Date: Sun, 26 Mar 2000 00:05:57 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2501] <改憲>憲法調査会 参院22日衆院23日
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 調査会では、21世紀に向けて舟をこぎながら議論に参加した議員もいたよう
ですが、聞く耳持たぬの議論なら無理もありません。何を言おうが九条改悪の
「信念」が崩れる様子はなさそうです。
 23日の衆院憲法調査会でも質疑の中で「恒久平和の概念は憲法制定時と今で
は、隔たりがある。これを埋めるには改正しかない」(自由・二見伸明さん)、
「九条を意図的に厳しく解釈して、自衛隊違憲論をいう人がいる」(民主・中野
寛成さん)[産経00/03/24]とのこと。

 西尾幹二さんは「(現憲法が)国籍不明の議論と言う意味で、今日の子どもた
ちが使用している歴史教科書がまさにそうで、どこの国の教科書か分からない」
とちゃっかり「国民の歴史」物語のアピール。国会の場で晴れて披露できて本望
だったことでしょう。「人権」にも「種類」があるらしい。
 対外的なメッセージでもある現憲法が国籍に関わらず使えると、その普遍性を
認めて、その誇るべき特性を、変えなければいけない理由にわざわざ取り上げる
というのが私には解せないところ。九条が、ハーグ平和アピール市民社会会議
(Hague Appeal for Peace Civil Society Conference, May 11-15,1999)の
「公正な世界秩序のための10の基本原則」の筆頭(1.各国議会は、日本国憲法
第9条のような、政府が戦争をすることを禁止する決議を採択すべきである。)
に載せられたのも国籍を問わず恒久的に使えるからではないかと思うんですが、
はてさて。
 
 それに私たちが憲法を使うとき、イデオロギーだの、国家観がどうだとかっ
て、いちいちしちめんどうくさい前置きなんか考えませんけどね。
 日本国民は、戦争と、武力による威嚇叉は武力の行使は、永久に放棄したし、
戦力は、保持しないし、国の交戦権は認めないんで、これ以外解釈しようがない
んです。だから変えるか無くしたいんです。イデオロギーやら国家観やらでごま
かして、私たちを煙に巻いて、この国でも人殺しの準備をしてもかまわないと言
わせたいのだろう。

 長谷川正安さんによると、「三十年当時の改憲論は、天皇の元首化と九条改正
と行き過ぎた自由の是正が三本柱。それから中曽根康弘元首相は変わっていない
が、宮沢喜一蔵相によると、今は自民党もそんなムダなことは考えなくなったと
いう」(産経00/03/24)とのこと。憲法を変える作業は時間のムダだから、新し
くつくってしまえという人もでている。

【参議院憲法調査会】

 参院憲法調査会(村上正邦会長)は二十二日、西尾幹二・電気通信大教授と正
村公宏・専修大教授を参考人として招き、意見陳述と質疑。次回は4月5日、大
学院生、大学生、短大生、専門学校生の参加者を公募して「学生とともに語る憲
法調査会」を開く。申し込み締め切りは27日。

西尾幹二さんは文明論や歴史学の観点から、「現行憲法は日本の伝統文化の体質
に合っていない」と述べ、自主憲法制定の必要性を強調。しかし、フェミニズム
が跋扈したり、人権を求める声が出たりして、政界や教育界が汚染されている
中、現状では権利意識ばかりを強める改正につながりかねず、憲法が悪化するだ
けだとして、当面は戦力不保持を規定した第九条を中心とする安全保障分野で、
一両年以内に自衛隊を軍隊として位置づける改正を行うにとどめるべきとした。

 正村公宏さんは、経済学の立場から、憲法を墨守するのではなく絶えず有効性
をチェックすることが法治国家の強化になる、自由放任では最悪であり、統制経
済では独裁となるなどとしたうえで、国民の生命、人権を守るための法体系の整
備の必要性を強調。今後、憲法を論議するときは、20世紀を動かした産業主
義、民主主義、民族主義というイデオロギーを克服すべきとした。現行憲法の制
定経過については「外圧と内圧の合作だった」との見方を示した。
(読売・朝日・産経・毎日00/03/23)

発言要旨(毎日00/03/23)
西尾幹二・電気通信大教授(ドイツ文学)
 現憲法はわが国の伝統文化の体質に合っていない。人権は日本の伝統文化とは
違う。現憲法は押しつけ憲法ということになっているが、明治憲法も近代ヨー
ロッパ文明を元にしている。現憲法を修正して明治憲法に戻すのではなく、日本
国家が7世紀以来築き上げてきた、西欧でもない、中国文明にも隷属しなかった
独自性にさかのぼり、時間をかけて憲法を作るべきだ。集団的自衛権の問題な
ど、緊急の課題は一両年ぐらいで片づけなければならない。

