3月に入隊する陸海空「自衛隊生徒」<3年後に通信教育などで高校卒業資格取
得可能>の一次採用試験が1月5日全国一斉に行われた。受験者数1万892人
(昨年度1万1633人)。受験倍率は30.3倍(昨年度32.3倍)
陸自7748人(昨年度8092人)、海自1470人(同1692人)、空自
1674人(同1843人)。
採用予定計画数は、昨年同様、陸自250人、海自60人、空自50人で、受験
倍率は陸自31.0倍(昨年度32.4倍)、海自24.5倍(同28.2
倍)、空自33.5倍(同36.9倍)。
昨年度に続いて受験者数が1万人を超えた要因は、北朝鮮工作船領海侵犯に対す
る自衛隊初の海上警備行動、トルコ大地震被災者支援のため同国へ仮設住宅の海
上輸送、東ティモール避難民支援の物資空輸などで自衛隊への関心が高まったこ
と、各地連がアイデアを絞った電車やバスなどへの車内広告、インターネットや
マルチビジョンの使用、ケーブルテレビや地元ラジオ局など電波メディアの利
用、中学生や中学校教諭などに対する積極的な学校広報などが実を結んだもの
と、各地連では分析。
◇兵庫地連
県下6カ所の会場で試験を実施。兵庫県では毎年、生徒が2000人(6%減)
減少する悪条件での募集となったが、ポスター貼付、DM、説明会、模擬試験、
部隊からの縁故情報収集などの成果が現れ、受験率96.6%と、曹学・補士・
医大に引き続き、過去最高の記録を更新。受験者数も、昨年に引き続き中方管内
最高の403人が受験。
◇宮城地連
県内7会場で試験が行われ、378人が受験。
宮城地連募集相談員の一人が、王城寺原演習場に滞在していた在日沖縄米海兵隊
を3年連続して慰問。名取募集事務所の広報官(2陸曹)が同行。同氏は96年
の日米共同訓練時にホームビジットで米軍人を自宅に招待するなど積極的に日米
交流に努めている。
(朝雲1月20日)
受験者のほとんどは、高校中退者でしょう。警察も非行歴のある子どもたちに
「根性をいれかえてこい」と受験を勧めることもあるでしょうし。しばらく自衛
隊にぶち込んでおけば、町中をうろつく数も少なくなって「治安」が守れると。
その子どもたちは自衛隊で、銃を持たせられることもあるだろうし、また銃を持
たずとも、ゲリラ作戦で使われるような人殺しの仕方を仕込まれます。その後少
なくない人が再び自衛隊から放り出されます。そして即応自衛官、予備自衛官と
して奴隷予備人員として登録されるか、OBとして奴隷狩りをさせられます。そ
の「特技」をかわれて暴力集団に雇用される人もいるでしょう。
中学生の中には、入りたい高校には行けそうもないし、高校もつまらなそうだ
し、と思う人もいるでしょうが、高校から自衛隊に入隊を希望する人も増えてい
ます。就職難と経済的理由が大きく反映しているものでしょうが、それに加え
て、学級減が進むなかでの受験者数の多さは、「自衛隊は憲法違反ではない」と
いう世論を背景に、教育関係者、自治体、企業を含む、奴隷斡旋者が増えている
ということも表しています。
自衛隊では、理解が深まった証拠と勝手に思いこんでいるようですが、受験者の
家族は本人も含めて「資格取得・身分の安定・再就職の保証」につられて受験し
ます。しかし次にはわが子が自衛隊にはいってどんなことをするのかに関心がい
きます。そして、災害時に汗水流して働いている自衛隊員のけなげな姿とは全く
イメージが違う、人殺し教育をするヤバイところだということに気がつきます。
私が聞いた範囲では、試験におちた子どもの親は「大学にも行かせられない、就
職先もないから受けさせてみたが、大事な子どもをあんなところに行かせなくて
よかった。」というのが大半のおもいです。
自衛隊に入っても、良心にさしさわるような仕打ちを受けたら、さっさと逃げて
きてください。たくさんの市民がその勇気をたたえるでしょう。
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1999年度防衛白書より
【隊員の教育】
3 日々の教育訓練
自衛隊が、我が国の防衛の任務を遂行するためには、装備品などの充実を図る
だけでなく、平素から、指揮官を始めとする隊員が高い資質と能力を持つととも
