アメリカは日本政府と違って、かつてベトナムで枯れ葉剤をまいて、その怖さは
身にしみているから、それが自国の軍隊が被害を受けて、兵士や家族に不安が広
がれば指揮にも関わる「軍隊の安全」にとっての一大事。ほっとけば、米議会か
らもどんなお叱りを受けるかわからないからコーエンさんも必死。ベトナム国営
通信社よると、ベトナム戦争でベトナム側の枯れ葉剤などの薬剤での死者が20
0万人、奇形児500万人以上。
在日米海軍厚木基地(神奈川県綾瀬市・大和市)内の米軍住宅周辺の大気から高
濃度のダイオキシンが検出された問題で、日米で分担する測定費用の、日本側の
負担は二億数千万円になる見通し。米軍住宅周辺の大気から最高で環境基準の約
100倍にあたる大気1立方メートル当たり58ピコグラム(ピコは1兆分の
1)のダイオキシンを検出。「米側が(処理施設の操業差し止めの仮処分申請な
どの)提訴に踏み切るなら、日本政府として異存はない」。
米軍家族は、国が借り上げ、無償で提供する住宅に一時避難。国では総量規制が
ないことをいいことに、排出元とされる処理施設の煙突を高くして、「日本人」
が住む地域へ薄く広くダイオキシンをばらまいて、「米軍家族」が住む地域の環
境を守って、米軍が家族のことを心配しないで存分に軍事に従事できるよう「支
援」するとのこと。
米軍の方は2月28日、厚木海軍飛行場内に油漏れ事故。コーエンさんに米軍機
による騒音被害について聞ける閣僚は一人もいない。
<参考>
高濃度のダイオキシン汚染を引き起こした大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能
郡美化センター」の元従業員2人が「がんや皮膚炎になったのは作業中に摂取し
たダイオキシンが原因」として出していた労災申請について、淀川労働基準監督
署(大阪市)は15日、「病気との因果関係が認められない」として2人の請求
を認めない決定をしたことを明らかにした。2人は決定を不服とし、再申請す
る。
ダイオキシンによる健康障害を理由にした労災申請は初めてで、同労基署は、
労働省がセンター従業員らを対象に実施した血中ダイオキシン濃度調査結果の検
討や医学的な専門調査を進めていた。
その結果、「2人とも血液中のダイオキシン濃度は高いが、世界の被害データ
に比べても発症するに足るだけの数値ではない」とし、「ダイオキシン特有の症
状であるクロルアクネと呼ばれる皮膚疾患にはあたらない」「どの程度体内に蓄
積すれば発がんするのかが判然とせず、病気との因果関係が特定できない」など
と判断。
「怒りがこみ上げてくる。誰(だれ)を信じたらいいのか。これは、自分一人
の問題ではない。全国27万人のごみ焼却場労働者のためにも、闘い抜く」
(毎日2000年3月15日)
こーゆー成り行きを見ていると、米軍言うところの「妥当な配慮」をして、人
殺しに慣れさせるために強行されている国内5カ所に増設されて行われている実
弾射撃訓練で、汚染された土地をどこが責任を持って浄化するかもはっきりさせ
ないまま、この先際限もなくやられたら不毛の大地が増えるばかりと言うことに
もなる。
4年連続と決まった矢臼別での海兵隊による実弾射撃訓練について、固定化を
防ぐ努力を約束し、夜間訓練の自粛など地域の意向が受け入れられない場合に
は、「訓練の見直しや中止を国に強く訴えていく」と、基本政策の中にしっかり
記している堀達也知事の道議会代表質問での答弁は、「残念に思っている。誠意
ある対応を国に強く求めたい」としただけだったとのこと。
その上を独断専行で行くのが、別海町長。
今年はナシの話が出たとき、演習を休まれると金がまわらないから町長があいて
いる時期でいいから何とかこっちでも演習してくれないかって頼みにいくんじゃ
あないかい、なんて笑っていたら、本当になっちゃった。どっちがニワトリで、
タマゴかはしらんが。
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4年連続海兵隊訓練、約束とちがう
厚岸町議会で澤田町長答弁
3月7日、厚岸町議会で一般質問に対して澤田町長が答弁した内容をご紹介しま
す。
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矢臼別の問題でありますが、・・・防衛施設庁の方でも来年度は行わないという
