのであれば、今もって「大東亜共栄圏」を目指したかつ
ての侵略国「大日本帝国」と何ら変わらないということにもなるからです。
森喜郎さんは「天命に従って」総理になられた方
「横浜には1500人くらいの韓国から来た労働者がいる。ベトナム戦争に参
加しているから、銃に不慣れではないので、リーダーがいて1000人くらい
まとまれば、軍事行動ができるくらいになる」(92年6月政調会長として早
稲田大で講演)
「低俗な風俗産業も大阪からかならず生まれる。大阪はたんつぼと言われ、実
に汚い町になった」(88年4月、自民党政経文化懇談会・京都市)
詳しい報道を見かけませんでしたが、石原都知事の「三国人」発言が13日
の衆院安保委で取り上げられ、河野外相と我関せずだった瓦防衛庁長官も発言
を批判したようですが、同席で瓦長官は自衛隊を「軍隊」と憲法に明確に位置
づけるべきだという意見が出ていることに関連し、中村鋭一議員(保守)への
答弁で「国会は各政党から成り立つ議論の場であり、国の方向付けの決定権を
有するので、幅広く、底深く、積極的に取り組んでいただくことは国会の使命
だと考える」としたとのこと。(赤旗00/04/14)
防衛庁はもはやこれほどまでに民意に鈍感あるいは、無関心になっていると
いうことでしょう。
石原発言の発端は軍隊の「治安出動」。排外主義を煽って「正当化」させれ
ば、政府に先駆けて自ら軍隊を指揮できると妄想したのかも。しかし小心者に
下手なことをされると、懐刀までさらされ「秘匿」を信条とする防衛庁として
も大いに迷惑。「雨だれ石を穿つ」思いで「草の根右翼」を育ててきた勢力に
とっても、今まさに花開こうとしているこの期に及んでこれしきの批判にのた
うち回るような醜態をさらされては、長年の苦労も水泡に帰しかねない。
思うところがいかであれ関知するものではないが、とまれ、これほどまでに市
民の人権を踏みにじった石原さんには、アジアの平和構築のためにも、この度
はどうしても公職の座からは降りていただかなければなりません。
<参考>
−関東大震災から得た教訓−
関東大震災における軍、官、民の行動とこれが観察
1960年3月 陸上幕僚監部第三部 (一部)
http://www2.odn.ne.jp/btree/misc/kyoukun.html
14日の定例会見
自衛隊を動員して9月3日に都内で行う大規模災害演習について
「(暴動など)予想外のものが起こった時に、自衛隊が防止する、あるいは鎮
圧する。その場合、どれだけ早く稼働するかが問題」
訓練には治安維持の要素も含まれるのか
「最悪のケースを想定するのは、演習を主催する側の責任。都民も理解してく
れると思う」
13日の衆院安全保障委員会で西川太一郎・防衛政務次官は「騒じょうの発生
を想定した調整はしていない」と全面否定
石原知事「訓練内容については、私も(自衛隊側に)要請する」
(毎日2000年4月15日)
「三国人(さんごくじん)」発言について、
石原知事の遺憾談話は以下の通り。
「不法入国した外国人のことを、不法入国した三国人と表現しました。この
ことが在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を不用意に
傷つけたとしたら、それは私の本意ではなく、遺憾です。一般の外国人の皆さ
んの心を傷つけるつもりはないので、今後は、その言葉を一切使わぬように致
します」
知事は会見に先立ち、都議会公明党から「何らかの謝意を表明すべき」とする
申し入れを受け、これに応じる形でまとめた遺憾談話を会見で読み上げたも
の。公明党幹部は「事実上の謝罪と受け止めた」として、都議会での追及は行
わない方針。
謝罪と受け取っていいのか
「それは受け取りようで、私はあくまで遺憾の意を表明しただけだ。私にとっ
ても心外な出来事だった」
(読売4月14日19:27)
【北京14日共同】石原慎太郎東京都知事がドイツ誌のインタビューで「中
