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分離裁判になっていた多田さんの判決のメモです。
☆検察主張の電話の順序は客観的事実とは認め得ず、これを多田の当夜の行動の裏付けとすることはできない。
☆「多田は若葉寮に来たあとずっと自分といっしょだった。」とのN.供述は、看過できない変遷があり信用性に乏しい。
☆「若葉寮へ行ったのはノリを取りに行った1回だけである。」との員面調書記載の供述から、「1度目の用事は忘れたが、2度行った。」との国賠証言への多田供述の変遷について、「2度行ったことは当初から覚えていたが、1度目の用事は何かと取り調べ官に追及され、きちっと答えられなかっただけ。」という弁解は合理的であり、信用できる。
☆N.によるアリバイ工作に荷担したとの検察主張について、そもそもN.によるアリバイ工作があったかが疑問であり、その点からまず、多田がアリバイ工作に加わったとの事実はみとめられない。また、多田の供述はN.によるアリバイ主張に合致するか否かにかかわらず、独自に供述しているものであって、N.アリバイ主張に迎合したものでないと言うほかない。
☆支援活動状況について ――
・N.による支援活動はきわめて熱心なものであったが、それは山田の無実を確信した故であると思われ、N.がアリバイを作出しようとした形跡、事実は認められない。
・「しゃべるな」との紙片を拘留中の山田に差し入れし、そこに名を連ねたことは支援活動として行きすぎであるが、山田逮捕という事態に学園が特異な空気につつまれ、そうした中で行われた行為であり、アリバイ工作の疑いを入れるべき性質のものではない。また、名を連ねたのは他にM.、O(旧姓T.)などおり、一人多田のみがその行為を問われなければならない筋合いのものでもない。
・国賠証言の前に、打ち合わせなどをしたのはアリバイ工作、某義であるとの検察主張について、証言のまえに弁護士と打ち合わせをしたり、話し合うことは何ら問題ではない。