島川です。
浦田さん、ご苦労さまです。
1年前にも下のように書きましたが、
At 0:46 AM +0900 99.3.1, M.Shimakawa wrote:
> 浦田さん、ご苦労さまでした。
> こういう試みが「住民」のことを彼らに意識させることになり、「占領軍」的
> 傲慢さへの牽制に若干でもつながると思います。
「牽制」を続けることは大事だと思います。
例の「第四次東アジア戦略報告」で、国防総省はこんなことを言っています。
p.13 -----------------------
良き隣人
アジアでの我が海外プレゼンスは地域と米国双方の安全保障利益にかなうもので
あるが、ホスト国のローカルな社会に与えるインパクトは大きなものであり得る。
合州国は、訓練地や基地の近くに住み、騒音その他の不快なことに耐えている市民
の犠牲について理解し認識している。米軍は、これらの影響を柔らげるよう努めて
おり、中央と地方の両方のレベルで当局者たちと、また地方の市民グループと、互
いに満足し得る協定が結べるように緊密な調整をはかっている。
例えば日本においては、米軍は地域住民の不快感を軽減するために、砲兵演習と
可能な場合には艦載機の離着陸訓練を他所に移転している。また合州国は、日常的
な航空作戦がローカルな社会に及ぼすインパクトを最小のものにするために、静粛
な時間を確保するよう日本と協力している。日本と韓国の両者において、基地の存
在に連関する環境問題に対処する努力が続けられている。合州国は、米軍の作戦が
環境的・公共的な安全性にしかるべき留意をしつつ実施されるように、日本や韓国
の当局者と緊密に協力することを誓約している。
米国はまた、作戦能力を維持しながら、基地や訓練関係用地を返還し、ローカル
な問題に対応するための努力をしてホスト国での作戦手順を変更し、またより良き
隣人となれるように、改善を続けて来た。
P.14 ------------------------
(中略)
加えて米国の軍人は、彼らが生活しているコミュニティに建設的な貢献をする良
きゲストであることの重要性について、変わらぬ信念を持っている。例えば、日本
と韓国において米国軍人とその配偶者たちは、文化的・社会的なイヴェントのスポ
ンサーとなり、環境浄化活動に貢献し、地元の公園を維持し、慈善機関へ援助を提
供し、彼らのコミュニティを改善する他のさまざまな方面でも貢献を為している。
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来年来る大隊長には、君の会社は経営方針で「地方の市民グループと、互い
に満足し得る協定が結べるように緊密な調整をはかっている」など言ってお
るではないか、と言ってみたらどうでしょう。(^^)
まあ、この意味は「市民グループ」と直に協定を結ぶということではなく、
日本政府と結ぶ協定に「地方の当局者たち」や「地方の市民グループ」との
調整が生かされるようにするということのわけですが、施設庁やその他政府
機関などを媒介せずに自治体や市民と直接話し合うと、ご本尊が言っている
わけです。もっとも、ここで言う「地方の市民グループ」は浦田さんたちみ
たいな人びとを指すのではなくて、地域経済界との宴会みたいなのをカウン
トしているのでしょうけど。
「押し売りボランティア活動」で思い出したのですが、上の最後の段落にあ
るように、これはその中佐個人の思いつきなどではなく、海外展開部隊に対
する「住民宣撫工作」指令という「国策」に基づくものですね。これも基地
や演習を維持するための、イメージ・アップのための「作戦行動」です。「
戦略報告」には、フィリピンで住民の診療をしている軍医の写真や、日本人
らしき子供とバスケットボールをやっている写真などが掲載されています。
押し売りボランティアを計画したのはこの中佐ではなく、もっと上級の司令
部の情報将校でしょう。使えそうな絵が撮れていれば、「第5次報告」に載
るかもですね。
こういう文脈で言えば、「泥酔狼藉米兵証拠写真」などは、中佐の最も嫌が
るところでしょう。十分に「牽制」になっていると思います。マスコミが報
道すればもっとよかったでしょう。米軍情報機関はマスコミ論調をクリップ
して秘密扱いでせっせとワシントンに送っているようです。中佐にとって、
上から叱責されるかもというのが一番痛いでしょうね。
ついでに美辞麗句をもう1カ所引いておきます。
p.60 -------------------
6.0 海外プレゼンスの維持:基地、アクセス、そして良き隣人
一方、米国軍とホスト国との親善を振興することは、引き続き米国の海外プレゼ
ンスの決定的に重要な要素である。ホスト国やそのコミュニティとの協力は、基地
司令官と地方官吏との間だけではなく、全ての陸軍・海軍・空軍・海兵隊の軍人た
ちと全てのローカルな社会の市民との間で、決定的に重要なことである。我われは、
SACOにおける日本との緊密な協力で実証したように、我が軍のローカルなインパク
トを緩和する方法についてホスト国との対話や協議に積極的に関与するであろうし、
また市民的プロジェクトや他の企画を通して、ローカルな社会とその生活の質に具
体的な貢献を行なうことを約束する。同様に、米国軍は、自らのプレゼンスの戦略
目的について、また米国軍が準備しなければならない任務と訓練行動との関連性に
ついて、理解を深めてもらう努力を強化することになろう。合州国は、一方で米国
軍の将来に向けての作戦即応態勢を最大限に追及しながら、ホスト国によるこのよ
うなプロセスを容易にするための情報提供を歓迎するであろう。
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島川雅史 mshmkw@tama.or.jp
mshmkw@jca.apc.org
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