「サミット」も「アジアの視点」どころではなくなってきているようですが、国
連安全保障理事国のアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国は、世界の9
0%の武器販売にかかわる国々、それらの政府首脳を「武器輸出3原則」でいい
ふりこいてる大手武器輸入国の日本に招いて開く会議をどう「歓迎」するんです
かね。文部省、郵政省らが、子どもたちを「動員」してダシに使うというのも
バッチイこと。
変わり身の早いマスコミが、思いやり予算(在日米軍駐留経費への日本側負
担)という言葉をいつまで使うかわかりませんが、気に入らなかったらSACO
のようにポケットをまた作ればいいだけの話でそんなにがたがた言うほどの事で
もありますまい。
選挙前とあって各党、削減を口にしていますが、SACOについても、特別協定
の、との字も口にできないようではたいした事はあるまいて。
「ささいなカネ」のことで、世界の軍事・経済大国がわめくのは、もたれあって
いる両政府にとって「ありの穴から堤も崩れる」のが怖いというところかと。崩
れたってどこからもさして惜しまれるほどの政府でもないのだが。
*特別協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条
に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第2
4条についての新たな特別措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定)
1995年9月27日ニューヨークで調印。1996年4月から発効、効力20
01年3月31日まで。米軍駐留費を、地位協定で決められた範囲を越えて日本
が負担する、いわゆる「思いやり支出」の根拠となる。
前文と6条からなり、サインは
日本国のために
河野洋平
アメリカ合衆国のために
ウォーレン・クリストファー
「思いやり予算」は1978年から本格的に始まり(79年度=280億円、9
1年度=1776億円、96年度=2735億円)、当初は日米地位協定に付随
する形での支出を指していたが、88年に在日米軍基地の日本人労務者(23,
597人=96年12月現在)の労務費や米軍が公舎で使用する光熱水料(年間
で316億4400万円=98年度)なども日本側が負担する特別協定を締結。
米兵(日本の駐留米兵40364人=98年9月現在=米国防総省公表)を一人
養う経費は1670万円(同省)。
97年度からは、沖縄の米軍基地を「縮小・整理」するためというだまし文句
でSACO(沖縄米軍基地にかんする日米特別行動委員会)関係費が防衛施設庁
分と別枠で支出されるようになった(97年度=61億円)ので、沖縄米軍関係
費用は、SACO関係という名目でも支出できる仕組みになった。「概算要求基
準」(シーリング)という上限枠の対象外という特典付き。
日出生台演習場の廠舎地区内に建設中の、米軍滞在に伴う宿泊施設や食堂施設
の建設費はSACO関連経費(福岡防衛施設局)。
宿泊施設は、延べ床面積約3900平方メートル、約300人収容可能な鉄筋コ
ンクリート3階建て。今年度工事予算で約10億3000万円計上。
食堂施設は、鉄筋コンクリート一部鉄筋平屋建て、延べ床面積約1200平方
メートル、総事業費約6億1200万円。(赤旗00/02/05)
2000年度の思いやり総額は2755億円で、SACO関係費140億円を加
えると2895億円(大蔵省は、2000年度予算案でこのうちの施設建設費十
二基地の建設契約分から46億円を削減)
これまで日本政府が貢いだ「思いやり」予算は、SACO関係費を含め、19
78年以来、3兆5216億円。うち施設建設費1兆6172億円。
名護市にもくろんでいる新基地建設費などもろもろは今のところ、政府が名護
市長らを「思いやって」、「思いやり予算」外。
どんなのをつくるかはアメリカの指示待ち。
と日米政府は「平和と繁栄維持の礎石」に余念がありませんが、下々の海兵隊に
とっては、せっかくの「優遇」も消化不良気味。だいたい「公共事業費」系って
そうね。年度末にやたらと道路をいじったり、斜面をわざわざほじくって「崩れ
