本件事実について精査したところ
1.自白の信ぴょう性について
被疑者は犯人しか知り得ない事実を供述しているから全くの作り話を述べたとは思われない。少なくとも何らかの形で関与したと考えるのが相当である。
2.園児の証言能力について
目撃した園児の証言は借信できるものと判断したが、青葉寮外から犯行に至る迄の捜査が不十分である。
3.アリバイについて
合理的な解明がされていない。
4.繊維の相互付着について
被疑者・H.s.両人の着衣に各相手方の繊維が付着していることから、両人が接触した事実が認められる。
5.M.m.・H.s.の死亡について関連性があると判断したが、その点の捜査が不十分である。
以上の諸点から、検察官の不起訴処分に疑問が残存する。
なお、本件について、被疑者を灰色にしておくことは被疑者の人権に関する重大事であり、一方精神障害児が無残な方法で殺害されていて、両園児の人権もまた尊重されなければならない。そして、甲山学園の名誉のためにも、捜査当局に対してもう一度捜査をやり直して、真相究明すべきと判断した。