話がありました。ところが2月の中旬でしたか新聞報道があって、たまたま道町
村会の会合があって出札した際に別海町の佐野町長とお会いしました。今朝の新
聞は何だ、矢臼別がまた6月に実施するというのは去年の約束と違うではない
か。そんなことで座長を務めている道の副知事もしくは札幌防衛施設局の方へ事
情説明というか、抗議に行かなければならんのではないか、という風に同行をう
ながしたわけですが、その際に佐野町長からは、いや私はすでに何日も前に施設
庁に呼ばれて・・・鈴木代議士(鈴木宗男衆院議員・自民党・比例・北海道)か
らこの5カ所ある演習場のうち、やはり矢臼別が一番練度が高い訓練ができる、
したがって継続して使用できないものかという申し入れがあるので毎年受け入れ
てはどうだとそんな話があったと、・・・SACO関連で矢臼別演習場に5億円
の交付金が来ますが、それが演習規模によって違うんだ、今年は中規模になるん
で5億円でなくて4億円になるんだと、もしこれを矢臼別で実施しなければ3億
円だとそんなことからも厚岸町も認めてほしいんだと、そんな話があってです
ね、・・・当初は若干の温度差かと思ったんですが、今では大きな温度差になっ
て私自身もとまどいを感じたり不満を感じたりしているんです・・・地域振興策
の関連もあって非常に苦しい立場にありますが、しかし、ぜひ近いうちに基地縮
小してほしいということだけはきちっと申し入れしてきたいと思います。
<“赤旗”別海出張所発行ミニコミ版「こんにちは」2000・3・18>
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過去三年間、矢臼別での射撃訓練日数はいずれも十日。そのうち六−八日間は
夜も砲撃実施。「訓練日程は日米間の調整の結果」(政府)
矢臼別での発射弾数は九七年は約三千百発で全体の七割弱、九八年の約二千六百
五十発、昨年の約二千発は、ともに全体の六割近くに及び、その多さは他の演習
場に比べ突出。
(北海道新聞3月4日)
さしあたりこれが1億円の差というところ。各町への配分もこの発弾数や海兵
隊滞在日数なんかで決めるらしい。本格的な「移転」が始まれば、演習場の周り
にも不毛の大地が広がることになる。その再生にかかる金は億のオーダーではな
くなる。
他の演習場と違って広大で見晴らしの悪い矢臼別演習場では、何をしているか
の監視も届きにくいというのも軍隊にはありがたい。特に6月は牧草の一番刈り
で忙しい時期。なぜ6月なのかの明確な説明はない。弾丸による汚染も土地が広
いのでたぶん何十年も先にならないと目に見えてこない。
沖縄と違うところは、夜間訓練の他に、着弾先を数キロ四方に一応定めている
ことと、不発弾の処理を行っていること。はっきりはいわないが、海兵隊は打
ちっ放し、自衛隊が後始末。どの程度始末しているかは誰も知らない。
沖縄には環境保護法が適用されず、樹木であろうが何だろうが撃ち放題なので恩
納岳が無惨に丸裸にされてしまった。沖縄では、不発弾を処理しないまま米軍が
50年以上も撃ち続けて汚染された土地を、いまさら返されたところでどうやっ
て浄化できるのかという深刻な問題を抱えている。
■汚染されている地下水(99年 大田昌秀前知事と平和を語る集い チャン
プルフォーラムIN釧路 報告集 より)
去年(98年)、アメリカの基地が返された地域を見てきましたが、アメリカ
の担当者が説明してくれて、全部で23カ所ぐらいチェックしてみたら全部汚染
され、その地下水は90Mまで掘り下げて汲み上げ24時間浄化して流している
が、この金はいくらくらいかかるかたいへんだと言っているわけです。
ハワイの奥のカラハオエという無人島があります。そこは原住民が非常に大事
にしている島で、そこで砲撃演習が行われ、原住民は反対運動を起こして、結局
やめさせたわけですが、そこの不発弾を処理するために米政府は4億ドルの予算
を使った。
ところがその4億ドルというのは、地上からわずか1M掘り下げて、その間の
不発弾を処理する、人が住むには少なくとも4Mぐらいまで掘り下げて処理しな
いと住めないわけです。4Mぐらいまで掘り下げると、それこそ何十億ドルと言
う金がかかるということでとうてい無理だと、だからそこには人は住ませないと
いうことで、ハワイ州の知事が「この問題はたいへんな問題だから政府が口頭で
処理すると言っても安心するな。必ず契約書を書いて法的に文書にしてやらない