正村公宏・専修大教授(経済学)
 実体に合わなくなった法律を改正するのは法治国家として当然であり、憲法も
例外ではないが、現行憲法の特徴は次の世代、世紀に継承したい。現行憲法は2
0世紀後半の先進国で共有された体制観が反映されており、社会権と呼ばれる新
しい権利の保障をあえて法文にうたった。平和主義は基本原則として堅持する
が、国民の生命の安全と人権を守る観点から法体系を作るべきだ。日本社会の危
機は経済優先主義による公共性の崩壊で、ナショナリズムを強調することが処方
箋ではない。

【衆院憲法調査会】

衆院憲法調査会(中山太郎会長)は二十三日、参考人に長谷川正安・名古屋大学
名誉教授と、高橋正俊・香川大学教授を招き、憲法制定過程などについて意見を
聴いた。

発言要旨(読売00/03/24)
長谷川正安・名古屋大学名誉教授
 憲法を考える基準としては、主権が存在しているか、国家権力を規制する原理
が働いているか、基本的人権が保障されているか−の三点が挙げられる。主権の
存在については、日米安保条約によって現在、在日米軍が存在する以上、日本に
主権が存在するとは言えない。主権が存在していない中で、憲法を改正できるの
か。憲法と安保条約という二つの矛盾する基本法が存在しているのも問題だ。憲
法調査会ではこの三つの観点から、憲法を調べてほしい。

高橋正俊・香川大学教授
 現憲法の効力について考える場合、占領期の憲法とサンフランシスコ講和条約
後の憲法は別々に扱う必要がある。連合国軍総司令(GHQ)が草案を日本側に
押し付け、GHQの統制下で憲法制定議会が開かれたことを考えると、占領期の
憲法は一種の管理法令であったと言うことができる。これに対して主権回復は、
国民が権力の究極の源であり、憲法は管理法令とは全く異なるものとなる。講和
後、政府は(憲法を)再検討する動きを全く見せなかったし、国民にも積極的な
動きはなかった。法の効力は制定手続きや内容によってもたらされるのではな
く、法の主体であり受けてである人々から生ずる。国民が現憲法を法として守
り、法として信頼できるとしている以上、現憲法には効力があると言える。

 衆院憲法調査会の中山太郎会長は二十三日の調査会終了後、記者団に対し、憲
法調査会の審議状況を一年ごとに国会に報告する考えを明らかにした。衆参両院
の憲法調査会は五年後をめどに、議論の成果を報告書にまとめることになってい
る。
 一方、同調査会が、国民から憲法に関する意見や提言を募集している「憲法の
ひろば」の中間集計が、二十三日の同調査会幹事会に報告された。総数百二十四
通のうち、「戦争放棄」の規定に関する意見が四十三通と最も多く、戦争放棄へ
の賛否はほぼ同数だった。
 「憲法のひろば」では来月一日から電子メールでも意見を受け付ける。アドレ
スは、kenpou@shugiin.go.jp
(読売00/03/24)

なお、教育改革国民会議の議論は非公開にしたいとのこと。いかに無礼講な会議
とは言え、国民に意見を募っておきながら、無礼千万。

1950年 6月25日 朝鮮戦争
      7月 8日 マッカーサー、警察予備隊創設指令、75,000人
      8月10日 警察予備隊令公布・施行公布
1951年 9月 8日 日米安全保障条約(旧条約)・対日講和条約署名

と憲法違反が始まって50年近くなり、自衛隊も今やぶっそうな「国民の公共
財」(小渕首相)となってしまった。議論の前に「日本国憲法」を読んでみよう
というくらいの心持ちはほしいところ。
憲法調査会で安保条約について議論してみようなんていうと、国民の多数が容認
しているといなされるかも知れませんが、この国には実際に日本国憲法も主権も
及ばないところが存在しています。あくまで公式の場で「論憲」を進めるからに
は、それを忘れたかのように振る舞うのは卑怯。

 村上委員長が、憲法調査会には発議権がないと申し合わせがあるとは言っては
いても、中間報告の取りまとめの議論は大いにやっていただきたいとする国会の
場で憲法を論ずる議員が、ことほどさように「ご都合主義」では、いつどんな
「都合」で「論憲」が「改憲」になるかわかりやしない。麻薬中毒者に麻薬をち
らつかせるようなもの。「テポドン発射」報道で、舞い上がってひんしゅくを
買ったことなども、もはやお忘れのよう。

