大分県日出生台演習場で自衛隊の対ゲリラ訓練が行われました。
日出生台演習場はふだんは一部を除いて柵のない演習場ですが、
この2日間は演習場の周囲全体に立ち入り禁止のロープが張られました。
これは2月の米軍演習以来のこと。
以下、大分合同新聞3月19日朝刊から転載
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陸自が対ゲリラ訓練
日出生台 十文字原で
外国軍の侵攻想定
国内に侵攻した外国の軍隊による武装ゲリラを想定した陸上自衛隊第
四師団第40普通科連隊(北九州市)の対遊撃(ゲリラ)訓練が18日、日
出生台、十文字原の両演習場で始まった。自衛隊に防衛出動が発令され
ているとの想定下で、19日までの2日間、約600人の隊員がゲリラ拠点の
包囲や攻撃などの訓練を続ける。
訓練は陸自西部方面総監部(熊本市)が第四師団(福岡県春日市)に
指示した「対遊撃行動の研究」の検証が目的。18日午後、日出生台演習
場で、訓練の一部が公開され、全国の陸自隊員ら約320人が見学した。
公開された訓練では、敵、味方を識別するため、顔に黄色と黒の顔料
を塗った迷彩服の隊員十数人が手信号で連絡をとりながら、ゲリラへの
包囲を狭めて言った。ゲリラは包囲されたことに気づいていると想定、
地雷を発見し、爆破処理のあと、足跡たどり、追跡した。土や枯れ葉で
覆い隠した穴(潜伏ごう)を見つけて、小銃と手投げ弾で攻撃した。
昨年三月の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船領海侵犯事件
などを踏まえ、防衛庁は2000年度予算に、対ゲリラ対処訓練の実施や曽
根訓練場(北九州市)に模擬訓練施設を建設する関連経費約27億円を盛
り込むなど対策強化を進めている。
<解説>
戦時外の緊急事態意識
陸上自衛隊が公開した対ゲリラ戦訓練は、大規模な外国軍による侵攻
を想定し、防衛出動後の武器の種類、使用基準を制限しない従来型の訓
練だ。しかし、この種の訓練が公開されるのはまれで、冷戦後の各国軍
隊で主流になりつつあるテロなどへの「戦時以外の緊急事態」への対応
を意識している。
昨年三月の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船事件以降、潜
入工作員による破壊工作、テロなどへの対処がクローズアップ。一義的
には警察の特殊急襲部隊(SAT)などが対処するが、軍事訓練を受け、重
武装した相手に警察力で応じるのは困難との見方が強い。
自衛隊に平時の領土、領海警備任務を与える「領海警備」は現段階で
は見送られているが、陸自は今年2月、朝鮮半島有事を想定した日米共
同統合演習(図上演習)で26年ぶりに治安出動を前提にしたゲリラ攻撃
対処を盛り込み、領域警備に向けた準備を着々と進めている。
一方で、武器の使用基準は正当防衛や緊急避難などに限られるため、
現場からは自衛隊の平時のゲリラ対処を疑問視する声も上がっている。
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[転載不可]はおまじない。
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浦田龍次 Ryuji Urata
〔e-mail〕 yufukiri@fat.coara.or.jp
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