「思いやり予算」違憲訴訟・東京の第10回口頭弁論が、本日3月21日午後1時
から、東京地裁第713号法廷で開かれます。それにあわせて、午前11時から、原
告団の呼びかけで、外務省に対する以下の要請を行う予定です。
裁判傍聴と要請行動へのご参加をお願いします。
集合時間:3月21日 午前10時45分
集合場所:外務省前(霞ヶ関)
要請文と賛同団体リスト:
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要 請 文
2000年3月21日
外務大臣 河野洋平 殿
「思いやり予算」違憲訴訟・東京 原告団
東京都千代田区三崎町3-1-18
近江ビル4階 市民の広場気付
電話とファックス:03-5275-5989
在日米軍駐留経費の日本側負担額は、1998年度の総計で6,342億円にのぼる(衆議
院予算委員会要求資料:貴省集計)。安保条約にも地位協定にも支出根拠のない「思
いやり予算」(提供施設の整備・労務費・光熱水料等)は1999年度で2,678億円、
2000年度予算政府案では2,603億円(前年比2.8%減)である。「要求を削って削減す
るのは初めて」(新聞報道)と大蔵省は言うものの、「整備水準の上昇に合わせその
整備ペースを抑制」(大蔵省資料)したと書かれているように、異常な「思いやり」
によって在日米軍基地内の施設整備が急速に進んだことにより、必然的に整備ペース
を落とさざるを得なくなった結果である。ちなみに、1978年から支出の始まった「思
いやり予算」の累計額は1997年度で、2兆6,727億円、現在では優に3兆円を超えてい
る。在日米軍駐留経費の日本側負担の累計は1978年からでも10兆円を越えている。
原告が訴訟において明らかにしたように、日本の米軍に対する受入国支援(Host
Nation Support)は他の「同盟国」に比べて、(1)負担率が突出(約8割)してい
るだけでなく、(2)その絶対額においても他を圧倒し(同盟国の負担総額の
50.68%)、(3)さらに直接負担(予算に計上されている施設整備費、労務費、光
熱水費等=「思いやり予算」)の割合が異常に高い(約8割)という特徴をもつ。
この「思いやり」に対し、米国防総省の米国議会への報告書(『Allied
Contributions to the Common Defense』1999.3)には、「日本の受入国支援はどの
同盟国よりも寛大であ」り、「受入国支援と海外援助において、日本は羨ましいほど
の負担実績を続けている」とある。さらに、「(特別協定とは)別枠の施設整備計画
のもとで、日本政府は自発的に(voluntarily)生活向上のための多額の
(substantial)資金を提供している。その計画には、住宅建設、地域交流の場や余
暇施設の建設、(電気・水道などの)施設改善が含まれる。最近では、施設整備計画
のもとで、滑走路や堅牢な航空機用シェルターなどの建設をおこなって、従来以上に
柔軟な(increased flexibility)姿勢を見せている」と高く評価している。
現行の特別協定は2001年3月で期限が切れる。年始早々行われた日米防衛首脳会談
で、瓦防衛庁長官は日本側の財政事情の悪化を理由に負担削減を求めたのに対し、コ
ーエン米国防長官は米議会に米軍の日本駐留を説得する材料としての高負担の維持を
要請したという。最近米側は削減に反対する牽制キャンペーンを開始した。フォーリ
ー駐日米国大使は『朝日新聞』の「論壇」で、駐留軍経費の日本側負担は「“思いや
り”でなく“同盟戦略”」であり、「国益の中でも最優先すべき安全保障は、単なる
予算上の問題ではない。……、日本が支払った各年当たりの総額は平均して国家予算
の0.25%未満にとどまる」と書いた。クリントン米大統領までが外相との会談で、
「思いやり予算」の維持を求める発言をしたと伝えられている。
天文学的長期債務(地方債を含むと国民一人あたり約500万円!)を抱える超借金
国・日本の大蔵省は見かけは削減を求めているが、防衛庁や外務省は削減に消極的
だ。岡崎元駐タイ大使は『産経新聞』の「正論」で、「思いやり予算は日本の金看板
/米軍駐留の意義を考えたい」と削減に真っ向から反対し、柳井駐米大使も日米安保
条約の効果的運用は日本のためにも重要で、「思いやり予算」の通称は適切な表現で
はないと述べている。
提供施設整備に関して、国側は、「地位協定二条に基づき、米国より施設・区域の提
供について要請がある場合には、我が国は安保条約の目的達成との関係、我が国の財
政負担との関係、社会経済的影響等を総合的に勘案の上、決定することとなる」(準
備書面)と書き、また、予算委員会提出資料でも、「具体的な提供施設の整備に当た
っては、従来より、地位協定の範囲内で、米側の希望を聴取するとともに、安保条約
の目的達成との関係、我が国の財政負担との関係、社会経済的影響等を総合的に勘案
の上、個々の施設毎に我が国の自主的判断により措置しているものである」と説明し
ている。つまり、米側の要求にかかわらず、我が国は社会経済的影響等を総合的に勘
案して「自主的に」負担を決定する権利を持つことを国は公言している。
社会的経済的状況は、言うまでもなく日本にとってはまことに厳しい現状であり、
一方米国は空前の好況に沸いている。
以上を念頭に、租税負担者として、以下の項目につき要請する。
記
1. 「思いやり予算」の根拠としての特別協定を廃止すること
2. 特別協定にも根拠のない提供施設整備費の支出をやめること
3. SACO関連支出をやめ、米国軍隊の撤退を要求すること
賛同団体リスト(50音順)
・アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会
・沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
・憲法を活かす市民の会・やまぐち
・市民平和ネットワーク
・市民の意見30の会・東京
・戦争協力を拒否し、新ガイドライン・有事立法に反対する全国FAX通信
・戦争協力を拒否し、米軍基地の沖縄内移設に反対する実行委員会
・電気通信産業労働組合
・名護ヘリポート基地に反対する会
・日本山妙法寺
・派兵チェック編集委員会
・日の丸・君が代・元号を考える埼玉連絡会
・非暴力アクション・ネット
・へいわとふくしを見つめる会
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MARUYAMA K. kaymaru@jca.apc.org
2GO GREEN (JCA-NET)
http://www.jca.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html