与野党各党はオレンジ共済組合の詐欺事件で、23日懲役十年の判決を受けた友部
達夫に対し、一斉に議員辞職要求を求めた。しかし再度の辞職勧告決議について
は「友部被告が拒否すれば、国会の権威にかかわる」(自民党参院幹部)として
消極的。
 その一方で、政治への信頼確保の観点から、同決議に強制力を持たせるための
関係法律の改正や、国会議員の身分を保障した憲法の見直しが必要と指摘する声
もある。が、藤波孝生元官房長官への辞職勧告決議案に反対していることもあ
り、足並みはそろわず。
自民党・村上正邦参院幹事長「道理にかなわない法律であれば当然、改正しない
といけない」
民主党・鳩山由紀夫代表「憲法を変えてでも辞職勧告決議の法的拘束力を高めな
いといけない」
自由党・藤井裕久幹事長「(友部被告の)判決には『議員であることを利用し
て』とあり、院内の秩序と関連する(として、現行法に従って除名を求める)」
二院クラブ・佐藤道夫参院議員「友部被告は無罪を主張して争っており、推定無
罪が司法の原則だ。藤波氏と比較してバランスを失する」
(さきがけ00/03/24夕)

 参議院議院運営委員会の西田委員長と各会派の理事の代表は、24日午後、東
京・小菅の東京拘置所で、友部達夫被告と会い、「有罪判決を重く受け止め、国
会議員を辞職してほしい」と述べたのに対して、友部議員は「私は無実だ。判決
には全く不満であり、控訴するつもりだ。議員バッジは絶対に外さない」と辞職
を拒否。
 一方、参議院の自民・自由・公明の与党三党は、24日、有罪判決が出された事
を理由に、友部議員に対する懲罰動議を提出し、今後、議院運営委員会の理事会
で取り扱いが協議される。
[NHKニュース2000-03-24-19:52]

自民党の白川勝彦元国家公安委員長の私設秘書が関与したとされる交通違反記録
もみ消し事件は、二十一日の自民党役員会や総務会では話題にもあがらず「沈
黙」。与党側は「野党も当事者であり(クエスチョンタイムで)追求できるの
か」
「あれぐらいのことができないやつは国会議員じゃない」(21日衆院本会議場で
与党議員)民主党・羽田孜幹事長「自民党だけでなく、議員は『頼まれると、断
れない』と言うことでやってきた。政治の手心を加えるのは危険で、やってはな
らないことだ」
(毎日00/03/22)

 自民党・古賀国会対策委員長24日記者団に
「警察法の改正は、抜本的なものにすることが大切だ」「(警察組織の見直し問
題は)警察組織や公安委員会制度の見直しについて検討を始めた国家公安委員会
の警察刷新会議で、提言がまとまった段階で、警察法の改正案を出し直すのか、
修正をするのかを決めるのが常識的ではないか」「警察法の改正は、抜本的でき
ちんとしたものにすることが大切であり、今の国会の会期内に、警察刷新会議の
結論がまとまらなければ改正案の審議ができなくてもやむを得ない」
[NHKニュース2000-03-24-19:52]

自民党政治制度改革本部・国会改革委員会(中川秀直委員長)は23日、25年
以上(参院は24年以上)務めた国会議員を引退後に「名誉議員」とする制度の
創設などを盛り込んだ国会改革の答申案をまとめた。23日の同本部総会で了承
の上、小渕首相に答申。与野党と調整し、関連法案を今国会に提出する方針。
答申案は「国会組織の改革」、「経費削減」(「特別交通費」「弔慰金」「国会
特別手当」−などの縮減・廃止)、衆参別の部門や法制局の統合、送迎バス廃止
など。
(朝日・読売00/03/23)
 

なれないと捜すのにうろうろしますが、憲法調査会の議事録は、
http://kokkai.ndl.go.jp/ 
にあります。2週間くらいあとにでます。
 [kenpo ML]のメンバーの方が、暫定的に下記に議事録をおいてくださったので
助かってます。
 
衆議院憲法調査会1月20日(6KB)
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/shu00120.txt

参議院憲法調査会1月20日(6KB)
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/san00120.txt

参議院憲法調査会2月16日(85KB)
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/san00216.txt

衆議院憲法調査会2月17日(19KB)
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/shu00217.txt

衆議院憲法調査会2月24日(187KB)
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/shu00224.txt

参議院憲法調査会3月3日(78KB)
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/san00303.txt

議事録は、言うなれば「清書」ですから、地方議会でもそうですが、議員や学者
の中には、立ち回りが上手な人もいるので、直接傍聴したり、直談判しないと真
意がつかめないときがよくあります。
参議院のインターネット中継は 
http://online.sangiin.go.jp/online.asp
録画もありますから、おこづかいの許す範囲でみてみます。
衆議院のビデオライブラリは 
http://www.shugiintv.go.jp/video.html
ちなみに23日の中継は6時間



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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