そうだから補修工事だ」と言ってみたり。自衛隊が弾を撃ちにやってきたりもす
る、消化しておかないと来年度カネが減らされるとかで。それでいて雪が降ると
「除雪費が間に合わない」とか「狭くて訓練にさしさわる」って騒ぐんですね。
ここら辺の「調査」に人をまわせば、ジャンパーを着せて人員削減の心配をア
ピールすることもなくなるんではないかと思うが、自治体も議員も住人もぼさっ
としているからたいていは事なきをえている。「思いやり」予算も右に同じ。
以下 沖縄タイムス<2000年1月23、26、31日、2月14日>より
元々「秘匿性」の高い軍隊が、そんなに外部から人を雇うもんだろうか。
那覇渉外労務管理事務所は一月二十一日、所管の宮城春一商工労働部長を訪
ね、米海兵隊側が提案した二ヶ月の短期のHPTの雇用を中止するよう要請「百人を
採用するには千人に照会し、採用、さらに二カ月後には退職の手続きを取らねば
ならない。給与計算などの業務をこなす人手が足りず、対応できない」
宮城商工労働部長は、雇用対策の立場から、米軍の意向に沿って募集を始める考
え。
二十五日、在沖米海兵隊人事部のチャールズ・バード部長、稲嶺茂労務専門官
ら四人は、県庁に宮城春一商工労働部長を訪ね、本年度の人件費に余剰予算が出
たため、二月一日から二カ月間の限定で百人の基地従業員の時給制従業員(HPT)を
雇用したいとして、二十八日までに人員を紹介するよう申し入。
宮城部長は、労務要求が急だったことや現在の那覇渉外労務管理事務所の人員で
は処理が難しいことなどを説明「可能な限り紹介する」。
応対した宮城部長によると、
海兵隊側は本年度の人件費に余剰予算が出た理由を、定年退職や離職した人員を
補充しようとしたが,那覇労管側からの求人紹介が遅れたため予算が余った-など
と県側に説明。一方、那覇労管は「紹介はしてきたが、海兵隊側に断られてい
る」と求人紹介の遅れを否定。 余剰の人件費は約六千万円。職務内容は不明確。
HPTとは主に基地内の米軍人・軍属の家族のための福利厚生施設で働く時給
制の従業員。退職金や扶養など各種手当はない。全駐労はHPTでの雇用の場合、
IHA(諸機関労務協約)に切り替え、正規雇用するよう求めている。
「雇用の面では好ましいが、二カ月で解雇するということは問題だ」「二カ月と
いう短期間での雇用では、解雇するために採用するようなものだ。思いやり予算
は正規従業員を雇用するために使用してほしい。雇用不安定のために使うことは
絶対反対だ」
沖縄タイムス社は米軍が予算消化を目的に労務要求を行ったことを裏付ける那覇
渉外労務管理事務所(那覇労管)の内部メモを一月三十日までに入手。米海兵隊報
道部は同社の取材に対して「雇用の目的は海兵隊基地の労働力を満たすため」
「思いやり予算とは関係ない」と、予算消化を否定
内容は
日本政府が支出する「思いやり予算」の余剰を理由に、在沖米海兵隊が二カ月間
に限って基地従業員の時給制従業員(HPT)の雇用を計画
米海兵隊は一月七日、那覇労管に電話で「海兵隊MCCS(福利厚生部門)が経費節減
を行ったため、多くの不用額が生じた。予算は実績主義なので、このままでは削
減される。人員が必要な業務は多くある。HPTの採用で、労務費肩代わりの予算
(思いやり予算)も削られずに済む」と、二十人のHPTの採用を申し入れた。
十八日には八十人のHPTの追加採用を申請。メモによると米海兵隊は「当初六百万
円程度の余剰を見込んでいたが、その後試算した結果、余剰は数千万円規模が見
込まれる」と説明していた。
那覇労管は二十四人を米海兵隊に紹介。
在沖米海兵隊報道部は二月十三日までの沖縄タイムス社の取材に対し、
「従業員を雇うために割り当てられた基金が残っている」「基金はHPTを雇う
ために使うお金で、後に日本政府の思いやり予算で賄われる」と説明し、思いや
り予算の消化を目的に労務要求したことを初めて認めた。
また、在沖米海兵隊が昨年、二度にわたりHPTを要求したあと、撤回していた
ことも判明。在沖米海兵隊が基地従業員の雇用で、昨年四―六月と十一―十二月
の二度にわたり、退職した常用雇用の従業員(IHA・諸機関労務協約)の穴埋
めとして合計二十九人のHPTを要求。
那覇労管はこの労務要求に対して「本来、常用雇用で補充すべきもの」との判