に、部隊としても高い練度を有することなどにより、堅固な防衛態勢をとること
が必要である。これは、我が国への侵略を意図する国に対し、それを思いとどま
らせる抑止力としての機能をも果たすものである。
このため、自衛隊は、種々の制約の中で、事故防止など安全確保に細心の注意
を払いつつ、隊員の教育や部隊の訓練などを行い、精強な隊員及び部隊の練成
(注1)に努めている。
(注1)
自衛隊の部隊など及び隊員が訓練を行うことにより練度を向上させ、精強な部
隊などを作り上げること。
(1) 隊員の教育
部隊を構成しているのは隊員であり、部隊が任務を遂行するためには能力の高
い隊員を練成する必要がある。このため、隊員は、自衛隊の学校及び教育部隊な
ど(資料54参照)において、職務を遂行する上で必要な隊員としての資質を養
い、知識及び技能を修得するための教育を受けている。教育において重視されて
いる事項は、以下のとおりである。
① 使命感の育成と徳操のかん養(注2)
② 装備の近代化に対応する知識と技能の修得
③ 基礎体力の維持向上
④ 統率力ある幹部の養成
また、近年、国際平和協力業務の実施や安全保障対話・防衛交流の展開、軍備
管理・軍縮への貢献など国際社会で活動する機会や諸外国とのかかわりが増大し
てきており、こうした現状に適切に対応するため、防衛庁は、以下の施策を進め
てきている。
① 英語、ロシア語、中国語、朝鮮語などの外国語教育の充実
② 国際平和協力業務の教育訓練の一環として、国連平和維持活動への参加実績
が多い北欧諸国などへの自衛官の派遣
③ 諸外国に対する理解を促進させるための留学生の交換
(第5-3図参照)
(注2)
このための教育は、自衛隊法第52条の「服務の本旨」に基づき、陸・海・空各
自衛隊に共通する自衛官の基本的な心構えを述べた「自衛官の心がまえ」(資料
55参照)に準拠して行っている。
【募集業務に対する協力】
2 自衛官の募集・就職援護に対する協力
質の高い自衛官を確保するためには、防衛庁としても募集業務に一層の努力を
払うとともに退職自衛官の就職援護の充実に努めていかなければならない。これ
らの活動は防衛庁だけで実施できるものではなく、地方公共団体のほか、各種の
団体や企業などの協力を得て行われている。
(1) 募集業務に対する協力
最近の自衛官などの募集状況は、災害派遣や国際平和協力業務の実施などを通
じて自衛隊に対する国民の理解と認識が深まったこと、隊員に対する処遇の改善
が推進されていること、さらに、ここ数年の厳しい雇用情勢の影響などにより、
応募者数は全般的に増加傾向にあり、好調に推移している。しかしながら、2士
男子の募集対象となる18歳以上27歳未満の人口が、1994年(平成6年)の約900
万人をピークに、2013年(同25年)ごろには約570万人にまで減少することが見
込まれており、また、高校卒業者の進学率の向上もみられ、中長期的な募集環境
は厳しいものになることが予想される。
(第5-4図参照)
このような状況の中で、全国50か所の自衛隊地方連絡部は、都道府県、市町
村、教育委員会、学校、隊友会、全国自衛隊父兄会、民間の募集相談員などの協
力を得ながら募集業務を行っている(資料48参照)。自衛隊が、今後も優れた資
質を備えた人材を確保し、精強性を維持していくためには、これら地方公共団体
や関係機関などの協力が不可欠である。
【部外における自衛官教育に対する協力】
4 部外における自衛官教育に対する協力
装備品の近代化などに伴い、自衛官は広範な分野で高度な知識や技能を要求さ
れるようになってきている。このため、自衛隊では、そうした知識や技能を自衛
隊で修得させることが困難な場合などに、部外の教育機関の協力を得て教育を
行っている。また、部外の人との接触を通して幅広い視野や多様な考え方などを
吸収させることを目的として、中堅幹部に対して国内企業で1年程度の研修など
を行っている。こうした教育や研修は、自衛官を受け入れている大学院、大学、
各種専門学校及び企業などの自衛隊に対する理解や協力の下に行われているもの
である。隊員に高い資質と能力を身に付けさせるため、今後とも、部外の教育機
