この頃、ウィリアム・ウッド先生が何冊か本を出版され、社会に対して「ものみの塔」の問題点を明らかにしていた時でした。当時は、エホバの証人による被害についての認識が浅く、被害者全国集会のような大きな被害者の組織が形成されることは予想もしていませんでした。しかし「ものみの塔」の問題の大きさを知れば知るほど、何とか救いの手を差し伸べなければならないと感じていました。
そのような時に草刈先生ににお会いし、本格的にエホバの証人の救出に携わるようになりました。草刈先生は昨年4月に、救出に関わった証人から、信教の自由を犯された、と告訴・賠償請求されました。この裁判はいよいよ大詰めに入っています。7月、8月の公判では原告の尋問が3時間づつ行われました。その詳しい内容は、皆様にはすでに書面で御報告させていただきました。
この裁判を通して、エホバの証人の実態を社会に知らしめたいと願っています。先日の裁判を傍聴したある方の感想は「この裁判は原告本人が起こしたと言うよりも、組織が訴えたものに思われます。組織が介在しなければ離婚にならなかったのではないでしょうか。原告も組織による被害者の一人だ、という印象を持ちました。」というものでした。傍聴していただいた方たちには「ものみの塔」の問題を少しでも理解していただけたと思っています。
今月の裁判は木曜日にあり、翌月の10月からは草刈先生が証人に立つ予定です。また、来年早々には判決が出る可能性があります。草刈裁判の行方は今後の救出活動に大きな影響を与えますので、これからも草刈裁判に対する暖かい御支援を心よりお願いいたします。
中澤先生が指摘されたように、「ものみの塔」の内部崩壊を促進させるようなアプローチが有効と考えられます。そのためには感情的にならず、冷静に対処して、彼らに考えさせるように導くことが大切です。
エホバの証人の問題は根が深いとつくづく思わされます。反対すればするほど彼らは殻に閉じこもり、話しができなくなります。彼らの心を開いて気づかせるためには、感情論はだめです。エホバの証人は冷静で人格を持って対処する人に惹かれます。ですから、私たちもエホバの証人に対してそのように対処することが大切です。
また、以前組織にいた人たちが、脱会後に有意義な生活をしている所を見せることも効果があると思います。彼らは「組織を離れたら減びだ、祝福がなくなり惨めな人生だ」と教えられています。ですから、組織を離れ滅びの道を選んだはずの元証人や元研究生たちが、人生を主体的に楽しく過ごしている姿を見せるならば、内部崩壊を早めさせることができるのではないでしょうか。
東京でエホバの証人となり、「奉仕の僕」をしていて脱会した一人の青年がいます。脱会後、彼はエホバの証人時代に伝道した所に、手紙を配布して歩きました。その手紙は、間違った情報を提供したことに対する「おわびの手紙」です。実名入りで書かれた手紙の内容は次の通りです(実名は省略させていただきました)。
エホバの証人に反対する文書を配布すると、宗教論争は嫌だ、と拒否や反感を表す人たちもいらっしゃいます。この元エホバの証人の「お詫びの手紙」は、このような方々にも考えていただける資料になると思います。私たちはいろいろな方法で「ものみの塔」の隠された姿を人々に伝えることが必要です。「ものみの塔」の出版物の紹介をお受けになった方々へ お詫び
私は1994年から昨年夏まで、……のアパートに住み、「エホバの証人の一人として……の家々を訪問し、「ものみの塔聖書冊子協会」発行の出版物を”確かな文献として”紹介して参りました。しかし,それは私の無知によるものでした。約5年間、これらの出版物を自信をもって紹介したことを恥ずかしく思うと同時に、皆様にはお詫び申し上げます。
「ものみの塔」の出版物には、実際の出来事の紹介や、権威ある文献からの引用が、自分たちの主張の正しさの裏づけとして載せられています。当時、私はそれらに納得していました。
ところが昨年の夏、それらの裏づけの事実確認をしたところ、出来事の紹介の記述において、主張に反することがたくさん省かれていたことが分かりました。また、引用されている権威者が、その主張を全く支持していない場合もたくさんありました。「ものみの塔」の聖書は原典に無い意味合いを盛り込んで翻訳され、主張の裏づけとして用いられていました。それまでは専門的な知誰も文献も持ち合わせていなかったため、このような点を見抜くことがてきませんでした。
「ものみの塔」の日本支部に対し、出版物の内容に対する貿間や苦情申し立ては繰り返し行われていました。でも取り合ってはもらえず、読者に誤解を与える記述が繰り返されていたことも知りました。昨年夏の時点でお詫びする責任を感じていましたが、私自身のショックも大きく、一年経ってしまったことをお許し下さい。取り急ぎ書状をもってお詫びを述べさせていただきます。
※私は現在、エホバの証人から排斥されており、この書状は私個人の良心に基づいて作成したものです。