断で保留。その後、那覇労管と米軍が協議した結果、米側はHPTの労務要求を
取り下げ、常用雇用のIHAの要求に切り替えた。
一九九五年、日米地位協定二四条の「特別協定」が締結され、日本政府の予算
で基地従業員の人件費を負担することになったため、県は不安定なHPT雇用に
反対する姿勢を示していた。そのため、在沖米海兵隊の基地従業員にHPTの新
規採用はなかった。
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以下1月からの日米の思いやりやりとり各紙報道
政府は1月2日までに、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)について、二
○○一年度予算以降も規模縮小を継続する方向で米側との協議に入る方針を固め
た。
「国民の理解を得られる範囲内に抑制していく必要がある」(政府筋)
クリントン米大統領は1月7日までに「21世紀の国家安全保障戦略報告」と題
する報告書を議会に提出し、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)が
日米関係の緊密化に寄与していることを評価
在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する特別協定の見直し問題
で、米国が日本に対し、新たな負担を非公式に打診
航空機や艦船など在日米軍の装備の修理費や、米軍関係者の家族が使用するス
クールバスの運行経費など。(読売00/01/09)
「ぜい肉」でない部分を教えてもらいたいところだが
訪米中の瓦防衛庁長官は1月8日、滞在先のカリフォルニア州サンディエゴで本
紙との会見に応じ、思いやり予算問題について、日本側としてはこれまで通り削
減を求めていく考えを示し、「互いの主張を整理していけば、結果的には、ぜい
肉分を少し取り除くことになる」「資源配分に当たって納税者の意思を考えなけ
ればならないと言う理屈は、米国はよくわかっている」と語った。
在日米軍駐留経費問題は今回、5日にワシントンで、瓦長官が日本側の財政事
情の悪化を理由に負担削減を求めたのに対し、コーエン長官は、米議会に米軍の
日本駐留を説得する材料としての高負担の維持を要請した。
また、北朝鮮への食料支援は、日米韓の協力体制の中で「少なくとも米朝高官
協議が実現するまでは再開すべきではない」との見解を明らかにした。「相手側
が誠意を持った返答を寄越さないうちに、よい方向に向かうという期待感だけで
要求に乗っていたのでは、国民の理解が得られない」「今や北朝鮮への対応は、
日米韓三国間の協調体制が最も重要で、日朝関係だけを勝手に進めることは許さ
れない」
日米両国政府は1月21日、都内で外交、防衛当局の審議官級会合を開き、思
いやり予算の新協定締結に向けた交渉を開始。日本側が削減の意向を示したのに
対し米側は現状維持を要請。日本側は会合で、新協定について「両国の経済、財
政事情の変化を踏まえる必要がある」と日本の危機的な財政状況を挙げ、削減に
理解を求めた。米側は「日本の負担は同盟関係に極めて重要な戦略的意義を持っ
ている」と難色を示した。
民主党の鳩山代表、共産党の不破委員長が2月9日の「代表質問」で見直しを主
張
朝日新聞2月10日付の「論壇」に、トーマス・フォーリー駐日米国大使が
「『思いやり』」でなく『同盟戦略』」と題して投稿。
日米はこの二国間同盟関係において、相互補完的な貢献をする対等のパート
ナーである。
米軍のプレゼンスは地域に安定をもたらす効果を持ち、日本が防衛費を国内総生
産(GDP)の一%程度に抑えることを可能にした。日本政府は、米軍の前方展開の
支援に昨年四千三百億円強を支出した。これは日米の相互安全保障体制の責任を
分担する上で貴重な、そして必要な貢献であり、米国は高く評価している。
在日米 軍支援は「思いやり予算」と呼ばれ、削減を求める人たちは日米安全保障
同盟に対する貢献の基本的な性格を誤解している。
来年見直しを迎える米軍駐留経費負担に関する特別協定の下で、九五年から九九
年までに日本が支払った各年当たりの総額は平均して国家予算の〇・二五%未満
にとどまる。
過去五年間、米国は毎年平均してGDPの約三%を国防力の維持に充当し、九九年
