長崎県議会では15日、議会運営委員会が開かれ、閉会間際に自民党から、
「教育基本法の改正について」の議案文書が示されました。多数を占める自民
党とそれに追随する公明党らによって17日の本会議で採択される「見通し」
ですが、市民からの批判が続出し、当初めざした「愛国心」「道徳心」などを
盛り込むことはできず曖昧模糊とした文書にならざるを得ないようです。
自民党では、一部の議員から何度か「教科書採択」の件が議会で取り上げら
れていましたが、自民党内でも合意形成ができないまま、今回はそちらの「議
案」の方は吹っ飛ばされ、「教育基本法」改悪の意見書提出という手段にでま
した。しかし、自民党内でも賛否両論があり、選挙前に世論もみすえないまま
での意見書の提出は得策ではないとしながらも、動議を出した手前、引っ込め
るわけにもゆくまいというのが内情というところ。一部の議員の顔を立てて、
自民党の面目がつぶれることにならなければいいのですが。
意見書とするのか要望書とするのかは未定ですが、いずれにしろ「意見(要望)
書」が採択されるということで、議会の意思になるのには変わりありません。
このように一部の声高な声に押されて、今後「憲法」と「教育基本法」の改悪
を狙う動きは手を変えしなを変えて、各地で執拗にくり返されることが予想さ
れます。
本会議では反対討論がなされる予定です。
長崎県議会の会派構成は、自民−29,改革21−12,無所属クラブ−
5,公明党−3、共産党−2,つばき会−1,の計52名
以下、議運に示された意見(要望)書案
「教育」を「政治」に読み替えれば「自民党政治理念の改正」意見書ができそ
う。
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動 議
提出者 文教委員会
提出年月日 平成十二年三月十五日
種類 意見(要望)書
件名 教育基本法の改正について
要旨
現行の教育基本法は、昭和二十二年制定以来、一度の改正なく五十年余が経
過し、この間における国内外の著しい社会経済情勢の変革に伴い、教育を取り
巻く環境も制定当時とは比較できない程大きな変容を見ている。
このような状況の中、学校におけるいじめや不登校の増加、豊かな人間性や
正義感・倫理観の欠如、さらには、社会全体のモラルの希薄化による家庭や地
域の教育力の低下など、わが国の教育は全般的に深刻で多様な課題を抱えてお
り、多くの国民が教育の現状と将来について憂慮している。
一方、本格的な国際化・情報化時代をひかえた今日、国民の教育に対する期
待や関心はかつてない高まりを見せ、たくましく創造的に新しい時代を切り拓
く人材の育成は、一刻の猶予も許されない国民的課題となっており、我が国に
おける将来の教育の在り方に関し、全国的に様々な改革の論議がなされてい
る。
今こそ、次代を担う青少年の健全な育成を図り、国際社会で立派に活躍でき
る日本人の教育はどうあるべきかを真剣に再考し、今後の日本の教育の方向性
を明確に国民に示す必要がある。
よって、国に対し、早急に国民各界・各層での幅広い論議を集約し、時代の
要請に則した教育基本理念の構築に着手されるよう、強く要望するものであ
る。
なお、文案の作成並び諸手続きについては、議長に一任する。
提出先 政 府・国 会
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