と政府も信用できませんよ」と私(大田)に言っていました。
<沖縄タイムス2000年3月20日>より
米軍基地内の環境問題を考え、日米地位協定の改善策を模索する「基地の環境
調査および環境浄化等に関する海外調査検討委員会」(委員長・上原方成琉大名
誉教授)では、19日「緊急時の即時立ち入り調査」や浄化費用の原因者負担を
明記した日米地位協定の運用改善案をまとめた。また、国内法の整備や新たな法
制化の必要も求めている。今月末までに報告書をまとめ、県に提出する。県はこ
の報告をたたき台として県案を策定し、早い時期に国へ要望する。
委員会は県から委託を受けた民間の沖縄環境保全研究所が昨年九月、学識経験
者や県関係者を交えて発足。十一月にはドイツと北大西洋条約機構(NATO)
軍が結んでいる地位協定(ボン補足協定)の実情を把握するため委員の代表を派
遣し、地元の政府関係者などから聞き取り調査を行った。ボン補足協定は基地の
運用について原則的にドイツの国内法を適用している。
日米地位協定の改善策の基本的な考え方「沖縄県ではさまざまな方法で基地か
ら派生する環境問題に取り組んでいるが、法制度上の欠陥点が見られる。基地の
環境浄化を進めるには未然防止の観点から監視が必要であり、偶発的な環境汚染
が発生した際の汚染の確認、浄化対策の実施など、構築されたシステムが必要で
ある」
上原委員長「環境保全は沖縄全体の問題だが、基地施設内に関しては現状を知
るすべがない。返還前から浄化に取り組むことが必要で、県には協定の改善を政
府に積極的に働き掛けてほしい」
基地の立ち入りについて現協定では「合衆国は施設および区域内において、設
定、運営、警護および管理のため必要なすべての措置を執ることができる」(第
三条)と米国側の主導権を明記
委員会は協定第四条一項の見直しにも言及「合衆国は日本国に施設および区域
を返還するにあたり、原状の回復やそれに代わる補償の義務はない」とする条項
を、「浄化および費用負担は汚染原因者と明記すること」
委員会は環境問題に絞って審議されたが、県内では石垣空港に米軍機が着陸
(第五条)した例をはじめ、見直しの必要性に迫られている条項は数多く、委員
会報告を受けた後、県は地位協定全般の見直しに着手することになる。
【日米地位協定の見直しおよび運用の改善】(琉球新報2000年3月20日)
(●は現行法制度下の改善策、○は対応策の未整備を指摘している)
1、環境監視
●環境関連国内法の適用を明記。
●環境問題に影響を及ぼすと思われる行為についての環境影響評価の義務の明
記。
2、汚染の確認
●環境関連国内法の適用を明記。
●緊急時の即時の立ち入り等、立ち入り権の明記。
●立ち入り許可手続きに関する日米合同委員会合意の見直し。
●環境調査など、情報の公開。
3、浄化対策の検討
●環境関連国内法の適用を明記。
●浄化対策は汚染原因者が行う旨明記。
4、浄化の実施
●浄化および費用負担は汚染原因者とする旨明記。
【国内法の適用】
●環境影響評価法の活用。
○土壌汚染のモニタリング制度の整備。
●「環境基本法に基づく、土壌に係る環境基準」「農用地の土壌の汚染防止等
に関する法律」
○「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針及び運用基準」の法制化を含む整
備。
○立ち入りのための制度の整備(特定施設用件の見直し等)
○土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針および運用基準の法制化を含む整
備。
●「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の活用。
○浄化基準を含む土壌に係る制度の整備。
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日米地位協定(1960年)
第27条[改正]
いずれの政府も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請する
ことができる。その場合には、両政府は、適当な経路を通じて交渉するものとす
る。
第28条[有効期限]
この協定及びその合意された改正は、相互協力及び安全保障条約が有効である
間、有効とする。ただし、それ以前に両国政府の合意によって終了させたとき
は、この限りでない。