だけで二七兆千五百億円を支出した。米国が日本に展開する艦船、航空機やその
他のシステムの運用や整備には膨大な費用がかかる。たとえば、横須賀を母港と
するキティホークのような航空母艦一隻を運用する費用は一日当たり一億円を超
えると推定される。在日米軍の経費を計算する際には、こうした費用は含まれな
い。さらに、日本に駐留する四万七千人の米兵にかかわる給与、補給、輸送など
の多額の費用はすべて米国が負担している。
また、日本のHNSは米国の財布に入るものではなく、日本にとどまる。特別協定
下で支払われる日本の経費は、基地で働く約二万三千人の日本人従業員、基地の
土地所有者、電気・ガス・水道事業者や建設会社などの日本企業に直接支払われ
ている。しかも、在日米軍駐留経費負担の約四分の一は、基地周辺住民の生活の
質向上に使われている。HNSの削減 で影響を受けるのは、日米共有の安全保障上
の利益であり、そうした日本の市民の福利である。
好きで軍隊つくっておいて、口説くなよな、こっちの知ったことか。
これから石原知事あたりがいいカモになりそうだ。
ちなみに米国の軍事研究の民間団体CDIのランク
(http://www.cdi.org/issues/wme/spendersFY00b.html)によると、軍事費大手の
順はアメリカ、ロシア、日本、中国、イギリス、フランス、ドイツ
米シアトルで昨年開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議が次期多角的貿易交
渉(新ラウンド)の枠組みづくりに失敗したことを受け、米議会の民主、共和両
党からクリントン政権に対する批判が集中。(2月10日)
クリントン米大統領は2月12日までに、USAトゥデー紙など米有力紙との
インタビューで、日本経済について言及し、「財政刺激策や利下げという伝統的
な景気対策が機能しなくなった。規制緩和、市場開放、競争の促進を進めること
で、起業家精神や経済の創造力を作り出す必要がある」と述べ、構造改革の必要
性を強調した。
米政府当局者は2月14日、東京都内で記者団に、思いやり予算について「日
本の安全保障と日米同盟の基盤であり、アジア太平洋地域の安定にとって不可欠
だ」「これまでの日本側の支援に今後とも頼っていきたい。特別協定の下で継続
的な支援が必要だ」と語った。
「経済力から見れば妥当な水準だ。日本人の雇用や施設整備の発注などを通じて
日本経済にも貢献している」「(施設整備費の使い道については)住宅が関東地
区で約1600戸不足しており、最重点で建設を進めたい」
また思いやり予算の名称についても、「変えるべきだ」と述べた。
日本は黙って金を出す、これぞ武士道ってところかね、「武士は相身互い」
元駐タイ大使 岡崎久彦さんは「どうせ多かれ少なかれ特別協定は存続させるの
なら、せっかくのアメリカ議会向けの金看板の価値とその効用を傷付けないよう
な交渉ぶりを期待する」とのことで以下を紹介
「自分は常々議会に対して、日本のすぐれた貢献が手本だと説明している。」
コーエン国防長官。一月五日、瓦防衛庁長官に対して。
「日米関係は大変底が深いが、その底を支えているものに日本政府の駐留米軍
の支援があり、同盟関係の証左として米議会でも高く評価されている。」 ハム
レ国防副長官。昨年十一月二十六日、河野外務大臣に対して。
「これは従来通り、日本の最も重要な責任分担の貢献である」 九九年国防報
告。
「米国の海外プレゼンスへの日本の寛大な支援は、同盟国への、そして地域の
安全への
重要な戦略的貢献となっている」 九九年国家安全保障報告。(産経00/02/15
「正論」欄)
フォーリー駐日大使は15日に公明党の神崎代表、冬柴鉄三幹事長を、16日に
は自民党の亀井静香政調会長、池田行彦総務会長を、それぞれ大使公邸に招き、
思いやり予算の必要性を訴えた。
米政府の外交、安全保障担当の次官級高官四人が2月16日、小渕首相、瓦防
衛庁長官、自民党幹部と都内で相次いで会談。米側は、日本側が思いやり予算軽
減を求める意向を示していることに強い懸念を表明。
会談したのはタルボット国務副長官、スローコム国防次官、スタインバーグ大
統領副補佐官(国家安全保障担当)、ラルストン統合参謀本部副議長。このクラ