関や企業の積極的な協力が望まれる。
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◆ 国連人権委員会の作業部会は20日、「18歳未満の少年兵の戦闘参加を
禁止する」「強制的徴兵は18歳未満禁止」などの点で合意。今年末の国連総会
で、子どもの権利条約を補完する「選択議定書」として採択される予定。
条約案は①各国軍による徴兵②民兵など非正規軍による兵士の採用③紛争など
敵対行為への参加-について、18歳未満の少年を対象にしないように求め、条
約発効から5年後の再検討会議開催を定めた。
子どもの権利条約は、18歳未満を社会保護の対象としているが、戦闘参加や
軍隊への採用については15歳未満を差し控えると例外扱い。一方で国連などの
推定によると、世界の30以上の紛争地域で戦闘に駆り出されている18歳未満
の少年兵は世界中で30万人もいるとされ、国際条約上の最低年齢引き上げが急
務となっていた。
合意された選択議定書案は、戦闘参加年齢については一律に「18歳未満禁
止」とした。しかし、軍への入隊年齢については「強制的徴兵は18歳未満禁
止」とする一方で、「志願兵の場合は現行条約による最低年齢(15歳)を引き
上げるが、何歳かは各国政府が議定書批准の際宣言する」と、強制的か自発的か
によって差をつけた。また反政府ゲリラなど非政府軍については「兵士採用、戦
闘参加などすべてで18歳未満禁止」とした。
北欧諸国などは志願採用でも一律に「18歳未満」の基準を適用するよう強固
に主張したが、両親の許可があれば17歳でも軍隊に登録できる米国などが反対
し、譲歩。
日本には15歳以上の中学卒業者が任意に応募する「自衛隊生徒」制度がある
が、学校生徒として例外扱いになった。
(朝日00/01/21、河北00/01/22)
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【子どもの権利条約】
<1989年に国連で採択された国際条約。1994年日本政府批准>
第38条
(民間訳)
(武力闘争における子どもの保護)
締約国は、武力闘争において自国に適用可能な国際人道法の規則で子どもに関連
するものを尊重し、かつその尊重を確保することを約束する。
締約国は、15歳に満たない者が敵対行為に直接参加しないことを確保するため
にあらゆる可能な措置をとる。
締約国は、15歳に満たないいかなる者も軍隊に徴募することを差控える。締約
国は、15歳に達しているが18歳に満たない者の中から徴募を行うにあたって
は、最長年の者を優先するよう努める。
締約国は、武力紛争下における文民の保護のための国際人道法に基づく義務に従
い、武力紛争の影響を受ける子どもの保護およびケアを確保するためにあらゆる
可能な措置をとる。
(政府訳)
締約国は,武力紛争のおいて自国に適用される国際人道法の規定で児童に関係
を
有するものを尊重し及びこれらの規定の尊重を確保することを約束する。
締約国は,15歳未満の者が敵対行為に直接参加しないことを確保するための
すべ
ての実行可能な措置をとる。
締約国は,15歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとし,
ま
た,15歳以上18歳未満の者の中から採用するに当たっては,最年長者を優 先させ
るよう努める。
締約国は,武力紛争において文民を保護するための国際人道法に基づく自国の
義
務に従い,武力紛争の影響を受ける児童の保護及び養護を確保するためのす
べて
の実行可能な措置をとる。
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◆ 海上自衛隊佐世保地方総監部所属の護衛艦「さわぎり」艦内で、機関士の三
等海曹(22)が自殺した問題で、同総監部の調査委員会は十六日、同艦の一部
乗組員が規則に反して艦内で飲酒し、かけ事をしていたとして、年内に関係者を
処分する方針を固めた。
同委員会は、三曹の自殺について、遺族が「焼酎を持ってこいと言われたり、
酒を強要されたと漏らしていた。いじめがあったのではないか」と話したことか