国がいくつかの小国に分裂すればよい」などと語ったことに関し、中国外務省
の孫玉璽副報道局長は14日、「強い憤り」を表明する談話を国営通信、新華
社を通じて発表した。中国は、石原知事の「三国人」発言については問題とし
なかった。(共同2000-04-14 23:01)
雑ながら私流「石原暴言録」若干
「三国人」発言については毎日新聞参照
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/ishihara/hatsugen09-1.ht
ml
東京新聞2000/04/13 http://www.tokyo-np.co.jp/news/index.html
Copyright2000 ZAKZAK. http://www.zakzak.co.jp/top/3t2000041202.html
にも一問一答掲載
12日になって、石原知事が今年2月の都議会の答弁でも「三国人」との表
現を使い、知事側の申し入れで議事録上は「外国人」と言い換えられていたこ
とも明らかになった、とのこと
都議会の動きについては東京新聞参照
http://www.tokyo-np.co.jp/news/index.html
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大江志乃・茨城大名誉教授
自衛隊という「軍隊」が治安出動するということの意味を、石原知事は全く分
かっていないように見える。「軍隊」が治安出動すれば、民衆を「敵」と「味
方」に分けて考えるだろう。一度出動したら、血を見ずには収まらない。それ
は過去の歴史が証明している。石原発言の根には、日本人の心の奥底に今も巣
くっている差別意識がある。
内海愛子・恵泉女学園大教授
第三国人とは元来「当事者以外の第三国の人々」というだけの意味だった。日
中戦争中の大本営陸軍部の文書には、敵の中国以外の米英など「第三国人」に
は迷惑をかけぬように、などという記述もある。
しかし敗戦後、占領軍の権威を利用した日本の警察が、連合国でも中立国でも
ない、朝鮮、台湾など旧植民地の人々に対してこの呼称を使い、「(将来)国
籍の選択権が行使されるまで国籍未定の人民として・・・日本の裁判権に服す
る」と実務文書で規定。主として朝鮮人の権利を制限し、監視するために用い
られ、一般にも流用してきた。
「朝鮮」「半島人」などと言われてきた人々が「開放国民」となり、戦後のや
み市などで活動しだしたとき、かつての植民地意識から抜けきれない人々の恐
れや差別感がこの言葉にあらわれた。
(朝日00/04/12)
◇12日(都庁内記者会見)
英紙ガーディアンとのインタビューで「ロサンゼルス地震では黒人やヒスパ
ニックが強盗したでしょう。このようなことは日本でも必ず起きる」「東京で
は不良外人の犯罪が増えて、池袋も新宿・歌舞伎町も日本人は歩けない。どこ
の国かわからない」「(三国人という言葉は)外国人に対する俗称」「彼ら(在
日外国人)は差別でインフェリオリティ・コンプレックス(劣等感)を持って
いるので反発している」「私に人種差別(の意図)はない」「(関東大震災直
後の朝鮮人虐殺は)これは全く違うデマゴーグ。彼らを守るのが私の責任だ」
ガーディアン紙のジョナサン・ワッツ記者が「もし、英国で政治家がこんな
発言をしたら大騒ぎになるが」と話したところ、石原氏は「そう? どうし
て?」とけげんな表情だったという。
ワッツ記者「石原氏自身には差別という意識がないようだ。人種問題につい
て、日本人の認識の浅さを示していると思った」(朝日14日)
Guardian
http://www.newsunlimited.co.uk/international/story/0,3604,160289,00.ht
ml
石原知事は「不法入国者はヤクザより怖い。私は将来起きるであろう大災害
から都民を守るのだ」と。
13日には15分遅れで始まった記者会見に「私が主催する記者会見だから私