スの高官四人がそろって来日するのは異例。
タルボット米国務副長官とスタインバーグ米大統領副補佐官らタルボット氏は
自民党の亀井政調会長らと会談し「慈善事業をやっているわけではない」と削減
に反対する考えを示した。朝食会でタルボットさんは「(米軍の日本駐留は)慈
善事業ではない。(日本の負担)減額はおかしい」と述べ、現状維持を求めた。
亀井氏は「特別協定に基づき負担するのは当然だ。哀れみを求めるつもりはな
く、負担するものは負担する」と述べた。
また、四高官に同行しているキャンベル国防次官補代理は同日、自民党の山崎
拓・元政調会長と会い、「『思いやり予算』という言葉に日本側の誤解が表れて
いる。日本が米国にサービスしているのではなく、日米同盟関係を維持するため
の措置だ」「朝鮮半島、中国、インドネシアを含むアジア太平洋全体の安全保障
問題について、戦略的視点に立った日米間の協議の場を設けるべきだ」と述べ、
予算削減への反対を明確に伝えた。
山崎氏は「現状維持に向け、個人的には努力するが、財政状況を考えると非常に
厳しい」と述べ、減額に理解を求めた。キャンベル氏は、米軍厚木基地周辺の環
境汚染問題にも触れ、「この問題は日米同盟関係に刺さったトゲのように重要な
問題だ。三年間取り組んだが全く進展を見ておらず、遺憾だ」と述べ、日本側の
一層の努力を求めた。
16日、米高官一行は中国を訪問。
私企業に損害賠償権を認めた米国の「1916年反ダンピング(不当廉売)法」
は世界貿易機関(WTO)協定違反として、欧州連合(EU)が訴えていた問題
で、WTO紛争処理小委員会(パネル)は2月16日までに、「EU全面勝訴」
の最終報告を紛争当事者に提示した。同法をめぐっては昨年2月、日本も米国を
WTO提訴している。今回の最終報告を作成した3人の委員は日米間の紛争処理
にも当たっており、近く見込まれる日米への中間報告提示でも「日本勝訴」の判
断が示されるのは確実となった。
「日本はものすごく憶病。将来的には改善されなければならない」――。スタン
リー・ロス米国務次官補は16日までに、下院国際関係委員会アジア太平洋小委
員会の公聴会で証言し、日本が国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)
への要員派遣に慎重姿勢を示していることに不満を表明。
トム・ラントス下院議員(民主党)「日本の国際貢献の負担の欠如は受け入れ
難い。古い憲法の陰に隠れ、(財政支援のための)小切手を書くばかりだ」
ロス次官補「こうした心理が日本を(UNTAETの)PKO活動から永久に遠
ざけている。日本が国連安保理常任理事国入りを希望するなら、国連の政策決定
と実際の活動の両面でより大きな役割を果たすことが期待される」
(読売00/02/17)
柳井俊二駐米大使は2月17日の記者会見で、「『思いやり』は文字通り、気の
毒だから(金を)出す感じで、あまり適切ではない。日米安保条約の効果的運用
は日本のためにも重要だ」と述べ、「米軍駐留関連経費という客観的な表現の方
が適切だ。我々は(『思いやり予算』とは)一度も使ったことがない」と強調。
国連貿易開発会議(UNCTAD)第十回総会は2月19日、経済のグローバル
化では発展途上国への配慮が必要などとした「バンコク宣言」(「地球規模の対
話と精力的活動」)と今後四年間の活動方針を盛り込んだ「行動計画」の二文書
を採択、八日間の全日程を終え、閉幕。
閉幕演説で、リクペロUNCTAD事務局長は「冷戦終結を受け、大きく変容す
る世界経済の問題を解決するために、途上国を含めた合意を形成して行こうとい
う機運が生まれたことが今会合の最大の成果だ」と総括。
世界貿易機関(WTO)の次期ラウンドの再開問題については、「早期の進展
が必要」と述べるにとどまった。
サミットのことでお伺いに行って、お祭りではないと釘を刺されてきた河野さん
であった
河野洋平外相は18日(日本時間19日)、クリントン大統領に、7月に開か
れる九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)を成功させるため大統領の協力を求
めた小渕恵三首相からのメッセージを伝えた。大統領「沖縄で日米関係が戦略的
