Mime-Version: 1.0
Date: Sun, 23 Jan 2000 20:34:45 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 2298] [aml]地雷処理セレモニーの件
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 2298
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org
 

   (from 『オルタナティブ運動情報メーリングリスト』 改行位置等若干変更)
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 Date: Sun, 23 Jan 2000 08:41:27 +0900
 From: 和田 喜太郎 <YRX00535@nifty.ne.jp>
 Subject: [aml 16063] Re:地雷処理セレモニーの件
 

[aml 16005]で、安原さんの質問がありました。

18日付けの朝日新聞と読売新聞によると、
1. 自衛隊が保有する対人地雷は約百万個
2. 今年中に約4億円の予算で22万個を廃棄する予定
3. 2000年度は約8億円の予算で約38万個廃棄の予定
4. 2003年2月までに約99万個を処分し、訓練用に約1万5000個を残す
5. 処分作業は旭化成工業、日本工機、北海道日本油脂に委託
  ということなのだが、私は次のことを知りたい。

1. この対人地雷はいつどこで購入したのか。日本製なのか外国製なのか。
2. 地雷購入の費用はいくらなのか。対人地雷だけなのか。他に地雷を購入、保有して

  ないのか。
3. 処分状況を国民がモニターできる仕組になっているのか。
4. 処分作業を請け負う企業は公募したものなのか。そうだとしたら、いつそれが行わ

  たのか。
5. 2社は化学関連企業で1社は機械関連企業のようだが、彼等はなぜ地雷廃棄に関わっ

  いるのか。
  どなたか知識と暇と親切心のあるかた、教えてください。

                ************************

◆「知識と暇と親切」からでなく、関西で、すぐ近くの饗庭野で行われている関心から
ですが、まだよく分からないところもあります。間違った解釈などありましたらご指摘
ください。

1.今回処分のうち「古いM3型」約5万個が米軍供与のもののようです。他は日本製
でしょう。機雷も作っている金沢の石川製作所が対人地雷を一手に請け負っていると云
われます。そんなにややこしい兵器ではなく、戦前からも作っていたノウハウもありま
す。戦後開発された、指向性散弾地雷は米国からのライセンス生産かもしれません。
 保有兵器にはすべて年限があるはずで、それがくると処分され更新されますが、地雷
や砲弾類の年限はわかりません。

2.1月17日の饗庭野での処分セレモニーに対し、産経新聞が大きく紙面をさいてい
ました。そのなかで、一番小型の67式対人地雷で一個5000円とありました。禁止
条約は対人地雷が対象ですので対戦車地雷などはOKです。また、音だけで実害のない
訓練用地雷もOKです。「残しておく」というのは、訓練用に改造するのでしょう。音
が大きい訓練用で基地周辺の人はびっくりするそうですが、訓練判定官はそのほうがア
ウト判定するのに便利なのでしょう。

3.処分セレモニーに禁止運動NGOなどを招待しましたが、ほんとは秘密主義の自衛
隊にとっていやいやながらでしょう。そもそも自衛隊サイドは、いざという時に敷設す
るため、保持していただけで実際に敷設していたわけではなかった。周囲が海に囲まれ
た日本はいくらあっても足りない・・・そんな不満があり条約承認も消極的だった。と
いうことなど前記「産経」の記事にあります。国際条約では問題があればどこかの国が
国際会議で提起するのでしょうが、日本のNGOがどれだけ実態を把握できるかどうか
です。とくに日本国内に貯蔵する米軍保有の地雷が問題です。
 処分セレモニーには約100人が招待されたそうですが、そのうちNGOがどのくら
いなのかは分かりません。

4.昨年6月頃、饗庭野の旭化成所有地に三菱電機がミサイル改造工場を建設する問題
が持ち上がりました。住民の反対運動で断念したのですが、その頃旭化成が地雷処分す
る話も同時に報道され、三社三カ所での処分も決まっていたようです。火薬類にノウハ
ウのある企業しか参入せず、入札も形だけで実質的には常連企業の談合といっていいで
しょう。
5.旭化成は、小口径銃弾メーカー旭精機工業の関連企業です。日本油脂は戦前からの
炸薬トップメーカーです。日本工機も銃弾メーカーです。旭化成敷地にミサイル工場を
建設する話もミサイル推進炸薬を請け負っている関係からでしょう。
 代替兵器開発費に比べ、処分費用は少ない。型通りでしょうが安く入札し請け負う。
その代わりには今後の仕事ももらえるという仕組みなのでしょう。

 このほか関西にはダイセル(旧大日本セルロイド)やエアコンで知られるダイキン工
業などは砲弾メーカーです。広島にあるダイキンの下請け企業中国火薬は、自衛隊NT
T火薬のほとんどを請け負っていますが、2回も爆発事故を起こしています。阪神大震
災当時の陸自中部方面総監は、退職後ダイキン工業の顧問となっています。自衛隊と繋
がりの深い企業への天下りの一例でしょう。

                                 ◆  ◆  ◆

 地雷に関するNHKの報道番組をみました。対人地雷の爆薬など命を奪わない程度に
分量を計算して最低限に充填する。そしたら片足一本を吹っ飛ばすとか、その方が命を
奪うより相手に負担を増やし効果的なのだそうです。大量生産でき貧者の兵器であると
同時に悪魔の兵器たる所以です。その大量生産国のアメリカ、中国、ロシアは禁止条約
に加盟していないし、金さえ出せば外国に売りまくっている。

 アメリカは朝鮮半島有事に備え大量の対人地雷を日本の火薬庫に貯蔵しているはずで
すが、核装備艦船同様にあるともないとも何にも云わない。条約に加盟している日本に
責任が関わってくる問題ですが、日本政府はシカトウを決め込んでいる。小渕クンは自
分が条約に署名したもんだから、カンボジアで地雷探索したり饗庭野でボタンを押すな
どパフォーマンスしたり、ええかっこしてるけど・・・。

 なお、地雷処理の対策本部は、陸自中部方面総監部のある伊丹駐屯地内にあり、明治
以来の陸軍弾薬工場のあった、現在の陸自宇治駐屯地には陸自爆薬試験研究所がありま
す。たぶん、そんなところで代替兵器を研究しているのでしょう。

                                 ◆  ◆  ◆

 指向性散弾地雷について、幾つかの投稿がありましたねえ。
「あぶらーぜみ、はねーをとったらー」じゃないけど、罠線とかセンサーをとったら、
指向性散弾地雷がただの指向性散弾になるんですねえ。これは条約に引っ掛からないの
で、遠隔操作方式に改造する。今のところこれが唯一の代替兵器だそうです。政府は年
間4億くらいで処分し、こっちの方は倍くらい金かけて開発しようとしている。(具体
的な予算等については今は省略します。)

 ベトナムの植民地解放ゲリラは、罠線を仕掛け、これに触ると矢が飛んでくる。これ
をヒントにアメリカの兵器屋が開発、朝鮮戦争あたりでも使われたそうで、以後各国き
そって導入した。でも、こいつは地雷の範疇に入るかどうか問題です。前記のNHK報
道でもやってましたが、罠線にさわるとアルミ箔を破って1200発の散弾が飛んでく
る。片足ですまず体中穴だらけです。1980年通常兵器禁止条約の地雷禁止議定書で
いう「ブービートラップ」というのはこの手の兵器なんでしょう。軍事目標なら構わな
いとするが結果と実態は死傷するのはいつも「文民」であり、「過度の障害」をもたら
す「ブービー」の類いを含めすべて禁止すべきです。
 
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2000/01/23  和田喜太郎 YRX00535@nifty.ne.jp



 
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