ら乗組員を聴取。その結果、いじめの事実は確認されなかったが、一部隊員が
「乗艦中に酒を飲んだことがある」と供述、かけ事をしたことも認めたという。
海自幕僚監部によると部隊内規則で艦内での飲酒は禁じられている。
三曹は十一月八日、四国沖で演習中の同艦の一室で首をつって自殺した。
[西日本新聞1999年12月17日]
◆陸上自衛隊が中心となって開発を進めている対人地雷に代わる装備としては、
一定方向にパチンコ玉大の鉄玉を約千二百個発射する指向性散弾を中心とした対
人障害システムがある。指向性散弾自体はすでに陸上自衛隊に装備されており、
これに各種センサーを組み合わせて、遠隔操作で発射できるようにするという。
防衛庁では、対人地雷の廃棄の期限である二〇〇三年度末までに新システムを
装備したい考えだが、こうした装備の開発は通常十年単位で行われるもので、現
状では「まだ青写真が出来上がった程度」(陸自幹部)。
陸上自衛隊が所有する対人地雷は、六七式が一個五千円、八〇式が一個一万円だ
が、新しいシステムは機構が複雑になる分、コストがかかることは避けられな
い。また、地雷と違って人が操作しなければならないことも、個々の隊員の負担
増になることは確かだ。
ある陸上自衛隊関係者は「今の陸上自衛隊の定員十八万人を二十五万人ぐらい
に増やさないと、対人地雷に代わる防衛力を維持できないのではないか」と話
す。
日本は九七年十二月に対人地雷禁止条約に署名、九八年九月に締結し、同条約
は九九年三月に同条約が発効した。同条約では対人地雷の廃棄は二〇〇三年度末
までに行うことになっており、防衛庁では順次対人地雷の廃棄を進める。陸上自
衛隊は敵の上陸阻止などの目的で約百万個の対人地雷を所有してきたが、すでに
同条約が発効しているため対人地雷を使用することはできない。
(読売1月24日)
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「自衛官への意見広告をすすめる会」による意見広告
(99/11/14中国新聞)
<99/11/19神奈川新聞、99/5/2朝日新聞神奈川県版などにも同趣旨の意見広告掲
載>
憲法9条が空洞化する「軍事の現場」。そこで働く自衛官の皆さんこそ、9条の
空洞化をくい止めることのできる人々です。そして、その9条を守ることが、自
衛官の「いのち」を守ることにつながります。
周辺事態を起こすな!
憲法9条が自衛官のいのちを守っていると考えたことがありますか。
自衛官の皆さんへ
5月24日に成立した周辺事態法。
自衛隊が米軍に対して行う後方支援は、「戦闘地域とは一線を画された地域」
で、と政府は言ってきましたが、その実態は曖昧なままです。しかし、自衛隊が
戦争さなかに海外に出ていけることになってしまったことは、間違いありませ
ん。
「周辺事態法の次は、有事立法だ」。多くの政治家が公然と発言するようになり
ました。その一方で、近隣諸国との友好関係をしっかりしたものにするための努
力はおろそかにされたままです。外交がはたす役割を軽視した、軍事優先の発想
に、私たちは反対します。
●周辺事態法の成立によって、自衛官の皆さんに多くの危険が追加されました。
入隊するときには予想もしなかった任務です。’91年4月、呉港からペルシャ
港に向けて出動した掃海艦隊の時より更に危険な作業になるはずです。周辺事態
法の審議にあたって、皆さんの意見を聞いた国会議員が何人いたでしょうか。
●大型の輸送艦(戦車揚陸艇)や、掃海母艦、掃海艇など、海外での任務を可能
にする軍艦が次々と建造されています。自衛隊法の「改正」によって、こうした
軍艦が武器・弾薬を積んで出動することが可能になりました。アジアの人々はこ
うした日本の軍拡に脅威を感じています。
私たちは、皆さんが海外で人を殺傷することのないよう、また、皆さんが傷つ
くことのないように、と願わずにはいられません。
●自衛官の皆さん!憲法9条が、みなさんを守っていることを知ってください。
そして、みなさんこそが、9条を守ることのできる人々であることに、気付いて
下さい。
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