見地からも重要だということを示すよい機会だ」「ホスト・ネーション・サポー
ト(在日米軍駐留経費への日本側負担)を含め、日米関係が北東アジアにおける
安定の基盤を提供していることを示す場となる」
国家安全保障担当のバーガー大統領補佐官との会談では、米軍普天間基地の移設
問題に関連して沖縄県と名護市が求めている15年の使用期限をめぐって意見を
交換。外相は「国際情勢など難しい問題はあるが、重く受け止め、情勢の変化に
対応して米国と協議することを決定した」と経緯を説明。バーガー補佐官も「変
化に対応し、両政府の必要性を最も満たすよう緊密に協議する」と答え、互いに
原則的立場を確認するにとどまり、1月の日米防衛首脳会談に続き棚上げ。
また、河野洋平外相は、ワシントンでクリントン大統領やバーシェフスキ米通
商代表部(USTR)代表らと会談し、世界貿易機関(WTO)の次期多角的貿易交
渉(新ラウンド)を七月の主要国首脳会議(沖縄サミット)前に立ち上げるため、日
米間で高級事務レベル会合を開くことなどで合意した。
クリントン大統領「(新ラウンドに向け)日本も種々の問題を抱えているし、
米国も反ダンピング法の問題がある。それを別にすれば米国としては最大限、柔
軟に対応したい」
「新ラウンドのスタートがクリントン政権の中で、再び優先的に取り組む政策課
題に浮上した可能性もある」(日本政府関係者)
河野外相は、大統領との会談に前後して、欧州連合(EU)のラミー欧州委員
会委員(貿易担当)、バーシェフスキ通商代表らと相次いで協議。新ラウンド開
始に向け、途上国との間で信頼を醸成して協力を得ることを目的に、特恵関税の
供与などを進めることで基本的に一致した。
外相は20日午前(日本時間同日夜)、国務省でオルブライト米国務長官と会談
し、沖縄サミット(主要国首脳会議)成功に向けた日米両国の協力を確認。思い
やり予算について、河野外相が、「戦略的な重要性はよく理解しているが、経済
的事情も勘案する必要がある」と減額への理解を求めたのに対し、長官は日米安
保体制におけるその重要性を指摘し、現状レベルの継続への期待を示唆。
外相は沖縄県で在日米軍が管轄しているラプコン(航空管制)について、その返
還も含めて米側と協議することを申し入れた。長官も同意し、両政府の事務レベ
ルで話し合うことになった。
外相は沖縄の米軍普天間飛行場移設問題で代替施設の使用期限を十五年とし
ている沖縄県などの意向を伝えたが、オルブライト長官は平成八年の日米安保共
同宣言や、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)の最終合意に基づいて協議を
継続する意向を示すにとどまった。
カリフォルニア州などで日本の企業が戦争中に米軍捕虜を使った戦時労働に対す
る補償を求められて裁判になっている問題については、両国間の賠償問題は19
51年のサンフランシスコ講和条約で決着しているとの認識で双方が一致。
長官はインドネシアからの独立が決まった東ティモールに日本政府が文民警察
官を派遣できるかどうかたずねた。河野外相は「自分は慎重に考えている。日本
にとって効果的な貢献を行うことで支援を続けたい」と述べ、文民警察官ではな
く、復興への協力や人道援助を中心に対応する考えを示した。
日本の国連安全保障理事会常任理事国入りについて河野外相が協力を要請した
のに対し、オルブライト長官は「日本とドイツの常任理事国入りを支持する立場
は以前から確立した方針で現在もまったく変わっていない」と、支持する考えを
強調。
米商務省が18日発表した1999年の米貿易赤字は、モノとサービスの取引
を合計した国際収支ベース(季節調整済み)で、前年比65・1%増の2713
億1000万ドルと98年(1642億8200万ドル)を大幅に上回り、過去
最大を更新した。日本に対するモノの貿易赤字(通関ベース、季節調整前)も同
15・5%増の739億2000万ドルと、最大だった94年(656億680
0万ドル)を上回った。中国、西欧などとの赤字も過去最大を更新した。国別で
は日本は中国を約50億ドルも上回る。99年の日本や中国を含むアジア太平洋
地域に対する赤字額は、米貿易赤字全体の57%。
(ワシントン共同)