のやり方でやる」と強がりを見せたとのこと
「不法入国している外国人という意味で使った。もっと要約すれば不良外国人
だな」「自分の口で、テレビなどを通じて正確な言葉を伝え、あとは国民、都
民の判断を待ちたい」「不法入国していない外国人が自分のこととしてとらえ
ることはない。どうして不快に思うのかわからない」(読売4月13日)
○石原慎太郎知事の発言を支持する「緊急市民集会」を、民主党や自民党の都
議らが企画し、20日午後2時から、都議会内の会議室で開く。都議の代表は
土屋敬之氏(民主党)で、古賀俊昭(自民党)、田代博嗣(同)両都議らが発
言を予定。
集会の呼びかけによると、知事が「震災時に不法入国の外国人が騒乱を起こ
したら自衛隊に治安出動を要請する」と発言したのは、「不法入国の外国人犯
罪の多発という現実を踏まえたもので、正論だ」としている。
土屋都議らは、歴史教科書の採択が偏っているとして、藤岡信勝東大教授ら
を招いて集会を開く活動などもしてきた。(朝日00/04/13)
「都知事、石原慎太郎を支援する会」http://www.shintaro-shien.net/ もあ
るようです。
▽河野洋平外相「公職にある人が、ああいう場面で使われるのは適当でない」
(石原知事「それならそれで彼の解釈でしょう」日経00/04/14)
▽韓国外交通商省のスポークスマン「民族差別的、国粋的な発言で大変遺憾」
(毎日2000.04.12 )
▽森喜朗首相「石原先生は国会議員だったこともあり、作家という立場もある
が、都知事という立場で発言されたのなら適切でない発言だったかもしれな
い」
▽青木幹雄官房長官「周辺諸国に与える影響を考えると、考慮しながらしない
といかんなと考えている」
▽公明党・神崎武法代表「あまりに配慮を欠いた発言だ。多くの国民も、悲し
く恥ずかしい発言だと受け止めたのではないか。人権に最も鋭敏な知事であっ
てほしい」
▽民主党・鳩山由紀夫代表「人権の立場からゆゆしき発言だ。在日韓国、朝鮮
人への差別が根っこにある」
▽共産党・志位和夫書記局長「差別的立場を表すもので、自衛隊の治安出動ま
で公言するというのは危険きわまりない」
▽社民党・土井たか子党首「韓国人、朝鮮人、中国人に排他的とも言える差別
意識で『三国人』という言葉を使ったいきさつがあり、『そういう言い方もあ
る』と許される問題ではない」( 朝日00/04/13)
◎政治家の演説には、わかりやすさが求められる。石原発言はいつもわかり
やすいが、そのあまりに、論理を飛躍させたり、隣人の心を傷つけるようなも
のであってはならない。今回の件は、石原知事にとっていい勉強になったろ
う。(日本経済新聞社説4月13日)
◎その責任はむろん石原知事の不用意な言葉遣いにもあろう。しかし、言葉
だけを論じ、国際化時代の国民の安全に関する発言まで抹殺しようというのな
ら、歴史認識をめぐる政治家の言葉に対する外国の批判だけを取り上げ、問題
の本質を見ようとしなかったこれまでの過ちを繰り返すことになる。冷静な論
議を期待したい。 (産経主張4月13日)
◎憲法の中に自衛隊を実態どおりの存在としてきちんと位置づけるべきであ
る。そうすれば、自衛隊が軍隊であるかないか、などといった虚構の言葉いじ
りから国民全体が解放されることになる。(4月14日付・読売社説)
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先の<資料>石原都知事暴言録で
冒頭部分の「《都政の軍事化》を強行する都知事・石原晋太郎の暴言の数々」
は
「《都政の軍事化》を強行する都知事・石原慎太郎の暴言の数々」と訂正しま
す。
誤記のまま転載してしまい申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。
なお
◆「アメリカ信仰」を捨て「大東亜共円圏」
の部分ははこのままの「大東亜共円圏」です。